薔薇乙女幻想録 -Legend of the dolls-【休載中】   作:豊之丞

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今回は展開が早いかも?


第13話 竹林にて

ある日の竹林の昼下がり。

 

「ありがとうございました! 無事に迷う事無く永遠亭まで着けました!」

 

里の人間は、感謝の言葉を言って『彼女』に深々と頭を下げていた。

 

「私は、別に・・・」

 

そう言って彼女は、立ち去ろうとした。

 

「あっ!? 待って下さい・・・」

 

村人はそう言いかけたが、彼女は振り向かずにその場を後にした。

 

 

「…ふう、流石に三往復もすると疲れるね…」

 

1人そう呟きながら迷いの竹林を歩いているのは、藤原妹紅。

 

不老不死の少女である。

 

彼女の仕事は、永遠亭へ向かおうとする人の護衛と道案内である。

最も、仕事と言ってもそれで給金を貰っている訳では無いが。

 

この日は、人里で怪我人が出たという事で、村人が妹紅に永遠亭までの道案内を依頼してきたのだ。

それが終わって、自分の家付近まで戻ると、今度は急病人が出たから案内してほしいと再び依頼を受けたのだ。

そして、再び自宅まで戻るとまたしても急患が出て永遠亭までの道案内を依頼する村人がいると、タイミングよく三度道案内する事になってしまったのだ。

 

「今日は、そろそろ勘弁して欲しいなぁ…」

 

ブツブツ呟く彼女を、一人の女性が追いかけて来た。

 

「妹紅! 待ってよー!」

 

「んっ? 鈴仙か」

 

後ろから声が聞こえ、妹紅が振り返ると、永遠亭に住む妖怪兎、鈴仙・優曇華院・イナバが走って来た。

 

「…ねぇ、そんなに慌てて帰らなくても・・・」

 

「別に、あそこに長居する理由は無いよ」

 

妹紅は素っ気なく返した。

 

「もう…、あっ、これを師匠が貴女にって」

 

「何だこれ?」

 

鈴仙から手渡された籠の中には、筍等の野菜が入っていた。

 

「今日は三往復もして大変だっただろうからって、師匠が気を遣ってくれたらしいわ」

 

「アイツが…? そこまで気を使わなくても良いのに・・・」

 

妹紅の反応は相変わらず素っ気ないものであった。

 

「…妹紅?」

 

「…いや、何でも無い。 別に食うものには困ってはいないんだけどな…」

 

「…とにかく、私は頼まれた事をしただけだからね、確かに渡したわよ。 じゃ、私は帰るね!」

 

そう言うと、鈴仙は元来た道を戻っていった。

しかも、何故か慌てている様子であった。

 

「お、おい、鈴仙! ・・・全く・・・」

 

妹紅は少し呆れていたが、折角貰ったのだから無下には出来ず、そのまま持ち帰る事にした。

すると籠の中に、野菜に紛れて一枚の紙が入っていた。

 

「何だこれ・・・」

 

妹紅は、その紙を手に取り広げた。

そこに書いてあったのは、

 

――――――――――――――――――

 

馬鹿妹紅へ!

 

アンタにこんな大量の野菜をタダであげるとでも思ってたの?

そんな訳無いでしょうがバーカ!

永琳が良くても、私が許さないわ!

だからこの野菜の半分以上は、直々に私の胃袋に収めてやったわ、感謝しなさい!

アンタは、私の食い残しか兎の残飯で十分なのよ!

タダ飯にありつこうなんざ、厚かましいにも程があるわ!

アンタは空腹で飢えているのがお似合いよ!

 

身の程を知りなさい、バーカ、バーカ!

 

―――――――――――――――――――

 

「輝夜だな…、あの野郎・・・!」

 

その罵倒雑言な内容に、妹紅は怒りを露わにして紙をグシャグシャにした。

 

「さっき、鈴仙が逃げて帰ったのは、こいつのせいなんだな…」

 

鈴仙が何故あんなに慌てていたのか、ようやく理解した。

 

「輝夜のヤツ、また殺してやらないといけないな。 一回位じゃダメだ、五回以上は殺らないと気が済まねぇ!」

 

妹紅の怒声が竹林に響いた。

 

その後もブツブツと文句を垂れながらも、ようやく自宅に到着した。

 

「さて、少し昼寝でもするか・・・・んっ?」

 

妹紅が、玄関の引き戸を開けようとした時、隙間から手紙のようなものが落ちたのに気が付いた。

 

「またかよ…、今度は何だ?」

 

妹紅は、その手紙を拾い、徐に開いた。

そこに書かれていた内容は・・・、

 

――――――――――――――――――

 

おめでとうございます! 藤原妹紅様!!

