薔薇乙女幻想録 -Legend of the dolls-【休載中】 作:豊之丞
残酷描写とは、全く無縁なお話です。
雛苺が神社に来てから数日。
此処での生活にも、随分慣れてきた。
「うーん…、この『幻想郷縁起』って、難しくて良く分からないの…」
早苗達が、神社の仕事をしている間、雛苺は幻想郷縁起を読む様にと、早苗から渡された本を読んでいた。
しかし、彼女の頭ではその内容を理解する事は、かなり難しい事であった。
「これ読んでるより、お絵描きがしたいのー!」
不満を口にするが、聞いてくれる相手は今は居ない。
「退屈だから、ちょっとお外に出てみるの」
そう呟きながら、雛苺は部屋を出た。
「早苗は何処かなぁ…?」
実は、彼女はまだ境内から出た事が無いのだ。
「裏の方かなぁ…」
神社の裏の方へ行ってみるも、やはり誰もいない。
「うう〜、みんな何処なの〜!?」
急に寂しさを感じる雛苺だったが、
「ケロ、ケロ…、ケロ、ケロ…」
「ゲコ、ゲコ、ゲコ……」
「あれ…、カエルさん?」
数匹の蛙が、雛苺の方を向き、呼び掛ける様に鳴いていた。
「「ケロ、ケロ、ケロ…」」
「何? どうしたの?」
すると、蛙達は一斉にとある方向目指して飛び跳ね出した。
「あっ! 待って! ヒナも行くのー!」
それに釣られる様に、雛苺も後を追った。
蛙達に誘われる様にやってきたのは、近くにある湖であった。
「うわぁぁぁ…、大きい湖なの…」
それを見た雛苺は、とても驚嘆した。
「…おや? 雛苺じゃないか」
「あっ、諏訪子?」
声のした方向を向くと、諏訪子が蛙座りをして地慣らしをしていた。
「この、カエルさんは諏訪子が?」
「ああ、みんな私の子分だよ」
「みんな子分!?」
「そう、何てたって私は土着神の親玉だからね、何でも言いなりなんだよ」
「凄いのー! 何か出来るの?」
「見たいかい?」
「うん! 見たいのー!」
「よし、それじゃ…」
諏訪子が『パチンッ』と指を鳴らす。
すると、湖や周辺から大量の蛙が集まって来た。
「うわー…、凄いの!」
「まだまだ、 こんなもんじゃないよ」
諏訪子の指示で、色々なパフォーマンスを繰り広げる蛙達。
それを見ていた雛苺の目は、キラキラ輝いていた。
「雛苺ー、お菓子食べる?」
その頃、 早苗は買ってきたお菓子を片手に雛苺の居る部屋に来ていた。
「…あらっ? 居ない…?」
部屋に雛苺の姿が無く、早苗は辺りを見回す。
「何処に行ったのかしら…」
やむなく、神社の周辺を探してみることにした。
「雛苺ー、何処なのー?」
しかし、雛苺の返事は無かった。
「何処に行っちゃったのかなぁ…」
「……ん? どうした、早苗?」
其処に現れたのは、神奈子であった。
「あっ、神奈子様。 雛苺を見ませんでしたか?」
「雛苺? さぁ、見てないね…、部屋には居なかったの?」
「はい…、部屋にも何処にも居ないんです」
「そうか…、湖の方は見たかい?」
「湖の方はまだです」
「行ってみな、居るかもしれないよ」
「はい、分かりました」
神奈子の言う通り、早苗は湖の方へと向かってみることにした。
「雛苺ー」
名前を呼びながら湖の方に進む。
「――――」
「……っ!? 今、声が聞こえたような…」
微かに聞こえた声の方へ足早に向かう。
「ほーら、お次はこうするよー!」
「わーい!凄いのー!」
「…雛苺に、諏訪子様!?」
早苗がそこで見たのは、蛙達に指示を出しパフォーマンスをさせる諏訪子に、それを見て歓喜の声を上げる雛苺であった。
「諏訪子様の所に居たんですか」
「やぁ、早苗か」
「ああ、早苗ぇぇぇぇ!!」
早苗の姿を見るや否や、雛苺は早苗の元へと駆け寄り抱き付いた。
「おっと…、雛苺ったら……」
いきなりの事で驚く早苗であったが、そんな雛苺を優しく包んだ。
「ずっと、諏訪子様の所に居たの?」
「うん! 諏訪子がね、カエルさん達に指示を出すと、みんな凄い芸を見せてくれたのよ! こんなの初めて見たのー!」
「そう…、良かったわね」
はしゃぐ雛苺を見て、早苗も自然と笑顔になっていた。
「諏訪子様、ありがとうございます、雛苺の相手してくれて」
