薔薇乙女幻想録 -Legend of the dolls-【休載中】 作:豊之丞
更に残酷描写が激しくなってます。
「貴女もこの紅魔館の関係者なのかしら?」
「パチュリー様は私の主、手を出す者は許さない!」
笑みを浮かべる水銀燈に、小悪魔は啖呵を切った。
「小悪魔…、いけないわ……その人形は、貴女の手には負えないわ……」
倒れたパチュリーは、苦しそうに小悪魔に告げた。
「パチュリー様!?」
小悪魔は慌ててパチュリーの側へと駆け寄った。
「酷い怪我を…、待って下さいね」
そう言うと、小悪魔は何か詠唱を始める。
すると、パチュリーの身体の傷が少しずつ消えていく。
「…何が起きてるの…?」
その様子を怪訝な表情で見つめる水銀燈。
「…申し訳ありません、これが限界です…」
小悪魔が申し訳なさそうにパチュリーに言った。
パチュリーの身体傷は多少は治っているように見えたが、ダメージが大きく完全には完治していなかった。
「良いのよ、さっきよりは大分楽になったわ…、ありがとう、小悪魔」
パチュリーは痛みを堪えながらも、小悪魔に微笑んで言った。
「あと、咲夜もお願い」
「は、はい!」
小悪魔が咲夜に近寄ろうとした瞬間、
「させないわ」
水銀燈から放たれた羽根が小悪魔達の前を遮った。
「流石に、みんな回復されたら不利なるからねぇ…、見逃す訳にはいかないわ」
ゆっくりと歩き近付いてくる。
「パチュリー様、 咲夜さんをお願いします!」
「小悪魔いけない…」
小悪魔を止めようとパチュリーが声を掛けるが、小悪魔は水銀燈を見ながら振り向かずに言った。
「…分かってます、私ではあの人形には勝てないと……伝わってきます、あの人形からの殺気が…」
それでも、小悪魔は表情を崩さない。
「でも、私だって紅魔館の一員です。 黙って見てる訳には参りません!」
その決意は固い
「そして、何より…」
小悪魔の魔力が高まる
「パチュリー様や大事な方々をこんなに傷付けたアイツを…、私は許さない!!」
「小悪魔…、貴女……」
「小悪魔、私達の為に……ごめんなさい…」
いつも見る小悪魔とは全然違う雰囲気にパチュリーは何も言えず、咲夜は静かに詫びた。
「フッ、本当におバカさんが多い事…、呆れちゃうわぁ」
「黙れぇぇ!!」
翼を大きく広げ、小悪魔は水銀燈に一直線に飛びかかった。
「はぁぁっ!」
弾幕を撃ちながら飛び上がり一気にけしかける。
「当たらなーい」
全く動じずに回避する。
「せやぁ!」
一気に間合いを詰めて蹴りを繰り出す。
「そんなの見切ってるわよ!」
水銀燈は、それを軽く跳ね退ける。
「まだまだ!」
小悪魔も動じずに、左、右と連続で拳を繰り出していく。
「はぁっ!」
一瞬の隙を逃さずミドルキックを放つが
「そう来るのね…」
水銀燈は片方の翼で、それを払い退け
「そこよ!」
もう片方の翼で、小悪魔の胴に一撃を入れた。
「くっ…!」
そのカウンターに小悪魔の顔が歪む。
「やぁぁっ!」
痛みに耐えながらも弾幕を放ち、間合いを取った。
「フフフ…、貴女さっきの女みたいな事するのねぇ」
「はぁ……はぁ……これは、美鈴さんの直伝よ!」
「なるほどね…、でも貴女身軽だから、動きがいいわ」
あれほど激しい攻撃をしたのにも関わらず、水銀燈は息切れもしておらず、顔色一つ変えていない。
「(何で…、何で全く疲れてないの? 私、これでも全力なのに…)」
「貴女…、今こう考えたでしょ?」
「……っ?」
「何で、自分ばかりが体力を消耗してるのかってね…」
「なっ…!?」
自分の考えていた事を当てられ、驚愕する小悪魔。
「気付かなかったかしら? 私は貴女から力を奪い取ってるのよ」
「そ、そんな……」
小悪魔が更に驚愕した
「『小悪魔』ねぇ…」
水銀燈はもう既に
「力を奪われているのにも気づかない…」
小悪魔目掛けて
