アクア『領域展開』 作:初心者
遅れました申し訳ありません
何とか二日に一話ペースは守りたい
二〇〇六年一月末
天元の施術二回目
立会人は『術師殺し』伏黒甚爾と現在唯一の『特級術師』九十九由基
施術を担当するのは星野アクアと雨宮吾郎
施術目的は天元と同化した二代目星漿体の魂の剥離と天元の魂の調整及び二代目星漿体の肉体を天元の肉体として再調整すること
魂の剥離と調整はアクアが
肉体の再調整を吾郎がそれぞれ担当する
手順はまず、二代目星漿体の魂の剥離に着手し、
終わり次第、天元の魂の調整、そしてそれに合わせた肉体の再調整
前回の施術を精査したところ、初代星漿体を引き剥がすだけで20分近く掛かっており、二代目を引き剥がすには更に時間が掛かりそうだった
また天元の魂から初代星漿体を引き剥がした後、その欠損部分を補うためにアクアの呪力をごっそり持っていかれていた
本来なら分割して施術をしたいほどアクアにとって大きな負担が掛かる施術である
しかし、残念ながらその余裕は無い。
最初の施術で初代星漿体を剥離した後、肉体の負担が思いの外大きかったことも影響している
だが、それ以上に二代目星漿体の肉体と魂の剥離の負担は重く。天元の進化のタイムリミットが近づくと判断したためである
本来なら星漿体と同化予定である5月13日から数ヶ月ほどあった猶予が無くなると考えられるほどに
ゆえに星漿体の同化を止めさせるためにはこの二回目で一連の施術を終わらせなくてはいけない
「始めるぞ」
アクアが開始の合図をし
「ああ」
吾郎が呼応する
薬王薬上菩薩印
『『領域展開』』
『『陰陽施寮』』
九十九由基は初めて見る領域展開に好奇心を抑えられずにいた
───二人がかりの領域展開!!一人の時は手術室だけだったと聞いたが、二人がかりで病院を丸ごと領域内に顕現させている!
更に手術室では天元が二つの施術台に別れるのを目撃する
───おお!手術室の天元が二つに別れた。アクア君の方が魂。雨宮先生は肉体の方だったな。興味深い!
九十九は伏黒甚爾の方に目を向ける
甚爾にとってはもはや馴染みの光景であるため動揺をすることもなく。退屈そうにアクアと吾郎の施術を見つめていた
───この領域で伏黒甚爾の肉体を調べ、呪力が完全にゼロとなる『天与呪縛』のメカニズムが判明すれば、私の研究は大いに進むことになるだろう!呪霊を根絶する『原因療法』!その大いなる一歩に!
九十九は凄絶な笑みを浮かべ
───なんとしてもこの二人、いや三人を口説き落とさねばな。天元!感謝するぞ!この三人を私に引き合わせてくれたことにはな!
心中で限定的な感謝の言葉を天元に贈ったあと、我に返り
───まずはこの施術を見守ろう。全てはこの施術が終わった後の話だ。仮に協力を取り付けられなくとも星漿体の因果の軛を解いてくれるかもしれない『挑戦』だ。その一部始終を目に焼き付ける。歴史的瞬間に立ち会う。その至福の一時を与えてくれる二人に心の底からの尊敬と感謝を
そんな天にも昇るようなテンションを落ち着けた九十九を甚爾は
───ようやく落ち着いたか。テンション乱高下し過ぎだろ。
と冷めた目で見ながら欠伸を噛み殺していた
領域展開から30分経過
二代目星漿体の魂の剥離が完了したアクアだったが
───よし、第一関門突破した……!?
完全に剥離された二代目星漿体の魂が大気に溶け込んでいくように消えていった。
───初代も似たような感じだった……か?
「甚爾!九十九さん!今の現象は!?」
「……分からない」
九十九は初めて見る現象に唖然としながら答えた
「……少なくとも祓ったって感じじゃねえな。空気に融けてった……あるいは成仏していった……とでも言えばいいか?」
甚爾は冷静に今見た現象を評した
「……今は成仏していったと考えよう」
九十九は元星漿体として彼女たちが無事旅立つことが出来ていることを祈った
第一関門を突破したアクアだが、まだまだ施術は続く
第二関門天元の魂を本来の形に戻す調整である
星漿体の魂たちの抜けた欠損部分を埋めていく
だが
───思った以上に二代目星漿体だった部分が多い。肉体との繋がりを断ったからか……!魂の欠損した部分を完全に補完するには呪力が足りない……!
