俺はアスカのパパになりたい!   作:アレデルトロン

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2-15 人の抱えしもの

『繰り返す。全艦第一種戦闘配置にて発進準備』

 

艦内放送が鳴り響く。これが最後だな。

 

「アスカ、俺先着替えて行ってくるわ」

 

「……ずいぶん早いわね?」

 

「挨拶回りがあるからな」

 

 

トイレでちゃっと着替えて今までお世話になった艦内を回る。

 

雑に着替えたがこれは深々度ダイブ用耐圧試作プラグスーツといい、白くてラインが紺色と赤色だ。

3人のペアルック(マリにはピンクのラインが入ってる)で、凄い高性能らしい。良くわからんが最終装備だし凄い高性能らしい。

一応背番号は3。2’とかじゃなくて良かった。

 

 

 

「キョウキチ行ってきまーす」

 

「お?また無断欠勤とはいい度胸だな!」

 

今までの小競り合いのほとんどはケガ人の搬送や穴埋めで働きまくってたからな…。

 

「キョウキチ行って参ります」

 

「あぁ。こっちの仕事は任せて」

 

「キョウキチ行ってきまーす」

 

「このタイミングで逃げ場はないですよ?」

 

……このくらい気楽なほうが俺らしいな。

てか、俺に任せたって『使徒の力を解放して死んでね』と同義なのか。

そりゃみんな言えないよな。頼むとか任せたって。

 

あとはとっととプラグに乗っとくか。

それともシンジの顔を見に行くか。

操艦室に行って茶化してくるか。

 

 

 

「…よお、シンジ」

 

もう少ししたら二人が来て、アスカは過去の告白をするってのが映画の流れだったはず。

だがここまで来てアスカのフォローだけに賭けるのは不安だ。

 

「それ、新しいプラグスーツ?」

 

「ああ!娘の晴れ舞台を特等席で見ないわけにはいかないからな」

 

「キョウキチは…乗るんだね」

 

「ああ。いつかは旅立つかもしれんが今のあの子の居場所だからな」

 

「居場所……」

 

「なにシンジも掴み取れるさ――こうやってっ」

 

少し強引にシンジの手を取って握手をする。

 

「あ……」

 

彼はアヤナミから『仲良くなるためのおまじない』として教わってるはず。

 

「な?あとはやるかどうかだけさ」

 

ぶんぶんと上下に手をシェイクしてから離れる。

 

「じゃ、お互い上手くやってまた会おう!」

 

「うん、また……」

 

上々だろう。

 

 

 

「あ~だいぶ2号機……頭と腕だけになっちゃって……」

 

頭と右肩右腕だけが見慣れた赤い2号機で、それ以外は緑っぽいロボだ。

大量のミサイルを全身に積んでるしミリタリーフルアーマー装備といったところか。

 

「お、来た来た。少佐たちとは一緒じゃないの?」

 

「まぁね。もう着替えを手伝ってあげる年じゃないからな」

 

「なーに言ってんだか!で、この汎用ヒト型決戦兵器人造人間エヴァンゲリオンJA-02機体流用ニコイチ型新2号機αの説明聞くかい?」

 

「んにゃ聞かない。二度手間になるだろ?」

 

それに理解度の違いでシンクロに影響が出ると良くない。

 

邪魔にならないところで作業を見守ることにした。

 

 

 

「上手くいかせような」

 

「ええ。上手くいかせるわ」

 

「愛してる」

 

「あたしもよパパ」

 

船が揺れた気がする。

戦艦同士でやりあってるとこだろう。

だが出来ることはない。艦長を信じて墜とされないことを祈るだけだ。

 

 

『誘導弾全弾発射!』

よし。ネルフ本部をロックオンする地点まではなんとか行けたっぽいな。

 

『最終目標第13号機を光学で確認!』

で、それを何とかするのがエヴァの仕事。

 

『接近中のエヴァ7シリーズを確認。数は超いっぱい!計測不能です』

現場に向かうための障害物がたくさんいるエヴァ7。

 

『エヴァ両機射出準備』

舌咬まないように口閉じとくか。

 

『射出!』

2号機を乗せた防御専用艦船ごと勢い良く下に押し出される。

 

船を盾代わりにスカイダイビングで波乗りしろとはまぁなんと贅沢なことで。

 

下から7号機がバカバカぶつかってきては上に流れていく。

 

エヴァ7号機シリーズ。装甲がほぼない白い裸のエヴァに、頭は骸骨という明らかな量産型。

 

そんなんでもたくさんぶつかれば――。

 

防御船が爆散するタイミングを見計らって跳ぶ。

 

