パターン1:老夫婦宅に娘として鶴が来る
パターン2:若者の家に妻として鶴が来る
パターン3:老爺の家に娘として鶴が来る
※出典:Wikipedia
鶴の「恩とか返さなくていいから幸せになってくれ」
あるところに一人の男がおりました。
小高い丘からぼぅっと海のほうを眺めていると、赤く美しい小さな鶴が見えました。
鶴は足に罠をぶら下げながらも歯を食いしばり、誰よりも高く速く精一杯飛んでおりました。
男が「どうにかしてあげたい」と思っていると、いつの間にか浜辺にいることに気が付きました。
男は鶴を待ちながら知恵を絞り道具を集めました。
やがて鶴が飛んでくるとすぐさま駆け寄り、食事を与え手厚く看病しました。
男は鶴を自分の娘として大層可愛がりました。
身を削り真摯に自分に尽くす男に鶴は疑念を覚えましたが、そのうち居心地の良さに流されるようになります。
男は自分がやっていることはただの一時凌ぎであることを理解していました。
男の手当てでは深く食い込んだ破片を取り出すことはできないからです。
しかし鶴が元気になれば、大人になれば、そんな破片など気にならなくなるはずです。
そう信じて男は娘の心を満たそうとしました。
すっかり懐いた鶴は美しい娘の姿で男に求婚しに来ました。
しかし男はそれを断ります。
男は裕福ではありませんでした。
男は優秀ではありませんでした。
男は剛力ではありませんでした。
男は美しくはありませんでした。
男は優しくはありませんでした。
男は誠実ではありませんでした。
男はズルをしていました。
男は鶴に脳を焼かれていました。
男はただ……。
鶴に自由に空を舞ってほしかった。
鶴が自分を愛せるようになってほしかった。
鶴を自分のあばら家に閉じ込めてしまいたくなかった。
鶴の自由な選択を邪魔したくなかった。
だから鶴の父親として彼女を愛しました。
だから鶴の友の親子を仲直りさせました。
だから鶴を守るための対策を講じました。
その努力はむなしく、鶴は恐ろしい物の怪の呪いによって成長を封じられました。
鶴は大人になることができません。
しかし鶴はずっと娘のままでいられます。
鶴は苦しみ喜び悩み泣きました。
男はそんな鶴を支え続けました。
鶴はそんな男に支えられて物の怪と戦いました。
すべての物の怪を倒して、世界に平和が訪れると鶴はぱたりと飛ぶのをやめました。
男は広い世界を見せるために飛ばなくなった鶴を旅に連れて行きました。
飛ぶ必要がなくなった鶴は男と旅に出ました。
長い長い旅を終えた鶴と老爺は故郷へと帰ってきます。
鶴は男と
そう最後に語りあった二人は仲良く天へと昇っていきました。