俺はアスカのパパになりたい!   作:アレデルトロン

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2-11 第3新東京市の決戦

『信号来ました新型エヴァの起動を確認』

 

『やはりね』

 

『エヴァ両機はネルフ本部に先行して新型エヴァを破壊。ヴンダーは高度を保って潜伏』

 

『エヴァ両機射出準備』

 

『射出!』

 

どうせネルフはまたインパクトを起こそうとするだろう。

との考えのもと、修理完了したヴンダーはネルフ本部付近に移動。

そんな矢先に第13号機の起動確認だ。

 

「上手くいかせような」

俺も今回は出勤。

インパクトを防ぐための作戦には駆り出されることになってる。

 

「ええ。上手くいかせるわ」

 

「愛してる」

アスカの後ろにあるちっさい席から半身を出して抱きしめる。

 

「あたしもよパパ……っ」

 

久しぶりの同乗。

そして久しぶりのおまじないだ。

 

『姫ーっ!あたしは?』

 

「……。正直言って微妙ね。判断は遅いし。煩わしいし。距離近いし」

 

『ちょっ!姫ひどーい』

 

「そんだけ言って微妙って評価なら、それ以外は認めてるってことだよマリさん」

 

『やーん。パパさんや・さ・し・いー』

 

「パパ!コネメガネに甘すぎ!」

 

「アスカ認めた相手に辛辣になることあるからなぁ……」

こんだけ言っても大丈夫だろうの信頼もあるんだろうけど、ふとした時に関係を悪化させかねないからな。

 

 

 

さて今回の装備は上下に刃のついた槍?薙刀だ。

ソニックグレイブを改良して~って言ってたけど詳しくは聞いてない。ギミックもほぼなさそうだし。

マリさんのほうはでかい銃を背負ってる。彼女は格闘タイプじゃないからな。

 

ボロボロで赤くなった元ジオフロントに降り立つと、下のほうから崩れるような音が聞こえてきた。

 

『まさかリリスの結界が?』

 

「急ぐわよ!」

 

メインシャフトにはケーブルが垂らされていた。

明らかに誰かが降りるのに使用した痕跡だな。

 

 

 

『んじゃ姫。あたしはここらに潜んで援護に徹底しますにゃ』

 

「分かった。あんたの攻撃に合わせる。そのあとはMark.9を足止めしてちょうだい」

 

『かっしこまりー』

 

奇襲になるようにゆっくり降りていると、ターゲットに向けてマリさんからの援護爆撃。

攻撃の合図だ。

 

そしてその爆風に隠れて俺たちは上から強襲した。

が、ATフィールドに防がれ拮抗する。

 

『何すんだよアスカ!』

いったん離れる。

一度防がれた攻撃をいくら続けてても破ることはできない。

 

「バカシンジィ!?あんたがエヴァに乗ってるの?」

 

『そうだよ。エヴァに乗って世界を変えるんだ』

卵型の子機が4機。

第13号機の周りを飛び回っている。

 

「ガキが…。だったら乗るんじゃないわよっ!」

走り始めた直後、顔面を狙った鎌による一閃。

 

なんとか柄でガードするも衝撃でぶっ飛ぶ。

転がりつつ空中で体勢を立て直してた瞬間――。飛び掛かり鎌を振り下ろすMark.9。

ヤバい。足場がない。山から転げた?

 

脅威が目の前で叩き落ちた。

 

8号機の援護射撃だ。助かった。

 

「援護射撃いっつも遅い」

文句を言いつつ信頼してるなぁ。

 

『めんごめんごー』

 

「やぁあああああっ!」

声をあげて急接近。向かってきた子機を続けざまに2機破壊する。

これで残り2機。

 

『なんで邪魔するんだアスカ。あれは…僕たちの希望の槍なんだよ』

 

「あんたねぇ…余計な事…するんじゃないわよ。ガキシンジ、またサードインパクトを起こしたいの?」

何度も打ち込むがATフィールドに防がれる。

たった2機の子機で防いでくれるなよ。

 

『違うっ。槍があれば全部やり直せる』

つばぜり合い。だが打ち破れない。

 

『世界を救えるんだっ!』

いったん仕切り直しだ。数歩分距離を取る。

 

「ほんっとにガキね」

 

『わからず屋っ!』

シンジが攻めてきた。

 

小さな機体が両機いっぺんに突撃してくる。

それをアスカがソニックグレイブで受け止める。

衝撃で火花が散り、次の瞬間には2機が連続で攻めきた。

これにも反応。ついでに撃ち落とせないかと刃をふるうが甲高い音を立てるだけ。

 

やっかいだ。

てか、練習もなしにこんな良くわかんない子機を2機巧みに操作してるシンジやばくないか?

脳みそどうなってんだよ。

 

「パパっ!」

 

あ、やべ。

ノイズになったか?

