薔薇乙女幻想録 -Legend of the dolls-【休載中】   作:豊之丞

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時系列的には、金糸雀がアリスの所に来たのと同じ位です。


第5話 博麗神社

「今日も入ってないか・・・」

 

溜め息混じりにそう呟くのは、博麗の巫女である博麗霊夢。

境内の掃除と賽銭箱の中身の確認が、毎朝の日課となっていた。

 

「もっと賽銭が集まるいい方法は無いものかしらね…、また大能楽祭でもやろうかしら?」

 

以前、博麗神社大能楽祭なるものを開催し、それなりに賽銭が集まった事があり、また開催しようかと目論んでいるようであった。

 

「でもなぁ、準備やら後片付けやらと結構大変なのよね…。 こころもこう頻繁では疲れちゃうだろうし…」

 

そんな事を考えながら、境内の掃除を続けていると不意に強風が巻き起こる。

 

「霊夢さーん!おはようございます!」

 

「あんたか…」

 

そう呟くと霊夢は上を見上げた。

 

「はい、毎度お馴染み、清く正しい射命丸です!」

 

鴉天狗のブン屋、射命丸文が鳥居からゆっくり降り立ってきた。

 

「霊夢さん、今日の新聞如何ですか?」

 

「要らないわよ、何回も言わせないでちょうだい」

 

「そんな事言わないで下さいよ、今日のは面白い記事がいっぱいですよ」

 

「何が面白いのよ! 謳い文句も記事もデタラメばかりじゃない」

 

「それは、酷いですよ…」

 

「そうじゃない、この前の異変だってバッチリ解決したのに、里の人達はほとんど知らなかったのよ? その時の新聞を見たらその記事はほんの一部しか無くて、どうでも良いような事が一面だなんて、納得いかないわ」

 

「どうでも良いって事はないでしょう? あんな笑顔な写真を撮ったら一面の載せない訳にいかないでしょう?」

 

それは先日、寺小屋で行われた運動会の記事であった。

子供達の笑顔が眩しい写真が一面を飾っていたのだ。

 

「こんなのを一面にするなんてあんたらしくないわ、どうせ慧音に何か言われたんでしょ?」

 

「実はその・・・、あっ、いえ、それはありません、誰かに脅されて書くような事は絶対無いですから…」

 

「…慧音に何か握られてるわね…」

 

ジト目で文を睨む霊夢。

 

「いえ・・・、そ、そんな事は・・・ありませんよ…」

 

顔色が変わった文を見て、絶対に何かあると霊夢は確信した。

 

「…とにかく、別に載せるなとは言わないけど、もう少し公平に扱って欲しいものね」

 

「霊夢さんの実力は幻想郷中に知れてますから、今更大っぴらに記事にしなくても…」

 

「今更って何よ? それに実力が知れてるって割には賽銭箱の中身は全然変わってないのよ? どう考えたっておかしいじゃないの!?」

 

「いや、それは私に言われても・・・」

 

「そんな事してたら、文々。新聞は買わないわよ、よっぽど花果子念報の方が面白い内容じゃないかしら?」

 

少し悪戯じみた言葉を文にいい放つ。

 

「それは無いです!あんな三下新聞が面白い訳が無いです! 文々。新聞の方が断然魅力的です!!」

 

自分の新聞の素晴らしさを必死で訴える文に、霊夢はうんざりしていた。

 

「もういい、朝っぱらから疲れたわ…」

 

「てことで、新聞を一部…」

 

「もう、分かったわよ、買えばいいんでしょ!」

 

霊夢は溜め息混じりに投げやりで答えた。

 

「ありがとうございます!流石は霊夢さんです! ではこれを…」

 

「はいはい…」

 

2人は新聞と代金を引き換えた。

 

「毎度あり! では私はまだ配達途中なんで失礼しまーす!」

 

そう言い残すと、文の姿はあっという間に見えなくなった。

 

「はぁ…、一休みしましょうか」

 

その様子を見ながら霊夢は箒を置き、母屋の縁側へと向かった。

 

 

――――――――――――

 

縁側ではお茶を飲みながら新聞に目を通している霊夢の姿があった。

 

「どれどれ…、相変わらずな内容ね」

 

どの記事も特に目新しいものは無く、興味を引くものは無かった。

 

