薔薇乙女幻想録 -Legend of the dolls-【休載中】 作:豊之丞
至らない点があるかと思いますが、あらかじめご了承下さい。
第1話 魔法の森 洋館
桜が咲き乱れる季節は春。
今日も幻想郷に春らしい清々しい朝の陽が差し始める頃、魔法の森にある白い洋館の主も目を覚ます。
「・・・・・・朝か」
眠気眼でベッドから起きあがると、窓際まで歩いて行きカーテンを開ける。
「朝晩はまだ冷えるけど、今日も良い天気そうね」
眩しい朝の日光を見ながらそう呟く女性はアリス・マーガトロイド、人形を扱う程度の能力を持つ人形遣いである。
寝間着からいつもの洋服に着替えた彼女は、ある部屋へ向かう。
そこには、多数の人形が棚に置かれていた。
「さあみんな、朝よ」
そう言ってアリスがカーテンを開けると、棚に居た人形達が一斉に動き出す。
「今日もいつも通り、炊事係と掃除係と別れて働いて頂戴」
アリスがそう言うと、人形達は準備に取りかかる。
「さて、私はと・・・」
彼女は、椅子に腰掛けて何やら準備を始める。
「次の人形劇までまだ時間はあるけど、早めに準備しないとバタバタしちゃうのよね・・・」
約1ヶ月後に里で人形劇を控えており、その準備に新たな人形の制作、衣装作りとなかなか忙しいのだ。
「さて、昨日の続きと…」
人形の衣装作りの為にミシンに向かう。
しばらく作業をしていると、一体の上海人形がアリスの元へ来る。
「朝食が出来たの?今行くわ」
作業を中断すると、別の洋室へ移動する。
席に着くと、一体の人形がティーカップに紅茶を注ぐ。
「ありがとう」
そう言ってアリスは紅茶を飲む。
その後、朝食を済ませ再び作業へ向かおうとするアリス。
「みんな、後片付けお願いね。私はまた衣装制作をしてるから」
と、部屋から出たアリスの元に一体の人形が何かを持ってやって来る。
「あら、何かしら?」
上海人形から渡された封筒には、
『アリス・マーガトロイド様』
と書かれていただけで、送り主等は一切書かれていなかった。
「これ、どこにあったの?」
アリスが人形にそう訪ねる。
「・・・・・玄関のドアに挟まれていたの?」
そう聞くと、人形はうんうんと頷く。
「宴会の招待状って訳ではなさそうね。何が書かれてるのかしら?」
封筒を開けて手紙の内容を確認すると、こう書かれていた。
―――――――――――――
おめでとうございます!!!
あなたは数多くの人の中から厳選な抽選によって選ばれた幸運な「妖怪」です!!!
お金は一切掛かりません!!
幸運の人形プレゼント!!!
あなたにお届けするのは、薔薇乙女(ローゼンメイデン)第2人形「金糸雀」です!
下の項目をチェックしたら、返信用封筒に入れ部屋の机か置いておいて下さい。
人口精霊ピチカートが、勝手にあなたの手紙を回収に参ります。
――――――――――――――
「はぁ!? な、何なのよコレ!?」
手紙の内容を見たアリスは、顔を歪め思わず大声を上げる。
しかも「妖怪」と強調する辺り、どことなく悪意すら感じる。
「一体どこの悪質勧誘なのよ!それともただの悪戯なの!? だとしたら・・・・、アイツね、アイツしか居ないわ!」
血が登ったアリスの頭には、同じ魔法の森に住む白黒の魔法使いの姿が浮かぶ。
しかし、次の瞬間には疑問も浮かぶ。
「でも、アイツってこんな面倒な悪戯をするかしら? 大体ローゼンメイデンって・・・・・」
アリスも、人形遣いとしてその名前は聞いた事がある。
人形師ローゼンが作ったとされる最高傑作の人形。
生きた人形とも言われているが、見た者は誰もいないと言う…。
「…これって、『きんしじゃく』って読むのかしら?」
漢字が難しくて読めずに、しばらく考えたが全く解らなかった。
しかし、名前の漢字が読めない事など、段々どうでもよくなってきたアリスはふと考えた。
「でも、もしこれが本当にローゼンメイデンなら・・・、凄い大発見よ!」
半信半疑ながらも、彼女は胸の高鳴りを抑えられないでいる。
まきますか まきませんか
その項目を見て一瞬考えるも、次の瞬間には、
「こうなったら、騙されたつもりでまいてやるわよ!」
そう言って、アリスは半ば勢いで「まきますか」に○をした。
「返信用封筒に入れてと…、引き出しって書いてあったけど机の上でもいいよね?」
そう言って封筒を置くと、アリスは人形達に伝える。
「あなた達、しばらくここで見張ってなさい。もし怪しいヤツが来たら直ぐに私に伝える事。 もしアイツだったら、徹底的に懲らしめなきゃいけないからね・・・・」
少し不敵に笑いながらアリスは部屋を出ていった。
―――――――――――――
しばらくすると、人形達がアリスの元にやって来た。
「どうしたの?怪しいヤツが現れたの?」
人形達に訪ねたが、どうやら違うらしい。
「…何ですって!? 手紙が無くなった?」
それは、人形達が監視していたにも関わらず、手紙入りの封筒が無くなったというのだ。
「ちゃんと見張ってたなら無くなる訳ないでしょ! まさかサボってたんじゃないでしょうね!?」
しかし、人形達は全員首を横に振る。
その表情は、とても不機嫌そうである。
「もう、これじゃ捕まえれるものも捕まえられないじゃないの・・・・」
アリスは、溜息をついて頭を抱えた。
その瞬間であった。
ドンッ!!
鈍い音が玄関先から響いた。
「え? 何今の音は?」
アリスは、慌てて玄関へ向かう。
しかし、これは悪戯かもしれないと感じたアリスは、扉の前で立ち止まる。
「魔理沙なの? 居るんなら入って来なさいよ、あんたらしくないわよ」
しかし、アリスの呼びかけに全く反応が無い。
「黙ってないで、何とか言ったらどうなの?」
それでも、扉の向こうからは何も反応すらなかった。
それは、本当に誰も居ないかの様に。
「…ちょっと、いい加減にしなさいよ! 返事位したらどうなの! それに今朝の手紙だってあんたの仕業なんでしょ!?」
苛立ちを露わにしたアリスは、構わず乱暴に扉を開けた。
「・・・・アレ? 魔理沙、本当に居ないの?」
そこに魔理沙の姿はどこにもなく、アリスは困惑していた。
「魔理沙じゃないなら、さっきのは何だったの・・・?」
アリスは、周囲を見渡すがやはり魔理沙の姿は無い。
しかし、ふと下に視線をやると、
「何これ、・・・鞄?」
そこには、見たことが無い鞄が一つ置かれていた。
「次回は、遂にカナの登場かしら!」
…そういう事です^^;