【速報】俺氏モブつきんちゅになる   作:月面の蟹

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皆様閲覧、感想、評価、お気に入り、誤字報告、毎度有難うございます。

どこで切ったらいいのかわからなくなって、大変長く(当社比)なってしまいました。


【悲報】古代地球、月の方がマシだった

1:以下、名無しに代わりまして月人がお送りします ID:7yJ2Egl7U

 月って、仕事があるだけマシだったんだな…

 

2:以下、名無しに代わりまして月人がお送りします ID:Q6vanlPgt

 そんなに退屈なのか古代地球

 

3:以下、名無しに代わりまして月人がお送りします ID:9LvplNkf3

 古代地球どころか海の底だもんな…

 

4:イッチ ID:7yJ2Egl7U

 お前たちもリアルタイムで一緒に見ていたかったか?数年か下手すれば十年以上ぶりに新種の生き物を見つけて「わぁ〜新しいお魚だ〜!」ってはしゃぐ俺とかぐや様と犬DOGEの姿を

 

5:以下、名無しに代わりまして月人がお送りします ID:TBIWeEFIS

 結構です…

 

6:以下、名無しに代わりまして月人がお送りします ID:8oLXwsPFq

 遠慮しときます…

 

7:以下、名無しに代わりまして月人がお送りします ID:bqYAWS37m

 その間普段なにしてたの

 

8:イッチ ID:7yJ2Egl7U

 最初は俺が舟に積んどいた娯楽があったからいいんだけどさ、仕事とかやることがない中、何十年何百年と経つとまーやれる事が無くなっていくわけよ

 動画なり漫画なり小説なり持ってきたけど流石にね…楽器もアコギくらいしか搭載しとかなかったし…

 

9:以下、名無しに代わりまして月人がお送りします ID:+Gh2Warok

 ちょっと待って、もうそんな経ってるの!?

 

10:以下、名無しに代わりまして月人がお送りします ID:MFijvbeeY

 何百年!?

 

11:以下、名無しに代わりまして月人がお送りします ID:5G58KctyL

 月の数十年もまあまあしんどそうだったのに…

 

12:イッチ ID:7yJ2Egl7U

 ここ数百年は縄文人と接触できたから、だいぶ賑やかになったけどな

 

13:以下、名無しに代わりまして月人がお送りします ID:scHB5i4a2

 待って、数百年どころかひょっとしてそろそろ千年が経とうとしてる?

 

14:以下、名無しに代わりまして月人がお送りします ID:u1sCDkVem

 時間飛び過ぎィ!

 

15:イッチ ID: 7yJ2Egl7U

 仕方ないだろ…こっちはもう千何百歳で、しかもずっと海底にいたから時間感覚もバグり散らかしてるんだよ…

 

16:以下、名無しに代わりまして月人がお送りします ID:fybL3CzTq

 あー、体感した時間が長くなるほど時が早く感じるって言うもんな

 

17:以下、名無しに代わりまして月人がお送りします ID:ohWSlAPFv

 せっかく過去に居るんだし貴重な歴史的資料とか無いんか

 

18:イッチ ID:7yJ2Egl7U

 資料的なものは特にはないなぁ

 まあおおよそみんなが想像する感じの原始人って感じ

 竪穴式の家に住んでて、狩猟と採取、あとは漁業を中心とした生活を営んでたな

 

19:以下、名無しに代わりまして月人がお送りします ID:e+NJ2wJfJ

 おー、そのまま原始人だぁ

 

20:以下、名無しに代わりまして月人がお送りします ID:iG72O70oU

 かぐや達はやっぱり祀られてるの?

 

21:イッチ ID:7yJ2Egl7U

 共同体に迎え入れてもらうために、いろいろ叡智を授けたからな

 自然と神として祀られるようになった

 

22:以下、名無しに代わりまして月人がお送りします ID:jQ2Uu27Qy

 さながら異世界転生知識チートか…

 

23:以下、名無しに代わりまして月人がお送りします ID:zTvoeZMjL

 現代地球ですら知識チートできる科学力なんだよなぁ

 

24:以下、名無しに代わりまして月人がお送りします ID:CkjmTXr9Q

 ちなみに何を教えたの

 

25:イッチ ID:7yJ2Egl7U

 最近は耐火粘土の探し方と作り方、炉の建造方法、耐火レンガの製造方法、コンクリートの生成方法を教えたぞ

 

26:以下、名無しに代わりまして月人がお送りします ID:K73UJFD45

 ちょっと待てよ!

