ありがとうございます:(っ`ω´c):
ギルドの窓から差し込む朝日は、かつてオーンスタインが守護した王都の黄金色とは異なり、どこか白々しく、ひどく冷たい。
カウンターに置かれたのは、鋼鉄等級の冒険者証。
昨日まで彼が持っていた白磁の札よりも重く、鈍い光を放っている。
だが、オーンスタインはその札を手に取る際、そこに刻まれた名よりも、自らの篭手の隙間に食い込んだ炭鉱の煤を気にしていた。
「……昇級、おめでとうございます。オーンスタイン様」
受付嬢の言葉に、周囲の冒険者たちが一斉に視線を向ける。畏怖、嫉妬、そして得体の知れないものへの純粋な好奇。
しかし、その喧騒を切り裂くように、一人の男が受付に走り寄ってきた。
「頼む、これを見てくれ! 北の炭鉱のさらに奥、崩落した空洞で見つけたんだ!」
泥まみれの若手冒険者が、震える手でカウンターに一つの「石」を置いた。
それは、この世界のいかなる鉱石とも異なっていた。
石そのものが微かに熱を帯び、鈍い青光を放ちながら、脈動するように明滅している。
表面には、人の手では刻み得ない「理」が、結晶の重なりとなって刻まれていた。
「鑑定士に見せたが、価値がつけられねえって言われた。鉄より硬く、魔力とも違う力が宿ってるって……」
オーンスタインの眼光が、鋭くその石を射抜いた。
彼は無言で歩み寄り、少年の横からその石を手に取った。
「な、なんだよあんた……!」
「……どこで見つけた」
オーンスタインの声は、地を這う雷鳴のように低く、威圧に満ちていた。
彼の手の中で、その石は呼応するように一層強く輝き、彼の黄金の篭手にパチパチと火花を走らせる。
それは、この世界に存在するはずのない遺物。
武具をさらなる高みへと強化し、物理的な限界を超えさせるために神々が鍛えた、『楔石の大破片』だった。
「……北の、最下層の空洞だ。小鬼(ゴブリン)たちが、何かを祀るようにその石を囲んでやがった。俺たちはそれを奪って逃げるのが精一杯で……」
オーンスタインは楔石を凝視したまま、自らの『竜狩りの槍』を背後で握り直した。
この石があるということは、ここには単なる次元の裂け目以上の「繋がり」がある。あるいは、誰かが意図的にこの地の「理」を書き換えようとしているのか。
「その依頼、私が引き受けよう。案内は不要だ。場所だけを教えろ」
「えっ、でも、あそこはもう小鬼の巣に……」
「……あやつらが触れてよいものではない」
オーンスタインは少年の手に、報酬代わりの金貨を握らせた。
彼は確信していた。
楔石が存在するということは、その周辺にはかつての同胞の残滓、あるいは武具を叩くための「火」が存在する可能性がある。
「……小鬼、か」
ギルドの隅。
いつも通り、掲示板の依頼書を見つめていた鉄兜の男――ゴブリンスレイヤーが、その言葉に反応して僅かに首を動かした。
「……奴らは、何でも拾う。価値も分からぬまま、毒として溜め込む」
「……左様か。ならば、拾いすぎた報いを受けさせるまでだ、狩人よ」
二人の視線が、初めて正面からぶつかり合った。
一方は、失われた故郷の断片を求めて。
一方は、巣食う害獣を根絶するために。
目的は違えど、見据える先は同じ暗い穴の底。
オーンスタインは獅子兜を深く被り直し、楔石の熱を拳に感じながら、ギルドの扉を蹴り開けた。
その内白霊とかも出すかどうか
-
出せ
-
出すな
-
闇霊なら許す
-
白も闇も出せ