「いやぁ、大したこと無いよ。 寧ろそんなにはしゃいでくれて、私もやり甲斐があったよ」
「諏訪子、楽しかったよ!」
「何時でも見せてあげるよ」
「うん! また見たいのー!」
「もう、雛苺ったら……そうだ! 諏訪子様、お時間はありますか?」
「別に予定は無いけど、どしたの?」
「よろしければ、3人で山を散歩しませんか?」
「山を散歩? 何をするの?」
「雛苺は、神社に来てからまだ周辺を歩いた事が無いので、色々案内したいんですよ」
「なるほど、まだ雛苺は神社の付近からは出た事が無かったね」
「それから、折角ですから、秋姉妹様にも紹介しようかなぁって思いまして」
「おお、それは良いね。秋ちゃん達にも久しぶりに会いたくなってきた」
二人は会話で盛り上がるが、約1名、頭からクエスチョンマークが出ていた。
「ねえ早苗…、秋姉妹様って誰?」
「幻想郷縁起にも載ってたでしょ?」
「そうだったかな? 覚えて無いの」
「えっ…」
「あちゃー…」
雛苺の返答に、二人は頭を抱えた。
「もう、ちゃんと読むようにって言ったのに…」
「だってえ、あの本は難しくて分からないの! お絵描きの方がいいのー!」
とても不満気に言う雛苺、早苗は溜め息を付いてしまう。
「仕方ないわね…、秋姉妹様っていうのは、この山に住む神様なのよ」
「えっ、神様!?」
「そう、姉の秋静葉様が紅葉の神様で、妹の秋穣子様が豊穣の神様なのよ」
「紅葉に、豊穣…?」
雛苺の頭に再びクエスチョンマークが浮かぶ。
そこに、諏訪子が補足を入れる。
「簡単に言えば、静葉が秋の山を彩る紅葉の景色を司って、穣子が農作物を豊穣、豊作を司っている、どちらも八百万の神々の一柱なんだよ。 二人とも幻想郷の秋を司る神様だ」
「へぇ…、諏訪子達も神様だけど、まだそんな神様が居るなんて、凄いのー!」
諏訪子の説明に、雛苺は驚きながらも目を輝かせていた。
「それじゃ、今から会いに行こっか」
「うん! とっても会ってみたいのー!」
「なら、神奈子様も一緒に…」
「いや、アイツは放っておけば良いよ」
「ええっ!?そんな、ダメですよ…」
諏訪子の一言に、早苗は戸惑う。
「いいのいいの、アイツが居るとむさ苦しいだけだから、私達だけで行くよ」
「ち、ちょっと諏訪子様ぁ!?」
「さあ雛苺、行くよぉ!」
「はーい!」
「もう、諏訪子様ったら…、神奈子達に対する仕打ちが酷過ぎですよ…」
そんな事を全く気にも止めずに雛苺と山を歩く諏訪子、早苗は神奈子に同情していた。
―――――――――――――――――――
「うわあぁぁ! 眺めがとっても綺麗なのー!」
それから、3人は見晴らしの良い高台の所まで来ていた。
「此処からは、幻想郷中を一望する事が出来るのよ」
「凄いのー、自然がいーっぱいで、見晴らし最高なのぉ!」
「確かに、此処からの眺めは最高だね、博麗神社から見る眺めより断然良いね」
3人はその眺めに、しばし見入っていた。
「…ねえ早苗、秋姉妹って神様は、この辺に居るの?」
「そうね、そろそろお二人の住居がある筈だけど…」
「……おっ!? 早苗、あれあれ」
「どうしましたか?」
何かに気づいた諏訪子が指を差し、その方向を見る早苗。
それは、下の沢の方に探している秋姉妹の妹、穣子の姿であった。
「あっ! 穣子様だ! 早速行きましょう」
「歩いて行くのかい? 飛んだ方が早くない?」
「私は良いのですが、雛苺が…」
「大丈夫だと思うの、早苗の力を貰うわよ」
「えっ? まあ、良いけど………熱い!?」
指輪から感じる熱さに、早苗の顔が歪む。
「早苗…? 大丈夫かい?」
「はい…、これ位、大丈夫です…」
諏訪子が心配して声を掛けるが、早苗は直ぐに笑顔で応えた。
「早苗! 諏訪子! 見てえぇ!」
「「……っ!?」」
二人が声の方を向くと、普通に空を飛んでいる雛苺がいた。
「うわっ…、普通に飛んでるし」
「あれもやっぱり、私の力……なのかな?」
そんな様子を見る二人、雛苺は飛びながらはしゃいでいた。
「早苗の力は凄いのー! 身体の中から力が湧き出てくるの! 早苗と契約して良かったのー!」
「……だってさ、そう言われちゃ、神様冥利に尽きるってもんじゃない? ねえ早苗?」
