俺はアスカのパパになりたい!   作:アレデルトロン

12 / 12
1-10 俺の戰い

緊急アラートが鳴る。

ああ。最強の拒絶型か。

 

俺の知ったことじゃないな。

 

 

俺はアスカのいる部屋の監視室に泊まり込んでいた。

栄養優先のレーションを水で流し込んで、シャワー室を借りて、寝袋で寝る。

生活に不自由はない。

一日中アスカが入った箱を見続けるだけの日々だ。

 

 

 

「キョウキチさん。……やっぱりずっといたんですね」

背中に声がかかる。

 

「ああ。シンジ君か。……倒したんだね。ありがとう」

戦闘配置が解除されたということは使徒の殲滅が完了したということだ。

 

「あ……その大丈夫ですか?帰ってないみたいだし……」

 

「俺は大丈夫さ。それより君のほうこそ怪我はないかい?」

ここでようやく彼に向かい合うことができた。

 

「僕も綾波も無事です。……でも、2号機が」

おお。ニアサーが起きてないと思ったが、二人とも無事か。めでたいな。

 

「……2号機?パイロットはどうしたんだい?」

たぶんマリ。おそらく。

 

「パイロットは不明だったんですけど、動いてて。通信も通じなくて。もしかしたら…って思って……」

しかしそれを知らないということは、彼女は上手く雲隠れしたようだ。

 

「アスカは出てきてないよ」

 

「そう……ですよね。すみません」

シンジ君は本当に空気を読むなぁ。

ぬか喜びも事実も人を傷つけることを知っている。

 

……。

彼に心配をかけてるようじゃダメだな。

アニメ版は大人の余裕のなさが彼を追い詰めたんだから。

 

「けど魂だけで動かしたかもしれないぞ?」

 

「あはは……アスカなら本当にやりそうですよ」

俺の冗談に少しほっとしたような顔で作り笑いを浮かべる。

 

「ああ。ありがとうな」

気を詰めても仕方ない。

信じろ。アスカを信じるんだ。

 

 

 

 

 

「キョウキチくん?少しいいかしら」

それから数日。

やっぱり俺はアスカの前から離れられずにいた。

 

「赤木博士!……何か分かったんですか!?」

 

「彼女の状態だけど……」

 

「はい」

心臓が早鳴る。

 

「前言った通り細胞組織の浸食跡は消えているわ」

 

「はい」

そう。そこまでは分かっている。

 

「精神汚染の可能性もまだ残っているから隔離処理は続けるのだけど……」

 

「けど?」

 

「この数日で分かったことがあるの」

 

「何でしょうか?」

正常であってくれ。

精神は起こしてみないとわからないけど、肉体は問題なしって。

 

「浸食ではなく進化。いえ共生と呼ぶべきかしらね。……肉体がヒトの枠組みから外れてきているわ」

 

「……。それは……どういう?」

背中に嫌な汗が伝う。

 

「疑似的な使徒化。左目に埋め込んだ封印柱によって浸食は抑えてるけど、体内に供給されるエネルギーまでは遮断しきれなかったの」

 

「つまり……?」

……本当は聞きたくない。

シンジ君の救出もシンジ君パパの勇気も俺の奔走も無駄だったってことになる。

そして何よりアスカが……。

 

「彼女は外部からのエネルギー補給を必要としない。棺の中は温度を下げてコールドスリープに近い状態にしてるけど、睡眠も本来不要なはずよ」

 

「食事と睡眠が不要……ってことですか?」

エヴァの、呪縛だ。

ちくしょう。……ちくしょう!

ニアサードは防げたんだぞ?どうしてアスカばっかり!?

 

「それと生殖も……ね。」

 

「へ?」

やばい。マジで一瞬口の閉じ方忘れた。

初耳だぞ?それ。

 

「今の彼女には必要ないのよ。……S2機関があるアスカは細胞が老化しないわ。つまり子孫を残す必要がないの」

 

「寿命が非常に長い植物でも子孫は残しませんか?」

ない知識を振り絞ってそれっぽい反論を試みる。

 

「そうね。でも既知の生物の常識は使徒に通用しないわ」

 

「そう…ですか」

あぁ……。

 

生物の三大欲求だぞ?

あの一瞬で、だぞ?

止めれなかった俺の判断ミスだ。

上手くいきすぎて調子に乗ってたのかもしれない。

今回もきっとうまくいくって……。

 

「また何かわかったら伝えるわ」

 

「ありがとうございます。……あの、もしコンタクトする実験があれば俺を使ってください」

一手でも一歩でも彼女に。

 

「……分かったわ」

 

「精神汚染を調べるには知っている人間に接触するのが手っ取り早いでしょう?」

 

防護服なしで会いに行くくらいなら余裕だろ。

シンエヴァで復活してるし。

 

もし食い殺されても……。

いやそれは逃げでしかないか。

自己満足で死ぬのは卑怯でしかないな。残されるアスカの事を考えてない。

 

 

 

さて……。

じゃあ、このままここにいるのは彼女のためか?

それとも自己満足か?

 

俺に出来ることはあるか?

