薔薇乙女幻想録 -Legend of the dolls-【休載中】 作:豊之丞
しかし、それが事を大きくするきっかけとなる…。
戦闘描写ありますが、半分お笑いです^^;
秋穣子が居た場所から程近い場所で、諏訪子と雛苺は息を潜めて静観していた
「諏訪子、それで具体的には何をするの?」
「そうだねぇ…、軽く弾幕ごっこでも仕掛けてやろうか」
「弾幕…ごっこ?」
「そういえば、雛苺はまだ見てなかったね、いい機会だしやってみようか」
「だ、大丈夫なの?」
「大丈夫だって、弾幕ごっこはアリスゲームみたいな殺し合いじゃないし、おまけに…」
「……っ?」
「穣子は、あんまり強くないからね、雛苺でも勝てるかもよ?」
「で、でも…、神様と勝負するのは……良いのかな…?」
「大丈夫だ、問題無い」
「う…、うん……」
「…とにかく、あんたは私がさっき言った通りにやれば良いから」
「うん、分かったの!」
「それじゃ、作戦開始だ!」
諏訪子の号令で、行動に移る
「今日は退屈だなあ、もう少し向こうまで行ってみようかな…」
その時、穣子は退屈しのぎに山を散策している途中であった
『もし……』
「うん…?」
不意に、背後から声を掛けられる
『もし…、そこの方……』
「誰…? 誰か居るの?」
振り向くも、声の主の姿は無い
『秋穣子……』
「へっ…!?」
「遊ぼ…?」
「……っ!?」
穣子が振り向いた時には、目の前に雛苺がいた
「捕まえたのー!」
「ちょっと!? 何よこれ!?」
穣子が気付いた時には、自身の足に苺わだちが絡み付いていた
「動いちゃダメなの、トゲトゲだらけで痛いの」
「貴女は誰?一体何をするつもりなの…?」
雛苺を見た事が無い穣子は、恐怖を感じていた
「…さっき言っただろ? 遊ぼってさ」
「……っ!? その声は…!」
穣子が、声のした方向を振り向くと
「お久しぶりっ…、穣子ちゃ――ん!!」
そう叫びながら、諏訪子が弾幕を撃った
「ちょっと…、いきなり過ぎて……ぎゃぇぇぇぇ!?」
苺わだちで動きを封じられていた穣子は、見事に被弾して吹っ飛ばされた
「よっしゃぁ! 大成功!」
それを見た二人は、ハイタッチをした
「やったーなのー! …でも、大丈夫かな?」
「平気だよ、この位でくたばっちゃ、神様の名が廃れるよ」
「大丈夫なら、良いけど…」
若干心配そうな雛苺
だが、その予想を上回る事態が起きる
「ちょっと……、何してくれてんのよぉぉぉぉ!!」
弾幕の一撃で倒れていた穣子が、起き上がるなり憤怒の表情で叫んだ
いくら背後からの攻撃ではないとはいえ、不意打ちに近い一撃に、穣子はブチキレていた
「おやっ、怒ったかい?」
「当たり前でしょ! それが、あんた流の挨拶なの!?」
「そう怒るなよ、遊ぼって言ったじゃないか?」
「ふざけんなぁ!! 動けない状態で弾幕撃つのが遊びかぁぁ!!こんなのが遊びな訳が無いでしょうが!!」
怒り心頭の穣子、顔を真っ赤にして捲くし立てていた
「うわ…、凄い怒ってるの…」
「大丈夫だって、冗談半分で言ってるだけだから」
その様子を、雛苺はオドオドしながら見ていたが、諏訪子が茶化していた
「私は本気だぁ! 本気で怒ってるのよぉぉぉ!!」
「大人気ない、それでも神様かい?」
「こんのぉぉ…! このしみったれたバカチン土着神が!!」
「あぁぁ!?」
穣子の罵倒の一言に、諏訪子が表情を変えた
「おいおいおいおい…、流石にそれは言っちゃダメだろう…」
「何よ! やる気!?」
「あ…、ねえ……ねえったら……」
雛苺が懸命に宥めようとするが、既に二人は一触即発の状況であった
「せっかく、お詫びの印にってお菓子を用意しておいたのに…、今ので気が変わった。 痛い目に遭って貰おうか」
「上等よ! 久しぶりに手加減無しで弾幕ごっこをしてあげる!」
「後悔するなよお?」
「あぁ…、どうしよう……」