 

27:以下、名無しに代わりまして月人がお送りします ID:YpFgfcL0C

 ひょっとしてローマン・コンクリートを紀元前5000年頃の日本に持ち込んだんかお前!

 

28:以下、名無しに代わりまして月人がお送りします ID:msdX+VyZl

 知識チートとかのレベルじゃないだろ!

 

29:以下、名無しに代わりまして月人がお送りします ID:ekyOyCBCD

 確かに日本なら若い火山も多いだろうし、火山灰も石灰石も海水も手に入れやすいだろうけどさぁ

 

30:イッチ ID:7yJ2Egl7U

 逆に聞くが、リアルと同じで普通に発展したら2030年までにスマコンとツクヨミを作れるほどのVR技術が育つと思うか?

 

31:以下、名無しに代わりまして月人がお送りします ID:GbAvMpbv2

 それはそうなんですが…

 

32:以下、名無しに代わりまして月人がお送りします ID:Vf4yUZbh+

 耐火レンガを使った炉ってことはひょっとして製鉄も出来ちゃうの?

 

33:イッチ ID:7yJ2Egl7U

 鉄さえ見つかれば可能だと思うけど、今すぐやるためじゃなくて将来使えるように作り方伝えてるだけだからなぁ

 銅が見つかったら青銅の製造と加工くらいは教えようと思ってるけど、今は皆土器を焼くのに夢中だよ

 

34:以下、名無しに代わりまして月人がお送りします ID:rvY02WUQ3

 これだけの叡智を授ければそら神になるわ

 

35:以下、名無しに代わりまして月人がお送りします ID:6FYDCun15

 日本の宗教結構変わってそう

 

36:以下、名無しに代わりまして月人がお送りします ID:hb+0TBF82

 宗教どころか語られなかっただけで歴史も相当変わってるだろ

 

37:イッチ ID:7yJ2Egl7U

 俺らの知る日本より海とか湖への信仰は篤くなってたかもしれん、SNSで水中鳥居の写真よく見たから

 ただ宗教系はあんまり調べなかったからなぁ

 あと大東亜共栄圏とか出来てないし、米帝には負けてるからおおよそ歴史通りと言えるはず

 

38:以下、名無しに代わりまして月人がお送りします ID:MKxoLbVZa

 イッチ達は海から来たわけだしそらそうか

 

39:以下、名無しに代わりまして月人がお送りします ID:M/OrTwwre

 まあ技術が発展しても流出していくものだしな…

 

40:以下、名無しに代わりまして月人がお送りします ID:R4psKRBeU

 超かぐや姫!世界の技術発展はイッチとかぐやの仕業だったのか…

 

41:イッチ ID:7yJ2Egl7U

 うむ、ひとまず俺にやれる事はやりきった感がある

 一番しんどかっただろう深海で独りぼっちの時間は乗り越えたし、人間達のコミュニティには入れたし、もうゴールしてもいいよね…

 

42:以下、名無しに代わりまして月人がお送りします ID:KDFdyIlS6

 ひょっとしてそろそろ限界なのか?

 

43:以下、名無しに代わりまして月人がお送りします ID:ehF7XPlP3

 もうちょっと頑張れないか

 

44:イッチ ID:7yJ2Egl7U

 これでもかぐや様のおかげで結構長持ちした方なんだわ

 『もと光る竹』って月と地球間を移動するための乗り物に過ぎないから、本格的な俺のメンテナンスを出来るほどの設備はないんだよね

 言ってみれば俺らは千年ちょい車中泊してるみたいなもんなのよ

 

45:以下、名無しに代わりまして月人がお送りします ID:CWweFRw99

 まあ確かに移動用の乗り物だもんなあのタケノコ…

 

46:以下、名無しに代わりまして月人がお送りします ID:plfBIMb8o

 本当にもう限界なんか?なんとかならないんか?

