その刹那に愛を──   作:星乃 望夢

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第四話

 

見滝原の街角に夜の帳が完全に下りた頃、俺はほむらちゃんに「回収」されるような形で、彼女の隠れ家へと連れ戻された。

 

部屋の扉が閉まった瞬間、背後から突き刺さるような冷気が放たれる。

 

そこから先は、まさに「どちゃくそ猛烈」という言葉がふさわしいお叱りの時間だった。

 

「……あなた、自分が何をしたかわかっているの!?」

 

彼女の声は、怒鳴るような大きさではなかった。けれど、低く、鋭く、研ぎ澄まされた刃のように俺の鼓動を刻んでいく。

 

「インキュベーターは、あなたの想像を遥かに超える狡猾な存在よ。わずかな言葉の端々から情報を引き出し、利用し、最後にはすべてを食い尽くす……。それなのに、あんな無防備に接触して、あまつさえ挑発するなんて……!」

 

彼女は部屋の中を往復しながら、吐き捨てるように言葉を重ねる。その瞳には、俺を失うことへの……あるいは、自分の計画が狂うことへの、切実なまでの焦燥が滲んでいた。

 

「上位次元? 観測者? そんなハッタリがいつまで通じると思っているの!? あいつがあなたを『有益なサンプル』だと判断した瞬間に、あなたの平穏は終わるのよ。……死にたいのなら、勝手にしなさい。でも、私の邪魔だけは――」

 

「ごめん。……でもさ、ほむらちゃん」

 

俺は椅子に座り、彼女の剣幕を真っ向から受け止めながら、静かに口を開いた。

 

「あいつには、一度言ってやりたかったんだ。感情を持たないという確証があるからこそ、あいつの目の前で『人間の感情を舐めるな』って、啖呵を切ってやりたかった」

 

ほむらちゃんが足を止め、信じられないものを見るような目で俺を凝視する。

 

「あいつらにとって、俺たちの心はただの燃料かもしれない。でも、燃料になる前の『想い』は、あいつらの計算式には決して収まらない熱を持っているんだ。……それを突きつけることで、少しでもあいつの『営業活動』にノイズを混ぜたかったんだよ。君が戦いやすくなるようにさ」

 

「…………」

 

ほむらちゃんは、怒りに震えていた肩をゆっくりと落とした。

 

言葉を失ったように、ただ俺を見つめている。

 

呆れているのか、それとも毒気を抜かれたのか。

 

「……本当に、救いようのない馬鹿ね、あなたは」

 

ようやく漏れた彼女の声は、先ほどまでの鋭さは消え、深い溜息混じりのものだった。

 

彼女は机に手をつき、俯いたまま絞り出すように続ける。

 

「あんなものに、人間の理屈なんて通じない。……でも、あなたのその無謀さが、あいつの演算を狂わせたのも確かよ。……今回だけは、不問にしてあげる。けれど、次は……次こそは、本当に私の目の届かないところへは行かせないわ」

 

「ああ。肝に銘じておくよ」

 

俺は苦笑いしながら、熱が引いたばかりの身体を背もたれに預けた。

 

彼女の過保護なまでの怒りは、そのまま彼女の孤独の裏返しだ。

 

窓の外では、キュゥべえがまだ暗闇のどこかで俺という特異点を解析しているだろう。

 

けれど、俺の隣には今、一人の不器用で優しい魔法少女が立っている。

 

それだけで、この残酷な世界と戦う理由は十分だった。

 

 

◇◇◇

 

 

静まり返った部屋の中で、俺のその問いかけは、ひどく場違いなほど唐突に響いた。

 

メンテナンスしていた銃を机に置き、ほむらちゃんはゆっくりとこちらに顔を向けた。夕闇の残光が差し込む部屋で、彼女の紫の瞳が、俺の真意を探るように細められる。

 

「……キュゥべえと契約せずに、魔法を使う?」

 