 

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あなたの元にお届けするのは、薔薇乙女(ローゼンメイデン)第3人形「翠星石」です。

 

下記の項目をチェックしたら、机の引き出しに入れて下さい。

人口精霊スィドリームが異次元より回収に参ります。

 

 

まきますか まきませんか

 

 

――――――――――――――――――――

 

「な、なんじゃこりゃ――!?」

 

妹紅は思わず声を荒げた。

その手紙は所々修正がされており、かなり汚れていた。

また、元々妹紅宛てでは無かったようであり、名前の所も元々の届け先の名前を塗りつぶして妹紅の名前が書かれていた。

しかも、しっかりと塗りつぶされており、本来の届け先の主の名前は分からない。

 

「あの野郎、一度のみならず二度も…、許せん!」

 

怒り浸透の妹紅はその手紙をグシャグシャにしようとしたが、ふと冷静さを取り戻す。

 

「…落ち着け私! これはアイツの文字じゃない。アイツならもっと丁寧な字で書く筈だ。こんな誤字だらけの汚い手紙を寄越すとは思えない…」

 

輝夜の文字とは明らかに違うその手紙に妹紅はいち早く気が付いた。

 

それから、妹紅は家に入り部屋の真ん中に座り、再び手紙を凝視していた。

 

「一体誰の仕業なんだ・・・、てゐか? ・・・いや、アイツは手紙ではなく落とし穴か」

 

思い当たる人物を思い浮かべるが、見当がつかない。

 

「何で私なんだよ…、急患といい、あの手紙といい、今日は厄日なのか?」

 

そう呟いて、妹紅は深く溜め息をついた。

 

「異次元から回収か…、とことん胡散臭い内容だな…」

 

妹紅は手紙を見ながら悩んでいた。

 

「…考えていても埒があかないな、気は進まないが『まきます』を選択して、このスィドリームってのが現れた所をとっ捕まえるしかないか」

 

妹紅は部屋の片隅にある机の引き出しから筆を取り出した。

 

「ええっと…、『まきますか』っと・・・」

 

『まきますか』に○を囲う。

そして、手紙に書いてあった通り、それを机の引き出しへ閉まった。

 

「これが、木っ端妖怪の仕業だったら・・・・灰にしてやるからな・・・」

 

そう呟き、彼女は畳の上に寝転がり目を瞑った。

 

 

―――――――――――――――――――――

 

それから、どれ程時間が経ったであろうか。

 

『ゴトンっ!』

 

大きな物音が妹紅の目を覚まさせた。

 

「・・・何だ?」

 

気が付くと外はすっかり日が暮れて暗闇が支配し始めていた。

 

「ほんの昼寝のつもりが、すっかり寝てしまったんだな・・・、とりあえず灯りを・・・」

 

起き上がった妹紅は手から炎を出し、行灯に火を入れた。

 

「…何だ、これは?」

 

部屋が明るくなると、そこに見覚えの無い鞄が置かれていた。

 

「何時の間に・・・、誰がやったんだ・・・!」

 

誰の仕業かも分からず、またそれに全く気付かず寝込んでいた自分にも腹が立った。

 

「…しょうがない、とりあえず中身を確認してみるか」

 

妹紅は徐に鞄のロックに手を掛けた。

ゆっくりと鞄を開けてみると、中には一体の人形が横たわっていた。

 

「うわっ・・・、何だよこれ、すげぇ・・・」

 

妹紅は思わず驚きの声を上げた。

 

その人形は深緑のロングスカートのエプロンドレス、髪は茶色のロングヘアで地面に届くほどであり、白い三角巾のようなヘッドドレスを被っていた。

 

「意外とデカいな、しかしよく出来た人形だなぁ…」

 

妹紅は、その人形を抱き上げて隈無く見ていた。

 

「私も長く生きてきたが、これほど見事な人形は初めてだ…」

 

それは、人形にあまり詳しくない妹紅から見ても尋常で無い作りである事が分かる。

 

「だが…、出来が良ければ良いほど嫌な予感がするんだが…」

 

驚きと同時に困惑の表情も見せる妹紅。

そして、ふと鞄の隅を見ると、

 

「ゼンマイ・・・? って事は・・・」

 

人形の隅々を確認してみると、背中に螺子を巻く穴を見つけた。

 

「これ、動くみたいだね…」

 