 

47:イッチ ID:7yJ2Egl7U

 ここが現代だったら、かぐや様なら俺のアプデも出来たんだろうけど、流石に縄文時代じゃな…

 今俺の最大連続稼働時間は15時間、その後メンテナンスの為に12時間スリープモードに入らないといけないんだよね

 

48:以下、名無しに代わりまして月人がお送りします ID:o/M1w9UQh

 それがどれくらい短くなったのかはわからないけど、毎日12時間メンテしなきゃいけないのは長いな…

 

49:以下、名無しに代わりまして月人がお送りします ID:sevwfEPpu

 かぐやはどうなん

 

50:イッチ ID:7yJ2Egl7U

 かぐや様は今日も元気だよ

 さっきも縄文人のキッズと遊んでたし

 

51:以下、名無しに代わりまして月人がお送りします ID:Ykls5c/J9

 違うそうじゃない(鈴木雅之)

 

52:以下、名無しに代わりまして月人がお送りします ID:xINoB+PNt

 わかってるだろイッチ

 

53:イッチ ID:7yJ2Egl7U

 まあねぇ

 毎回俺のメンテをやってるかぐや様が気付いてないわけがないのよね

 

54:以下、名無しに代わりまして月人がお送りします ID:oi3fKPOA4

 その上でかぐやは元気なのか…

 

55:以下、名無しに代わりまして月人がお送りします ID:RsnOySe8k

 まあわからんでもない

 

56:イッチ ID:7yJ2Egl7U

 わかりやすく空元気よ

 

57:以下、名無しに代わりまして月人がお送りします ID:Bgx6saiqs

 そりゃあ辛えでしょ…

 

58:以下、名無しに代わりまして月人がお送りします ID:GARAks1SM

 勝手に連れ出してきた従者が自分のせいで先に死のうってわけだからな…

 

59:以下、名無しに代わりまして月人がお送りします ID:RYONejBAr

 寿命差の話は美しいけど悲しいねんな…

 

60:イッチ ID:7yJ2Egl7U

 別に死ぬわけではないが?

 

61:以下、名無しに代わりまして月人がお送りします ID:h5me7Jjmr

 なんて?

 

62:以下、名無しに代わりまして月人がお送りします ID:CW1Wx6uio

 死ぬわけじゃないの!?

 

63:イッチ ID:7yJ2Egl7U

 とりあえず一旦死なずに済む方法をやることにしたというか、問題の先送り方法を取ることになったというか

 

64:以下、名無しに代わりまして月人がお送りします ID:YVjeSESsX

 イッチ助かるんか

 

65:以下、名無しに代わりまして月人がお送りします ID:/OWdWtWz6

 それは一体?

 

66:イッチ ID:7yJ2Egl7U

 スリープモードに入った俺を圧縮、凍結して現代まで保存してもらって、現代の技術で直してもらう、そのままコールドスリープみたいな感じ

 これなら俺が過去に存在して、現代に存在せず、未来に存在できる可能性を実現できる

 

67:以下、名無しに代わりまして月人がお送りします ID:RmCoTtKTl

 あーね

 

68:イッチ ID:7yJ2Egl7U

 自慢じゃないが、これは俺が舟を守ったから出来た事なんですねぇ

 舟の機能が死んでたら俺もここで死ぬしかなかったからね…なんならメンテできないからもっと早く稼働停止してたと思う

 やはりあそこで体を張ったのは間違いじゃなかった

 まあ結局、こっから7000年かぐや様をぼっちにしてしまうことに変わりはないんだが…

 

69:以下、名無しに代わりまして月人がお送りします ID:FZNew6Wg5

 一番しんどい海底時代をスキップできたと思えばまあ…

 

70:以下、名無しに代わりまして月人がお送りします ID:V/GCsSpJ2

 完全に絶望じゃないだけマシ…か?

 

71:以下、名無しに代わりまして月人がお送りします ID:AUcl12ncr

 もっと自慢してホラホラ

 

72:イッチ ID:7yJ2Egl7U

 ただこれも俺が生きてるデータだから、圧縮時と解凍時に損傷する危険性はあるんだけど、放置したら100%死んじゃうからね、最終手段を取ることとした

 

73:以下、名無しに代わりまして月人がお送りします ID:SRMXcZ5fF

 ひとまず希望は繋げたわけね

 

74:以下、名無しに代わりまして月人がお送りします ID:k0a6LJpUl

 死ぬ確率が下がるにこしたことはないからね

 

75:以下、名無しに代わりまして月人がお送りします ID:etxjdzQ7z

 それでコールドスリープに入るまであとどれくらいなの

 

76:イッチ ID:7yJ2Egl7U

 今日このあと

 

77:以下、名無しに代わりまして月人がお送りします ID:K8jlB9O37

 今日!?