彼女の声は、低く、どこか遠い場所をなぞるような響きを含んでいた。

 

「そんなこと、あり得ないわ。魔法はこの世の物理法則を捻じ曲げる奇跡。その対価として、私たちは魂を抜き取られ、ソウルジェムという形に変えられた……。代償のない力なんて、この宇宙のどこにも存在しない」

 

彼女は自分の左手の甲に視線を落とした。そこには、彼女の命そのものである紫の輝きが宿っている。

 

「……もし。もし本当に、そんなことが可能だったのなら」

 

言葉が途切れ、彼女の指先が微かに震える。

 

「……私は、あの子を……『鹿目まどか』を魔法少女になんてさせなかった。彼女が神様になって世界から消える必要も、誰かが魔女になって絶望する必要もなかった。……もし契約のいらない力があったなら、私のこの何十回、何百回という時間は、一体何のためにあったというの?」

 

その言葉は、悲鳴に似ていた。

 

彼女が歩んできた、血を吐くような孤独なループ。それが「もしも」という仮定一つで覆されてしまうことへの、恐れと悔恨。

 

「……どうしてそんなことを聞くの? あなたは、何かを知っているの?」

 

彼女は椅子から立ち上がり、俺の目の前まで歩み寄ってきた。至近距離で見上げる彼女の瞳には、縋るような光と、それを否定しようとする強い意志が混ざり合っている。

 

「俺たちの世界……つまり、君たちを『物語』として観測していた世界ではね」

 

俺は彼女の視線を逸らさず、穏やかに答えた。

 

「魔法は魂を削るものじゃなく、もっと自由で、個人の意志や精神に結びついたものとして描かれることも多いんだ。この世界のルールがインキュベーターによって歪められているだけだとしたら……。そのルール自体を、俺たちの『認識』で上書きしてしまえるとしたら、どうする?」

 

「認識で、上書き……?」

 

「ああ。君が信じている『魔法には対価が必要だ』という呪いを、俺たちが壊すんだ。君が契約した事実は消せないかもしれない。でも、これからの戦いを、インキュベーターのシステムに依存しない形に変えていけるかもしれない」

 

俺はそっと、彼女の細い肩に手を置いた。

 

「もしそうなったら。……ほむらちゃん、君はもう、一人で戦わなくていい。魔法少女という過酷な運命からも、自由になれるかもしれないんだよ」

 

ほむらちゃんは目を見開いたまま、俺の言葉を咀嚼するように黙り込んだ。

 

やがて、彼女はふっと力を抜いて、俺の胸に頭を預けた。

 

「……あなたは、本当に無茶苦茶なことばかり言うわね」

 

くぐもった声。けれど、そこには先ほどまでの刺々しさはなかった。

 

「でも……もし、そんな奇跡が本当にあるのなら。……私は、その可能性に賭けてみたい。あの子が笑っていられる世界のために。……そして、あなたが隣にいてくれる、この時間を守るために」

 

彼女の小さな手が、俺のシャツをぎゅっと掴む。

 

インキュベーターが支配する残酷な宇宙の理。

 

それを塗り替えるための、これは俺たち二人の「叛逆」の第一歩だった。

 

「……これも、とある物語に記された力だ」

 

俺は窓の外、見滝原の夜景を見つめながら、その禍々しくも美しい響きを持つ言葉を口にした。

 

「『永劫破壊(エイヴィヒカイト)』……そう呼ばれる魔術式だよ」

 

ほむらちゃんが、怪訝そうに眉をひそめる。彼女の知る魔法とは、インキュベーターとの契約によってのみもたらされる「祈り」の具現。だが、俺が語るそれは、より根源的で、より暴力的な「法則」の匂いがした。

 

「人の魂を燃料にして発動する術式だ。数千、数万、あるいは数十万という単位の人間の魂を取り込み、自らの糧とすることで、その使い手は神にさえ匹敵する力を得る。……普通の、雑多な魂であれば、それだけの数が必要になるけれど」