アスカが一番。アスカが可愛い。アスカは強い。

 

その一瞬で子機を見失った。

 

反射的に後ろを振り返るがもう遅い。

ATフィールドに吹き飛ばされる。

 

『カヲル君も手伝ってよ…』

 

『……』

返事は聞こえない。通信機に乗るだけの声量を出してないのかもしれない。

もしくは音声と相性が悪いか。

 

『カヲル君!』

よし。仲違いで時間を作ってくれるならそれでいい。

 

『ゼーレの暫定パイロットさん聞こえてるでしょ?』

高所から狙撃をしてるマリさんの方も問題なさそうだ。

ソックリな彼女に話しかけるだけの余裕がある。足止めは任せられる。

 

そうと決まれば。

 

「だりゃぁあああっ!」

猛ダッシュからの飛び掛かり、薙刀を上段から振り下ろす。

 

『ぅわぁっ!?』

後ろに跳んで躱した第13号機だったが、足場の頭蓋骨が砕けてバランスを崩す。

 

「てぇやぁあああ」

このチャンスを逃す彼女じゃない。

 

槍のリーチを最大限に生かす全身を使った突き。

子機はATフィールドの発生が間に合わず、串刺しになることでその攻撃を止めた。

 

爆発――。

これで第13号機を守る盾は無くなった。

 

上に跳ぶ。

そして薙刀を真ん中から分離させ二刀流で切りかかる。

 

『アスカ…お願いだから邪魔しないでよ』

両手で刃を止められた。

 

……この勢いで切断できないって刃が付いてる意味あるのか?

 

「大人しく……やらなさいっガキシンジィ」

アスカのやる気に反して、ガクゥン――と嫌な音がして2号機から力が抜けた。

 

一気に視界が青暗くなる。

横に表示されたのはLow-Batteryの文字。

 

「こんな時にっ!…コネメガネスペア……きゃぁっ」

衝撃。

ろくな受け身も取れずに、派手にぶっ飛んで転がっていった。

 

「女に手をあげるなんてサイテー」

 

『スペア行っくよー』

上からスペアバッテリーが投下された。

 

もう少し近くに投げてくれませんかね。

低電力状態だと歩くのもやっとなんですが……。

 

こっちがのろのろと這いつくばってる間にも、第13号機はリリスに向けてずんずんと歩み始める。

てか……リリスってあんなデカかったっけ?

エヴァ何体分だよ。

 

「やばいっ…!コネメガネェ!妨害物は片付いてる。AA弾の使用を許可するわ!」

 

『待ってました!……虎の子よんっ』

2発両肩に向けて弾が発射され、すり抜けていった。

 

『ATフィールドがない?……まさか、この機体』

 

第13号機、胸に収納されていた手が出てきて四本腕になる。

そして、左右の手でそれぞれの槍をつかんで――。

 

「やめろーッバカガキー!!」

 

抜いた。

 

リリスの身体が膨らみ、はじけ飛んで液体になる。

 

充電完了。すぐさまアスカは走り出す。

 

リリスの身体から解放されたエヴァMark6が地面すれすれで浮いてる。さっきまで真っ白だったのに色が戻ってないか。

警告音とともに画面に表示されたのはパターン青だ。

 

「マズいっ第12の使徒がまだ生き残ってる!」

素早く左腕を取り外す。

素手じゃ倒しきれないとの判断だ。

 

「コネメガネ3番コンテナ」

 

『あいよっ』

 

「サードインパクトの続きが始まる前に…こいつを片づける!」

腕を銃器に換装。

ロック〇ンみたいだね。

 

足止めがこっちを見てる間に移動したMark.9がMark6の首を刈る。

そのための鎌か……。

 

『これが命令』

 

断面から大量のチェーンの塊みたいな……蛇?みたいなのがうねうねと出てきて第13号機に飛んでいく。

そのまま球状になるまで何十にも重なって赤くなり固まる。

 

「でゃああああ」

アスカが弾を撃ちまくるが……水面に撃ってるみたいな感じだ。

 

『姫。無駄玉はやめときなよアレ全部コアだから。あたしらじゃ手の打ちようがにゃいにゃ』

 

インチキ止めろ。

全部弱点なんだったら少しの攻撃でさっさと倒れろよ。

 

『それに最後の使徒を倒したところで鬼が出るか蛇が出るか気になるじゃん』

 

……なんも出ないぞ。

少なくても42年はなんもなかった。

……。

いや待て。前周はアスカと一緒にバルディが生きてたから使徒が全部いなくなった後のこと知らねぇや。

絶対に知恵の実を食べた人類は生命の実を食べた連中に負けるって言ってたし、巨神兵でも降ってくるんじゃね。

 

とか考えてるうちに目の前のコアの塊が綾波っぽい顔になってます。笑い声も聞こえます。

不気味というか……何が起こってるかさっぱりなんだが。

 

「はァ!?DSSチョーカーにパターン青ォ!?しかも13番目ってなによ!使徒は12体じゃなかったの?」

 

「……問題あるのかい?」

 

「……ないわ!槍を抜くのを止めるのには失敗したけど、インパクトは止めてみせる」

簡単な質問で動揺を一瞬にして捨て去り、目的のみを残す。

 

赤子の声――。

胎児のような形をとった使徒が急激に小さくなり、第13号機の口元へ。

それを第13号機は噛み砕く。

 

