俺はアスカのパパになりたい!   作:アレデルトロン

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2-2 A transfer

「碇シンジです……」

 

シンジ君が転校してきた。

エヴァのパイロットだということがクラス中にばれる。

「転校生ちっと面貸せや」

 

以上の3本立て。モブの俺には今のところ出番なし。

 

そんなことよりトウジにシンジ君が殴られる場面だっけ…?

一応見に行っとくか。

 

俺が到着するや否や問答無用パンチで後ろにぶっとぶシンジ君。

 

「すまんな転校生。ワシはお前を殴らないかん……殴っとかなきゃ気が済まへんのや」

拳パキパキ言わせてるけど、お前殴ったあと手、震えてたぞ?

いや逆か。殴り慣れてないから拳に違和感があるのか。

 

「悪いね、こないだの騒ぎであいつの妹さん、怪我しちゃってさ。…ま、そういうことだから…」

ケンスケ……。

腰ぎんちゃくみたいなポジションしてるけど、友達の妹がケガしても一緒になって殴らずに説明できるのは出来てるよな。

 

「…僕だって…乗りたくて乗ってるわけじゃないのに……っ」

小声だがハッキリと聞き取れる声。

 

彼からしたら事実なんだけど、なぁ…。

 

ほら…トウジが足を止めた。

 

そして後ろからついてきてたケンスケをどかして、上体を起こしたシンジ君の傍に。

胸ぐらをつかんで向かい合う。

 

目を合わせないシンジ君に拳を握って――。

 

「ストーープッ!!」

こちとらジジイだ。ガキに曲がったことをさせるわけにはいかない。

 

「あ?なんやキョウキチ転校生の肩もつんか?」

 

「……トウジ。一発目は何のために殴った?」

 

「そりゃケガしたサクラの分や」

 

「じゃあ二発目は?」

 

「そりゃこいつが……」

 

「自分の怒りを発散させるためか?」

 

「……」

 

「その一発を打てばお前の拳は軽くなる。お前は妹思いじゃなく暴力で訴える奴になる」

 

「…チッ!」

 

トウジは踵を返して校舎のほうに歩き始める。

手を離されたシンジ君は尻もちをつく。

 

「……キョウキチ。お前…なんか変わったな」

トウジは通り過ぎて行ったが、ケンスケは声をかけてくる。

 

「へっ、カッコつけて生きることにした」

ま、14の俺が70の俺になったわけだからな。

 

「…そうか。頑張れよ」

 

「おう」

 

俺はそのまま()()()のもとに歩いてゆく。

 

あー。ケンスケにしてやられた。

さっきは咄嗟に出た老婆心だったが、早くも余計なことをしないわけにいかなくなっちまった。

 

「転校生、俺からもケジメだ…」

 

「……」

顔は背けたまま目線だけはこっちに。さっさとしろとでも言いたげだ。

 

「助かったありがとう!」

俺は頭を直角に下げた。

 

「……へ?」

 

「転校生はこの町の恩人だ」

 

「……僕じゃない」

 

「うん?」

 

「なんだかよく分からないうちに勝ったことになってたんだ!」

 

シンジのお母さんがハッスルしてボコボコにしただけだもんな。

やだよあんな戦い方するお母さん。叫びながら前宙で敵に飛び掛かるんだもん。

 

「俺が感謝してるのは結果じゃない」

腰の角度そのまま頭だけ彼のほうを向く。

 

目が見開らかれたのを見た。

上々。

 

「お前の選択に俺は感謝したんだ」

地面に座ったままのシンジに俺は手を差し伸べる。

 

「……あの時はしょうがなくて……」

手は動いたがこちらに伸びてくることはない。

 

「すべての選択は自分の手に」

 

悪いがこれは呪いだ。

ニアサーの真実を知ったシンジを苦しめ、フォースを起こしそうになったシンジを苦しめ、最後の決断に追い込むための呪いだ。

 

「そんな風に言えるなんて君は凄いんだね……」

 

お前だって世界を犠牲にレイちゃんを救う選択をするし、自分を犠牲に世界を変える選択をする。してもらう。

 

「そんなことはないぞ。誰に何と言われようと乗らずに操縦しないこともできただろう?それは選んだってことだ」

 

「……」

 

「ここで俺の話を聞いてるのもお前の選択だ。俺の手を掴むも掴まないもな…」

 

「……」

シンジが俺の手と自分の手を見る。

 

「もしかして目的か?……モテたかった。褒められたかった。英雄になりたかった。はたから見てる分にはどうでもいい」

 

「だが……友人としては聞いてみたい。お前がどんな人間なのか」

 

他人は結果を褒め、友人は過程を励まし、親は全てを認める。

そして老人はお節介で、大人は目的の為に犠牲をいとわない。

 

「平丘キョウキチだ。キョウキチでいい。よろしくな」

再度手を伸ばしなおす。

 

「……碇。碇シンジ…よろしく……」

 

シンジはまた一つ選択を重ねた。

 

 

 




NERV第3支部――。
「君に新たな指令が下った」

上官から手渡された指令を奪うように受け取った少女は内容をまじまじと確認する。

「どれどれ……アメリカ……エヴァ最新機……パイロット!?」

「移動は三日後だ。幸運の片道切符になることを祈る」

当然だ。やっぱりあたしは特別なのよ!


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