薔薇乙女幻想録 -Legend of the dolls-【休載中】   作:豊之丞

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続きです。


第24話 決着 そして、和解へ

絶叫と共に掛け出す2人

 

ガキーンッ!』

 

鋭い金属音が響く

 

 

「はぁぁぁっ!」

 

次の瞬間であった

 

 

『バキーンッ!』

 

 

水銀燈の剣が

 

 

「な、何っ…!?」

 

レミリアの槍を薙払った

 

 

「終わりよ!吸血鬼!!」

 

 

水銀燈の剣先が

 

『グサッ!』

 

 

「ぐはぁぁぁ!!」

 

レミリアの腹部を貫いた

 

 

「ぐあぁっ…!」

 

貫かれた剣から夥しい血が流れ出し吐血した

 

 

「お終いね!」

 

 

水銀燈が剣を引き抜こうとした時であった

 

『ガッ!』

 

 

「な…っ!?」

 

レミリアが水銀燈の腕を掴んだ

 

 

「これで…終わったと思うなよ、人形!」

 

 

そして、開いた片方の掌が水銀燈の腹部に押し当てある

 

 

「貴様も……道連れだぁぁぁぁ!!」

 

 

レミリアの掌から光弾が放たれ

 

『ドォーンッ!』

 

 

「ぐぁはぁぁぁっ!!!」

 

 

水銀燈を貫き吹き飛ばした

 

地面に叩きつけられた水銀燈は、動く事は無かった

 

 

「お…終わった……か…」

 

 

レミリアは力無く地面へと倒れた

 

 

「レミィ―!!」

「お嬢様ぁ!!」

 

パチュリーと咲夜が悲鳴を上げ、レミリアへと駆け寄った

 

 

「咲夜…」

 

「お嬢様、しっかりして下さい!」

 

血だらけのレミリアを咲夜は介抱した

 

「咲夜…、あの人形は…?」

 

「大丈夫です、微動だにしてません。 お嬢様は勝ったのですよ!」

 

「そう…少し……安心したわ…」

 

「お嬢様、ですからしっかりして下さい! 死んではいけません!」

 

咲夜は涙ながらに訴えた

 

「レミィ! しっかりして、すぐに直してあげるわ」

 

パチュリーも咲夜の反対に立ち声を掛けた

 

「パチェ…、お願いが……あるわ…」

 

「何?」

 

「あの人形を…、壊さないで………鞄に戻しておいて…」

 

「ええっ!?」

 

その言葉にパチュリーは驚きを隠せなかった

 

「どうしてよ? アイツは貴女や私達を殺そうとしたのよ? それなのにどうして庇うような真似を…」

 

「お嬢様、パチュリー様の言う通りです!あの人形は災いの元です!」

 

パチュリーも咲夜も、それに反対した

 

だが、パチュリーがそこまで言った時、レミリアの血塗れの手がパチュリーの腕を掴んだ

 

「お願い…お願いだから……パチェ…」

 

 

「……っ」

 

苦悶の表情で必死に乞うレミリアにパチュリーは少しの間考えていた

 

「…分かったわレミィ、貴女の言うとおりにするわ」

 

「パチュリー様!?」

 

パチュリーの一言に戸惑う咲夜

 

「あ…ありがとう……パチェ…」

 

「でも、後でどうなっても知らないわよ…」

 

「ええ…、大丈夫よ……だから…」

 

パチュリーの腕を掴んでいたレミリアの手が、力無く離された

 

「パチェ……咲夜……後は頼むわ…」

 

 

ガクッと力が抜けた様にレミリアは意識を無くした

 

 

「レミィ…? レミィー!!」

 

「お嬢様、お嬢様ぁぁ!」

 

「咲夜、早く部屋へ!」

 

「はい! 貴女達も手を貸して!」

 

レミリアを抱えた咲夜は、隠れていた妖精メイド達に声を掛けた

 

「貴女達、美鈴と小悪魔も運んできなさい! 大至急よ!」

 

