薔薇乙女幻想録 -Legend of the dolls-【休載中】   作:豊之丞

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かなり原作寄りな内容になったかも…


第6話 真紅

「これ…、人形よね?」

 

霊夢が目にしたのは、真っ赤なワンピースに、ケープコートとボンネット状のヘッドレス、髪の色は金色で先がカールしているツインテールの人形であった。

 

「これ、凄いわね・・・」

 

霊夢はその人形を持ち上げ隈無く見回した。

 

「私、人形の事はあまり詳しくないけど、これは凄いって分かるわ…」

 

完成度の高さにまじまじと見てしまう。

 

「服も細部まで拘ってるし・・・・あっ、見えちゃった…」

 

人形のスカートの中が見えてしまい、霊夢は顔を少し赤くする。

 

「でも、どうしよ…、これ、絶対後で何か請求されるパターンじゃないかしら?」

 

その完成度故に増々不安を感じる霊夢。

 

「はぁ、本当に今日は面倒事に巻き込まれる日ね・・・」

 

一旦人形を下ろし、片手で頭を抱えながら溜め息をつくと、鞄の片隅にゼンマイがあることに気が付く。

 

「ゼンマイ…、てことは動くみたいね、増々嫌な予感が・・・」

 

同時に、霊夢は後戻り出来ないような気もしてきていた。

 

「…もういいわ! こうなったらこの人形の螺子を巻いてひと思いに動かしてやるわ! 何か請求されたら魔理沙に全部押し付けるんだからっ!」

 

半分自棄になって、ゼンマイを手にして人形な螺子を巻こうとする。

 

「ええっと、螺子の穴はっと・・・・、これね」

 

人形の背中に螺子穴を見つけ、螺子を巻いていく。

 

カチ カチ カチ・・・・・・

 

螺子を巻く音だけが静かな部屋に響く。

 

「…これでいいわね、ちゃんと動くのかしらね?」

 

霊夢は人形を持ち上げ様子を見ていた、すると赤い光を帯び人形が動き出す。

 

「…ちょっ!? 何なの!?」

 

突然の事に驚いて、霊夢は人形を放り投げてしまう。

その人形は、赤い光を帯びながらゆっくりと立ち上がり目を見開いた。

 

「・・・えっ・・・・あの・・・・」

 

腰を下ろした状態で後退りし、言葉が出ない霊夢。

 

すると、その人形はゆっくりと霊夢に近付いてきた。

 

「・・・・・っ!?」

 

人形は霊夢に目掛け平手打ちを した。

霊夢は、それを反射的に避けて立ち上がり身構える。

 

「…なっ、何よ!?」

 

「あれを避けるとは大したものだけど、随分と好き勝手に触ったのね、人間の雄は下劣だったけど、今目の前にいる雌も相当下劣ね」

 

「…あ、あんた・・・喋れるんだ・・・・」

 

驚きを隠せない霊夢に人形は続けた。

 

「何て声を出すの、本当に下品ね。 …お前、名は?」

 

「わ、私は霊夢、博麗霊夢よ。 この博麗神社で巫女をやってるわ、・・・って、あんたこそ誰よ!?」

 

「私の名は真紅、薔薇乙女(ローゼンメイデン)の第5ドールよ」

 

「ローゼンメイデン・・・、じゃ、あの手紙の内容は本物だったの?」

 

「お前は、ホーリエの問いに応えたはずよ」

 

「・・・はっ! さっきの・・・」

 

霊夢は慌てて箪笥の引き出しを開けた。

 

「・・・・あれ? 封筒が、封筒がない!?」

 

あるはずのものが無くなっていたことに霊夢は戸惑った。

 

「…それにしても、神社とはいえ、随分と質素で汚い部屋ね。 レディが住む部屋とは到底思えないわ。私が暮らすには全く相応しくない」

 

「・・・・はっ?」

 

真紅の言う事に霊夢はまだ理解出来ていなかった。

 

「不本意だけどそうするしかないわね、お前は私の螺子を巻いてしまったのだから」

 

「ち、ちょっと! 一体何を言ってるのよ!? ここで暮らすってどういう事よ? …ま、まぁ、あんたの螺子を巻いたのは私だけど・・・」

 

