薔薇乙女幻想録 -Legend of the dolls-【休載中】   作:豊之丞

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この騒動を止める為、彼女が動く!


第45話 東風谷早苗危機一髪

その頃、守矢神社の本堂では、神奈子が道具の整理をしていた

 

「そういえば、さっきから早苗と諏訪子の姿が見えないが…、何処に行ったのかしら?」

 

1人呟きながら作業を進めていると、1人の女性の声が境内に響いた

 

「神奈子さん! 神奈子さんはいますか!?」

 

「……っ?」

 

その声を聞き、神奈子が外へと出ると、其処には鍵山雛の姿があった

彼女は息を切らし、鬼気迫る様な表情で神奈子を見ていた

 

「おやっ、お前さんは厄神様じゃないか、どうしたね?」

 

「大変なんです! 山の中腹で諏訪子さんと穣子ちゃんが暴れてまして、それに早苗さんが倒れて危ない状況なんです!」

 

「な、何だって!?」

 

「それから、雛苺っていう人形が、静葉さんと争ってました!」

 

「何だそれは? 一体全体どうなってるのよ!?」

 

「…とにかく、早く来てください! このままでは早苗さんが危ないです!」

 

「分かった!すぐ行く!」

 

「案内します、付いて来て下さい!」

 

「済まない!」

 

その話を聞いた神奈子は、大急ぎで雛の後に付いて来て行った

 

 

―――――――――――――――――

 

 

「さあ静葉! また始めるよ! 弾幕撃つのー!」

 

「さっきのスペルが全く効かなかった相手に、どうして反撃すれば良いの?」

 

諦めムードが高まってはいたが、静葉は力を振り絞り動き出した

 

「こうなれば、仕方無いわ。 『アレ』を攻撃してダメなら……」

 

起死回生を狙い、雛苺との距離を縮める

 

「司令塔を狙うまで!」

 

雛苺を標的に狙いを定め弾幕を撃った

 

「うわっ!?」

 

それに驚き、ギリギリで回避をする

 

「お返ししてあげるわ!」

 

「きゃっ!?」

 

一瞬の隙をつき、雛苺に殴りかかる静葉

 

しかし…

 

「……うわっ!?」

 

「えへへ…、なーんて♪」

 

静葉の身体は、苺わだちが絡み付き身動きが取れなかくなった

 

「な、何なのこれは!?」

 

「苺わだちはトゲトゲいっぱいだから、動いたら痛いの、血が出ちゃうわよ?」

 

「貴女、こんな事まで…?」

 

「うん!苺わだちを操るのもヒナの能力なのー!」

 

静葉が拘束され動けないでいると、ついに巨大ぬいぐるみ達が目の前にまで迫ってきた

 

「あ……あぁぁ……!」

 

「静葉! これでヒナの勝ちだね!」

 

静葉の表情は恐怖で染まり、雛苺は満面の笑みであった

 

「みんなぁ! トドメをやるのー!」

 

ぬいぐるみ達が、静葉目掛け構える

 

「いや……嫌ぁぁぁぁ……!!」

 

どうしよもない状況に、彼女は何時しか泣き出してていた

 

そして、刃物を持ったうさぎが振りかぶる

 

「これで、終わりだよー!」

 

「も…、もうダメ……」

 

静葉は覚悟を決め目を瞑った

 

 

 

「雛苺……、止めてぇぇぇぇ!!」

 

 

「ええっ!?」

 

突然の叫び声に、雛苺は驚き動きを止める

 

「あっ…、早苗…?」

 

雛苺が目にしたのは、力無く倒れている早苗の姿であった

指輪からは、苺わだちのようなツルが伸びていた

 

「さ、早苗ぇぇぇ!!」

 

叫びながら早苗の元へ駆け寄る雛苺

 

それと同時に、雛苺は能力を解除し、巨大ぬいぐるみ達は消滅し、静葉を拘束していた苺わだちも消えていった

 

「えっ…、助かったの?」

 