パチュリーも妖精メイド達に指示を出す

 

それからしばらく、紅魔館内は騒然としていた

 

 

―――――――――――――――

 

 

「ここは…」

 

 

「私は…、死んだの…?」

 

 

『誰も…こんな……』

 

 

「いえ…、これは……夢…」

 

 

『見ない…』

 

 

「…えっ?」

 

 

『こんな私を…見ないで…』

 

 

「あ、貴女…?」

 

 

『お父様……何処にいるの?』

 

 

『私は、こんなにもお父様の事を愛しているというのに…』

 

 

「こ、これは…」

 

 

『私は…、きっとアリスになる』

 

 

『お父様の望む完璧な少女に…』

 

 

『世界に必要なのは、私とお父様だけ…』

 

 

「この人形は、そこまでして…」

 

 

『ここは暗くて何も見えない…』

 

 

『見て、私を見て!』

 

 

『見ないで、私を見ないで!』

 

 

「この人形は…、本当は…」

 

 

『私はどんなに穢れても、このまま壊れてしまってもいい…』

 

 

『ただ、お父様だけに…』

 

 

「淋しい…?」

 

 

『……誰?』

 

 

「…貴女は」

 

 

『…来ないで!』

 

 

「待ちなさい!」

 

 

『……!?』

 

 

「目を逸らしちゃ駄目よ!」

 

 

『……離して…』

 

 

「目の前の事に向き合いなさい! 貴女は…、決して壊れないわ!!」

 

 

『……っ!?』

 

 

『あなた……だれ……?』

 

 

「私は…っ!」

 

 

―――――――――――――――

 

 

「うはぁっ!?」

 

目が覚めたレミリアは布団から飛び起きた

 

「ゆ、夢…だったの…?」

 

 

「あらぁ、やっとお目覚め?」

 

「……っ!?」

 

声のした方向を見ると、テーブルに水銀燈が脚を組んで座っていた

 

「お、お前…」

 

痛みを堪えながら、身構えるレミリア

 

「そんなに身構えなくても大丈夫よ、もう何もしないから」

 

 

「…どういう事?」

 

レミリアは怪訝な表情で水銀燈に尋ねた

 

「だって、貴女程の実力の持ち主を殺しちゃうなんて勿体ないわ」

 

「良く言うわよ…、貴女だって死にかけたのよ?」

 

「確かにね…、癪だけど貴女の力を認めるわ、吸血鬼」

 

「当然でしょ、私は吸血鬼と同時に誇り高い貴族なんだから」

 

「フッ…」

 

レミリアは警戒を解き、お互いに微笑し合っていた

 

 

「…で、それでも貴女は私と契約がしたいのかしら?」

 

「当然でしょ?貴女の力、見逃す手は無いわ。それに…」

 

「……?」

 

「これ以上、敵対するのも得策じゃないと思ったのよ…」

 

「随分な変わり様ね、最初に会った時はあんなに敵意剥き出しだったのに」

 

「気が変わっただけよ、勘違いしないで頂戴…」

 

「フフッ、そういう事にしておいてあげるわ」

 

クスクスと笑うレミリアに、水銀燈はそっぽを向いてしまった。

 

「チッ…全く…、それよりも…」

 

「……何?」

 

「貴女は契約を了承してくれる訳?」

 

 

「そうねぇ…」

 

水銀燈の問いに、レミリアは目を閉じて少しの間考え込んだ

 

そして、再びレミリアの口が開いた

 

「いいわ、契約してあげる。 そして、貴女の運命を見届けてあげるわ」

 

 

「運命を見届けるですって…?」

 

「私の能力は運命を操る程度の能力なのよ、貴女がアリスゲームを制するのかどうかを操る事だって出来るわ」

 

「へぇ…、それって私にとっては好都合な能力かもしれないわねぇ」

 

「でも、当てにしちゃ駄目よ」

 

「当然よ、私を見くびって貰うと困るわぁ」

 

そう言うと水銀燈は飛び上がり、レミリアの側へと来た

 