「所詮、貴女は……」
翼を展開した
「雑魚なのねぇ!」
「うわぁっ!?」
咄嗟に飛び上がり回避した
だが、回避したそこには
「フフフ…、見事なまでに…」
「……っ!?」
「予想通り♪」
水銀燈が更に仕掛けて来る
「まだ……」
小悪魔が弾幕を撃とうとした時
「遅い!」
『グサッ!』
「ぎゃぁぁぁぁ!!」
小悪魔が弾幕を打つより先に、水銀燈の羽根が小悪魔の掌を貫通した。
そして、水銀燈が一気に近付いてきた
「私もね…、昔は悪魔って呼ばれた事があったのよ」
怯んだ小悪魔の隙を逃さない
「ねぇ…、悪魔にトドメを刺す時に言う決め台詞って知ってる?」
小悪魔の腹部に掌を押し当てた
「…っ! 小悪魔…、止めてぇ!」
「……っ!?」
パチュリーの悲鳴が聞こえた時
小悪魔はそれに反応出来なかった
既に手遅れ……
「ホント……運命って、残酷よねぇぇぇ!!」
『バァーンッ!』
「ぐわぁぁぁぁ!!」
水銀燈の掌から放たれた強烈な弾幕が小悪魔を貫いた。
そして、『ドォーン!』という衝撃音と共に壁に叩きつけられ地面へと倒れた。
「『Jackpot!』 そう言うらしいわよぉ?フフフ…」
「がぁぁ……」
凄まじい威力の攻撃に全く動けず、虫の息であった。
「あははは…、悪魔ってもっと力があって恐ろしい存在かと思ってたけど…、やっぱり貴女は所詮『小悪魔』なのねぇ…、出直してきた方がいいんじゃない?」
血で染まった地面に倒れた小悪魔を見下ろしながら水銀燈が不敵に笑った。
「こんなの……勝てない……」
「今頃気が付いたって遅いのよ…。
これから……たっぷり苛めてあげるわ」
「…待ちなさいっ!」
パチュリーが弾幕を撃とうとする
「…邪魔をするな」
水銀燈の翼がパチュリー達に大きく襲いかかった。
「うぁっ…!」
咄嗟に防御結界を張り攻撃を止める
「そこで見てると良いわ、この子の死ぬ所をねぇ…!」
悪魔的な笑みで、水銀燈が告げた。
「何……動けないっ!?」
パチュリーの手足には、美鈴の時と同じように無数の羽根が纏わりつき動けなくなっていた。
「これでよしと…
さて、下級悪魔さん……」
再び小悪魔の方に向き直す水銀燈。
「そろそろ見えてきた?」
「……!?」
「教えてちょうだい…」
小悪魔の顔を覗き込み
「貴女の行き先は…天国? それとも…、地獄?」
そう水銀燈が告げた次の瞬間、
『ガッ!』
「ぐはぁぁっ!!」
小悪魔の顎を掴み、無理矢理起こし上げた。
「どっちにしろ、私が連れて行ってあげる」
水銀燈の手には一枚の羽根が握られていた。
それは、鋭利な刃物へと変化していた。
そして、その羽根を小悪魔の首もとに思いっ切り突き刺した。
「ぎゃぁぁぁっ!!」
「普通の人間なら、これだけでも耐えられないでしょうねぇ…」
傷口から溢れ出す血を見ながら
「下級悪魔さん……貴女は、あと何秒後に死ぬのかしらねぇ…」
水銀燈は、小悪魔の首を抉り切り裂き出した。
「ぐぁぁぁぁ!!」
小悪魔の悲鳴が木霊する。
「小悪魔……こあ――!!」
重傷を負っている咲夜は叫ぶ事しか出来なかった。
その間にも、返り血を浴び水銀燈の顔と腕が小悪魔の血で赤く染まる。
「痛い? そうでしょうねぇ…」
水銀燈は笑いながら行為を止めない
「大丈夫よ、痛みはじきに無くなるわ。
そして、魂だけが旅立って行くから…」
「ぁぁ…………ぅぁ……」
全身から力が抜けたように小悪魔がぐったりし始めた。
「パチュリー様、こあが…!」
「させない…、絶対にさせない…!」
パチュリーは必死で、水銀燈の術を解こうとしていた時
「…やーめた」
突然、水銀燈が小悪魔を離した。
「無抵抗な子を壊したって下らないわぁ」
小悪魔は血溜まりの中へ力無く倒れた
「……っ!?」
そして、パチュリーに施してあった縛を解いた。
「一体何の真似…?」