一番戸惑ったのは静葉であった

 

 

「早苗! しっかりするの!」

 

「雛苺…、力…使い過ぎよ…」

 

掠れた声で言う早苗

彼女の顔は青ざめており、全身に大量の脂汗を発していた

 

「ごめんなさいなの! 早苗の事全然考えずに力使っちゃったの!」

 

「困った…子ね……でも…、雛苺は何とも無いんでしょ…?」

 

「うん! ヒナは平気よ!でも、早苗が……」

 

「良かった……、それを聞いて…安心したわ………本当に…良かった…」

 

「いやぁぁぁ!! 早苗! 死んじゃ嫌なのぉぉぉ!」

 

意識が朦朧とし会話がままならなくなる早苗

雛苺は、泣き叫びながら早苗の名前を呼び続けた

 

「だ…大丈夫よ……、私は……現人神なんだから……この位で……死ぬなんて……」

 

(ガクッ)

 

「早苗…? 早苗ぇぇぇ! 嫌だよぉぉ!目を開けてよ! 早苗ぇぇぇぇ!!!」

 

意識を失った早苗を、必死で揺さぶるが、彼女の反応は無かった

 

「早苗さん…、そんなまさか…!?」

 

その様子の只ならぬに驚き、静葉も二人の元へ駆け寄ってきた

 

 

 

 

「あれっ? あっちは終わっちゃったの?」

 

「そうじゃないかな?」

 

一方、弾幕ごっこをしていた穣子と諏訪子も、その様子を伺っていた

 

「お姉ちゃんが負けたなんて…、そんな事無いよね?」

 

「いーや、あんたの姉上は負けたね、雛苺の勝ちだよ」

 

「そ、そんなの嘘よ!」

 

「嘘じゃないさ、雛苺は早苗と契約してるんだよ? 紅葉の神様如きに負ける訳無いじゃん!」

 

「な、何ですって…!」

 

諏訪子の馬鹿にするような台詞に、穣子は青筋を浮かべた

 

「もう許さない! これで終わりよ!!」

 

「そうだね、私達もそろそろ終わりにしようかね!」

 

怒り心頭の穣子が弾幕を撃ってくるのを見て、諏訪子もほぼ同時に仕掛けた

 

「受けてみな! 祟符『ミシャグジさ……」

 

諏訪子がスペルを宣言しよとしたその時だった

 

「神祭『エクスパンデッド・オンバシラ』!」

 

「「げぇっ!?」」

 

突如、横からスペルが宣言され、その弾幕が諏訪子達を襲った

 

「うわっ、しまっ……」

 

それを回避しきれずに、諏訪子は被弾してしまった

 

「ああ、やられちゃったぁぁ…」

 

「な、何で私まで…」

 

穣子は諏訪子の巻き添えを食らい、一緒に被弾してましった

 

 

――――――――――――――――――

 

 

神「お前ら、一体何をやってるんだぁぁぁぁ!!?」

 

妖怪の山に、神奈子の怒声が響いた

 

諏「何って、弾幕ごっこだよ?」

 

神「そんな事を聞いてるんじゃない! この有り様は一体何なんだぁ!?」

 

諏「大袈裟だねぇ、遊んでたんだよ」

 

神「この一帯をはげ山にしておいて、何が遊びだぁぁ!」

 

諏「冗談が通じないねぇ、神奈子は」

 

穣「遊びって何よ!? 人の背後を不意打ちしておいて遊びは無いでしょうが!」

 

諏「あれは不意打ちじゃないよ」

 

穣「あんなの不意打ちも同然でしょうが!」

 

神「二人共うるさーい! 諏訪子! お前がちゃんと監督責任を果たさないから、早苗があんな目に遭ったんだぞ!?」

 

3人の視線の先には、気絶している早苗と介抱する者の姿があった。

 

雛「早苗! しっかりするのー!」

 

静「大丈夫よ、気を失ってるだけだから……ねぇ…、そんな振ったらダメだって…」

 