「私は確かに現人神ではありますが、厳密には風祝ですよ…」
「まあ、いいじゃないか。細かい事は!」
「そうですね…、あの子の笑顔を見てると、契約して良かったと思えます」
早苗は、とても穏やかな表情をしていた。
「さて…、みんな飛べるって事で、気付かれない様に静かに行こう」
「…静かに?」
「穣子の背後から近付いて、仕掛けてやるのさ!」
「ええ〜!? 諏訪子様、悪戯が過ぎますよ!?」
「いいのいいの! それ位のスリルがなきゃ、楽しめ無いじゃないのよ?」
黒い笑みを浮かべる諏訪子に、早苗は必死で抑えようとするが、それに同調する者が現れた。
「えっ? ドッキリするの? ヒナもやるのー!」
「ちょっと、雛苺!?」
話を聞いた雛苺が、下りて来て諏訪子に駆け寄って来たのだ。
「おっ! あんたもやる気になったかい?」
「やりたいのー! どうするの?」
「よおし、この洩矢諏訪子に任せておけ! 行くぞぉ!」
「ちょっと諏訪子様! 何その気になってるんですか!?」
「ダメだよ早苗、あんたがそんな堅苦しい事言ってちゃ、常識を捨てたんだろ?」
「それとこれとは話が違います! 相手は歴とした神様なのですよ!?」
「ちょっと脅かすだけだよ、背後から不意打ちする様な事はしないよ」
「そんなの、信じられますか!」
「それは、酷いよ! 不意打ちをするなんて、神様の面汚しだよ」
「当たり前です! 背後から攻撃するなんて、あの天邪鬼位なものです!」
「でも、霊夢は妖怪を不意打ちして、本を奪ったらしいよ。しかも三冊も」
「霊夢さんは巫女です!あの人は少し感覚がおかしい……って、一体誰からそんな事を聞いたんですか!?」
「本人から」
「ズゴッ!」
諏訪子の素っ気ない返答に、早苗はずっこけてしまった。
「…とにかく、ドッキリはいけません! 普通にお会いしましょう」
「ええ〜!? つまんないの〜!」
「だよねぇ、つまんないよねぇ」
「止めなさい雛苺! 諏訪子様も煽らない!」
駄々を捏ねる雛苺、それに便乗し煽る諏訪子、必死で制止する早苗。
決死の攻防が続いたが、遂に結果が出る。
「仕方ないねぇ…、よし雛苺! 私達だけでやるよ!」
「うん、分かったのー!」
「ちょっと諏訪子様!? 何私を差し置いて勝手にやろうとしているのですか!?」
「ああ、この石頭の事は気にしなくて良いから、付いて来な雛苺」
「はーい、諏訪子に付いて行きまーす!」
そう言って、諏訪子を雛苺を引き連れ沢の方へと飛んで行った。
「あぁぁっ? 諏訪子様! いけません! 雛苺も待ちなさーい!!」
早苗が必死で制止するも、二人は全く聞く耳持たず。
既に、その姿は小さくなっていた。
「あぁぁもぉぉ!! 雛苺ぉぉ!! 貴女と契約したのは私なのよぉ!? 何でこんな時だけ諏訪子様に付いて行くのよぉぉぉぉ!!?」
早苗は、渾身の力で絶叫するが、雛苺には届いていない。
「〜〜〜〜っ! うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!
諏訪子様!! 絶対に神奈子様に言い付けるんですからぁぁぁ!!!」
髪を振り乱して叫ぶ早苗、もの凄い形相で諏訪子達の後を追った。
そんな早苗の心配と怒り心頭を余所に、諏訪子と雛苺は作戦を話し合っていた。
「いいかい、あんたがうまーく穣子を引きつけるんだよ。 その間に私が……」
「了解なのー!」
諏訪子の黒い企みとは、一体何なのか?
穣子の運命は!?
穣子様は、どうなってしまうのでしょうか?
ネタを詰め込んで、お送りします^^
それから、お気に入り数が40を超えました!
こんな駄文な小説を気に入ってもらい、感謝感激です(´∀`)
お気に入り数1000超えの人気作家に比べればまだまだ底辺ですが、それな事に惑わされずに自分の道を貫いていきます!(影響は受けるかもですがw)
持論。
お気に入り数が、多けりゃ良いってもんじゃねーんですよねえ。
数に惑わされるのは、愚の骨頂です^^;
ただ、これからも多くの人に見てもらえるように、努力したいです。
毎度、御覧頂きありがとうございますm(_ _)m