 

「吸血鬼、あの4人を呼んで貰える?」

 

「何よ? 唐突に」

 

「一応お詫びしたいのよ、先の一件ではやり過ぎちゃったからねぇ…」

 

自虐的に笑いながら水銀燈はレミリアにそう言った

 

「そうね…、ここに住むんだったら、皆に頭を下げた方がいいわね」

 

「柄じゃないけど、仕方無いわね…」

 

すると、レミリアはベッドの横にある机の上にある呼び鈴を鳴らした

 

「…お嬢様、お気付きになられましたか!?」

 

突然、目の前に咲夜が現れた

 

 

「大丈夫よ、大きな声を出さないで…」

 

「し、失礼しました…。 でも私は嬉しいですわ、お嬢様が無事に生還出来て…」

 

「大袈裟よ咲夜、私を誰だと思ってるの?貴女こそ大丈夫なの?」

 

レミリアは包帯だらけの咲夜に逆に訪ねる

 

「私は大丈夫……うぐっ…ですから…」

 

強がってはいたが、明らかに無理をしていた

 

「それで大丈夫な訳ないでしょ…」

 

レミリアと咲夜のやり取りを

 

「(何このやり取り…、ご立派な忠誠心だこと)」

 

多少引きつった表情で見ていた

 

 

「…もういい? それともまだ?」

 

 

「…お前は!?」

 

水銀燈に気付いた咲夜は、咄嗟にナイフを構えた

 

「待ちなさい、咲夜」

 

「お嬢様…?」

 

「大丈夫よ、もう彼女は何もしないわ」

 

「し、しかし…」

 

「その子の言う通りよ、但し…身に振る火の粉は振り払うわよ」

 

水銀燈の背中の翼が少しだけ変異した。

 

「……っ!」

 

少し怯みながらも警戒を解かない咲夜

 

「止めなさい、2人共」

 

レミリアが仲に割って入った

 

「それより咲夜、パチェと小悪魔と美鈴を此処に連れて来なさい」

 

「…畏まりました」

 

レミリアの言い付けで、咲夜は御辞儀をして突然居なくなった

 

「また時を止めたのね、私には見えてるのに、フフフ…」

 

水銀燈には、時間が止まった世界での咲夜の動きがしっかり見えていた

 

そうしているうちに、4人がレミリアの部屋へと入ってきた

 

「レミィ、良かったわ…」

 

「お嬢様、本当に良かったです!」

 

「私も重症を負いましたが、何よりもお嬢様がご無事で良かったです」

 

パチュリー、美鈴、小悪魔はレミリアを見て安堵の表情を見せた

しかし、3人共包帯や絆創膏が体中に貼られ、見るからに痛々しい雰囲気であった

 

「派手にやられたわねぇ…」

 

レミリアは思わずそう零した

それを見た水銀燈も続けて言った

 

「ホントね、こんなに派手にやった感覚は無かったんだけど…」

 

「……っ!?」

 

3人は水銀燈の姿を見ると、咲夜の時と同じ様に咄嗟に身構えた

 

「全く…、みんな揃って同じリアクションで、飽きちゃったわぁ」

 

水銀燈は苦笑いしながら言った

 

「よしなさい、この人形は何もしないわ」

 

レミリアが身構える3人を止めた

 

「さて、本題だけど……私は、この人形と契約するわ」

 

「ええーっ!?」

 

レミリアの言葉に4人は驚愕した

 

「ち、ちょっとレミィ、正気なの!?」

 

「そうですよお嬢様!それでは…」

 

「…大丈夫よ、力を奪われた位で私はそんな簡単には死なないわ。 それに、この人形の運命が見たくなったのよ…」

 

レミリアの言葉に全員が困惑していた。

 

「…これ以上長引かせると邪魔されそうだから、早くしましょう、水銀燈」

 

「分かったわ、なら…」

 

水銀燈は左手てレミリアへと出した

 

「誓いなさい、この薔薇に。 私のローザミスティカを護ると」

 