途端にまばゆい光。

第13号機は白く輝く。

 

「コイツ…疑似シン化形態を超えている」

 

『覚醒したみたいね。アダムスの生き残りが……』

 

肩パーツがにょきっと上に腕より伸びて、二重の光輪が背中に浮かび上がると――。

メインシャフトを破壊しながら空に向かって飛んでいった。

 

「追うわよ!」

 

『あいあいっ!』

 

 

 

「まったくあのガキは……はっ!?」

はるか遠くに見えていた青空がかき消えた。

 

「ガフの扉がっ……急ぐわよ!」

不気味な赤い同心円が空を覆い隠し、その中心部であるこの場所の上空では穴が開いている。

 

『全速前進ーっ!』

 

 

 

『よっと……あっちゃーこいつはしっちゃかめっちゃかな状況ね』

登り切った先の景色は、赤い空、浮かぶ瓦礫、半分墜落してるヴンダー。

 

「コネメガネはガキのエヴァを、ヴンダーは改2で助ける」

 

『らじゃ』

サムズアップ。

 

『アダムズの器排除できません』

『主制御システムに未確認データが侵入』

『艦のコントロールが乗っ取られていきます』

 

悪い状況を伝える通信が入るがアスカは動じずに走る。

ヴンダーに向かって斜めに……そして、跳ぶ。

 

斜めに傾いてるヴンダーの引きずってる主翼に腕一本で掴みかかる。

そのまま体勢を安定させると翼の上を走りながらMark.9に向かって左手を構えた。

発射。

弾はヴンダーの装甲の間を通ってMark.9の腹部に命中する。

 

「ブルー!ゼーレのやりそうなことね」

 

こちらに気が付いたMark.9が同じ軌道で球状のビームを放つ。

さっと足をあげて身を翻すことで躱した数秒後、着弾した爆風で2号機が飛ぶ。

 

「モードチェンジ。裏コード777っ!」

一瞬でプラグが汚染区域に。

もう二人ともそんなことで慌てるような戦い方はしていない。

 

そのままMark.9に飛び掛かる。

「誰っ?」

 

くるりと身体をねじって背後を取った。

 

「あんたこそ誰よ!」

短い攻防の末、振りほどかれて艦に着地する

 

2号機の変形が進んでるな。だいぶ身体がきしんでる。

 

再度ビーム。ここで避けたらヴンダーに当たるっ!

だがアスカは、2号機はその程度なんのそのだ。

 

ビームをかみ砕く。

さっき地上に当たって、2号機を飛ばすほどの爆風を起こしたビームを……だ。

 

さらにビーム。

撃った瞬間を逃さず跳ぶ。

飛んでくるビームは手でいなす。……だいぶ手というか今ちらっと見えたの前足っぽくなかったか?

 

そのまま首筋に食らいつく。

牙を突き立てたまま身体を上り首を締め上げる。

 

「ぐぬぬぬ……」

首を食いちぎった。

支えを失った頭部がプラプラと垂れ下がる。

 

『こんなとき綾波レイならどうするの?』

 

「知らないわよっ!あんたはどうしたいのよ!」

 

プラグの緊急射出。

彼女はどうしたかったんだろうか?

 

「これでコアをっ!」

プラグ挿入部分に手を突っ込んでゼロ距離射撃。

さすがのMark.9も膝をつき完全に沈黙した。

 

だが、次の瞬間には全身が一度赤く染まり、2号機に掴みかかってきた。

 

「こいつ全身がコア!?時間もない。……ごめん2号機!」

頭を下げたアスカはD型のレバーを引いた。

 

俺たちも戦線を離脱。

これで2号機は自爆するだろう。

 

……ヴンダーがこの爆発で墜ちないといいんだが。

 

『カヲル君っ……!』

こんだけでかい声だと距離が離れてても通信が繋がるな。

 

『後始末は済んだ。しっかりしろワンコ君』

 

「あー。マリさんシンジにたどり着いたっぽいな」

 

「ほんっといっつもいっつも遅いのよねコネメガネは……」

2号機は失ったがMark.9を何とかしてヴンダーを助けるミッションは完了済みだ。

 

『ぐずるなっ!せめて姫を助けろ!男だろっ!』

 

「あんっの!余計なお世話よ」

 

「でもシンジがもっとびしっとしてたらこんなパパっ子にはなってなかったんじゃないか?」

 

『ついでにちょっとは世間を知りにゃ!』

 

「それに関してはアスカもだな」

 

「じゃあパパが見せてよ。世間ってやつを」

 

「保護者同伴で社会科見学って?それじゃ社会に出たとは言えないぞ」

 

「社会はもうとっくに機能不全起こしてるじゃない」

 

「人が群れる限り社会は無くならないさ」

 

……っと緩やかな衝撃。

久しぶりの地面だ。

 

「さ、行きましょ」

 

「ああ」

 

 

 




魂が消えても願いと呪いはこの世界に残る。
意思は情報として世界を伝い変えていく。
いつか自分自身の事も書き換えていくんだ。


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