俺はアスカのパパになりたい!   作:アレデルトロン

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1-13 まごころだけを君に

「夕日で赤く染まる海を見てると思い出すな」

 

「パパ…またそれ?」

 

「ボケちゃいないぞ?……ただ戻ってきたんだなって」

 

「それも何回も聞いた」

そうあきれつつも目もとは笑っているぞ。

 

「でもあたしもそう思う」

 

「おかえりアスカ、第三東京へ」

 

「おかえりパパ」

いかんな。涙腺が緩くなって可愛い娘の表情が読めない。

しょうがない身体だ。

 

暗い潮風に涙の跡を舐められると、思い出したように体がきしんだ。

 

「もう帰ろうか……老骨に海風は厳しい」

 

「ええ」

アスカが差し出した手に引かれる形で帰路につく。

はたから見れば祖父と孫娘だろうな。

 

各地を旅したがやはり終の棲家は始まりの場所がいいと思い立ち、数か月前に越してきた。

芦ノ湖の南にある小屋だ。

海までの直通便が近くにあり、夜になると湖越しに第三東京の明かりが見える。

あの絢爛は今の俺には少し厳しい。そして何より目的にそぐわない。

 

そういう訳でネルフに違法改築してもらったこの小屋が我が家だ。

 

 

 

 

 

「アスカ……。ごめん…ありがとうな」

 

「もう!謝らないでって言ってるでしょ?」

 

「分かってる…。分かってるんだけどさ」

 

俺はアスカと手をつないで鍵付きの部屋に入った。

ベッドがあるだけの一見簡素に見える狭い個室。その実ほぼシェルターだ。

 

柔らかな明かりのもと彼女を抱き寄せる。

 

「アスカ、愛してる」

俺の最後の言葉はやっぱりこれだ。

 

「何度も言ってきたけどこれ以外思いつかない」

 

「パパはどんな時でもずっとアスカを愛している」

 

「うん…パパ…」

彼女は涙をこぼして何度もうなずいた。でも同時に笑顔だった。

俺も同じだった。負の感情を流し切って純粋な幸せになろうとする。

 

「パパ…あたしからもいい?」

 

「あぁ…もちろん」

 

「……最後にキスして?」

 

「いいよ」

いつものように額にキスをした。

 

「ん……こっち」

少しむくれながら唇をツンと突き出してくる。

 

「そ、それは……」

 

「最後のお願い……ね?」

目を閉じた顔が近づいてくる。

 

俺はようやく、ようやくその思いを迎えに行くことができた。

 

……。

40年以上損してたかもしれん。

 

いや違う。そうじゃない。そんな資格は俺にはない。

アスカには悪いことをした。

こんな男以外信じられない身体にしてしまって……。

いや、いかんな。今さら後悔は不要だ。

 

「愛してる。愛してるよアスカ」

 

「あたしも……あたしも愛してるパパ」

 

最後のキスはとんでもなく長かった。

数分どころじゃ収まらず、息継ぎをし、キスをし、思い出を語り、そしてまたキスをして。

 

最後の最後に二人でスイッチを押した。

 

二人につけた首輪が起動してくるくると首の周りを回り始める。

 

俺たちは強く抱き合い唇を重ねたまま胴体とお別れをした。

 

 

 

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