薔薇乙女幻想録 -Legend of the dolls-【休載中】 作:豊之丞
まだまだ、初心者ですが今年もよろしくお願いします。
霊夢と真紅は、神社の裏手にある開けた場所まで来ていた。
その間に、弾幕ごっこの事や博麗神社の役割についてそれなりに説明をしていた。
「…私の役割や弾幕ごっこに関しての説明は大体こんなものだけど、少しは分かった?」
「大体は分かったわ、貴女がこの博麗大結界を管理していて、それ故に妖怪は貴女を襲う事は出来ないが、スペルカードルールで解決したのね。 ちゃんと妖怪にも配慮している内容ね。そこまで聞いたら異変の事や幻想郷の住人の事ももっと知りたいわね」
「あんたが私に封印されなかったら、幻想郷関連の書物を見せてあげるわ」
「何となく、そう言うと思ったわ・・・」
予想通りの返事に真紅は軽く溜め息をつく。
「でも、貴女は幾つもの異変を解決してきたとはいえ、それはスペルカードルールによるものでしょ?」
「そうよ、無闇矢鱈に殺し合いはしないのが今の幻想郷。 昔みたいな殺し合いが横行すれば幻想郷のパワーバランスは崩れてしまうわ。 ・・・それであんたは何が言いたいの?」
「確かに良く考えられたらルールだけど・・・、アリスゲームと比べると随分と生温い決闘ね」
真紅の言いように霊夢はすぐに反応した。
「…そうやって、幻想郷の秩序を乱すつもり?」
霊夢が鋭い目で睨み付ける。
「そんなつもりは無いわ、アリスゲームと弾幕ごっこは全く別物。 姉妹達以外、そう貴女みたいな人間や妖怪と対峙する事があればスペルカードルールに乗っ取って戦うわ。 尤も、そんな事があればの話だけど」
「あんたが有名になれば向こうから仕掛けてくるかもね」
「売られた喧嘩は買う、でも弾幕の美しさまでは競えないかもね・・・」
「まあ、あんたの実力が本物ならいずれ出来るようになるんじゃない?」
「私の目的はアリスゲームあって、そこまで拘らないわ」
「そう…、それじゃそのアリスゲームとやらで鍛えたあんたの力、見せて貰いましょうか」
「本当にやるの? ローゼンメイデンは人間を傷付ける存在ではないのだけど・・・」
「・・・何よ?今更、命乞い?」
霊夢が不敵に微笑しながらそう言うと、真紅の表情も変わった。
「…仕方ないわね、お前のような人間は痛い目に遭わないと理解しないのね。全く、私が下僕にしようとする人間は本当に素直な子が少ないわね…」
「うるさいわね、あんたの下僕になんかなる訳無いでしょ!」
またも霊夢は真紅を睨むが、真紅は呆れ顔だった。
「はぁ…、言っても無駄ね…」
「…とりあえず、今回のルールを確認するわよ。制限時間は10分、スペルカードの枚数は三枚。 私のスペルカードが全てブレイクか弾幕か攻撃を三発当てられたらあんたの勝ち」
「逆に私がお前の弾幕に三発当たったら、お前の勝ちという事ね」
「そういうこと」
「肉弾攻撃もありなのかしら?」
「ええ、多少ならね…」
「私が勝ったら、問答無用で契約してもらうわよ」
「いいわ、あんたが勝てたら言われた通りにしてあげるわ、但し私が勝った時は・・・分かってるわよね?」
売り言葉に買い言葉が2人の間で交わされた。
「フッ、よーく分かったわ、無駄話は止めて早く始めましょう、人間…」
どこか余裕を感じる真紅の表情に、霊夢の怒気が高まる。
「…二度と喋れないように退治してやるわ・・・」
霊夢は御祓い棒を構え臨戦態勢に入った。
「(本当に早く終わらせないと…、契約してない状態で力を使いすぎるのは危険だわ…)」
心の中でそう思っている真紅に、霊夢が仕掛けてきた。
「はぁっ!」
霊夢が数枚の御札を投げてくる。
「フッ!」
真紅がそれをさけると、霊夢はすぐに飛び上がり御札とショットを放ってくる。
「飛べるのね、ただの人間ではないとは思ったけど…」
それを見た真紅は、弾をかわしながら飛び上がった
「なるほど、これが弾幕ってやつね。なかなか一筋縄ではいかなそうだけど、避けれない程じゃない…」
真紅の動きは軽く、まるで散る花びらをかわすような華麗な動きであった。
「仕方無いわね、…ホーリエ!」
真紅がホーリエを呼ぶと、赤い光と共にピンク色のステッキが現れ、真紅はそれを手にした。