 

俺は一度言葉を切り、彼女の左手の甲……紫の輝きを宿すソウルジェムを見つめた。

 

「例外もあるんだ。最も高純度で、強大な『因果』を背負った魂であれば……たった一つで、雑多な数百万単位の魂をも凌駕する力を得ることができる」

 

「……魂を、燃料に……?」

 

ほむらちゃんの声が、微かに震える。それは、インキュベーターが魔法少女を魔女へと変え、その絶望をエネルギーとして回収するシステムと、あまりにも似通っていたからだ。

 

「ああ。とある世界で、宇宙の中心の奥底にある『座』に座っている……インキュベーター並みにクソったれな神様が構築した狂った神の法則だよ」

 

俺は彼女の手をそっと取り、その冷たい指先を包み込んだ。

 

「インキュベーターのシステムは、魂を『消費』して消し去るだけの燃焼機関だ。でも、この術式は違う。魂を自らの一部として『昇華』させ、自分自身の法則として世界に上書きする力だ」

 

「……そんなものを私に教えて、どうしろと言うの?」

 

彼女の紫の瞳に、鋭い警戒が宿る。

 

「君は、誰よりも高純度な魂を知っているはずだ。……何度も時間を繰り返し、宇宙規模の因果をその身に背負ってしまった、鹿目まどかという少女の魂を」

 

俺はあえて、残酷な仮定を口にした。

 

「もし、彼女が魔女として絶望を撒き散らす代わりに。あるいは、神として世界から消える代わりに。君がその『永劫破壊』の術式を以て、彼女の魂を君自身の中に『抱きしめる』ことができたなら。……キュゥべえの支配も、宇宙の熱力学第二法則も、すべてを撥ね退ける君だけの新世界を創り出せるかもしれない」

 

ほむらちゃんは息を呑み、絶句した。

 

俺が提示したのは、インキュベーターの詐欺よりもさらに深く、暗く、そして甘美な「叛逆」の入り口だ。

 

「……まどかを、私の中に……」

 

「ああ。彼女を救うために世界を壊す『悪魔』に成る必要さえなくなる。君自身が、君の愛する者を内包したまま、この宇宙を支配する新たな『神』になればいいんだ」

 

俺の言葉は、熱病の妄言か、あるいは真実の救済か。

 

静まり返った部屋の中で、俺たちの影が夜の闇に深く伸びていく。

 

インキュベーターが夢にも思わない、異世界の神が遺した禁断の魔術式。

 

それが今、暁美ほむらという少女の心に、消えない焔を灯そうとしていた。

 

「確かに、これも魂を燃料にする魔術だ。本質的には、魔法少女と同じかもしれない。……でも、ほむらちゃん」

 

俺は、部屋の壁際に整然と並べられた銃火器に目を向けた。冷たく、無機質な鉄の塊。彼女がこれまで、死に物狂いでかき集め、改良を重ねてきた「抵抗」の証。

 

「君が一番よく分かっているはずだ。この世界のルール……インキュベーターが定義した『魔法少女』という枠組みの中では、君一人の力でワルプルギスの夜を越えることは、決してできないんだ」

 

ほむらちゃんが、息を止めるのが分かった。

 

彼女が繰り返してきた、果てしない時間の迷路。その中で、あの大災厄を退けられたのは、俺の知る限りたった三度だけ。

 

「一度目は君が魔法少女になった時。二度目は、まどかと二人で戦い、相打ちに近い形で倒した時。……あの時、君はまどかに全てを託された。そして三度目は、まどかが最強の魔法少女となって、一撃でワルプルギスを粉砕した時だ。……でも、その結末は知っての通り、彼女自身が地球を滅ぼす魔女になるか、概念となって消えるかのどちらかだ」

 

どちらの勝利も、まどかの巨大な『因果』を代償にしなければ成立しなかった。

 