「お前が私の螺子を巻いた時点で、こうなることになっていたのよ、霊夢」

 

「でも、あれは半ば強引に魔理沙にやられたのよ? 100%の私の意志では無いわよ!」

 

「だとしても、お前が巻いたという事実に変わりはない」

 

「うっ・・・・」

 

真紅の正論に霊夢は言い返す事が出来なかった。

少しだけ間を置いて霊夢は口を開いた。

それは、半ば諦めたかのような表情であった。

 

「…仕方ない、確かに私があんたの螺子を巻いたのは事実だから、私にも責任があるのは認めるわ。 でも、あんたの目的は何?」

 

霊夢が真紅に尋ねると、辺りを見回していた真紅が霊夢を見つめ言った。

 

「私がここに来た理由…、それはアリスゲームの為よ」

 

「・・・アリスゲーム?」

 

「アリスゲームというのは私達ローゼンメイデンの宿命。 それは、互いのローザミスティカを奪い合うゲーム、ローザミスティカを奪った者はアリスに一歩近づき、逆に奪われ負けた者は動く事も話す事も出来なくなり只の人形になる。そして、ゲームを制すればアリスになれ、お父さまに会えるのよ」

 

「な、何よ…、人形の癖にそんな宿命を背負っているって言うの? 大体、ローザミスティカって何よ?」

 

「ローザミスティカっていうのは、私達ローゼンメイデンの命の源で、魂みたいなものよ、人間で言えば心臓と同じかしらね」

 

「奪い合いって言ったって、それは殺し合いも同然でしょ? そんな事をするためにあんたは幻想郷に来たって言うの?」

 

「そうなるわね。 まあ、大方あのウサギが仕向けたんでしょうけど…」

 

「あのウサギ・・・?」

 

「今はそんな事はどうでもいいわ、今さっきお前が言ったこの場所の事、幻想郷の事を教えてちょうだい」

 

真紅は自分が来た幻想郷という場所に関心を持ち霊夢に尋ねた。

 

「そうね…、一応教えて置いてあげるわ。幻想郷ってのは、山奥の辺境の地に結界で隔離されだ場所の事よ、ここは外の世界で失われたものが集まる場所、簡単に言えば忘れられたものが集まる場所なの。だからは、幻想郷は人形だけでなく、妖怪や妖精、幽霊や魔法使いといった多種多様な種族が暮らす場所なのよ」

 

「…なるほど、私が今まで見てきた世界とは随分違う場所なのね」

 

「大方あんたも幻想入りしたって事じゃない?」

 

霊夢は少し意地悪く言う。

 

「どうかしらね? 私は今まで貴女の言う外の世界で住んできたけど、元々私達ローゼンメイデンの存在を知る人間は極稀で、大抵の人間は幻だと思われているわ。幻想入りしても可笑しくは無いでしょうけど」

 

表情は崩さないが、否定はしない真紅に呆気なさすぎを感じる霊夢。

 

「否定はしないのね…、まあ話を戻して人間と妖怪とでは圧倒的に力の差があるからスペルカードルールというのがあるのよ」

 

「スペルカードルール?」

 

「そう、幻想郷内での揉め事や異変を解決するための手段、人間と妖怪が対等に戦う場合は必要以上に力を出さないようにするためのルールよ、『弾幕ごっこ』と言うヤツもいるわ」

 

「…なかなか面白そうなルールね、もっと詳しく教えなさい」

 

やや上から目線で霊夢に聞く真紅。

 

「…弾幕ごっこてのは、ただの決闘だけではないの、弾幕の美しさを競うという面もあるの、詳しく事は省略するけど、殺し合いじゃないって事よ」

 

「…半分は遊びでもあるっていうのね?」

 

「そうとも言えるわね、でもあんた達ローゼンメイデンはアリスゲームという殺し合いをしようとしている。それは幻想郷のルールに反するし、異変にも繋がるんじゃないの?」

 

霊夢は怪訝な表情で睨むが、真紅は表情を変えずに言った。

 