この変化(原作崩壊)してしまった世界で俺に……。

 

ああ。変化したのは世界か。

ヒトじゃない。

 

ならば俺がやるのは……。

 

 

 

 

 

「で、結局奥さんのことどう思ってるんですか?」

 

「ユイにはっ!……置いていかないでほしかった。……ただ、それだけだった」

 

適当な口実でシンジ君パパと宅飲みに成功。店だとセキュリティがね。

てかこの人ストレス溜めすぎてアルコールにめっちゃ弱いな。

 

「でもゲンドウさんは再び会うための糸口みたいなのあるんでしょ?」

 

「……そうだ。人類の魂を単一にすることでユイと私は再び会える」

 

「目的がしっかりしてるから淀みないんですね。あ、だし巻き卵でも」

 

「そうだ」

むしゃり――。

そしてもう一つ。

 

「ふんふん。サルベージはうまくいかなかったから人類の形を変えることにしたと……」

 

「ああ」

 

「ゲンドウさんが会いに行くのは出来ないんですか?」

 

「どういう意味だ?」

 

「同じ方法で……ですよ」

第13号機とはなんかリンクしてたんだし。

この方法が考えつかないわけがない。

 

「ダイレクトエントリーか……。だがそれは……」

 

「怖いですか?」

もし理由があるならこれだ。

 

「……」

 

「大丈夫ですよ。すべて終わった後でなら奥さんも受け入れてくれますって」

①ユイさんに拒絶される恐怖

絶対奥さんから来てもらってばっかりだったから今までのシンジ君パパにその勇気はないだろう。

 

「すべて……」

 

「シンジ君を守るために奥さん初号機に入ったんでしょう?」

②まだやることがあるのでユイさんが拒否

このパターンもある。そりゃできないよ。

 

「襲来する使徒を殲滅した後か?だがそれは……」

 

「うーん。孫の成長を見届けた後とか?」

 

「孫……?」

 

「ええ。シンジ君モテますから。孫娘とか生まれたらきっと可愛いですよ」

 

「……」

遠い目をしている!

サングラスで分かりにくいけど。

 

「使徒を倒して後処理してるうちにすぐですよすぐ!」

 

「……そうか」

 

「そうですよ。孫の写真、奥さんに見せて自慢したくないですか?」

 

「……」

 

「奥さんがシンジ君を直接守り、ゲンドウさんがその手助けをする。……家族の力で救った世界の未来は明るいほうがいいでしょ?」

人類への貢献度が非常に高い一家だ。

シンエヴァも『父が場を整えて、息子が世界をループから解放した』ともいえるので途中のやらかしはチャラだろう。

 

「その未来は来ない。……知恵の実を食べた人類は使徒に滅ぼされる定めだ」

 

「殲滅したあとにまた来るってことですか?」

 

「ああ」

 

「科学は進歩する。人類は負けませんよ。それに……二人が一緒になって守ってくれるでしょう?」

コアに二人分の魂があればパイロットもいらないのでは?

でS2機関を取り込めばあとはどうとでもしてくれるでしょ。

 

「……ああ」

杯を傾けた後噛みしめるようにシンジ君パパは言った。

 

「……。よろしくお願いします」

彼の大人の顔に俺は真面目に頭を下げる。

 

覚悟には敬意を。

不愛想で勘違いされやすい彼には必要なものだと思う。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

勝ちヒロインのアスカさん(作者:唯野あかつき)(原作:新世紀エヴァンゲリオン)

アフターシンエヴァ小説です。もちろん映画を見たほうが楽しめますが見てなくても多分大丈夫(ほとんどが作者の強火妄想だから。)▼LASがほとんどです。他CP絶対の方は読まないほうがよいかと…。もちろん読まれてもいいとは思います。▼別シリーズとも繋がる設定になる予定…でしたがパートを分けて同じシリーズで出します。▼第一部 帰還編 完結▼第二部 逆行編 連載中▼Pi…


総合評価:49/評価:-.--/連載:7話/更新日時:2026年03月28日(土) 10:20 小説情報

碇シンジはもう一人の自分(♀)に恋をする(作者:崖の上のジェントルメン)(原作:新世紀エヴァンゲリオン)

第12使徒レリエルが作り出したディラックの海からの帰還時、エントリープラグ内には碇シンジともう一人……彼と瓜二つな女の子が乗っていた。 ▼その名は、碇レイ。 パラレルワールドのサードチルドレンだった。 ▼親も境遇も環境もほとんど同じだった二人は、自分にしか分からないと思っていた悩みや苦しみを唯一共有しあえる仲となり、次第に打ち解け合い、心の距離を縮めていく……


総合評価:23/評価:-.--/連載:7話/更新日時:2026年05月26日(火) 20:02 小説情報

カナリィ?....もう私のことなんて覚えてないでしょ(作者:はんぺんの素揚げ)(原作:ポケットモンスター)

私と違って、自分の夢に一途で、それでいて叶えちゃったんだ。もう遠い存在。会うことは無いだろうけど、応援しているよ。▼もう忘れたであろう貴方の幼馴染より。


総合評価:238/評価:8.75/連載:2話/更新日時:2026年03月13日(金) 01:52 小説情報

赤龍帝に憑依転生した者(作者:自堕落無力)(原作:ハイスクールD×D)

 この物語は『ハイスクールD×D』の主人公、兵藤一誠に憑依する形で『ハイスクールD×D』の世界へと転生した男の話である。▼ ※Pixivでも投稿しています。


総合評価:2545/評価:7.07/連載:108話/更新日時:2026年05月25日(月) 13:43 小説情報

機動戦士Gundam GQuuuuuux 逆転した世界:Re(作者:ボルメテウスさん)(原作:ガンダム)

死んだはずの男は、戦争が「勝者ごと」違う宇宙世紀に落ちていた。▼サイド6で目覚めたランガ・ロードは、存在しない英雄と、塗り替えられた戦史を知る。▼そして何より、失ったはずの幼馴染マチュが“ここでは”生きている事実に触れてしまう。▼この世界の平和は甘く、警備は脆く、裏側には難民と違法競技が根を張っていた。▼ランガは自分の異物性を隠しながら、封印されたペイルライ…


総合評価:349/評価:7.25/連載:56話/更新日時:2026年05月27日(水) 01:30 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>