そして、ほむらちゃん自身が心の奥底でずっと突きつけられてきた、残酷な限界。

 

「君が時間をどれほど止めても、扱える武器が『現代兵器』である以上、火力の合計値にはどうしても頭打ちが来る。数千発のミサイルを叩き込んでも、物理法則の檻の中にある攻撃じゃ、あの概念的な化け物を一人で討ち果たすには足りないんだ。……最強の魔法少女となったまどかの傍らで、君は自分の無力さを、誰よりも痛感したはずだ」

 

彼女の肩が、微かに震える。

 

砂時計を何度ひっくり返しても、積み上げた砲弾の山が、最後には絶望の山に変わる。その虚しさを、彼女は幾度となく味わってきた。

 

「だから……この宇宙の法則とは違う、別宇宙の法則をぶつけるんだよ」

 

俺は彼女の瞳を、真っ直ぐに見据えた。

 

「インキュベーターの支配する『等価交換』や『エントロピー』なんてクソったれな物理法則を、外側から持ち込んだ未知の理で上書きする。ワルプルギスの夜という概念を、それを上回る『永劫破壊』の絶対法則で圧殺するんだ。……そうすれば、まどかが契約する必要もなくなる。彼女に因果を背負わせる前に、君自身の手で、物語の筋書きそのものを書き換えることができるんだ」

 

「別宇宙の、法則……」

 

ほむらちゃんが、自分の掌をじっと見つめる。

 

そこにはまだ、インキュベーターの呪いである紫の光が宿っている。けれど、俺が提示した『永劫破壊』という新たな火種は、彼女の絶望的なループに、今まで一度も存在しなかった「未知の勝機」を灯していた。

 

「……やってみる価値はあるわね。いいえ、それしかないのなら、私はその地獄にだって飛び込んでみせるわ」

 

彼女の瞳に、冷徹なまでの決意が戻る。

 

現代兵器という限界を超え、彼女自身が「法則」へと昇り詰めるための、これは宇宙を股にかけた大博打。

俺たちの叛逆は、今度こそ物理法則の壁さえも突き破ろうとしていた。

 

「『永劫破壊(エイヴィヒカイト)』――これを発動するには、魔術的な処理を施された『聖遺物』が不可欠だ」

 

俺は、彼女の左腕に装着されたあの円盤状の盾を指差した。

 

「いわば、魂を啜り、法則を具現化するための門となるアーティファクトだよ。……これには最上位の『ロンギヌスの槍』のような、歴史的な伝説なんてのもあったけど。実際はもっと身近で、おぞましいもので構わない。軍用バイク、ドーラ列車砲のような大量破壊兵器から、あるいは刑務所で使われた一本の絞首縄まで……そこに人々の想念、すなわち怨み、恐怖、あるいは狂信的なまでの信仰が詰まってさえいればいい」

 

ほむらちゃんは、自分の盾をなぞるように見つめた。その裏側に刻まれた時計の歯車が、静かに時を刻んでいる。

 

「……人の想いが、器に宿る」

 

「ああ。そして、人間自身もまた、その発動媒体になれる。けれど……今のほむらちゃんは、既に普通の人間じゃない。肉体は空っぽの器で、魂はソウルジェムという名の結晶に固形化されている。……皮肉なものだと思わないか? 魔法少女がグリーフシード――かつての同胞だった魂の成れの果てを使って自らの穢れを祓うシステムは、この『永劫破壊』とあまりにも類似点が多いんだ」

 

彼女は既に、魂を燃料にして戦う「魔人」の領域に片足を突っ込んでいる。だからこそ、この異世界の理との親和性は高いはずだ。

 

「ここからさらに、ワルプルギスさえ凌駕する神の座に至る道は二つ。君自身の因果よりも強大な……例えば『まどか』のような因果が絡み合った極上の魂を取り込むか。あるいは、ただひたすらに魔法少女と魔女を狩りまくって、雑多な魂を数百万単位で積み上げ、骸の山の上に君だけの法則を築くかだ」