「でも、今日は野菜が安い日なのね、後で買いに行かなきゃ」

 

人間や妖怪からの奉納(差し入れ)はあり、食うには困らないが、それだけでは心細い。

こうして、定期的に人里に赴いては食料や備品の調達をしているのだ。

尤も、財政面でも心細いので、安売りの日を狙って行くのだが。

 

「さてと…」

 

再び掃除をしようと、新聞を置き立ちあがろうとした時であった。

 

「…あら?」

 

封筒のようなものがあるのを見つけた。

 

「いつの間に…、新聞に挟まってたのかしら?」

 

その封筒には、『博麗霊夢様』と書かれており、霊夢宛のもののようであったのだ。

差出人等は一切書かれていない。

 

「あの天狗の仕業? でも、そんな感じは全然無かったし・・・」

 

首を傾げながら、霊夢はその封筒を手に取った。

 

「まあ私宛てだし、中身を確信してみるか…」

 

そう言って、封を開け中身を確信してみることにした。

中には手紙らしいものが入っていたが、書かれていた内容は予想に反するものだった。

 

 

『おめでとうございます!! 博麗霊夢様。

アナタは数多数の中から厳選されて選ばれた、とても幸運な『日本の人間』です!

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幸運の人形です! またとない機会ですよ!!

もちろん、お金は一切かかりません!!

 

アナタにお届けする人形は、薔薇乙女(ローゼンメイデン)の第5人形「真紅」です!

 

 

まきますか  まきませんか

 

 

上記の項目にチェックをしたら、返信用封筒に入れ机の引き出しに入れて保管して下さい。

人口精霊ホーリエが異次元より回収に参ります!』

 

 

「な、何よ! コレ!?」

 

明らかに怪しさ全開の文面に、霊夢の額に青筋が浮かぶ。

 

「私にこんなものを寄越すなんて、いい度胸してるわね! ていうか、勧誘するならもっと上手にやりなさいよね、こんなの子供でも引っ掛からないわよ!」

 

思わず手紙をグシャグシャにしよとした瞬間、一人の少女がやって来た。

 

「おっす霊夢! 今日も来てやったぜ!」

 

「あっ、魔理沙…」

 

それは、博麗神社によく来る普通の魔法使い、霧雨魔理沙であった。

 

「どうしたんだよ? 朝っぱらから機嫌悪そうだけどさ」

 

「悪いってもんじゃないわ! これを見てよ!」

 

そう言って、霊夢は先程の手紙を魔理沙に見せた。

 

「何だこりゃ?」

 

霊夢から渡された手紙に目を通す魔理沙。

 

「・・・フフ、ハハハハ・・・!! 何だこの酷い勧誘は? どんだけバカな奴なんだぜ!?」

 

思わず大笑いする魔理沙。

 

「笑い事じゃないわよ! 何を考えてこんな駄文な勧誘手紙を出すのかしら? 呆れちゃうわ」

 

「幸運の人形って書いてあるな、アリスに関係してるんじゃないか?」

 

魔理沙は、アリスに関係してるのではと霊夢に言った。

 

「私もそう思ったけど、アリスは上海だったでしょ? ローゼンメイデンなんて人形は無かったと思うけど…」

 

「分からないぜ、実はアリスの隠し玉って可能性もありそうだぜ」

 

「そうかしら? 仮にそうだとしても、何で私の所に来るの? それにアリスがこんな手紙送ってくるなんて思えないわ」

 

「…確かにそうだな…、ていうか、アイツは勧誘なんてしないよな」

 

2人は更に議論を続ける。

 

「この手紙はどこにあった?」

 

「多分、新聞の間に挟まってたぽいのよね」

 

「じゃあ、文か?」

 

「そうも思ったけど、そんな素振りは無かったし」

 

「分からないぜ? アイツの事だから」

 

「うーん・・・」

 

ああでもない、こうでもないと2人は議論したが、結局はハッキリしないままであった。

 

「それじゃ・・・霊夢、この誘いに乗ってみないか?」

 

「・・・はぁ!?」

 

「この手紙は回収しに来るんだろ? だったらそいつを捕まえればいい」

 

「だけど、そんなことして架空請求でもされたらどうするの? 私そんなお金無いわよ!」

 

