アクア『領域展開』 作:初心者
【注】捏造、独自解釈、独自設定
二〇〇六年五月
呪術高専
「そういえば家入先輩は反転術式が使えるんですよね!どうやって使っているんですか?コツを教えてください!」
灰原がそう言い出した
「私も興味があります」
七海もそれに賛同するが……
「やめとけ硝子の説明意味わかんねーから」
「いや悟。二人ならひょっとするかもよ?」
「五条先輩、夏油先輩」
「いや無理だね。断言出来る。硝子の説明では絶対に無理だ」
「はあ……その根拠は?」
「俺が出来ないから!」
「「……」」
一年生二人が五条の発言に閉口する
「言うと思った」
相方の夏油は呆れた顔をしていた
「だからひゅーっとやってひょいだよ」
「いや、だから、そんな擬音で説明されても……」
夏油が溜息をつきながら呆れ果てた声で指摘する
「マジで硝子の説明は意味がわからん」
「ああ、そういうことですか」
五条の発言に七海が合点がいったという反応をする
「七海!わかったの!?僕は分からないんだけど!?」
「いやそっちじゃなくて、家入先輩の説明では反転術式を習得出来ないという五条先輩の発言の意図が分かったということですよ……」
「コレで分かんないならセンスないんじゃない?」
家入は何故分からないのか不思議な表情を浮かべながら言い放つ
「言ってくれるね」
灰原が首を捻り、七海は溜息を漏らし、夏油が肩をすくめる
「硝子に言語化のセンスがねぇよ」
五条がボヤくと
「んなに反転術式覚えたいなら、もう一人使える人に聞いたら?」
「もう一人とは?『『ああ!』』」
七海は心当たりが無く、誰か聞こうとしたところ。心当たりのあるらしい五条と夏油が声を上げた
─────
「ゴロセーン反転術式教えて〜硝子の説明だと意味分かんなくてさ〜」
「五条君と……夏油君に一年生の二人もか」
───家入君もゆっくりとこっちに来てるな。なんか五条君に九十九さんと揉めた後から妙に懐かれたな。夏油君もだが、教師っぽいことしただけだよな?……それとも舐められてる?
「そうだね……。んーちなみにだけど家入君はなんて言ってた?」
「『ひゅーっとやってひょい』だとさ」
「ああなるほど……。まあ感覚的には間違っちゃいないけど……」
「間違ってねえの!?」
吾郎の発言に五条が驚いた反応をし、夏油や七海、灰原も驚いた顔をする
「間違って無いね。『ひゅーっと』は腹で練った呪力を頭に流すイメージ。んで『ひょい』が頭で呪力をひっくり返す。反転させるイメージかな」
吾郎が腹を指で示したあと、『ひゅーっと』の擬音に合わせて頭に持っていき『ひょい』で頭を指で示し、円を描く
天元に教わった知識と自身の経験と感覚から家入の擬音説明に
「呪力を練って頭に流す。そして呪力をひっくり返す……か」
夏油が吾郎の発言を自身にインプットするように復唱するが
「ゴロ先、それ頭イカれてんのかってジェスチャーに見えるんだけど……喧嘩売ってる?」
五条が吾郎の動作を揶揄しながら眼を鋭くする
「ええっ!?……ああ、確かにそう見えるな」
五条の軽い威圧に動じず、吾郎は自身の動作を思い返し納得する
「「……」」
「毒気削がれるわ〜……にしても頭でひっくり返す……か。腹で練って腹でひっくり返すイメージだったけど……頭でひっくり返すのか」
「呪力は練るのは腹だけど反転術式は頭で回すんだ。領域展開なんかも結界術は脳で構築するからね。」
「ふーん……ん?ちょっと待てよ?領域展開!?ゴロ先領域展開使えるのか!?」
「え?ああ、うん一応?」
───僕の術式領域内包型だから『六眼』で分かっているのかと思ったけどそうでもないのか……
「見せてくれ!」
「私も是非見たいな」
「僕も!」
「私も是非」
「あ、私も」
五条、夏油、灰原、七海そしてゆっくり来ていた家入も領域展開を見たいと希望する
「ウ~ン……ゴメン!夜蛾さんに相談してからかな」
「「「「「え〜(残念です)」」」」」
「本当にゴメンね。僕だk……と領域展開しても直ぐに呪力スッカラカンになっちゃって、その日一日使い物にならなくなっちゃうんだよ。迷惑をかけたくないからね」
「……それだけ呪力を消費するということですか」
「……確かにゴロ先は俺よりは呪力少ないけどさー。そこらの一級よりよっぽど呪力量多いぞ?それでもそんなにキツイのかよ」
───アクアと共同で展開しないと五分くらいしか持たないからな
なお領域は本来五分持てば充分な長さである。自身達が二人がかりで使っている領域展開が一時間以上持続するということが異常なのだが、比較対象が無い(強いて言えば、天元の結界)ので気づいていないのだった
