シンジが欠席したり*1、トウジと仲直りしたり*2停電したり*3色々あった。
ポジション的には3バカトリオ+1くらいだ。4バカルテットまでは仲良くないくらい。
そして現在、相模第二倉庫。
2号機が見れるとのことでケンスケ・トウジと一緒にシンジたちと合流した。
「ふぇ~赤いんか2号機って」
右から寝かされたエヴァ2号機がリフトに乗って流れてくる。
久しぶりに見るとやっぱでかいな……。
横顔だけで身長3倍くらいありそう。
「違うのはカラーリングだけじゃないわ」
2号機の上に人影。
真っ赤なプラグスーツに身を包み腰に手を当てた堂々たる姿で彼女が立っていた。
来たっ!待ってたぞこの時を……。
ん?
「しょせん零号機と初号機は開発過程のプロトタイプとテストタイプ。けどこの2号機は違うわァ」
なんか、雰囲気が…?話し方か……?
いや、昔はこんな感じだったか?
「これこそ実戦用に作られた世界初の本物のエヴァンゲリオンなのよ!正式タイプのね」
ばっと片手を広げてエヴァをお披露目するような動きを取る。
エヴァ大好きでかわいいね。
「紹介するわ。ユーロ空軍のエース、惣流・アスカ・ラングレー大尉。第2の少女、エヴァー2号機担当パイロットよ」
は?今……は?
惣流って言ったか?葛城さん?
「Helloミサト元気してた?」
「まぁね。あなたも背ぇ伸びたんじゃない?」
「そ!他のところもちゃぁんと女らしくなってるわよ……んぁ?」
馴れ合いの必要性を感じていない綾波がもう背を向けて帰っているのを視界にとらえて顔をしかめる。
「あれがプロトタイプのパイロット?不愛想な子ね」
「で?噂の初号機パイロットはどれ?」
こっちを見定めるように一巡する。
うーん。俺がガン見してるからめっちゃ目が合う。けど俺じゃないんだなぁ。
「あの……」
ふり絞るように声を出すシンジ。
「ふっぅーん……冴えないわね」
粗いが美しい一歩で詰め寄り顔を品定め。
懐かしい……。
「エヴァパイロットとしての自覚はナシ……と」
あぁ……やっぱり懐かしい。
「っ……おまけに無警戒」
そして足払い。
倒れたシンジを見下すように詰め寄る。
「どーしてこんなでエヴァに乗れてるのかしら。……親の七光りってヤツ?」
「く……ふふっ……」
……笑いがこらえられなかった。
やっぱりアスカはアスカじゃないか。
だったら俺のやることは変わらない。
「何がおかしいのよ」
くるりと振り返って目が合う。
攻撃は飛んでこない。
「申し訳ない。美しくて思わず」
「……ふーん?素直なところだけは評価してあげるわ」
「見た目は当然だが今の動き。距離の詰め方。Meisterだな」
発音を寄せて餌をまく。
Übung macht den Meister.
練習が達人を作るという意味のことわざだ。
ドイツ語を覚えたときも護身術を叩きこまれた時もよく言われた。
「……Kannst du deutsch?」
ドイツ語できるの?と出来るとは思ってなさそうな顔で聞いてくる。
「っ!……Nur ein bisschen.ホントに少しだけさ」
日本語でも同じ意味を繰り返して謙遜する。
……謙遜じゃなくて本当に少しだけだけど。
ついでに君も話せたの!?的なカモフラージュは忘れない。
ユーロとは言ったがドイツとは言ってないからね。
「へぇ。期待してなかったんだけど……ふーん」
「良ければそんな達人の努力のお話聞かせてもらえないかな?今回の快勝を称えてランチでも……」
「いいわ。少し待っててちょうだい」
駆ける彼女の背中をお辞儀しつつ見送った。
「……キョウキチ、あないな女がタイプなんか?」
3馬鹿トリオは呆れ、葛城さんは目が冷たい。加持さんを思い出してるんだろう。
「あんなに頑張ってる子は見たことがないね」
「惣流・アスカ・ラングレーです。よろしく」
そして翌月曜に彼女は転校してきた。
ちなみにランチはつつがなく済ませている。
「惣流これ。漢字がまだって言ってただろ?」
