ダービー・ザ・ギャンブラー・イン・キヴォトス   作:セルビア

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ギャンブラーVS白兎

キヴォトス ブラックマーケット一角。

 

「10のフォーカード!どうだ…これで私の勝ちだ!!

てめえのそのニヤついた表情もこれでおしまいだな!!」

 

一人の不良が、男とポーカーをしている。

かなり白熱しているらしい。

よくよく見ると、その不良生徒の周りには数人の生徒が倒れている。

 

「さあ!てめえの手を出しな!

いや、出せねぇか?

このカードに勝てるわけねぇんだからよぉ!

これでてめえの奪った物も!有り金も全て!

私の物だぁぁっ!!」

 

その生徒は椅子から立ち上がり勝利を確信した。

 

 

 

「残念。ジャックのフォーカードだ。」

 

しかし、男が出した手は格上、ジャックのフォーカードであった。

 

「なっ……!?」

 

「さて…どうする?君にはもう賭けるチップは残っていないようだが……」

 

「………クソッ!覚えてやがれ!!」

 

生徒は椅子から立ち上がり、男に背を向け逃走した。

 

 

「……それはいけない。君はもう賭けたのだ。

()()()()()()。」

 

 

バーン!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

 

 

 

「〜〜♪〜〜♪」

 

一人の生徒が歩いている。

名は黒崎コユキ。ミレニアムの生徒会『セミナー』の一員…でありながら、ギャンブルを好み、裏社会では『白兎』として知られている。

 

「にはは…息抜き息抜きっと。

セミナーに戻ったからって、賭け事やめるとは言ってませんからねぇ…今日は存分に楽しむとしましょうか!」

 

コユキは歩く。自分にあったカジノを探しているのだ。

 

「う〜ん中々ありませんね。でもオデュッセイアまで行くわけにもいかないし……あれ?」

 

コユキは、目の前にカジノバーを見つけた。

 

「『OSIRIS』……?こんな店ありましたっけ?

まあいいでしょう、これも何かの縁!

存分に楽しまさせていただくとしましょう!」

 

 

彼女は、疑うべきだったのだ。

知らない店ができていることも…

その店主たちのことも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フルハウスです!」

 

「嘘だろ…こんな年端もいかねぇ小娘に…」

 

「にはは!なんだか今日は絶好調ですね!

今ならどんな相手にだって勝てる気がしますよ!」

 

勝ちに勝ち続けるコユキに、一人の男が近づく。

 

「ほう?なら私と戦ってくれないかね、お嬢さん。」

 

その男は、初老の男性だった。

髪は全て白髪で、目の下にはタイヤ痕のようなアザがある。

服装もスーツベストにネクタイとワイシャツ、黒のズボンと実に紳士的な服。

その目には、勝負の情熱を感じる。

 

「あなたは?」

 

「おっと。名前を言い忘れていた。

私の名はダービー。D'.A.R.B.Y。Dの上にダッシュがつく。

君の名前も教えてはくれないか?」

 

「私は黒崎コユキです!」

 

「ほう?君が『白兎』か。光栄だね、君のようなプレイヤーと戦えるとは。」

 

「えへへ…いやぁそれほどでも…!

さて、ダービーさん何で勝負しますか?

正直今の私なら何でもいけますよ!」

 

「そうだな…『チンチロ』などはどうかね?」

 

「いつもはカードですけど…今日に限っては大丈夫です!

ツキはこちらにありますからね!」

 

コユキは提案を受ける。

今日の自分は何をやっても負けない、いや勝てるという自信があったからだ。

 

「そうか。ならチンチロで行こう。

店主、サイコロを3つとどんぶり持ってきてくれ。」

 

 

 

 

店主は、3つのサイコロを持ってきた。

コユキは、そのどんぶりを手に取って確かめる。

 

「重さに違和感は無し…歪んでいたりはしてませんね。」

 

「勝負前に道具の確認とは、君は確かに優秀なギャンブラーらしい。」

 

「こないだイカサマをされましたからね。

……さて、やりましょうか!」

 

「その前に、一ついいかね?」

 

ダービーはコユキの開始宣言を遮る。

 

「?なんですか?」

 

「君はこの勝負において何を賭ける?」

 

「そりゃもちろんお金ですけど…。」

 

「なるほど金銭。それも確かに一つの方向だろう。

だが我々はギャンブラーだ。その前に賭けるものがあるだろう?」

 

「と、言いますと?」

 

「『魂』だよ。我々賭博師は何よりも先に、魂を賭けて戦わなければならない。そう思うだろう?」

 

コユキはその言葉を聞いて口角が上がる。

 

「あなたも中々やり手みたいですね…分かりました!