雛「ごめんね早苗、ごめんね…!」

 

厄「早苗さん、大丈夫かしら…」

 

その様子を心配そうに伺う静葉と雛

 

 

神「全く、何の歯止めも利かさず力を供給し過ぎた雛苺も悪いが…、諏訪子! お前がちゃんと監督してなかったのが一番悪い!」

 

諏「何だよ! それは雛苺が悪いのであって、私は何もしてないんだよ? お前何か勘違いしてんじゃないのか?」

 

神「何だと!? お前だって早苗に一撃かましたんだろ? お前にだって原因はある!」

 

諏「あんなの大したこと無いじゃん、それに、穣子も撃ったんだよ」

 

穣「えっ!? ちょっと…」

 

神「…本当なのか?」

 

穣「いや……あの……それは……」

 

神奈子に睨まれ、冷や汗が止まらない穣子

 

諏「…よし!隙ありぃ!!」

 

神奈子の一緒の隙に、諏訪子は弾幕を撃つ

 

神「なっ…!? ぎぇぇぇぇ!?」

 

不意打ち同然の攻撃に、呆気なく被弾してまう神奈子

 

穣「…あーあ」

 

雛「神奈子ー、諏訪子ー、喧嘩しちゃ、めーなの!」

 

静「諏訪子さんって命知らずね…」

 

厄「もう、笑うしか無いわね…」

 

 

諏「よっしゃぁぁ! みんな、後はよろしくねえー!」

 

諏訪子は、すぐさま飛んで行ってしまった

 

神「…この、クソ土着神がぁぁ! もう許さん! 待てぇぇぇ!!」

 

「やなこった!(べぇー」

 

物凄い形相をした神奈子が、猛烈な早さで諏訪子を追っ掛けて行った

 

 

「「「「………っ」」」」

 

 

その様子を見ていた一同は、しばらく呆然としていた

 

穣「お姉ちゃん、どうしよう…」

 

静「どうしようって言われても…」

 

厄「…とりあえず、守矢神社に行きましょう。 早苗さんをこのままには出来ないし…」

 

静「それもそうね…」

 

静葉が立ち上がろうとした時、雛苺が不意に声を掛けた

 

雛「静葉…」

 

静「…どうしたの?」

 

雛「さっきは、ごめんなさいなの…。 ヒナね、楽しい事は夢中になっちゃうの。だから、やり過ぎちゃったの…」

 

静「楽しい事って…、私は久しぶりに死ぬ思いをしたわよ?」

 

雛「ご、ごめんなさいなの…」

 

涙目で謝る雛苺に、静葉はそれ以上何も言えなかった

 

静「……もういいわ、済んだ事をこれ以上責めるつもりは無いわ」

 

雛「静葉…、ありがとうなのー!」

 

静「うわっ…!?」

 

雛苺的感謝の表現で、静葉に抱きついてきた

 

静「もう…、でも以外と可愛いかも…」

 

穣「…お姉ちゃん?」

 

静「い、いえ! 何でも無いわ!」

 

本音が出そうになり、静葉は目を逸らしてしまう

 

穣「…ところでお姉ちゃん、彼女は?」

 

雛「…そうだ! みんなにはまだ言ってなかったの。 ヒナはね、雛苺って言うの、ローゼンメイデンの第6ドールなのよ」

 

穣「ローゼンメイデン…、貴女人形なの?」

 

雛「そうなのー!」

 

厄「早苗さんも言ってたわね、この子が人形だって」

 

雛「二人は、静葉の知り合いなの?」

 

穣「私は秋穣子、お姉ちゃん…秋静葉の妹よ」

 

厄「私は鍵山雛、この妖怪の山に住んでる厄神よ。お二人とは、仲良くさせて貰ってるわ」

 

雛「へぇ…、貴女は雛って名前なんだ、ヒナと同じだね!」

 

厄「そうね…、似たような名前ね。よろしくね、雛苺」

 

