薔薇乙女幻想録 -Legend of the dolls-【休載中】   作:豊之丞

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続きです。


第21話 紅魔館戦争3

紅魔館内にある大図書館。

 

そこでは、司書を務める小悪魔が本の整理に勤しんでいた。

 

「ふう、この辺りは大体片付いたかな…」

 

そう呟く小悪魔だったが、振り向いた視線の先には、まだ大量の本の山があった。

 

「パチュリー様は片付けをしてくれないんだから…、少しは整理して欲しいです」

 

1人愚痴を零していた。

 

「さっきも、何かの本を探すとか言って本を出して、そのまま居なくなるし……はぁ…」

 

溜め息をつきながら再び片付けを始めようとした時、

 

『ドォーン!』

 

という轟音と共に大図書館内が揺れた。

 

「えっ!? 何…?」

 

大図書館は防音が施され、滅多な事では外の音は入って来ないが、それははっきり聞こえた。

 

そして、再び衝撃音と揺れが襲い、山積みされていた本が崩れた。

 

「一体何が起こってるの…?」

 

小悪魔は、魔力を解放して状況を把握しようとした。

 

「……っ!? パチュリー様?」

 

パチュリーの著しい魔力の低下、そして紅魔館内の異常な只ならぬに驚いた。

 

「パチュリー様! お嬢様!」

 

小悪魔は、すぐさま大図書館を飛び出した

 

 

―――――――――――――――――

 

 

「はぁっ!」

 

水銀燈目掛けて殴りかかる美鈴。

 

「はあっ! やぁっ!」

 

休む事なく、拳と脚を繰り出していく。

 

水銀燈はそれを素早く、尚且つ余裕すら感じる動きでかわした。

 

「なるほど…、貴女は武道家なのね、いい動きだわ」

 

美鈴の動きを見極めながら、仕掛けるタイミングを見計らっていた。

 

「この……すばしっこいヤツだ!」

 

自分の攻撃が全て空を切っており、まるで先読みでもされてるかのような感覚に陥る美鈴。

 

だが、それでも攻撃の手を休めない。

 

「そらぁっ!」

 

水銀燈との間合いを詰め、右ストレートを放つ。

 

「フッ!」

 

それを、手で軽く跳ね退ける。

 

「まだよっ!」

 

そこから、勢いを付け蹴りを繰り出す。

 

その瞬間

 

『パァーン!』

 

水銀燈の翼によって美鈴の脚が弾かれる。

 

「うぐっ…!」

 

強い攻撃に美鈴の顔が歪む。

 

「いい攻撃ねぇ、殺り甲斐があるわぁ」

 

 

「この人形…、本当に強い……!」

 

目の前の人形が自分の攻撃に全く動じていない事に美鈴は驚愕した。

 

「さあ、休んでないで早くかかってきなさい、全然物足りないわよぉ?」

 

水銀燈は美鈴に対して、手招きして挑発した。

しかし、水銀燈はまだ仕掛けてくる様子は無い。

 

「…貴女は何故仕掛けて来ないの?」

 

「そんなの決まってるじゃない」

 

「……っ?」

 

「お楽しみは後に取っておくものよ」

 

「…楽しみ?」

 

「そう、貴女の死に様をよーく拝むっていう楽しみよ」

 

「な、何だと…!?」

 

「だから…、今は仕掛けたりしない。 心行くまで貴女に足掻かせてあげるわ」

 

「……っ!」

 

「だって、貴女如きの力で私に勝てるとでも思ってたのかしら? 少しはハンデをあげなきゃ…」

 

 

「…ふ……」

 

 

 

 

「ふざけるなぁぁぁ!!!」

 

 

激昂した美鈴が、再び水銀燈に怒涛の攻撃を繰り出した。

 

「そうよ! その怒りよ! 本気で来なさい、私を殺す気で!」

 

怒り浸透の美鈴の怒涛の拳と脚のコンビネーションを、水銀燈はただ回避するだけ

 

言った通り一切の反撃をしようとはしなかった。

 

「何時までも避けられると思うな!」

 

美鈴からスペルが宣言された。

 

「三華『崩山彩極砲』!」

 

紅いオーラを纏った美鈴が水銀燈に迫る。

 

 

「フンッ……」

 

美鈴から繰り出されたアッパーを難なく避ける。

 

更に迫る来る美鈴を水銀燈は言った通りに、手を出さずに避けるだけであった。

 

 

「……それで終わり?」

 

 

「まだだ! 華符『芳華絢爛』!」

 

美鈴から大量の弾幕が水銀燈目掛けて放たれた。

 

「またそれ?何だか詰まんない感じぃ…」

 

その弾幕の合間を見切り回避する

 

その避け方は見事なまでに確実で尚且つ優雅さを兼ねているようにさえ見えた。

 

 

「だけど、弾幕って見てる分には面白いわねぇ、とっても綺麗ですもの。 まぁ、それだけの事だけど…」

 

