アクア『領域展開』 作:初心者
二次創作ランキングルーキーカテゴリ第3位!?
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後輩で悪友の妻が
さりなを死なせた病魔に冒されていることを知ったアクアに病気に対する強い負の感情が湧き上がる
さりなを救えなかった過去の傷への執着がアクアを突き動かしていた
アクア本人は自覚していないが吾郎の魂がアイの治療の際にルビーの背後にさりなを視ていることも影響していた
深夜アクアは行動を起こす
隣の病室に忍び込み久しぶりに会う後輩
顔色が悪く痩せた痛々しい姿がさりなと被る
───彼女はさりなちゃんじゃないそんなことは分かってる!
アイを治療した時の感覚を思い出しながら
後輩を死なせないという自分と自分の中の雨宮吾郎の想いが合致する
雨宮吾郎がアクアの背後に浮かび上がり
二人は同時に印を組む
薬王菩薩印───薬上菩薩印
─────『領域展開』────『陰陽施寮』─────
──────
深夜
伏黒甚爾は妻が入院してから日課となっていた病院の呪霊祓いに来ていた
───まあ大体狩っちまったからな……雑魚しかいねぇか
病院という場所の性質上呪霊の湧く頻度は高い……だがわざわざ祓うに値しない雑魚ばかり……頭では解っていたが
───こんなことでもやっとかねえと落ち着かねぇ……糞が
自分が妻に出来ることはこれくらいしかない
そんな自分に悪態をつきながら甚爾は呪霊を祓う
───今日見掛けたのは大体祓い終えたか
帰り際、妻の病室を外から見上げ異常が無いか確認する
意味の無い行為だと自嘲しながらも辞める気になれないルーティーン
今日も異常は無いだろうと妻の病室を外から見てから帰ろうとするが
違和感
甚爾の眼は病室の遮光カーテン越しでも光が視ることが出来る
なのに何故光が漏れて見えない?
妻の病室は普段小さな灯りを付けているはずだった
胸騒ぎがする
───念の為だ
病院関係者に一切気付かれることなく病院に忍び込み病室の様子を確認する
ただそれだけ
警備員が居ようと巡回が居ようと
彼にとっては当然のように遂行できる
2分と掛からずに妻の病室の前まで来ていた
扉に鍵は掛かっていないが
───匂いがしねえ
妻の匂い、点滴の匂い、薬品の匂い、以前見舞いに持って来た枯れかけの花の匂い、それらが遮断されている
───結界か!?
呪霊、自分に恨みを持つ呪詛師あるいは……
呪具を構え臨戦態勢で病室の扉を開け飛び込む甚爾
───手術室……?領域か!?
術師か呪霊か倒せば済むと標的を視界に捉える───
そこにいたのは
「雨……宮……?」
「甚爾!?」
行方不明だったはずの悪友が金髪の子供から生えている
そして妻が二人に分かれている
奇妙な光景であった
「どういうことだ……!説明しろ雨宮」
「治療中だ静かにしてろ……!」
吾郎の口が動くが声はアクアのものであった
「ガキに聞いてねえ黙って……って治療……!?治んのか!?」
「治したいさ!だが……腹部の傷の治療とは勝手が違った……!うまく治せるか自信はない……!」
何でも治せるかもと思っていたが脳の構造は極めて複雑
病気自体はさりなが亡くなってからも論文を漁り知識を蓄えてきた
だがそもそも雨宮吾郎は産婦人科医であり、星野アクアはカルテやMRI検査の結果を知ることは出来ない立場だ
とどのつまり経験不足で準備不足だった
「見切り発車かよ!?何考えてんだてめえ!?」
「患部に干渉し一気に治す!以上!」
「ふざけんな!」
「大真面目だよ!」
「出来んのかよ!?」
「……足りないものがある」
「……足りないもの?」
「まず情報だ」
「情報?」
「魂側と肉体側双方の患部に干渉し回復する…その患部の場所が特定出来ない」
「……そのままで回復できねえのか?」
「……大まかにやってもいいが確実性に欠ける。肉体と魂双方の脳全体に干渉するには脳自体が複雑過ぎて時間も力も足りない」
「……必要なのは脳のMRI検査の写真か?」
「?ああ……持っているのか!?」
「いや盗ってくるコイツの主治医に今日見せられた」
アクアは葛藤する
自分の身勝手な人助けに悪友を巻き込み犯罪者にしてしまうことを危惧していたが
かつて魅せられた甚爾の異常なフィジカルとここまで忍び込んだという事実を信じることにした
「……だったらカルテごと持ってきてくれ……最悪MRIの検索結果だけでいい……くれぐれも慎重にな」
「得意分野だ……猶予は」
「3分」
「窓側から征く……必ず治せ」
「ああ」
甚爾は領域から出て窓を開け外に飛び降りると
可能な限り音をたてないように走り、別病棟の3階にある脳神経内科の診察室を目指す
昼間行った診察室に小さな窓があることを憶えていた甚爾
幸運にも鍵の掛かっていない小さな窓を開け侵入しようとするがガタイの良い甚爾では途中で嵌ってしまいそうになる
───仕方ねえ
左肩の関節を無理矢理外し部屋に侵入する
外した左肩の関節を入れ、カルテを探すため感覚を研ぎ澄ませる
───匂いは……薬品のせいで当てにならねえか
甚爾はフィジカルギフテッドにより暗闇でも昼間と同じように視える
診察室の棚のラベルを確認し引き出しを開けると
自身の妻の名のカルテとその中に挟まれているMRI検索結果を見つけ中身を確認すると侵入した窓からまた左肩を外し外に出る
────時間が惜しい
左肩を戻さず妻の病室に直行する
「2分だ……後は任せる」
約束より1分早くカルテを持ってきた甚爾
左肩はダラリと垂れ下がりあちこち擦り傷がつき服も引っ掛けたらしくボロボロの状態だった
だが眼には今までにない光がともっていた
「……任せろ……必ず治してやる」
一瞬甚爾の傷を治そうか迷うもののその傷が誰のためなのかを思い出し踏みとどまる
───優先すべきものを間違えるな!今治療が必要なのはこちらだ!