雛「うん、よろしくなのー! 穣子もよろしくね!」

 

穣「うん、よろしくね雛苺! 同じ妖怪の山に住む者同士、仲良くやりましょう!」

 

雛「ありがとうなのぉ!」

 

こうして雛苺は、神様達からも歓迎を受けた

 

 

―――――――――――――――――

 

 

「…ヒナがね、此処に来た理由はそういう事なの」

 

気絶した早苗を守矢神社へ送るため、一行は頂上へと飛んでいた

静葉と穣子が二人で早苗を支えながら飛び、雛が補助をしている

そして、雛苺は神社へ向かう最中、自身の事とアリスゲームの説明を三人にした

 

「そうだったんだ…、其れが貴女が此処に来た理由…」

 

「酷いわ…、その『お父様』に会うために、姉妹同士で闘うなんて…、そんな事があっていいの?」

 

「………っ」

 

雛苺の話を、三人は神妙な面持ちで聞いていた

 

「でもね、みんなには直接関係は無いから、ヒナとは仲良くして欲しいの」

 

「ひ、雛苺…」

 

会話を続けている間に守矢神社へと到着した

 

眠っている早苗を一行は気遣い、彼女の部屋へ静かに寝かしつけた

 

「みんな、ありがとうなの」

 

「これ位大したことじゃないわ、ねえお姉ちゃん!」

 

「ま、まあね…」

 

「でも、早苗さんを気遣わなきゃダメよ?」

 

「うん、分かったの」

 

「素直ね、早苗さんが契約した気持ちが分かる気がするわ」

 

「さて、私達は帰りましょうか。行くわよ穣子」

 

「はーい、ねえ雛苺! 今度は普通に遊びに来てよね!」

 

「うん!また穣子の所に遊びに行くのー」

 

「それじゃ、お二柱に宜しくね」

 

そう言うと、静葉、穣子、雛の三人は境内を出た

 

「みんなー、またねー!」

 

雛苺が手を振って見送った

 

「…それにしても、諏訪子達はどこ行っちゃったのかな…?」

 

 

 

 

「それじゃ私達は帰るからね、雛さん」

 

「……っ」

 

「…雛さん?」

 

「…えっ?」

 

「どうしたの?難しい顔して」

 

「い、いえ、何でも無いわ…。ごめんなさい…」

 

「そう…、じゃあね雛さん」

 

「ええ、さようなら」

 

そうして秋姉妹と別れたが、

雛は一点を睨み呟いた

 

 

「折角、人間達から厄を集めても、あんな人形の所為でまた厄が…」

 

「お前達は厄災の元…」

 

「アリスゲームなんて、私の知った事じゃない」

 

「お前達など幻想郷に要らない、目障りな存在だ!」

 

「消えろ…消えろ…消えろぉぉ!!」

 




穣「ねえ、お姉ちゃん」

静「…何?」

穣「別れ際の雛さんの様子、おかしかったと思わない?」

静「そう言えば…、確かに何時もの雛ちゃんとは雰囲気が違ったように感じたわね…」


穣子は、雛の異変にいち早く気が付いていた。


穣「お姉ちゃん…、私ね、何だか無性に胸騒ぎがするの。 今すぐって訳じゃないけど、何か良くない事が起こりそうで…」

静「そうね…、そうなって欲しくは無いわね…」

穣「雛苺や早苗ちゃん、大丈夫かな…?」

静「雛ちゃん…、貴女は一体を考えていたの…?」


何とも言えない不穏な予感に、二人は不安を抱いていた。


―――――――――――――――――――


何とか、丸く収めました。

雛苺登場回は短かったので、今回は引っ張ってみましたが、無理繰りな感じが否めない…。

そして、僅かながら異変に気付く静葉様と穣子様。
そして、雛の最後の意味深な台詞の真相とは…?

全ては、作者の脳みそ内でのみ知る…。

気になる人は、今後の展開もご覧下さいね!


次回からは、またメインキャラが変わります。
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