「「東堂葵」」ちゃんが旧家の超絶儚げ美少女じゃないわけないだろ?? 作:ふかみ
すべて忘れてしまっているだけで
記憶媒体(脳)が壊れたからガチで“存在しない記憶”になってる
A.
【秘匿・特定患者個人記録:在田千尋】
担当:家入硝子
1. 概要
患者、在田千尋の脳損傷からの回復は、呪術医学の観点から見ても「論理的限界」を超えた事象である。
当初、医務室へ搬送された時点では呪力処理限界を超えた過剰な情報負荷(いわゆるオーバーヒート)により、脳組織が広範に炭化していた。
通常の術師であれば即死、あるいは永久的な植物状態が妥当な症例である。
しかし、反転術式による治療過程において、以下の特異点が観測された。
2. 天与呪縛:認識整合の乖離
五条悟の六眼等、解析系の術師を動員した結果、本症例の根底には「天与呪縛」が存在すると断定。
彼女は天与呪縛として「脳の一部(高次認知機能)」を代償に、その術式を「真名を得た対象への干渉(強化)」ではなく「真名を得た対象の認知を改変する能力」へ昇華している。
症例 A(伏黒恵):
患者は伏黒恵を「美少女」と認識している。これは「恵」という名前が持つ女性的な印象に認知が引きずられた結果であると推測される。
呪術界が、禅院家や加茂家を見れば一目瞭然だが、旧来より保守的であり「男児には男らしい名を」という名付けの傾向が強かったことが、皮肉にも少女をこれまで保護してきた可能性が非常に高い。
症例B(東堂葵):
今回の大規模脳損傷のトリガーは東堂葵との遭遇であったと見られる。
「東堂」という苗字と「葵」という名前が組み合わさったことで彼女の脳内で生成された概念と、当該術師本人の実態。
この両者の乖離があまりにも巨大すぎたため、彼女の認識回路は整合性を保てず、処理限界を超え。
結果として物理的な発熱・焼損に至ったと推測される。
3. 生存維持に関する不可解な呪力流
本項では「なぜ生存できたのか」に焦点を当てる。
脳髄が焼き切れた状態で命を繋いでいたのは、反転術式による治療以前に、別の「縛り」が機能していた可能性が高い。
患者の深層意識下において、特定の術式がループしていることが判明している。
この術式効果が、炭化しかけた脳幹部を強引に繋ぎ止める「杭」となり、反転術式の完了まで魂を肉体に繋ぎ止めていた。
本術式は他者のみならず、自己認識にも作用することは以前から確認されていたため、事故以前に、何らかの形で自己へ適用された誓約が成立していたと考えられる。
彼女は自身の術式によって呪われ、そして救われた。——皮肉な話だ。
4. 今後の管理・考察
術式の解析は五条悟が継続して担当。
認識相違の対象(特に名前と実態のギャップが激しい者)との接触は、再度の脳焼損を招く恐れが非常に高い。接触不可対象者の早急なリストアップと当面の一時的処置として本人の隔離が必要であるとする。
追記:
名前だけで他者を美少女だと思い込めるその脳は、ある意味で呪術師として最も幸福な狂気かもしれない。
ただ、本人が目覚めたあとの第一声が「葵ちゃんは?」だったのを聞いて、一瞬、処置の手が鈍った。……本当に一瞬だけだが。
五条悟のメモ
自覚なし、ブレーキなし。ここまで当人の善性と幸運だけでなんとかなってきたわけだ。
危ない危ない。
しかし歌姫の教育がうまくいってるみたいで何よりだよ。ほんとに。
術式自体は「名前を知ること」をトリガーにした認知の操作。
ただし厄介なのは天与呪縛の方。おそらく本当はこれまでやってきた以上のことができる術式だ。
だって、名前さえ知ったらたいていの人間を好きにできるんだぜ?
で、要するに、あいつの天与呪縛って
「名前から勝手に理想像つくって、“可愛い判定入ったら”自分の認知ごと自動で上書きしてる」。
今回の件はシンプルに、イメージと実物の差がデカすぎて処理落ちしたって感じ。
しかもたぶん、本人はそれに気づいてない。気づけない。
致命的すぎる。もったいないね。
条件だけ見れば、それこそ最強にだって手が届くタイプなのに。
まあでも、ああいう欠陥込みのほうが術式って面白いんだけどね。
庵歌姫のメモ
本人は自身の術式に対する自覚が極めて薄く、そもそも天与呪縛の存在自体を把握していない可能性が高い。
こちらが制限をかけなければ、自ら接触を避けることは期待できない。
回復後、一定期間の単独行動を禁止する。
なお、当該患者の術式管理については、京都校教員としての立場から
「面白いから様子を見る」という判断は、今後一切認めない。
——特に五条悟。
面白いので短編なのがもったいない
=って言ってもらえたので書きました
嬉しかったので
今後も暇を見て回答編が増えると思います