その美しい光弾を眺めながら宙返りも織り込み回避を続ける水銀燈

まるで弾幕攻撃を楽しんでいるように見えた。

 

そして、その弾幕は徐々に消えていった。

 

「…あら、終わっちゃった?」

 

 

「はぁ…はぁ…はぁ……クソッ!」

 

まるで弄んでいるかの様な水銀燈。

 

体力を消耗している美鈴は全く自分の攻撃が通用していない状況に苛立つ。

 

「しょうがないわねぇ…、そろそろ児戯は終わり…」

 

水銀燈の目つきが変わる。

 

「今度は私が仕掛けさせて貰うわよ」

 

「……っ!」

 

水銀燈から反撃宣言がされ、再び身構える美鈴。

 

「先ずはこれ…」

 

美鈴目掛け翼から鋭利な刃物の状態の羽根がダーツのような射出された。

 

「くぅっ……!」

 

それを回避しようとするが、数が多く避けきれず、服が切り裂かれていく。

 

それでも、僅かな合間を縫い避けに転じる。

 

「分かってるじゃない? 貴女の弾幕みたいにちゃんと回避出来る間を作ってあげてるのよ。

さぁ、どんどんかわしていきなさい、まだ終わらないわよ…」

 

水銀燈から放たれる羽根の攻撃が更に激しさを増してきた。

 

 

「こんなの…、厳し過ぎる!」

 

その激しさに守勢を余儀なくされる美鈴、だがそれでも容赦ない羽根のダーツが身体を引き裂いていく。

 

水銀燈の反撃開始から1分と掛かっていないのにも関わらず、美鈴の切り裂かれ傷口からは血が流れ出し、全身に広がっていた。

 

「随分と見れる様になってきたわねぇ、フフフ……」

 

 

「おのれ…、まだ終わってないぞ!」

 

一瞬の隙を見て、美鈴は水銀燈目掛けて渾身の力で走り出した。

 

「…前を見なさい」

 

 

「な、何!?」

 

水銀燈からの羽根の射出が止められた瞬間、大きく展開した翼が美鈴の目の前に迫ってきた。

 

「うわっ!?」

 

咄嗟に防御したが、反動で大きく仰け反ってしまう。

 

 

「くっ…、こんな程度で……」

 

痛みに耐えながら反撃をしようとした時

 

 

「いけない……美鈴、逃げて!!」

 

「えっ…!?」

 

パチュリーの声が聞こえたが、その意味が分からない。

 

だが、その理由は直ぐに分かった。

 

 

「…っ!?動けない!?」

 

 

自信の身体の異変に気付き下を向くと、

 

「な…、何これ!?」

 

美鈴が目にしたのは、自身の手首と足首に大量の羽根が纏わりついて身動きが取れない状態であった。

 

 

「ま、拙い……!」

 

 

美鈴がその状況に戦慄した時であった。

 

 

「……っ!?」

 

 

 

翼が水銀燈の方へ退いた

 

 

 

黒い翼が無くなり、視界が開けた時にそれは見えた。

 

 

 

水銀燈は飛び上がり、美鈴に迫ってきた来たのが。

 

 

 

「これは…」

 

 

 

美鈴の目に映ったもの

 

 

 

恐ろしいスピードで迫ってくる水銀燈の姿

 

 

 

それなのに、スローモーションに見えた。

 

 

 

「あっ……!!」

 

 

 

羽根に拘束され、動きを封じられている美鈴。

 

 

 

「さっきの……」

 

 

 

そして、そのモーションが目に入った時には

 

 

 

「(もう遅いか…)」

 

 

 

美鈴は悟った。

 

 

 

本当に殺されるかもしれないと

 

 

 

 

「お返しよぉぉぉぉ!!!!」

 

 

 

 

水銀燈の渾身の回し蹴りが、美鈴に炸裂した。

 

その威力は凄まじいく、風圧でガラスが割れてしまう程であった。

 

 

「うがぁぁぁぁ!!?」

 

 

その強烈な一撃に、吹き飛ばされ壁に叩きつけられた。

 

「め、美鈴!!」

 

「そんな…、美鈴が…!」

 

パチュリーと咲夜の悲鳴に似た叫びが響いた。

 

攻撃をし終えた水銀燈は地面に降り立ち

 

 

「あーあ…、スッキリした……」

 

 

そう一言、言い放った。

 

 

だが、まだ殺気立っていた。

 

その視線の先には、起き上がろうとする美鈴の姿があったからである。

 

 

「ぐっ……あがぁ………」

 

相当のダメージを受けた筈の美鈴は、まだ立ち上がろうとしていた。

 

水銀燈を倒すべく

 

「こ…こんな……事で………がはぁ!」

 

立ち上がる事が出来ない。

大量の血を吐き、再び伏せってしまう。

 

「紅 美鈴…」

 

水銀燈が、ゆっくりと美鈴へと近付いて来る。

 