()()()()()()()()!!」

 

「グッド!私も魂を賭けよう!」

 

 

 

 

 

 

 

チンチロ ルール

チンチロは、3つのサイコロを丼に投げ、出た役の強さで親と子が勝敗を決めるゲーム。

双方最大3回まで振れ、役が確定した時点で勝負。役の強さは「ピンゾロ(111)>アラシ(ゾロ目)>シゴロ(456)>目(1つの目がゾロ目で残り1つが点数)>目無し>ヒフミ(123)」の順。

 

ピンゾロ (1, 1, 1)

アラシ (2,2,2 〜 6,6,6)

シゴロ (4, 5, 6)

通常目 (1,3,1 なら「3」など、数が大きい方が強い)

ヒフミ (1, 2, 3)

目なし (役にならなかった場合)

 

 

 

 

「さて、ゲームを始めようか。

君が親で構わないよ、コユキ君。」

 

「いいんですか?」

 

「いいとも。君が先でスタートしたまえ。

……もっとも、私はどちらでも負けんがね。」

 

「なら、遠慮なく!」

 

コユキはサイコロを降った。

 

 

─────────

コユキ1回目

 

出目:⚁.⚁.⚁

─────────

 

 

「なっ!」

 

コユキが出した役。それは2のアラシ。

最強の役のピンゾロの次に強い手である。

 

「にはは!これはもう勝負あったも同然なんじゃありません?

降りるなら今のうちですよ?」

 

「確かにそうかもしれないな。だがそれは、私が負ける前提の話だ。」

 

「と言いますと?」

 

「私も博打打ちだ。唯一の勝ち筋、ピンゾロを出してこの勝負に勝ってみせよう。」

 

「…そうこなくちゃ!」

 

 

 

─────────

ダービー1回目

 

出目:⚀.⚂.⚄

─────────

 

 

「ふふふ…役無しか。もう一度振らせていただこう。」

 

「……どうぞ。」

 

 

─────────

ダービー2回目

 

出目:⚃.⚄.⚀

─────────

 

 

「役無し…次の手で私がピンゾロを出さなければ、私の負けというわけだ。

最後の1回を振らせていただこう。」

 

そのダービーの態度に、コユキは違和感を覚えた。

 

(おかしい…この男、()()()()()()()

本来、こんな状況に追い込まれた人は少しなりとも焦るはずなのに……

まるで、自分に勝つ絶対の自信があるような…

四番の強打者が予告ホームランをしているような…そんな余裕が……。)

 

「……では、振らせていただこう。」

 

 

 

─────────

ダービー3回目

 

出目:⚀.⚀.⚀

─────────

 

 

「なんですと!?」

 

コユキは驚いた。

この男、最後の最後。

最後のチャンスで、()()()()()()()()()()()()()

 

「形勢逆転、だな。」

 

「一体、どんな手を使ったんですか…?」

 

「ただの運だよ。」

 

「そ、そんな……。」

 

「どうやら、納得していない様子だな。

どうだね?君は1度目で役を確定させたが、役が出ていなかったらもう2回振れたわけだ。

その2回を、今振ってみるかい?」

 

「え!?いいんですか!?」

 

コユキは驚く。この男、ルール上では自分の勝ちなのに、

特別に勝ち筋を作ってくれるというのだ。

 

「負けに納得していない人間に勝っても、面白くないからな。どちらにせよ私は負けることはないわけだし、どうせなら全力を出し切っていただきたいものだ。

それで、どうするかね?」

 

「もちろんもう一回振ります!私だってギャンブラーです!