二人の方を見ながら、どうするべきか迷う雛苺
「…あっ、やっと見つけましたー!」
「あっ!早苗ぇ!」
其処へ、早苗がようやく追い付いて来た
それを見た雛苺は、少しだけ表情が緩んだ
だが、すんなり収まる程、甘くは無かった
「早苗、大変な事になったの!」
「大変な事って………っ!?」
早苗は雛苺が指差している方を見ると、諏訪子と穣子が険悪なムードで対峙していたのだ
(やっぱり…、こうなるんじゃないかと思ったわ…)
予想通りの展開に、早苗は心の中で溜め息をつきながらも、二人を宥めに入った
「お二人とも、お願いですから落ち着いて……」
「「うるさ――いっ!!」」
二人は、ほぼ同時に早苗に目掛けて弾幕を撃った
「えっ…!? きゃぁぁぁぁぁ!?」
同時に放たれた弾幕に、流石の早苗も回避出来ず、まともに被弾
「な、何で…私が……(ガクッ」
吹っ飛ばされた早苗は、そのまま意識を手放した
「ああ! 早苗ぇぇ! しっかりするのー!」
驚いた雛苺が直ぐに寝ている早苗の元へ飛び寄り、体を揺さぶっていた
「さあ、邪魔者は居なくなったし、そろそろ始めようか!」
「良いわよ! 私の全力を見せてあげるわ!」
お互い、弾幕を撃ちながらの攻防が始まった
「私から行くよ! 豊符『オヲトシハーベスター』!」
スペルが宣言されると、黄色いレーザーと弾幕が展開される
「よおし、私もやっちゃうよー!」
それを見た諏訪子も、スペルを宣言する
「源符『厭い川の翡翠』!」
諏訪子から、緑色の弾の列が配置された。崩れながら溢れ出して来た
「うわぁ…、凄い……綺麗なの……」
その様子を見ていた雛苺は、既に早苗の事も忘れて見入っていた
「おい穣子、ギャラリーが居るんだから、もっと派手にやろうさ!」
「望む所よ!私の弾幕で貴女を仕留めてあげるわ、諏訪子!」
「そう来なくちゃな!」
弾幕を撃ち合いながら、そんな会話を交わす二人
本気ながらも、楽しんでいる様にも見える
最も、穣子はまだ怒っているのだが
「これが弾幕ごっこ…、アリスゲームなんかより、とっても面白そうなのー!」
弾幕ごっこに興味が出て来た雛苺は、いつしか夢中になっていた
そこには、先程まで不安を感じていた彼女の姿は無かった
「ちょっと、さっきからとても騒がしいけど…、どうしたの?」
「へっ…?」
雛苺が、声のした方を向くと、ウェーブのかかった金髪で楓の髪飾りをし、茜色の上着に赤色から黄色に移り変わるグラデーションのロングスカートを着た少女の様な女性がいた
「えっ…、穣子? 弾幕ごっこをしてるの? 相手は…、諏訪子!?」
彼女は、上空で弾幕ごっこをしている穣子を見て、驚きの表情をしていた
「貴女…、誰なの?」
「……っ!?」
雛苺に声を掛けられ、ビクッと体が動いた
「貴女は……って、早苗さん!?」
彼女は雛苺よりも、横たわっている早苗に目が行った
「早苗さん! 大丈夫なの?」
「早苗は大丈夫なの、今は気を失ってるだけなの」
「そ、そう……って、貴女は誰? 早苗さんの知り合い?」
「うん、ヒナはね、雛苺って言うの。 ローゼンメイデンの第6ドールなのよ」
「ローゼン…メイデン…? ドールって貴女…」
「それでね、この早苗はヒナのマスターなのよ」
「マスター? 一体何がどうなってるの?」
雛苺の言っている事が理解出来ず、彼女は戸惑っていた
「それで、貴女のお名前は?」
「あっ、申し遅れて御免なさい。私は秋静葉、今弾幕ごっこをしている秋穣子の姉よ」
「静葉って言うのね、よろしくなのー!」
「え、ええ…、よろしくね…」
元気良く挨拶をする雛苺に、静葉は若干圧倒され気味であった
「静葉……、あっ…!」
そこで、雛苺は諏訪子の言葉を思い出した
『あの秋穣子にはね、秋静葉っていう姉さんが居るのよ。 もしあんたが見つけたら、盛大に遊んでやるんだよ』
その言葉を思い出した雛苺は、作戦を実行する
(…うん! 早速実行するの!)