吾郎とアクアはカルテとMRI検査結果を診て患部を特定すると
アクアは魂側の
吾郎は肉体側の
肉体と魂に別れた患者双方の頭の側面に両手を触れる
触れた指先が頭の中に吸い込まれるように消えていく
そのまま指が頭に埋まっていく
患部に直接触れる位置まで指先が到達
術式を行使する
領域が解除され甚爾が開けた窓から月の光が差し込んでくる
吾郎はアクアに吸い込まれるように消えていき、アクアはフラフラになりながら甚爾に
「治療は完了した……もう一回検査してもらえ……断られたら別の病院にセカンドオピニオンを……と伝えて転院すればいい……あとは……カルテ……戻しといてくれ。お前にも担当医にも……迷惑がかか……る」
と甚爾に伝えると倒れ込む。
「危ねえな」
倒れ込むアクアを抱きかかえる甚爾。
アクアは最後の力を振り絞り甚爾の痛めた左肩を治療すると意識を落とした
「ったく気を失う限界まで他人のことかよ……相変わらずお人好しだなお前は……死んでも直らなかったんだな……」
これまでに集めた情報で吾郎が死んでいることを察しそれでもなお人助けしようとする性根に呆れる
───男抱きかかえるのは趣味じゃねえんだが仕方ねえか
そのままアクアを病室に送ることにした甚爾
「ありがとな」
アクアを病室に送り、眠るアクアに礼を言うと
────さて無視しても構わねえが……雨宮の頼みだ。放置すんのは寝覚めが悪い、さっさとカルテを戻すか
なお結局カルテを戻す際アクアが治した左肩をもう一度外す羽目になり
───この程度すぐ治るが……借り一つ減らすか……
アクアの評価をほんの少し下方修正した
そして術式を呪力切れまで使用し倒れたアクアは───翌日朝また熱を出し、意識不明に陥っていた
「……今朝病院から連絡があってアクアがまた熱を出したらしいわ……だから入院が延びるそうよ……」
「「今日こそお見舞いに行く!!」」
アクア入院延長決定
──────
《心霊施術持ちが現れたか……あの子なら私の肉体を調整することが出来るかもしれないな……然すればあの娘もくだらぬ役目から解放してやれるだろう招待しなくてはな
───薨星宮に……》
入院患者のいる病棟と診察室は別病棟
診察室にカルテを保管しないと思います
あっても鍵掛かってるか電子カルテ
多分きちんと窓の鍵も閉めるはず
創作ですので気にしないでください
この病気だけには詳しいからという理由であっさり治しても良かったんですが
脳の治療は呪術廻戦本編で難易度が高いと明言されているので未熟なアクアと畑違いの吾郎には事前の検査必須の形に
あと地味に術式開示で出力が上がってます(本人無自覚)最後の甚爾の左肩治療分と領域の継続時間が伸びてる
今回は領域で消失したものは無し
発声はアクアの声だけ吾郎は口パク
実際には魂側には吾郎の声が
現実と肉体側にはアクアの声が聴こえる
話してる内容は一緒
前話で明言しませんでしたが二人とも脳神経内科に掛かってます(アクアは本来小児科ですが一応脳の検査ということで)なので病室が隣同士で二人共個室
ママ黒生存により津美紀はママ黒の従兄妹が育児放棄した娘を引き取る形に
シン・陰流の師範を見つけられるならアクアも見つけられるよね
借りは甚爾が勝手につけてるだけ(アクアへ借り100が99になったようなもの)
アクアは貸しとは思っていない
むしろ自分の身勝手な我儘に付き合わせて犯罪行為までさせてしまって負い目があると思っている
そういうとこやぞ