「この指輪に…?」

 

「口付けをするのよ」

 

 

水銀燈の言われるままにレミリアにその指輪に口付けをした

すると、突然紫色の光が2人を包む

 

 

「こ、これは…? 熱い…っ!?」

 

 

「フフフ…、これが貴女の力……凄いわぁ!」

 

 

そして、数秒のうちにその光は消えていった

 

「…終わったの?」

 

「ええ、左手を御覧なさい」

 

 

「…これは…!?」

 

レミリアの左薬指には水銀燈と同じ薔薇の指輪が填められていた

 

「お嬢様、大丈夫ですか?」

 

「レミィ?」

 

「…大丈夫よ、2人共」

 

 

「さて、これで儀式は終わり、そこにいる4人…」

 

水銀燈は4人の方を向き

 

「随分と大怪我をさせてしまっわね、御免なさい…」

 

静かに頭を下げた

 

「だから、お詫びをさせて貰うわ」

 

4人の元へ近づいて行った

 

「何をするの?」

 

「4人共、近寄って」

 

「「「「……?」」」」

 

「レミリア、少し力を貰うわよ」

 

「えっ…?」

 

水銀燈が4人に向けて右手を出すと、紫色の光が4人を包む

 

「これは…?」

 

 

「大人しくしてなさい、直ぐ終わるわ」

 

 

4人を包むような光は数秒後には消えていった

 

 

「…何をしたの?」

 

パチュリーが不審な表情で聞いた

 

「気付かないの? その包帯を取ってみなさい」

 

水銀燈に言われるまま4人は包帯を取ると

 

「傷が…消えてる!?」

 

「私の傷も…!」

 

「私のもです!」

 

「何でですか?」

 

パチュリーの回復魔法でも完治しなかった傷が全て消えた事に、4人は驚愕した

 

「何も私の能力は破壊するだけじゃ無いわ、再生させる力だってあるのよ」

 

「……っ」

 

これには4人共言葉が出なかった

 

「…どう?その人形を許してはくれない?」

 

レミリアの言葉に4人は少し考え

 

「分かったわ、レミィがそう言うなら…」

 

「お嬢様の言う通りに…」

 

「「私も同じくです…」」

 

多少渋ってはいたが、4人はレミリアに従った

 

 

「決まりね…、これから宜しくね♪」

 

その時の水銀燈の笑顔は、天使の様にも見えた

そうして、水銀燈の紅魔館での生活が始まったのである

 






パ「(ローゼンメイデンって人形にはとても興味があるけど…、この人形の性格は何だか苦手ね…)」


咲「(この感情の激しい変わり様、お嬢様にとても似てるわ……世話が焼けそうね…)」


美「(この人形、凄い強かったから、今度稽古付き合って貰おうかな? でも、何か次は殺されそうな気もするど…)」


小「(殺されかけたのに何故か憎めない…、この人形には不思議な魅力がありますね。でも、この人形の性格は怖いなぁ…)」

4人はそれぞれ違う事を考えていたが、共通しているのは、水銀燈に対する不安要素であった。


――――――――――――――――


水銀燈と紅魔館の話は一旦終了です。


しかし、戦闘シーンって難しいですね…。

あんまりゴチャゴチャ長引かせるとネチっこくなるし、スピーディーな展開にすると内容が薄くなるし、この塩梅加減が難しい…。

今後の執筆の課題になりそうです。


それから、本当は細かくレミリア、水銀燈、パチュリー、咲夜、美鈴、小悪魔の伏線を書いたのですが、携帯投稿故の文字数制限に引っかかり、大幅なカットを余儀無くされました…orz


そのカットした部分については、今後の回で少しずつ書いていくつもりです。
ボツにするには勿体ないネタが多くありましたので^^;


しかし、銀様はカリスマあるよなぁ。
書きながら思いましたが、ローゼンメイデン一のカリスマは銀様だと自分は思います。

でも、本当のカリスマは薔薇乙女達やローザミスティカを作ったローゼンなんでしょうが…。
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