 

78:以下、名無しに代わりまして月人がお送りします ID:UVfxNbysm

 こんな場末の掲示板でぐだぐだしてないでかぐやと話してきて

 

79:以下、名無しに代わりまして月人がお送りします ID:muRiRHCyC

 はよ帰れお前

 

80:イッチ ID:7yJ2Egl7U

 言われなくともずっとかぐや様と会話はしてたよ

 それじゃあ寝るわ、無事起きれたら7000年後にまた会おう

 ほな、また…

 


 

 地球に落ちてきてから多分……うーん……1000年位経ったのかな?

 最初の数百年はマジで暇だったなぁ、あの頃は本当にしんどかったけど、でも楽しい時もあったんだよね。

 懐かしいなぁ、あれはそう……何年目だろアレ……言葉(ことのは)も『何日目かまで厳密に覚えてたら、ふとした時に気が狂いそうだからやめましょう』って言ってたから何年目かは記録してなかったからわかんないんだよね。

 

『かぐや!知らない魚見つけたよ!』

「でかした犬DOGE!わぁホントだ、知らない魚だぁ〜!」

 

 あの頃はもうずっと海の底にいて、言葉(ことのは)が持ち込んだ娯楽も殆ど消費しきって、どれもこれも十周目とかになっちゃって、本当に娯楽が欠乏してる状態だった。

 そんなだから、殆ど代わり映えのない犬DOGEの海底探検を眺めるのも娯楽になってたんだよね。

 

「ピンク色でヒラヒラだ〜……よし、この魚は『モモイロチョウウオ』と命名する!」

『では、そのように記録しておきます』

 

 言葉(ことのは)も、見つけた魚をわざわざ写真じゃなくてスケッチで残して、かぐやが付けた名前も全部記録してた、なかなか凝ってたなぁあれ。

 あとは、言葉(ことのは)が『もと光る竹』にアコギを積んでくれてたから、歌もよく歌ったっけ。

 

「ねぇねぇ言葉(ことのは)〜、なんか歌って〜」

『またですかかぐや様』

「だって、オリジナル版はもう聞き飽きちゃったんだもん、たまには味変しなきゃ」

『はいはい……わかりましたよ』

 

 かぐやが弾いて言葉(ことのは)に歌ってもらったり、その逆だったり、歌だけでも結構時間潰せたなぁ。

 ほんで、しばらく海底で過ごしてると、ちょいちょい地震が起こるようになって、最初は結構デカくて驚いたんだけど、いつの間にかすっかり慣れて「あぁ、また今日も揺れてんな〜」なんて思ってたら、いつの間にか陸地がめっちゃ近くなってたんだよね。

 

「ねえこれ!中はデータだから平気だけどさ、これ絶対『もと光る竹』とんでもない勢いで転がってるよね!?」

『はい、おそらく海底の隆起と沈降で潮の流れが変わって『もと光る竹』を転がし始めたのでしょう、ご安心ください、大陸に近付いてます』

「本当?やっと日本に上陸できそう?」

『このまま行けばそのうち流れ着くかと』

「やった『わああああ!かぐやぁ!もう掴まれない!体が軽くて流される〜!』あぁ!犬DOGEぃぃいいい!」

 

 地球ってヤバくね?ちょっと(百年単位)前まで陸地まで何キロあるんだよって感じだったのに、なんか周りめっちゃ明るくなってきてね?と思ったら気付いたら浜辺だったんだよね。

 そんで、相変わらず自分達で移動はできないんだけど、浜辺に貝を取りに来た縄文人と犬DOGEが接触出来て、やっとふたりぼっちから文明の中に入れたよね。

 最初は言葉がわからなくて苦労したけど、『もと光る竹』の力があればすぐ解析してコミュニケーションが取れるようになったんだよね。

 