「でも、まきませんにしたらそれで終わりになるかもしれないぞ? 一発やっちまえよ!」

 

「ち、ちょっと何するのよ!?」

 

魔理沙は、懐からペンを出した。

 

「ほら、まきますに○しちまいなよ!」

 

「止めなさい! 勝手に進めないでちょうだい!」

 

「私も協力してやろうか?」

 

そう言って、魔理沙は霊夢にペンを握らせ無理やり手を掴んだ。

 

「魔理沙、止めなさい! 勝手に書くな・・・・ああ!?」

 

魔理沙によって半ば強引に『まきますか』に○をされてしまった。

 

「よし、これでOKだな、後は待ってれば大丈夫だぜ!」

 

「・・・魔理沙ぁぁぁ!!」

 

「おっと、私は用事があるから帰るぜ、今度結果聞かせてくれよな! じゃあな!」

 

「ああっ、 魔理沙!待ちなさい! 私、本当に知らないわよぉぉ!!」

 

追いかけようとしたが、既に魔理沙は箒に跨がり飛び出していた。

怒り心頭の霊夢の叫びは、既に彼方に飛んで行った魔理沙には聞こえてなかった。

 

「もう…、どうすんのよこれ…」

 

残されたのは、『まきますか』に○をされた勧誘手紙だった。

 

「変な金銭請求されたら、アイツに全部押し付けるんだから…!」

 

霊夢の苛立ちは限界に近かった。

 

「…仕方ないわね、とりあえずこれを返信用の封筒に入れてと…、うちの机に引き出しは無いから箪笥に入れてやるわ」

 

そう言って霊夢は封筒を箪笥に閉まった。

 

「これで誰かが取りに来るのを待つだけね、妖怪だったら退治してやるわ!」

 

腕組みをしながら、ブツブツと愚痴っていた。

 

「はぁ・・・・お茶飲んだら、また掃除しようっと・・・」

 

霊夢は、再び縁側に腰を下ろした。

 

 

―――――――――――――

 

 

ゆっくりと境内の掃除をしていたせいか、時間は昼近くになっていた。

 

「さて、もうそろそろお昼ご飯の時間ね…」

 

霊夢はお昼の支度をするため、縁側から居間に入った。

外は快晴で、とても明るかったせいか居間に入った途端目が眩んでしまう。

 

『ドガッ!』

 

鈍い音がした瞬間、霊夢は足で何かを蹴飛ばしてしまう。

 

「いっ、いった――い!」

 

余りの痛さに霊夢は座り込み悶絶した。

 

「…一体何なのよ! ・・・えっ!?」

 

そこで見たのは、全く見覚えの無い鞄が置いてあったのだ。

 

「この鞄…、何?」

 

全く状況が把握出来ていない霊夢。

しかし、直ぐに我に返る。

 

「・・・っ! 来たのね!」

 

霊夢は立ちあがり、御祓い棒と博麗札を構えた。

 

「居るんでしょ? 出てきなさい!」

 

しかし、部屋の中は静まり返ったままだった。

 

「出てこないつもり? 強引にでも引きずり出してやるわよ!?」

 

だが、全く反応がない。

霊夢は怪訝な表情をしたが、次の瞬間にはそこに何も気配が無いことに気が付く。

 

「…そんな…、じゃ何で…?」

 

困惑の色を隠せない霊夢。

御祓い棒と博麗札を仕舞い、座り込んだ霊夢は再び鞄を凝視した。

 

「薔薇の紋様・・・、高級な作りね」

 

鞄を見ながら呟いた。

 

「うちの家具より立派な作りじゃないの? 何か腹立つわね…」

 

鞄を見ながら霊夢は一人愚痴を零した。

 

「何が入ってるのかしら?・・・・こうなったら仕方ないわ、中身を確認しなきゃ。 呪いの類や変なマジックアイテムだったら大変だし・・・」

 

そう言って、霊夢は鞄のロックに手をかけた。

 

『カチャッ』っという音と共にロックが解除された。

 

「以外と簡単に開いたわね・・・」

 

ゆっくりと鞄の蓋を開けていくと・・・。

 

「…えっ!? これって・・・・!」

 

霊夢が目にしたのものは、鞄の中で眠るようにして横たわっていた一体の人形であった。

 




原作での主人公同士のファーストコンタクト、どうなるやら…。
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