「…一体何なのよ、その赤いの?」
それを見た霊夢は、少し驚きながら真紅に聞いた。
「これは私の人口精霊のホーリエよ、日常の世話から戦闘の補助をしてくれる優秀な子なのだわ」
「ふーん・・・、まあ何にしても私には通用しないわよ?」
霊夢はぶっきらぼうに言い放つ。
「この子を侮ると痛い目に遭うわよ…」
真紅は不敵な笑み浮かべた。
「やってみなさい!行くわよ!」
霊夢は、スペルカードを手にした。
「夢符「封魔陣」」
スペルが宣言されると、無数の御札と弾幕が真紅に襲いかかった。
「こ、これは…!」
先程とは比べものにならない攻撃に、真紅の動きも激しくなる。
「これがスペルカードの弾幕…、なかなか凄いわね」
避ける事に手一杯ではあったが、その攻撃を少しずつ解析していく。
「なるほど、弾幕ってものが少しは理解出来たわ」
「こんなもんじゃないわよ、まだまだよ!」
霊夢から無数の弾幕が放たれ続ける。
それを真紅は確実に避けていく、その動きは何度も弾幕ごっこをしてきたかのように手慣れたものにも見えた。
「弾幕ごっこは始めてのくせに、よくそんな避け方が出来るわね…」
霊夢が関心しながら真紅に言った。
「アリスゲームはもっと激しいわよ、でも弾幕ごっこも凄いわね。ここまで凄いのに『ごっこ』って呼べるのかしら?」
「当たると怪我はするけど、殺傷能力までは無いわよ」
その言葉に、真紅は納得したかのように頷いた。
「そういう事ね、殺傷能力が無いから『弾幕ごっこ』か…、面白いわね、この戦いは」
「関心してる暇はあるの? まだ終わってないわよ!?」
そう言う霊夢から次々と御札と弾幕が放たれてきた。
「くっ…! 相当な量ね…!」
御札がすぐ脇を掠めるも、真紅は弾幕を避け続ける。
すると、光弾が消えていく。
「…何!?」
「スペルカードブレイクよ」
霊夢は一枚目のスペルが終了したことを真紅に告げた。
「そう…、それじゃ私も…」
真紅がそう言うと、翳した掌から無数の花弁らしきものが散り出す。
「・・・何が始まるの・・・?」
すると、散っていた花弁が突如光の弾に変わり霊夢目掛けて飛んできた。
「・・・っ! 弾幕!? …チッ!!」
霊夢もすぐその弾幕を避けた。
「…あんた、弾幕出来るんじゃない…」
「さっきの貴女の弾幕を見て、それを応用したのよ。 これ位なら私にも出来るわ」
真紅の掌から出る花弁は、次々と光弾に変わり霊夢へと襲う。
「やるわね、でもそれ位じゃまだ余裕でかわせるわよ?」
そこは百戦錬磨の霊夢、真紅から放たれる弾幕を次々とかわしていく。
「…これだけじゃ無いわよ?」
そう言うと、真紅はステッキを構える。
それから、何と弾幕が放たれた。
「くっ…!これも応用だと言うの? エラく万能な人形ね!」
相手のペースに陥り気味で霊夢は苛立っていた。
「もう!次行くわよ!」
霊夢はまたスペルカードを手にした。
「神霊「夢想封印 瞬」」
弾幕と御札を移動しながらバラまき、その弾幕が真紅を包囲するよう迫ってきた。
「これは…、反撃が難しいわね・・・」
そう言って、ひたすら弾幕を避ける真紅。
それでも容赦ない弾幕が真紅に迫り、流石の真紅も焦りが見えた。
「キリが無いわね…!」
その真紅の僅かな隙を霊夢は見逃さなかった。
「甘いわ!」
その瞬間に、霊夢から御札が放たれる。
「・・・っ!? ホーリエ!」
ホーリエを呼び、御札に対応させるも、その瞬間に御札が爆発を起こす。
「うぐっ…!」
明らかにダメージを受け顔を歪める真紅。
たが、それで終わらないのが真紅である。
爆発で霊夢との視界が遮られた隙を見逃さない。
「フフ、どう? 今なら降参しても良いのよ・・・・・って、あれ?」
霊夢の視線の先には真紅の姿はなかった。
「ど、何処にいったの?」
慌てて四方を見回すも真紅はいない。
「・・・っ!?」
次の瞬間、凄まじい殺気に霊夢は上を向いた。
それは、ステッキを振りかざし、恐ろしい程のスピードで迫る真紅であった。
「・・・なっ!」
真紅は振りかざしたステッキを霊夢へ叩き込もうとする。
「くっ!」
霊夢は御祓い棒でそれをしのぐ。
「はぁっ!」
真紅は、ステッキで更に打撃を加えようとする。
「はっ!」
それを再び御祓い棒で返す。
カーンっ! カーンっ!