「別に…気が変わっただけよ」
それは、辛うじて回復したパチュリーに
「今度は貴女が死ぬ番よ、その骨をへし折ってあげる」
標的を変えたと言う事だった
「やってみなさい、お前は引き返せない所まで来たのよ……逃げ道は無いと思いなさい」
パチュリーは怒気を全面に出した
「逃げ道ですって?そんなものは必要無いわ。
私の獲物は貴女よ、このバカみたいな戦争に勝つのもこの私…」
「お前のその傲慢さ、後悔させてやるわ…」
お互いの殺気が高まる
「そう……じゃぁ、今度という今度は終わりにしてあげる、慈悲は無いわよ」
「それはこっちのセリフよ! 次で終わらせるわ!!」
パチュリーが、力を振り絞り叫んだ。
「火水木金土符『賢者の石』!」
パチュリーが、スペルを唱えると、パチュリーの周りに五色の石のようなものが現れ、それぞれから弾幕が放たれた。
「へぇ…、それが貴女のとっておきなのね」
石から射出される弾幕を回避する水銀燈
「じゃ、私も少しだけ本気を見せてあげる…」
回避する水銀燈からの反撃予告
「無駄よ! このスペルは簡単に破ることは不可能…」
この攻撃を回避しながらの反撃などそうそう出来るものでは無い。
だが、パチュリーの目に入ってきたもの
それは、水銀燈の翼から蒼い炎が燃え盛っていた
「これならどう?」
その蒼い炎がパチュリーに迫った
「なっ……!?」
防御結界を張ったパチュリーに炎が襲う。
「何よコレ…!」
予想以上に激しい炎に顔を歪める。
「貴女のスペルは、これで終わり…」
「……っ!?」
炎が消え、パチュリーの視界が戻った時には
「そ、そんな…、私のスペルが…」
石は跡形も無く消えていた。
「魔法使い、言い残す事はある?」
パチュリーが見たその時の水銀燈の表情は
「あんな人形如きに…負けるなんて……」
「認めなさい…」
恐ろしい程冷めていた。
「シュヴァルツェフェーダ!!」
水銀燈の翼から大きな羽根の刃が飛ばされる。
「ぐっ…!」
結界を張り防ごうとするが、幾つかが結界を破った。
「そんな…、結界が……!?」
パチュリーが驚愕した時には
「バイバーイ、おばかさぁん!」
再び水銀燈の大きく展開し翼がパチュリーを飲み込んだ。
「うわぁぁぁっ!!」
容赦ない攻撃にパチュリーは為す術無く壁に叩きつけられてしまった。
「パチュリー様ぁ!!」
咲夜の呼び掛けに、目の前で倒れたパチュリーの反応は無かった。
「やっと静かになったわねぇ、フフフ…」
「く…、くそぉ……!」
重傷を負い、動けずにいる咲夜
それ故に、パチュリーに全く手助けすら出来ずに、やられるのを見ることしか出来なかった自分に悔しく腹が立った。
「さて人間、そろそろ貴女にもトドメを刺してあげるわね」
そう言った水銀燈は、咲夜の目の前に立ち翼を大きく広げた。
「お休みなさい…」
咲夜は目を閉じた
水銀燈の翼に飲み込まれようとした瞬間
「はぁっ!」
「なっ!?」
水銀燈目掛けて、紅い槍が投げられた。
「チッ…!」
間一髪それを避けたが、服の一部が切り裂かれてしまった。
「お前は……」
水銀燈が、その方向を睨みつける
そこには…
「…よくも、私の親友と従者達に舐めた真似をしてくれたな…」
レミリアの姿があった
「お、お嬢様…!?」
咲夜は思わずレミリアを凝視した。
服は血塗れではあったが、彼女は凛として立っていた。
「あら、ようやくお目覚めなのかしら? 遅かったわねぇ
貴女が寝てる間に私は4人抜きよぉ? 凄いでしょ?」
自慢気に話す水銀燈に対し
「黙れ人形…」
レミリアから尋常でない程の殺気が放たれていた
「貴様は、私の手で殺す!!」
遂に、水銀燈とレミリアの決戦へ…。
紅魔館戦争に終止符が打たれる! (予定)
こあ、ゴメン…
好きなキャラを血塗れにしたくなかったけど、こういう展開になってしまった……。
反省はしている。