俺はアスカのパパになりたい!   作:アレデルトロン

17 / 17
2-2 A transfer

「碇シンジです……」

 

シンジ君が転校してきた。

エヴァのパイロットだということがクラス中にばれる。

「転校生ちっと面貸せや」

 

以上の3本立て。モブの俺には今のところ出番なし。

 

そんなことよりトウジにシンジ君が殴られる場面だっけ…?

一応見に行っとくか。

 

俺が到着するや否や問答無用パンチで後ろにぶっとぶシンジ君。

 

「すまんな転校生。ワシはお前を殴らないかん……殴っとかなきゃ気が済まへんのや」

拳パキパキ言わせてるけど、お前殴ったあと手、震えてたぞ?

いや逆か。殴り慣れてないから拳に違和感があるのか。

 

「悪いね、こないだの騒ぎであいつの妹さん、怪我しちゃってさ。…ま、そういうことだから…」

ケンスケ……。

腰ぎんちゃくみたいなポジションしてるけど、友達の妹がケガしても一緒になって殴らずに説明できるのは出来てるよな。

 

「…僕だって…乗りたくて乗ってるわけじゃないのに……っ」

小声だがハッキリと聞き取れる声。

 

彼からしたら事実なんだけど、なぁ…。

 

ほら…トウジが足を止めた。

 

そして後ろからついてきてたケンスケをどかして、上体を起こしたシンジ君の傍に。

胸ぐらをつかんで向かい合う。

 

目を合わせないシンジ君に拳を握って――。

 

「ストーープッ!!」

こちとらジジイだ。ガキに曲がったことをさせるわけにはいかない。

 

「あ?なんやキョウキチ転校生の肩もつんか?」

 

「……トウジ。一発目は何のために殴った?」

 

「そりゃケガしたサクラの分や」

 

「じゃあ二発目は?」

 

「そりゃこいつが……」

 

「自分の怒りを発散させるためか?」

 

「……」

 

「その一発を打てばお前の拳は軽くなる。お前は妹思いじゃなく暴力で訴える奴になる」

 

「…チッ!」

 

トウジは踵を返して校舎のほうに歩き始める。

手を離されたシンジ君は尻もちをつく。

 

「……キョウキチ。お前…なんか変わったな」

トウジは通り過ぎて行ったが、ケンスケは声をかけてくる。

 

「へっ、カッコつけて生きることにした」

ま、14の俺が70の俺になったわけだからな。

 

「…そうか。頑張れよ」

 

「おう」

 

俺はそのまま()()()のもとに歩いてゆく。

 

あー。ケンスケにしてやられた。

さっきは咄嗟に出た老婆心だったが、早くも余計なことをしないわけにいかなくなっちまった。

 

「転校生、俺からもケジメだ…」

 

「……」

顔は背けたまま目線だけはこっちに。さっさとしろとでも言いたげだ。

 

「助かったありがとう!」

俺は頭を直角に下げた。

 

「……へ?」

 

「転校生はこの町の恩人だ」

 

「……僕じゃない」

 

「うん?」

 

「なんだかよく分からないうちに勝ったことになってたんだ!」

 

シンジのお母さんがハッスルしてボコボコにしただけだもんな。

やだよあんな戦い方するお母さん。叫びながら前宙で敵に飛び掛かるんだもん。

 

「俺が感謝してるのは結果じゃない」

腰の角度そのまま頭だけ彼のほうを向く。

 

目が見開らかれたのを見た。

上々。

 

「お前の選択に俺は感謝したんだ」

地面に座ったままのシンジに俺は手を差し伸べる。

 

「……あの時はしょうがなくて……」

手は動いたがこちらに伸びてくることはない。

 

「すべての選択は自分の手に」

 

悪いがこれは呪いだ。

ニアサーの真実を知ったシンジを苦しめ、フォースを起こしそうになったシンジを苦しめ、最後の決断に追い込むための呪いだ。

 

「そんな風に言えるなんて君は凄いんだね……」

 

お前だって世界を犠牲にレイちゃんを救う選択をするし、自分を犠牲に世界を変える選択をする。してもらう。

 

「そんなことはないぞ。誰に何と言われようと乗らずに操縦しないこともできただろう?それは選んだってことだ」

 