「ねえ、静葉!」
「…どうしたの、雛苺?」
「ヒナと、遊ぼ!」
「遊ぶ? 何をするの?」
「決まってるわ、弾幕ごっこをするのー!」
「えぇぇぇ! 弾幕ごっこ!?」
目の前の幼女にしか見えない人形に、弾幕ごっこをしようと言われてしまい、静葉は驚愕するしかなかった
「静葉は強いの?」
「へっ!? えっと…、実は私…戦闘は……」
「戦闘大好きなのね? とっても強そうに見えて来たの!」
「ちょっと待って! 大好きなんて言って無いわよ!?」
「ヒナはね、弾幕ごっこは初めてだから、手加減は出来ないの」
「そんな手加減って…、私はそんなに強く無いわよ!?」
「それは、やってみれば分かるの」
「拒否権は無し!?」
その気になる雛苺とは対照的に、静葉はみるみると青ざめていく
「貴女、スペルカードはあるの?」
「うにゅ?すぺるかーど…?」
「それが無いと弾幕ごっこは厳しいわよ? それに、貴女は弾幕は撃てるの?」
「それなら大丈夫なの、早苗から力を貰ってるから、空も飛べるし弾幕も撃てると思うの」
「何よそれ…、都合良すぎない?」
「スペルカードが無くても何とかなるの、だってヒナには…、ウフフフ……」
雛苺は、満面の笑みを浮かべていた
だが、その笑顔の裏で何を考えているか予測が全く出来ず、それが尚更静葉を動揺させた
「きゃっは! ベリーベル――!!」
雛苺が名前を呼ぶと、彼女の辺りをピンク色の物体が浮遊していた
「な、何なのそれは?」
「これはね、ヒナの人口精霊のベリーベル、可愛いでしょ?」
「可愛いって…、ただの光の玉にしか見えないわよ…」
「じゃあねベリーベル、あの子達を呼ぶの」
その指示を聞いて、人口精霊が動き出す
「きゃっは! うさぎさーん!くまさーん!ねこさーん! 召喚!!」
雛苺の号令と同時に、人口精霊が眩しく瞬く
次の瞬間には三体のぬいぐるみらしきものが、雛苺の横で浮遊していた
「ぬ、ぬいぐるみが…!?」
「この子達はね、ヒナの言う事をちゃんと聞いてくれるお利口さんなんだよ」
「それじゃ…、そのぬいぐるみ相手に弾幕ごっこをするの?」
「うん、そうだよ! ちゃんとヒナも参戦するからね!」
「えっと……何ていうか……舐められてる?」
目の前の人形とぬいぐるみが相手になると聞いて、静葉の表情は、ムッとしたものになる
(幾ら何でも、こんなのに負ける訳が無いわ、少し頭が可哀想な子ね…)
口には出さないが、静葉は完全に雛苺をバカにしていた
「…良いわよ、貴女の相手になってあげるわ。 でも、少し痛い目に遭うかもしれないから、そのつもりでいなさい」
「えっ…、痛いのは…嫌なの…」
それがいけなかった
その一言が、雛苺を余計に本気にさせる事となった
「だから…、ヒナは本気で弾幕ごっこするの!」
「えっ!? 何もそこまで…」
時既に遅かれし
「みんなぁ! 大きくなぁぁぁれぇぇぇ!!」
雛苺がそう叫ぶと、三体のぬいぐるみ達が変化が起きる
もの凄い勢いで、一斉に巨大化しだしたのだ
「えっ、えぇぇぇぇぇぇぇ!!?」
それを見た静葉は、驚愕の余り腰を抜かした
三体とも、10m近くまで巨大化したのだ
巨大化しただけでは無く、うさぎ、くま、ねこの表情は総じて凶暴化しており
しかも、何故かうさぎだけは、包丁の様な刃物まで手にしていた
「静葉! ヒナの方は準備万端だよ! さあ、遊ぶの!」
「ちょっと…待ってよ! こんなの勝負にならないわよ!?」
「それじゃ、行くよー!」
「雛苺! 私の話を聞き……」
静葉が話を続けようとした時には始まっていた
巨大化したぬいぐるみ達から、弾幕が放たれる
ヒュゥゥゥゥ……
…チュドーン!!
「ひぇぇぇぇぇぇぇぇ!!?」
爆風で吹っ飛ばされる静葉
それは、弾幕の威力を軽く凌駕し、爆弾が着弾したと言った方が正しい破壊力だった
「どう? この子達の弾幕は?」
「それ弾幕じゃないわよ! 私を殺す気なの!?」
静葉は涙目で叫んだ
「遊び」は、まだ始まったばかり…
ブチキレて暴れる穣子、面白がって相手をする諏訪子。
半分、諏訪子の言いなりになって行動する雛苺、巻き添えを食らう静葉。
早苗は、可哀想な位にコケにされる。
キャラ崩壊満載で、お送りしましたー!
こんなストーリーも、良いよね?
次回は、色々と「こりゃヒドい」的な展開です。。。