「それは無いわ、アリスゲームはあくまで私達ローゼンメイデンの戦いなの、直接的な影響は無いし、ましてや異変を起こして幻想郷をどうこうするなんて事は毛頭無いわ」

 

あくまでもアリスゲームのためと言う真紅だが、幻想郷の秩序を乱す者は見過ごすことは出来ない霊夢は、それを鵜呑みに出来なかった。

 

「そう言われても、まだ信じられないわね。 あんたとは今日会ったばかりだし…」

 

「そうね、信用しろと言ってもその様子だと納得しないでしょうね…、でも、嘘は言ってないわ」

 

「どうするつもりなの?」

 

霊夢が真紅に対して若干威圧的に聞いた。

 

「どうもこうも無いわ、私は当初の目的通りアリスゲームをやるわ」

 

「…まあいいわ。ところでローゼンメイデンって全部で何体いるのよ?」

 

「私を含めて7体よ、中にはまだ会っていない姉妹もいるわ」

 

「そう…、本当にアリスゲームだけなら私は何も言わない。けど、それが幻想郷に悪影響を及ぼす様な事があれば、容赦なくあんた達を退治してやるわよ」

 

「ローゼンメイデンはそんなに柔じゃ無いわよ、出来るのかしら?」

 

睨み付けて言う霊夢に対して、真紅は余裕の不敵な笑みで返した。

 

「…とにかく、私はアリスゲームを制さないといけないの、だから貴女の力が必要なのだわ」

 

「私の力? どういうこと?」

 

「私達ローゼンメイデンは螺子を巻かれれば動くけど、それだけでは不十分なのよ。人間から力を貰わなければ能力を発揮出来ない。だから、お前は私と契約して下僕になってもらう」

 

「・・・・・はぁ!?」

 

その言葉に、霊夢は唖然としてしまった。

 

「私が、あんたの下僕ですって!? ふざけた事言ってんじゃないわよ!」

 

「そうやって、いつまでも駄々を捏ねるのね、見苦しいったらありゃしない…」

 

呆れたように言う真紅に、霊夢の剣幕は激しくなる。

 

「うるさいわね! 大体アリスゲームとかローザミスティカとか胡散臭い話ばかりで信用出来ないのよ! どうせ魔術かなんかで操られてるだけでしょ!? そんな人形風情が私を下僕にするなんて10年早いのよ!!」

 

「お前は自分の立場を分かっていないようね、螺子を巻いた瞬間からこうなる運命ということが…。 そして、お前はローゼンメイデンの実力を知らないからそんな事が言えるのね、無知というのは残酷なのだわ・・・」

 

溜め息混じりに真紅は呟いた。

 

「何を訳の分からない事を言ってるのよ? その手には乗らないわ! 退治してやるから覚悟なさい!」

 

霊夢は御祓い棒を真紅に向けた。

 

「しょうがないわね…、本来ローゼンメイデンは人間を苦しめたり傷付けたりする事はしてはいけないのだけど…、言っても聞かない頭の悪い人間には痛いお仕置きが必要ね」

 

真紅の目つきが僅かに鋭くなる。

 

「いいわ、お前の言うスペルカードルール、弾幕ごっことも言ったわね? それで相手になってあげるわ、尤も弾幕の美しさを競うとこまでは出来ないでしょうけどね」

 

「上等よ、あんたがその気なら手間が省けるわ。 さっさと表に出なさい」

 

そう言って霊夢は部屋から出ると、真紅もそれに続いた。

 

「詳しい事は向こうで説明するから、今のうちに覚悟を決める事ね、また封印してあげるわ!」

 

霊夢は不敵な笑みを真紅に向けた。

 

「全く…、アリスゲーム以外でこんな決闘をするなんて初めてよ。 今までの世界と違うとはいえ、目覚めて直ぐにこれでは先が思いやられるわね・・・」

 

真紅は片手で頭を抱えながら深く溜め息をついた。

 

「…でも、あの人間はなかなか出来そうな感じがするわ。ここの世界ではこれが普通なのかしら? 何にしても・・・早く終わらせましょ、ホーリエ」

 

自分の人口精霊に呼び掛け、霊夢の後を追いかけた。

 




薔薇乙女は強いですよ!

チートかもしれないですね(´ω`)
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