ここで負ければ『白兎』の名前が廃ります!」

 

「グッド!では投げたまえ!」

 

 

─────────

コユキ2回目

 

出目:⚀.⚄.⚂

─────────

 

 

「くっ!まだです!まだあと一回!!」

 

コユキは再びサイコロを投げる。

 

「君は確かに、優秀なギャンブラーらしい。だが。」

 

1つ目のサイコロ 1

 

「あと2つ…!!」

 

2つ目のサイコロ 1

 

「あと1つ…!」

 

 

 

「私のようなタイプとは相性が悪いらしいな。」

 

最後のサイコロがどんぶりの底で止まる、その瞬間。

 

 

 

 

サイコロの1の面が、()()()()()()()()()()()()

 

「なっ…!?」

 

「ふむ……これで、3回全て終わったわけだが…」

 

「一体、どんなイカサマをしたんですか!?」

 

「イカサマ?知らんねぇ。

それより、曲がりなりにも君は負けたのだ。

ならば、君は支払わなければならない。」

 

「くっ……はぁ、分かりましたよ。

うぅ…あんなに勝ってたのに……。」

 

コユキはチップを取り出そうとする。

 

「いや、それは必要ない。」

 

「?だって賭けたものを支払ってって……。」

 

「君は既に賭けているだろう?

()()()()()!!」

 

 

 

 

 

 

「っ!?」

 

瞬間、コユキは異様なプレッシャーを感じる。

おそらくこの男からのプレッシャーであろうか、ともかく異様なプレッシャーである。

まるで、首筋に刃を突き立てられているような…

()()()()()()()()()()()()()()感覚を感じた。

 

「ほう?やはり見えはしないようだが、感じることは出来るのだな、キヴォトスの人間というものは。」

 

(ヤバい…ユウカ先輩に知らせないと!!)

 

コユキはテーブルの上に置いていたスマホを手に取った。しかし、

 

「あ、あれ!?なんでスマホが壊れてるんですか!?」

 

スマホの画面は歪み、もはや使い物にはならないようだ。

 

「もしかして…これは!!」

 

「そう。()()()()()

サイコロの1の面に金属を微量仕込ませ、磁石で引き寄せた。大変だったのだよ?違和感のない重さにするには。」

 

「で、でもどんぶりにはおかしな点なんて…まさか!?」

 

コユキはテーブルの下を覗き込む。

何か見慣れぬ装置が取り付けられている。

 

「このテーブル自体が…!!」

 

「おっと、勘違いしないでいただきたい。あくまで操作したのは最後の1回。君の最初のアラシや私のピンゾロは、あくまでただの偶然だ。

さて、では君の魂をいただこう!」

 

「っ!?」

 

コユキはダービーに銃を向ける。

 

「無駄だよ。もう遅い。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

瞬間、コユキは気を失い倒れ込む。

 

「黒崎コユキ……中々の強者だった。

こんなに白熱したのは、ジョースターとの戦い以来かな…?」

 

「あ、あの…ダービー()()……。」

 

コユキに負けていた住民が、ダービーに話しかける。

 

「ああ、君か。助かったよ、指示通り装置を作動させてくれて。」

 

「え、ええ…その子、大丈夫なんですか?」

 

「ん?ああ、心配はいらない。

いつものように、勝負に熱中しすぎたのだろう。

私が病院まで送って行くさ。」

 

そう言うとダービーはコユキを担いで外に出た。

 

テーブルに、コユキのヘイローの書かれたコインを残して。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───────────────────

 

 

ミレニアム

「………遅いわね。今日は用事があるから集まってって言ったんだけど……。」

 

「まあまあユウカちゃん。もう少し待ちましょう。

きっとそろそろ連絡が来ますよ。」

 

その時、備え付けの電話が鳴り響いた。

 

「ほら!噂をしてたらなんとやらですね。

はい、こちらセミナーです!」

 

『セミナーですか?こちらミレニアム付属病院なのですが…

単刀直入に言います。

……黒崎コユキさんが、意識不明で運び込まれました。』

 

「………え?」

 

 

 







悪霊的失恋読んだのでその勢いで書きます
作者がギャンブルに詳しくなく、それ故イカサマの手のアイデアなども考えつくまで時間がかかるので
多分更新目茶苦茶遅いです
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