「私はね、体術を使うような泥臭い闘い方は性に合わないのよねぇ…、

でも、今の一撃はさっきの貴女の攻撃に対する倍返しよ」

 

「くっ……」

 

 

「体術を使うなんて、そういうのはあの小賢しい妹の専門分野なのよねぇ、だって美しくないんですもの」

 

水銀燈の話に、美鈴は何も答えずただ睨んでいた。

 

 

「睨んだって駄目よ、もう結果は見えちゃってるし……」

 

 

「…黙れ!! その台詞は私を殺してからにしろ!!」

 

美鈴は、力いっぱいに叫んだ。

 

「…バカねぇ、そんなに死に急ぎたいの?」

 

水銀燈もまた冷徹な目で美鈴を睨んだ。

 

 

「バカは死ななきゃ治らないのね……じゃぁ、お前の望み通りにしてやるわ」

 

 

そう言って、背中の翼を大きく展開し始めた時

 

 

「させるかぁぁぁ!!」

 

 

美鈴は渾身の力で起き上がり、水銀燈に弾幕を放った。

 

 

「やっぱり…」

 

 

だが、水銀燈には当たらない

 

 

「そんな事だと思ったわ…」

 

 

既に予測済みであったからだ

 

 

「そんな子供騙しは、これで終わりよ」

 

 

大きなダメージを受け、更に力を奪い取られている状態の美鈴には、次の攻撃に備えるだけの体力は残されていなかった。

 

 

「…つ、詰んだ……」

 

 

この闘いの結末、自分の敗北を悟った

 

 

その瞬間、美鈴の頭の中には

 

紅魔館の者達の顔が走馬灯のように浮かんだ。

 

 

「(お嬢様……パチュリー様……咲夜さん……お役に立てなくて………ごめんなさい……)」

 

 

美鈴は静かに目を閉じた

 

 

そして、聞こえた

 

 

 

「地獄行きよ」

 

 

 

水銀燈の黒い翼が大きく放たれ美鈴を飲み込んだ。

 

 

 

「ぎゃぁぁぁぁぁ!!」

 

 

『ガシャーン!』

 

美鈴の悲鳴と共にガラスを突き破る音が木霊した。

 

そして、美鈴はそのまま紅魔館の庭へと放り出された。

 

 

「…………」

 

地面に叩きつけられ倒れた美鈴は、ピクリとも動かなかった。

 

 

「「美鈴ー!!」」

 

 

2人が叫んだ時には、もう全てが終わっていた。

 

 

「フフフフ……アーッハハハハ…!!

あの女、見事にジャンクになったわぁ!!」

 

水銀燈の高笑いが、紅魔館内に響く。

 

そして、再び2人の方に向き直った。

 

 

「…今のは見てた? 紅美鈴って女は、これでゲームオーバーよ!」

 

水銀燈はそう宣言した、まるで勝利したかのように。

 

「美鈴…、よくも……!」

 

怒りの形相でパチュリーが立ち上がった。

 

「あらっ、また貴女が相手なのぉ? 魔法使い」

 

そう言うと、水銀燈はゆっくりとパチュリーへと近付いて行った。

 

「パチュリー様いけません! その体では…」

 

「だからって、あんな人形に好き勝手させといて良いの? 私は絶対嫌よ!」

 

そう言って魔導書を開きスペルを宣言しようとした

 

「ぐ……ぅぁ……」

 

「パチュリー様!?」

 

だが、彼女は苦悶の表情で膝を着いた。

さっき受けた攻撃のダメージが大きく、パチュリーにはかなりの負担になっていたのだ。

 

「無茶です!そんな体では殺されます!」

 

「…だとしても、私はあの人形と最後まで徹底抗戦するわ。

でなきゃ…、レミィに合わせる顔が無いわ!!」

 

「パチュリー様……」

 

そう叫んだパチュリーはふらつく体を抑え立ち上がった。

 

 

「そんな身体で何が出来るの?」

 

その瞬間、

 

『グサッ!』

 

水銀燈の羽根がパチュリーに放たれる。

 

 

「あぁぁぁぁっ!!」

 

その羽根がパチュリーの肩部を抉るように突き刺さり、悲鳴と共に倒れた。

 

「パチュリー様ぁ! お…、おのれぇ…!!」

 

動けない咲夜は、悔しさの余り地面に拳を叩きつけた。

 

「今度こそ終わりね…」

 

水銀燈がパチュリーに手を下そうとした瞬間

 

「…っ!?」

 

水銀燈目掛けて弾幕が放たれた。

 

「…また邪魔が入ったようね」

 

難なく回避した水銀燈は、弾幕が放たれた方向を睨んだ

 

 

「パチュリー様に手を出させない!」

 

そこには小悪魔の姿があった

 




戦争は尚も続く・・・。



銀様って、チートだなぁ。

いや、薔薇乙女がチートなんだ。

原作でも、チートだったよねぇ・・・。
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