TS転生美少女が男友達ムーブして幼馴染の情緒を破壊する話   作:寿司鮓

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第3話

 前々から知っていた事だったが、私とジュンタは同じクラスのクラスメイトなのだ。

 なので今後は結構長い時間を一緒に過ごす事となる。

 それを考えると変な気分になる。

 そもそもジュンタと私との関係というのはあくまで「放課後の時間にだけ会える遊び仲間」みたいなものだった。

 あるいは夏休みの時だけ遊ぶ仲、みたいな。

 小学生の時はクラスどころか学校も違かった訳だから、彼は幼馴染でありながらずっと一緒だったという訳ではないのだ。

 だというのにも関わらず、小学生の時に一番印象深く覚えている友達の一番はジュンタだというのだから、間違いなく放課後のあの時間は楽しかったのだろう。

 

「ジュンタはさ」

 

 廊下を歩いて教室に向かっている途中、私は会ったらタイミングを見て聞いてみたかった事を尋ねてみる事にした。

 

「私が女の子だって事は全然気づいてなかったみたいだけどさ。男としてずっと扱ってくれてたって事だよね」

「ん。まあ、そうだな。それこそ今の今まで歩夢が女の子だって気づかなかったし、だから必然的に男友達として扱ってきたはずだ」

「立ちションクロスしようなって言われた事あったな」

「それを言うのはやめてくれ、いろいろな意味で……ていうか女の子がそういう事を言うなし」

「あは、まあそれはさておくとして。今はもうジュンタは私が女だって分かったはずだけどさ、これからどうする?」

「? どうする、とは?」

「いやほら、やっぱり男の子と女の子とで扱い方を変えるのは、割と自然じゃん? これに関してはむしろ今からも男扱いされるのは、私としても困るし」

「ん、まあそれは、そうだな」

「今のジュンタは私が女の子だって分かって、さ――それでも、私の友達でいてくれるか?」

 

 真剣に、尋ねてみる。

 見上げるように彼を見ると、ジュンタは少し驚いたような表情を浮かべていた。

 真面目な事を唐突に尋ねられて、やはり驚いているのだろうか?

 それからジュンタは「そう、だな」と私に合わせるように真面目な表情を浮かべて思案する。

 そして、一言一言選ぶような口調でもう一度「そうだな」と言った。

 

「小学生の時には戻れないよな。あの時みたいに雑なやり取りは、もう出来ないと思う」

「うん、そうだね」

「だけど、それはあくまで友達とのコミュニケーションの形の一つでしかない訳じゃん? 別にああいう風にしなければ友達じゃないって言う訳でもない」

「……うん」

「勿論、そうしたいって思っているのならば別だけど。歩夢がもしあの時みたいに扱ってくれって言うのだったら、ごめんとしか言いようがない」

「さっき言った通り、これからも男の子として扱われるのは私も困るからそこは大丈夫――でも、そっか」

 

 私は思う。

 ジュンタは成長したんだな、としみじみ思った。

 あるいは私もまたジュンタの事を小学生の純粋無垢だった頃しか知らないからそれに引っ張られているのかもしれない。

 ジュンタも今や高校生、昔より少しだけ大人になった。

 人を慮る事だって出来るし、人の事を思慮深く考える事が出来る訳だ。

 

「ん、でも良かったよジュンタ」

「何がだ?」

「ジュンタが変わってなくて」

「失礼だな。身長も伸びたし、テストだってちゃんと良い点数を取れるようになった。勉強、頑張ってるんだよ」

「そこはそうだね、ジュンタも大人になったし、高校に進学しているんだから勉強、頑張っているんだよね」

「昔はそれこそ勉強の話を振られただけで頭が痛くなってたのは覚えてるよ」

 

 そこで、私達は教室の前までたどり着く。

 扉から覗いてみると案の定私達が一番乗りだったようだ。

 机がきちんと整列させられていて、その上には新入生の証である造花の飾りが置かれている。

 これを胸に付けて入学式に挑む訳だ。

 私は、教室に入る前に振り返り、ジュンタと向き合う。

 

「やっぱりさ、ジュンタが変わってなさそうで良かったよ」

「変わってない、かな。そこまで言われると少し自信がなくなってくるんだけど……」

「昔と変わらず素直で優しそうだって事!」

 

 あっはっは、と笑い私は一方的に話を打ち切り教室に入る。

 流石にあのままだと私も照れくさくて顔が赤くなりそうだった。

 友達を褒めるという行為は慣れないし、しばらく顔を合わせてこなかった友達ならば猶更だ。

 ただ、不思議と気まずさみたいなものは感じなかった。

 こうして昔に戻ったみたいな感じに話せる事を、少し感謝する。

 

 がらがら、と音を立てて扉を開ける。

 誰もいない教室、今は私とジュンタだけの空間だ。

 

「暴れるなよ、列を乱したら絶対怒られるだろうし」

「私の事をなんだと思ってるんだよ」

「いやまあ、元気いっぱいで良いなって思うよ」

「それ、褒めているようで実は遠回しに貶しているよね?」

 

 最初に生徒が席に座る場所は、どうやら出席番号順のようだ。

 そして出席番号順は男女ともに苗字の頭のあいうえお順。

 私は『くどう』でジュンタは『かどた』。

 そう言えば同じ「か」行だったな、と今更ながら思う。

 

「んー、偶然にしては何というか……」

 

 どうやら私とジュンタの席は、隣同士のようだった。

 そしてジュンタもこの偶然に驚いているようで目を丸くしていた。

 なんだか今日、目を丸くしてばかりだなこいつ、と微笑ましく思う。

 私は荷物をひとまず机の上に置き、「改めて」とジュンタに向き合った。

 

「それじゃあ――今後とも仲良くしてね、ジュンタ?」

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