「……」

 

「ここで俺の話を聞いてるのもお前の選択だ。俺の手を掴むも掴まないもな…」

 

「……」

シンジが俺の手と自分の手を見る。

 

「もしかして目的か?……モテたかった。褒められたかった。英雄になりたかった。はたから見てる分にはどうでもいい」

 

「だが……友人としては聞いてみたい。お前がどんな人間なのか」

 

他人は結果を褒め、友人は過程を励まし、親は全てを認める。

そして老人はお節介で、大人は目的の為に犠牲をいとわない。

 

「平丘キョウキチだ。キョウキチでいい。よろしくな」

再度手を伸ばしなおす。

 

「……碇。碇シンジ…よろしく……」

 

シンジはまた一つ選択を重ねた。

 

 

 




NERV第3支部――。
「君に新たな指令が下った」

上官から手渡された指令を奪うように受け取った少女は内容をまじまじと確認する。

「どれどれ……アメリカ……エヴァ最新機……パイロット!?」

「移動は三日後だ。幸運の片道切符になることを祈る」

当然だ。やっぱりあたしは特別なのよ!


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

勝ちヒロインのアスカさん(作者:唯野あかつき)(原作:新世紀エヴァンゲリオン)

アフターシンエヴァ小説です。もちろん映画を見たほうが楽しめますが見てなくても多分大丈夫(ほとんどが作者の強火妄想だから。)▼LASがほとんどです。他CP絶対の方は読まないほうがよいかと…。もちろん読まれてもいいとは思います。▼別シリーズとも繋がる設定になる予定…でしたがパートを分けて同じシリーズで出します。▼第一部 帰還編 完結▼第二部 逆行編 連載中▼Pi…


総合評価:54/評価:-.--/連載:7話/更新日時:2026年03月28日(土) 10:20 小説情報

碇シンジはもう一人の自分(♀)に恋をする(作者:崖の上のジェントルメン)(原作:新世紀エヴァンゲリオン)

第12使徒レリエルが作り出したディラックの海からの帰還時、エントリープラグ内には碇シンジともう一人……彼と瓜二つな女の子が乗っていた。 ▼その名は、碇レイ。 パラレルワールドのサードチルドレンだった。 ▼親も境遇も環境もほとんど同じだった二人は、自分にしか分からないと思っていた悩みや苦しみを唯一共有しあえる仲となり、次第に打ち解け合い、心の距離を縮めていく……


総合評価:32/評価:-.--/連載:9話/更新日時:2026年06月02日(火) 20:02 小説情報

プログラマー舐めんじゃねぇぞ(作者:紅乃 晴@小説アカ)(原作:呪術廻戦)

▼乾 琢己(いぬい たくみ)は転生者である。▼呪術廻戦の世界に転生したが、彼は呪術廻戦よりも仮面ライダーが好きであった。呪力という強大なエネルギーを前に、彼は前世で培ったプログラマーとしての能力を使い、新たな術式を組み上げる。▼それはこの世界を大きく変える旅の始まりでもあった。


総合評価:5951/評価:8.16/連載:6話/更新日時:2026年02月28日(土) 11:48 小説情報

個性『スーパー戦隊』 うん。……ちょっと待て?????(作者:翠吏)(原作:僕のヒーローアカデミア)

 拝啓、特撮オタクの親友へ▼俺はどうやら「僕のヒーローアカデミア」という漫画の世界へ転生してしまったようです。それだけなら何んだ?と言うでしょう。個性が『スーパー戦隊』でした。俺頑張るよ。▼ ▼※掲示板あり。基本的に控えめ。▼初投稿です。▼なので誤字脱字、キャラ崩壊等があると思いますが、温かい目で見守ってください。


総合評価:562/評価:5.88/連載:20話/更新日時:2026年05月24日(日) 11:00 小説情報

四葉からは逃げられない(作者:シャケナベイベー)(原作:魔法科高校の劣等生)

司波龍郎に転生した男が平穏無事に人生を送るために模索する話▼龍郎くん(転生者)「四葉から逃げれると思う?」▼弘一くん「無謀で草(意訳)」


総合評価:7969/評価:8.23/連載:9話/更新日時:2026年05月31日(日) 13:25 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>