昼休みになり少し人が落ち着いたのを見計らって彼女に近づいた。
「なにこれノート?……中途半端に書いてるじゃない」
ペラペラとめくって中を見る。
あえて最初のほんの数ページだけ記載してある。
「交換日記だよ。こんな風に今日の出来事を書いて……で、ここに質問を書く。後は相手に回して、相手も同じように回答と出来事と質問を書く」
「あたしに書けって?」
「あとは漢字だけなんでしょ?……出来れば俺の勉強にも付き合ってくれないかな」
もう一冊のノートを取り出す。
こちらには同じ内容をドイツ語で書いてある。
日記のフォーマットは先に考えて用意していたが、辞書で調べて書くのは半ページだけでもしんどかった。
「いいわ。手伝ってあげる」
「ありがとう、惣流!」
「はいこれ」
少し機嫌が良くなさそうなアスカからノートが渡される。
早めに確認しておいたほうがいいな。
『加持さんから社会科見学のお誘いがあったの♡
海洋資源保存研究施設ってところで、セカンドインパクト前の海を取り戻すための研究をしてるみたい。もちろん一般公開できないような秘匿性の高い特別な研究所よ。
さすが加持さんよね。そんなところにまで顔が利くなんて。
あたしとのデートの為にそこまでしてくれるなんて本当にステキ!』
……。
その下に小さい文字で追記がある。
『バカシンジも呼ばれてた!!!
しかもみんなも呼ぶといいって!それってあの3バカもついてくるってことじゃないの!
サイアク!
加持さんが優しいのはわかるけどどうしてあんなのにも声をかけたのか本当に分かんない!
信じられない!デートだと思ってたのに!
バカシンジも遠cりょしなさいよ!』
この世界も加持さんは加持さんみたいだ。
今までのアスカの日記でたびたび出てきたので、むしろ俺から聞いたところ変化はなさそうだ。
だが前の式波とは面識なかったはずなのにこの世界の惣流とはある。
……二人の人格に見えないレベルで影響がないといいんだが。
そんなことより水族館だ。
……多少無理やりにでも付いていったほうがいいよな。
惣流は一人で置き去りにされると良くなさそうな雰囲気がある。
日記じゃなくて直で伝えるか。
「惣流」
机に突っ伏してうなだれていたところに声をかける。
「何よ~うぅ……」
甘えてるな。本人は否定するかもしれないけど。
いい兆候だ。
しっかりと受け止めてやらないと。そしていつかはきちんと一人で立てるように。
「この日記の……残念だったね」
「全くよ……ほんっとにあのバカ」
「……馬鹿を一人追加してもいいか?」
「はァ?誰を……ってもしかしてあんた……」
「俺も一緒に行きたいなー」
「いいんじゃないの?こんな機会めったにないし」
「惣流と一緒に行きたいなって話」
俺はただアスカだけを見る人だ。
「ばっ……あんたバカァ!?あたしは加持さんとデートなの!」
怒り半分嬉しさ半分かな?顔は赤い。
「分かってるよ。もし加持さんが思ったよりも忙しかったらその時はってこと」
「そうじゃなかったら?」
「一人で回ってもいいしシンジたちと一緒でも……魚好きだしね」
多分一人で回ったら、俺泣く。
アスカと潜った海。綺麗だったからなぁ……。
ダメだ。今大事なのは彼女だ。
他の女の面影で惣流を見るのは失礼だ。
「ま、あんたがそれでいいならいいんじゃないのォ?」
少し投げやりぎみに言い放つ。
「ありがとう。楽しみにしてるよ」
言葉のとげは置いといて、内容と彼女の本心に感謝する。
近づくと怯え噛みついてくる子には『ほら怖くない』の精神だ。
……勝手な理解で距離詰めてるけど、ストーカーまがいだよなぁ。
表面上の拒絶なのか、本心からの拒絶なのか見極めないと……。
NERV第2支部――。
聞けば聞くだけあたしのエヴァは凄い。
旧世代のポンコツどもとは一線を画す圧倒的な性能だ。
この実験が成功すればNERV本部で使徒の殲滅作戦に加わることも夢じゃないわ!
「待ってなさいエヴァ4号機!絶対に乗りこなしてやるんだから!」