『ひぃゃっほーい!』

マリさん楽しそう。

 

「このォ……!」

アスカが先行してミサイルを下にいる大群にぶっぱなし、そのまま持ってきたガトリングの弾を横回転しながらばら撒く。

 

速度が速度だから急旋回して向かってくる敵はいない。

ただ下から流れてくるだけだ。大量に。

 

「チッ」

弾切れだ。だが、この武器の役目は終わっていない。

 

向かってくる7号機を銃で振り払う。

そりゃあもう鈍器のようにぶんぶんと。

 

戦場における合理性と判断の速さは彼女の強みだ。

 

「コネメガネ!次の獲物」

 

まだ使えたような……。いやいい。考えるのは良そう。

 

『あいよ』

 

後ろから飛んできたのは折り畳み式の大剣。両手に収まるいいパスだ。

 

「どりゃぁぁああ!」

 

すぐさま目下の一体に突き刺してそいつを盾にする。

数体ぶつかって重なったところで一突きにして剣ごと捨てる。

 

「次!……はぐっ」

足に7号機がぶつかりしがみついてきた。

さらに右肩に別の7号機がぶつかる。衝撃で減速しバランスを崩して回転し始めてしまう。

 

回る視界めちゃくちゃに引っ張られる足。

ついでに腹あたりに一体ぶつかって、組付けずに後ろに流れていく。

 

右肩の一体に搭載されていたペンシルロックを発射。

足の一体も何とか振りほどけたが、また別のやつにぶつかり抱き着かれる。

両肩をつかまれた状態での顔に向かっての噛み付き攻撃。

手で押さえて距離を取ろうとするが視界が悪すぎる。

 

回転丸鋸で骸骨頭が割れた。

 

『姫ぇ!』

 

マリさんのとこまで遅れたか、前に来てくれたか。

一撃入れた彼女から上下に丸鋸のついた凶悪な武器を受け取る。

 

縦回転しながら鋸を振り回し1体、2体、3体、4体切り捨てる。

真ん中で分けて二刀流に構えなおすと再びばっさばっさと障害物を押しのけていく。

 

……前方の敵の様子が変わった。

集団で集まりまるでドリルのように螺旋を形成しながら向かってくる。

 

「まとまってくれたほうが楽でいいわねっ…!」

 

脚部ロケットを一斉発射。

だが上がる爆炎を切り裂くようにドリルの切っ先はこちらに向かってくる。

 

「コネメガネェやるわよ!」

 

『心得た!』

 

2機のエヴァが手をかざしてATフィールドを一体化させる。

立体化するほど強固になったそれを回転させて――。

 

「「ふぬぬぬぬっ……」」

 

ドリルを真正面からすり潰す。

 

前は回るATフィールド、後ろは7号機の爆発した後の十字架。

悪いんだが目がチカチカする。

 

「抜けたっ!」

 

そろそろネルフ本部だ。

空飛ぶ正四角錐の中心に四角い穴。一角がさっきの爆撃で一部崩壊している。

 

アスカは8号機を抱きかかえると背中に着けたブースターで減速して着地の衝撃を和らげる――。

足から行って思ったよりもずっとスマートな着地だった。

 

「目標地点はあの爆撃孔の下ね」

 

接敵を感じて振り返ると、顔面に手が張り付いてきた。

 

さっきまで居なかったはずの伏兵。

いやちょっと待てこいつ手だけの奴じゃないか!?

 

両手を身体の前側に振って敵の身体がないことを確認。

転がって拘束を振りほどくと、視界の端で奴らが見えた。

 

ボール状の頭にエヴァの両腕をくっつけたような敵だ。

 

体勢を立て直すところをナイフで狙ってきた一体を両手で跳ね上げて逸らす。

 

殴る蹴るのコンバットで対応するが数が多く小さく素早い。

前後左右を跳ね回り陽動を行いながら、プログナイフで確実に一撃を与えようと奇襲してくる。

 

「こいつら……マジ、ウザすぎる!」

 

同感だ。というかこれ捌ききってるアスカ凄くない?

 

「ぐぬっ……」

ナイフによる一撃。なんとか白刃取りで止めるが、こいつ両手持ちだ。

あと手が痛い。刃先が当たってなくても高速振動で手から火花出てる。

 

唐突に腕エヴァが吹っ飛んで爆散。

 

『姫お先にどうぞ』

 

マリが鞭状の武器でフォローしてくれたみたいだ。

さすがよく見てるな。

 

「コネメガネ…助かった」

 

このチャンスを無駄にするまいと走りだす。

途中でブースターを切り離して追っ手を撒きつつ爆風で爆撃孔に飛び込んだ。

 

 

 

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