「『六眼』持ちじゃないからね。まだ無駄が多いんだよ。一応練習はしてるんだけどね」
「領域の練習ってどうやってるんです?」
「結界術の基礎を学ぶことだね。例えば、『帳』を降ろすのも練習になるよ」
「『帳』か……必要ないと思ってたけど。そんな効果あんのか?」
「いや、ちゃんと『帳』は張ろうね?」
「え〜どうせ呪霊も呪術も
「駄目に決まってるだろ。呪霊の発生を抑制するのはなにより人々の心の平穏だ。そのためにも目に見えない脅威は極力秘匿しなければ───」
「分かった分かった。弱い奴等に気を遣うのは疲れるよホント」
「『弱者生存』それがあるべき社会の姿さ。弱きを助け、強きを挫く、いいかい悟。呪術は非術師を守るためにある。」
「それ、正論?俺、正論嫌いなんだよね」
「……何?」
「呪術に理由とか責任を乗っけんのはさ。それこそ弱者のやることだろ。ポジショントークで気持ち良くなってんじゃねーよ」
「オ゛ッエー」と上を向いて吐く真似をする五条
───五条君はまあ、ある意味年齢相応か、ちょっと幼いな。力を持っているだけに危うく見えるが、反抗期と思春期の全能感かな。ただ、夏油君は理想が先走りすぎているな。年齢相応の正義感と言えばいいし、力を持っている者には必要かもしれないが、潔癖過ぎるのは少々危ういな。上層部のアレっぷりみたらどうなることか……
一連のやり取りを見て二人の性格を把握していく吾郎だが
「悟、ちょっとあちらで話そうか」
「寂しんぼか?一人で行けよ」
一触即発の空気になり、家入と一年生の二人は吾郎の後ろに隠れる
「……なんで君ら僕を盾にするの?」
「先生だし、領域使えるならあの二人に勝てるかと」
「いや多分、あの二人もそれが目的で喧嘩しようとしてるんじゃないかな?」
「……」
「チッ、バレたか」
「まあ半々くらいだとは思ってたけどね。ちなみにこういう時も『帳』は有効だよ?多少の強度はあるから、あの二人を閉じ込めればいい」
「……あの二人相手に『帳』効きますかね?」
七海が流石に無理では?というニュアンスを込めて吾郎に聞く
「『帳』の設定を変えるのさ。本来は隠密性メインだけど。性質は内面の強度を上げるほど外からの力に弱くなる。高専内なら問題にならないし、なんなら外からも内からもほぼ全てを素通りする代わりに、特定の呪力に反応する───例えば、五条君と夏油君のみ内側から出られないようにするなどして隠密性ではなく強度に振ることも出来る。後は二枚や三枚重ねて張るのも手だ」
天元から結界術を習った吾郎。領域内包型という結界術がベースにある術式を使っているため『帳』をアレンジするくらいは習得済みであった
「そんなことが出来るんですか?」
「出来るよ」
「……やっぱりゴロ先の領域展開は見たいな」
「どうする悟。いっそ本当にやりあって保健室送りにしてあげようか」
先程の続きをしようかと夏油が誘うが
「んなことしなくても夜蛾先に聞いてくるから……?」
夏油の発言より自身の好奇心が優先とばかりに、夜蛾に許可を取るから待ってろと職員室に向かおうとした五条だが、吾郎が別の方向を見ているのを見て立ち止まる
「……夜蛾先生ならこっち来てるね……。なんか血相変えてるけど何かあったかな?」
「「んん?」」
「喧嘩しようとしたのを察知されたんじゃないですか」
七海が心当たりの無い五条と夏油が首を捻る姿を見て呆れた声で指摘するが
「ひょっとして」
「硝子か」
「何やったんだい?」
「いや私じゃなくて……」
家入が心当たりを口にしようとすると五条と夏油が追求しようとするが
「傑!悟!」
「あれ?」
「俺ら?」
「ほらやっぱり───」
七海がそれ見たことかと五条と夏油の二人だと言おうとしたが
「冥冥と歌姫がここ二日行方不明だ。現地に行ってくれ!」
「「「「「!」」」」」
夜蛾からの一級術師と二級術師のペアが行方不明という情報に一同は驚愕する。
「場所は?」
「静岡県浜松市だ」
──────
「あの屋敷か、『帳』が必要なら俺が降ろすから先に行くぞ」
「え?あ!五条君!?」
着いてきていた補助監督を置き去りにし、五条が先行する
「悟!?忘れるなよ!『帳』は」
先行する五条の後を夏油が追従しながら声をかける
「領域の練習にもなる。だろ!分かってる。せっかくだから傑も俺の張った『帳』の上から二枚目張ってみな!」
「そういう意味では言ってない。それにぶっつけ本番で無茶を言う。───だがやってみよう」
夏油は五条から求められた新しい試みに笑顔で挑戦する
『『闇より出でて闇より黒く その穢れを禊ぎ祓え』』