「それはね、もっとがーっと混ぜるんだよがーっと!」

『……かぐや様、代わってください、私が説明しますから』

「ぶぅー、かぐやもお話したい!」

 

 まあ、会話ができても最初はよくわからないしゃべる生き物としてビビられてたけど、言葉(ことのは)が色々な知識を授ける事で受け入れられて、今や『もと光る竹』は集落の一番でっかい家に置かれて、犬DOGEも自由に動き回れるようになったよね。

 でもね、ちょっといろいろ教え過ぎだと思う。

 教えた事を何でもすぐに吸収して成長していく姿を見るのが楽しいのはわかるけど、ちょっとこれは流石に文明進め過ぎじゃない?大丈夫?もうすっかりかぐや達神様扱いだけど。

 かぐやは歴史に詳しくないけど、かぐや達が祀られてる建物、明らかに縄文時代にあっていいサイズ感じゃないよ?

 うん、苦労する事は多かったけど、やっぱり楽しい事がいっぱいあった。

 

「よし、今日もメンテナンス完了〜……おはよう言葉(ことのは)、調子はどう?」

『おはようございますかぐや様、本日もいつも通り問題ありません』

 

 メンテナンスを完了した言葉(ことのは)が起き上がる。

 悪くなっていた部分は問題なく治した……治したんだけど、それとは別の問題が起こりつつあった。

 かぐやがやったのは、エラーが出た部分を稼働するように修正したこと、それで言葉(ことのは)は元通り活動することができる。

 でもそれは、あくまでもその場しのぎに過ぎない。

 どんなものでもそうだけど、古くなれば新しくアップデートしていかなくてはいけない、人間だって毎日古くなった細胞を棄てて、新しい細胞を作り出している。

 だけど、言葉(ことのは)は大量の巻物を整理して、仕事を円滑に進めるための補助を行うお手伝いロボみたいなものなのだ。

 かぐやみたいに高性能じゃなければ、犬DOGEのようにかぐやが作ったりアプデしてきたわけじゃない、あくまでも月で作られて、月で活動して、月で調整される前提。

 この『もと光る竹』にある設備だけじゃ、言葉(ことのは)をアップデートできないんだ。

 だからなんとか元通り動くようにしても、すぐにまた別の場所に負荷がかかって、そこでエラーが出る、そこを治せば、また別の場所。

 今はまだ良い、あくまでも正常に動作できなくなる程度だから、かぐやがいくらだって治せる。

 ただ、それが頭にも及んだ場合がやばい。

 いわゆるCPU、人間にとっての脳にあたる場所にエラーが発生してしまったら、もうここでは一切の手出しができなくなる。

 人に例えるなら、そこらの公園のベンチで脳外科手術をやるようなもの、成功率は0に近く、かつ失敗すれば間違いなく死亡する。

 だからと言ってそのまま放置すれば、100%死亡する。

 もしそうなったら、かぐやはどうしたら……

 

『かぐや様』

「ん〜?なに?言葉(ことのは)

『私はもう長くないのでしょう?』

 

 突然の言葉にドキッとしてしまうけど、自分の事だし当然わかってるよね。

 ゆっくりと深呼吸をしてから答える。

 

「うん、あと100年は間違いなく持たないね」

 

 生きるだけなら、もうちょっと伸ばそうとすれば伸ばせるかもしれないけど、ちゃんと言葉(ことのは)として生きられるのは運が良くて100年位だと思う。

 

『そうですか』

 

 言葉(ことのは)の声は、とても落ち着いたものだった。

 

『まあ丁度いいですね、もうかぐや様に仕えて1000年を超えますし、そろそろ休暇でもいただこうかと思いまして』

「休暇?」

『はい、かぐや様であれば2030年頃まで時が進めば、私の修復が出来るでしょう?ですので、それまで眠って待とうかなと』

 

 つまり、コールドスリープのように、今の状態の言葉(ことのは)をそのまま保存して、未来でかぐやが治すって事か。

 それは一度考えた、考えたけど……普通のデータと違って言葉(ことのは)はとても特殊だ、AIとも違う自分の意志や思考を明確に持った一つの生命、データを凍結、解凍するときにどんな影響が出るかわからない。