一旦人形を鞄に置き、妹紅は悩んだ。

 

「動かして良いのかな…、どこから誰が持ってきたのかも分からないこの得体の知れない人形…、まさか、呪いの類じゃないだろうな?」

 

そう思った彼女は、少し警戒する。

 

「慧音に聞いても分からないだろうなぁ…、だからと言って魔法の森の人形遣いに聞きに行くのも面倒だし…」

 

頭を掻きながら、なかなか結論が出なかった。

 

「うーん・・・、仕方ない、こうなったら・・・」

 

意を決したように、妹紅は人形とゼンマイを手に取った。

 

「少しくらいなら良いよな、動かしてみても…」

 

警戒しながらも、その人形のネジを巻き始めたのだ。

 

カチ カチ カチ カチ・・・

 

 

静かな部屋に、ネジを巻く音だけが響く。

 

「…これでよしと…、さ、さて、どうなるのか…」

 

そう言って様子を見る妹紅、どこか緊張しているようにも感じられた。

 

すると、その人形は緑色の光を瞬きながら動き出した。

 

「な、何だ!?・・・うわぁっ!」

 

驚きのあまり、思わず放り投げてしまった。

そして、その人形はゆっくりと立ち上がり目を開いた。

その目は、右目がルビー色、左目がエメラルド色のオッドアイであった。

 

「・・・・・・っ」

 

人形は無表情で、妹紅を見つめていた。

 

「えっと・・・、あの・・・」

 

何を話し掛けて良いのか分からず、妹紅は口ごもってしまう。

 

「に、人間・・・」

 

「人形が…、喋った!?」

 

人形が喋った事で更に驚く妹紅。

 

「私の・・・ネジを巻いたのは・・・貴女・・・?」

 

「えっ!? そ、そうだけど・・・あんたは?」

 

「人間…、どうして私から言わなきゃならんですか?」

 

「・・・はっ?」

 

人形の突然の態度の豹変に、戸惑う妹紅。

 

「翠星石のネジを巻いたのがお前なら、お前から名乗るのが筋じゃ無いですか?」

 

「そ、そうかよ…、私は藤原妹紅だ」

 

妹紅は戸惑いながらも簡単な自己紹介をした。

 

「藤原妹紅…、何か変な名前ですぅ、それに随分と年を食った婆さんですねぇ!」

 

「な、何!?」

 

「だって、そうじゃないですか? その白くて長い髪にその老け顔」

 

「私は婆さんじゃねぇ! 不老不死で長く生きてきたからこんなんになったんだよ!」

 

「…不老不死?」

 

聞き慣れない言葉に、人形は聞き返した。

 

「そっか、そこから説明しなきゃならないんだな…。 で、お前は何なんだ?」

 

「フンっ! しょうがねぇから教えてやるですぅ!」

 

人形は先程のおどおどした雰囲気から一点して、胸を張って答えた。

 

「私は、薔薇乙女(ローゼンメイデン)第3ドールの翠星石ですぅ! さぁ、ひれ伏せ愚民共ですぅ!」

 

「は、はぁ・・・」

 

翠星石と名乗った人形の自己紹介に、妹紅は気の抜けた返事しか出来なかった。

 

「しかし、ローゼンメイデンって事は…」

 

「お前は、ちゃんとスィドリームの問いに応えた筈ですね?」

 

「問いって…、あれか!?」

 

妹紅は慌てて、手紙を入れた引き出しを確認したが、何処にも無かった。

 

「手紙が無い!? そんな…」

 

「当たり前ですぅ、その手紙はとっくの昔に回収されたですぅ。 だから翠星石がこうして来たんじゃないですか」

 

「そ、そうなのか…」

 

どういう仕組みで何時回収されたか、全く把握が出来ていない妹紅。

 

「…ところで、翠星石だっけ? 何故私の所に来たんだ? ここは幻想郷って場所なんだよ?」

 

「・・・幻想郷?」

 

「それは後で説明してやるよ。 先ずは私の質問からだよ」

 

「…す、翠星石がここに来たのは…」

 

翠星石は何故か応えにくそうにしていた。

 

「翠星石は、本当はしたくないのですが…、ローゼンメイデンの本来の目的は・・・・アリスゲームの為ですぅ」

 

「…何だ? そのアリスゲームってのは?」

 

「アリスゲームと言うのは…」

 

翠星石から告げられるアリスゲームの全容。

そして、ここから意外な展開へと進む…。

 




やっぱり遅いかもしれない…。

もっと文章力を高めたい…。
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