ステッキと御祓い棒がぶつかり合う音が響き、決死の攻防が続く。
「うぉぁぁ!」
霊夢が御祓い棒を真紅の腹部に入れようとして、それをステッキで防御する。
僅かに間に合いができ、霊夢は懐から博麗札を出すが、
「はぁぁっ!」
その瞬間、真紅は回し蹴りを放つ。
その蹴りは、札を持つ霊夢の左腕を捉えた。
「…うわぁっ!」
その衝撃で札を落としてしまい、痛みに顔を歪める。
だが、それに怯まず再び御祓い棒を振りかざす。
「…まだよ!!」
霊夢は叫び、打撃を加える。
「…しつこいわねっ!」
真紅も直ぐに応戦した。
僅かな時間ではあるが、打撃の打ち合いが続いた。
その2人の表現は、正に鬼気迫る形相であった。
「そらっ!」
霊夢が高々と御祓い棒を叩き込もうとした瞬間、真紅は間一髪それを避け長い髪を鞭のようにして攻撃してきた。
「…チッ!」
その攻撃を霊夢も間一髪かわし距離を取る。
「そこよ!」
真紅は再び掌から薔薇の花弁を散らせ弾幕攻撃を仕掛ける。
「まだまだ!」
真紅の弾幕を避けながら、霊夢は真紅との距離を詰める。
「こっちもよ!」
弾幕を避けながらも霊夢はショットを放った。
「フフ、頑張るわね…」
お互いの弾幕が入り乱れる。
そして、弾幕の僅かな合間から霊夢は数枚の御札を放つ。
「その攻撃なら余裕・・・?」
真紅が余裕を持って避けようした時には霊夢はそこまで迫っていた。
「あの御札は…!」
最初から、霊夢の陽動であった。
「うらぁぁ!!」
霊夢の蹴りが真紅に放たれた。
「…うわぁ!?」
間一髪でステッキを使いそれを防御したが、その衝撃で吹き飛ばされてしまう。
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
2人は肩で息をしており、体力を消耗しきっていた。
「やるわね、人間…、アリスゲーム以外で私をここまで苦しめたのは、お前が初めてよ…」
「あんたこそ、人形風情の癖に腹立つ位に強いわね…。あんたの実力なら幻想郷でも普通にやっていけるわよ」
「でも、契約しなければ私の実力は発揮されない、お前の力はどうでも必要なのよ、それだけの力があれば私はきっとアリスゲームを優位に進める事が出来るわ」
「呪いの人形に私の力は使わせないわ、封印するまでよ…」
「まだそんな事を言ってるのね、目の前で起きている事を素直に受け入れないのは視界が狭い証拠、損をするのは自分なのよ?」
「・・・うるさいっ!!」
真紅の会話を楽しんでいるように思えたがに、最後の言葉に霊夢は思わず怒鳴った。
「次で・・・、終わりにする!」
「そうね…、そろそろ終わりにしましょう…」
霊夢は最後のスペルカードを出した。
霊夢のスペル宣言に真紅は身構える。
「(この人形とこれ以上戦うのは拙い…、本当に次で終わりにしなきゃ…)」
「(本当に終わりにしないと、これ以上は私の体力が…)」
自分の体力が限界に近い事を2人は感じ、次が最後と覚悟を決める。
「神霊「夢想封印」!」
「来たわね・・・、いい加減痛い目に遭って貰うわ!」
わずかな体力で、2人は最後の勝負に撃って出た。
結局、この回では終わらなかった…。