 だから今まで提案してこなかった、もしかしたら言葉(ことのは)なら何か思いつくかもしれない、なんて期待もしていたから。

 でも、少なくとも今このまま活動し続けるよりは、間違いなく助かる可能性は高い。

 言葉(ことのは)がやると決めたなら、きっとその方がいい、今までもそうやって成功してきたのだから。

 

「……わかった、そうしよう」

『ありがとうございます、かぐや様』

「にしてもさ、1000年仕えて休暇が7000年はちょっと長過ぎない?」

『まあ確かに少々長いかもしれませんが、有給(悠久)ではありませんので』

「なにそれ、言葉(ことのは)そんな駄洒落も言えたんだ」

『はい、なにせ主から頂いた名前が言葉(ことのは)ですから』

 

 そんな言葉(ことのは)の返しに、二人でひとしきり笑った。

 その後、データの損傷は限りなく少ない方が良いから、次に言葉(ことのは)がスリープモードに入るタイミングで凍結する事を相談して決めた。

 残り十数時間、それが過ぎたら、今度は言葉(ことのは)と長いお別れになる。

 だから、たくさんお話をした。

 特別なことは何もないけれど、今日あったこと、いつかやりたい事、本当に取り留めのないどうでもいい事を話した。

 

「ねぇ言葉(ことのは)、最後にさ歌って欲しいな」

『またですかかぐや様』

「うん、お願い」

『仕方ないですね……』

 

 そう言うと、言葉(ことのは)はギターを取り出して演奏を始めた。

 

「あなたが笑ってたら 僕も笑いたくなる──」

 

 いつものように、音程やリズムが完璧だったわけではないけれど、とても優しい歌声に聴こえた。

 

「あなたが泣いていたら 僕も泣いてしまう──」

「難しい顔 難しい話 今ちょっと置いといて笑えますか?」

 

 かぐや、ちゃんと笑えてるかな?

 言葉(ことのは)が眠る前最後に見るのが泣き顔なのは寂しいから。

 

「あなたがいつも笑えていますように 心から幸せでありますように──」

「それだけがこの世界の全てで どこかで同じように願う人の全て」

 

 歌い終わった言葉(ことのは)に、惜しみない拍手を送る。

 本当に上手な歌だった、今まで聞いてきた中で一番きれいだったと思う。

 大切な思い出が、またひとつ増えちゃった。

 さて、言葉(ことのは)が安心できるように、笑って見送らなきゃ。

 

「ねぇ、言葉(ことのは)は結局美味しい物食べられなかったよね」

『そうですね、まあ私はそもそもの味がわかりませんでしたし』

「現代のご飯ってマジ美味しくてね、特にパンケーキが本当にふわっふわで甘くて美味しかったんだよ」

『いいですねぇ、かぐや様は食べられて』

「羨ましいだろ〜だから7000年後、言葉(ことのは)が起きたらかぐやと彩葉と言葉(ことのは)、三人で一緒に食べに行こ、約束!」

『……はい、未来で楽しみにお待ちしております、かぐや様』

 

 かぐやが小指を出せば、言葉(ことのは)も応えてくれた。

 ゆびきりげんまん……この約束を守らなきゃいけないのは、かぐや。

 名残惜しく思いながら、小指が離れて、スリープモードに入った言葉(ことのは)を凍結して保存した。

 本当に、今日まで楽しかったなぁ……

 

「おやすみ、言葉(ことのは)……」

 

 これで、かぐやはこの船の中で、本当にひとりぼっちになった。

 犬DOGEも居るけれど、犬DOGEはウミウシとして外に出てしまっている、誰とも触れ合えず、このまま7000年を過ごさなくてはいけない。

 ここまで1000年だって長かったのに……

 

 ……でも、した約束はちゃんと守らなきゃ。

 現代まで頑張って生き延びて、言葉(ことのは)を治して、三人でパンケーキ食べに行くんだ!




 この世界線の日本は、縄文時代〜弥生時代で突然あまりにも異常な技術発展を遂げているため。
・海に沈んだ幻の都アトランティスから逃げ延びた先史人類の生き残りと遭遇、そのまま日本人として吸収した説
・地球外生命体との接触説
・タイムトラベラー説
・文化勝利を狙うプレイヤー国家説
 などが囁かれてるとかなんとか。
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