「……吾郎」
「ああ、解ってる。思った以上に天元様の魂が少ないんだろう?」
「ああ……肉体側で補完出来そうか?」
「……難しいな。」
ここに来て天元の魂から星漿体を抜いた影響の大きさに苦慮する二人
「……肉体側を魂に合わせると子供サイズになってしまうな……」
肉体の再調整を担当する吾郎が現時点での調整予測を立てる
「子供サイズか……どこまで若返らせるかは指定されていないが現時点では若返らせるのは不可能だ。……仕方ない。一旦上半身だけ残す形で調整しよう」
「……」
「……元々肉体はほとんど機能してはいなかった。それにあくまで一時的な措置だ。このあとも施術を重ねて、肉体と魂を徐々に若返らせる。今の魂に見合うサイズの年齢───10歳くらいまでだな、そこまで若返らせる際に肉体を調整して下半身を生やして成長してもらう」
「魂が身体の成長とともに育つ保障は無いが……」
「……大丈夫だと思うが……九十九さんはどう思う?」
「……分からん……肉体の成長とともに魂も成長していくはずだが天元にそれが当て嵌まるか。まあ───下半身を失うのは星漿体という生け贄を利用し、生き長らえた天元の自業自得。ちょうど良い罰だろ」
九十九が突き放すような口調で吐き捨てる
「……ともかく天元様の結界術は掌印を多用する。だから両腕は残しておかなきゃ不味い」
アクアがそう結論づける
《私もそれで良い》
反応したのは施術中の天元だった
「!?天元様」
「意識が!?」
天元の声が聞こえ、二人が反応する
《私の魂だけになったからかな、声を届けられるようになったので口を挟ませてもらった。上半身だけ残す形で構わない》
「分かりました。ではそのように施術致します……一つ質問があるのですが」
《肉体の成長とともに魂が成長するか。かな?》
「はい」
《するだろう。だが仮に成長しなかったり、成長した後、下半身に異常が出たとしても、最悪掌印が組めれば何とでもなる》
「……畏まりました。一時的なことではありますが、力不足で下半身を切り捨てる形になってしまい申し訳ありません」
《その程度の代償ならば軽い。九十九由基の言う通り私の自業自得だ。気にするな。》
「……はい」
アクアは術式の続きを施し始める
───このやり方ならば呪力はそれほど要らないのがせめてもの救いか。とはいえ天元様には迷惑をかけてしまった。『主治医』失格だ……だがこれ以上失態を演じる気は無い
アクアは気合を入れ直すと天元の魂の下半身を利用し、魂の欠損した部分を補っていく
「吾郎」
「ああ分かってる。肉体の調整は完了した。そっちは───」
「こちらも完了した。魂を肉体に戻すぞ」
──────
領域が解かれ、元の薨星宮に戻った5人
───信じられないな。あの規模の領域を一時間以上展開し続けるとは
九十九は二人がかりの領域の規格外さに脱帽する
魂と肉体が千年振りに合致した天元は
《うむ下半身の感覚こそ無いが。正直今までもほとんど無かったから変わらんな。上半身は今までに無いほどしっくりくる。》
と掌印を組み結界術の発動することで自身の感覚を確かめていた
「……しばらく経過観察をした後、本格的に肉体の若返りに挑戦しますね」
疲労困憊で声も出ないアクアの代わりに比較的負担の軽かった(とはいえ立っているのがやっとな)吾郎がこれからの施術予定を伝える
《ああ》
「天元、今の星漿体はどうするんだ?指定を解くのか?」
九十九が問い掛ける
《……いや、念の為告知はしない》
「……なぜだ?」
《現時点では確実に同化が必要無くなったとは言えん。それに現星漿体は家族を喪っている。星漿体指定を解いたら保護と援助が打ち切られる。星漿体には悪いが、同化したと言う事にしてしまい、こちらで新たな身分を与える方が良いだろう》
「ふむ、万が一のリスクヘッジと、保護と援助の打ち切り回避か」
───確かにその方が天元にとって都合が良いだろうが、前者は気に入らないな。だが後者は確かに星漿体の保護には必要か。それに───
「星漿体を狙っているというきな臭い組織もあるし、その方が賢明か」
「星漿体を狙っている組織なんてあるのか?」
領域を解いて疲労困憊でへばっていたアクアが聞き捨てならない情報を耳にし、反応する
「ああ、盤星教『時の器の会』。天元を神として崇めるカルト宗教だ。そして秘密結社『Q』。こちらは天元を暴走させ、現在の呪術界の転覆を企んでいる。前者は非術師の集まりだが信者の数が多く、資金も潤沢、後者は規模こそ小さいが呪詛師の集団だ。」
呪術廻戦0の夏油や初領域展開時の真人みたいなテンションの九十九
没案
達磨
流石にアレなので上半身だけ残す形に