 

「……そんなこと、できるわけがない。私は、まどかを救うために戦っているのよ。彼女を犠牲にしたり、街を地獄に変えるような真似、できるはずがないわ」

 

「わかってる。だから、最短のショートカットを提案するよ」

 

俺は彼女の目の前で、自分の胸に手を当てた。

 

「ほむらちゃんのその盾。何十回、何百回というループの中で、君の執念と絶望と、まどかへの狂おしいまでの想念を浴び続けたその砂時計。これ以上の『聖遺物』がこの宇宙にあると思うかい? それはもう、ただの魔法の道具じゃない。君の人生そのものが結晶化した呪物だ」

 

俺は一歩近づき、彼女の紫の瞳を真っ直ぐに見つめた。

 

「その盾を聖遺物として、触媒に俺の魂を使いなよ。俺は上位次元の観測者だ。この身には、君たちが知る由もない異世界の因果が詰まっている。これで術式が発動できたら、俺たちの勝ちだ。インキュベーターの理を、俺たちの手でぶち壊せる」

 

静寂が、部屋の空気を重く支配する。

 

ほむらちゃんの指先が、微かに震えた。

 

「……もし、失敗したら?」

 

「その時は笑ってよ。『バカな男の実験に付き合わされた、私ってホントバカ』ってさ。……そうして時間を巻き戻して、俺の眉間を撃ち抜いてくれればいい。君にとっては、いつものループのやり直しに『俺』っていう余興が混ざっただけのことだろ?」

 

俺はあえて、おどけたように笑ってみせた。

 

あまりにも軽く、命と魂を差し出す俺の提案。

 

彼女はギュッと強く拳を握りしめ、俯いたまま、小刻みに肩を震わせていた。

 

「……馬鹿じゃないの」

 

絞り出すような、ひび割れた声。

 

彼女が顔を上げると、その瞳には怒りとも、悲しみともつかない、酷く痛切な感情が渦巻いていた。

 

「自分の魂を焼いて魔術の贄になるというのに、そんな……そんな軽い口調で、他人のために命を投げ出すなんて……!」

 

彼女は俺の胸ぐらを掴み、ギリリと歯を食いしばった。

 

「あなたたち『まどか』は……いつもそうやって、自分の価値をこれっぽっちも理解しないで! 私が、どれだけそういう身勝手な優しさを憎んでいるか……分かっているくせに!」

 

俺の胸ぐらを掴む彼女の拳が、小刻みに震えている。

 

自分を置いて消えてしまう「身勝手な優しさ」への、痛切なまでの拒絶。鹿目まどかが概念となって世界から姿を消したあの喪失を、彼女は二度と味わいたくないのだ。

 

俺は、その震える小さな両手を自分の手でそっと包み込んだ。

 

氷のように冷たかった彼女の指先に、俺の体温を少しずつ移していくように。

 

「……分かってるよ」

 

彼女の怒りも、悲しみも、孤独も。すべてを受け止めるように、俺は静かに微笑んだ。

 

「だからこそ……永劫回帰の那由他の果てまでも」

 

途方もない時間のループを繰り返し、やがて宇宙の理さえも塗り替えるであろう彼女の魂。俺は、その絶望の重さに耐えうるだけの言葉を紡ぐ。

 

「ずっと、離れ離れにならずに……俺は君と一緒に居続けるから」

 

『円環の理』という、手の届かない遠い場所へ行ってしまうわけじゃない。

 

俺は彼女の盾に宿り、彼女の魂の一部となって、その底知れない孤独を内側から埋めるための欠片になるのだ。

 

「君をひとりで悪魔になんてさせない。一緒に地獄に落ちて、一緒にこの宇宙の神様に喧嘩を売ってやる。……だから、俺の魂を君の盾に刻んでくれ、ほむらちゃん」

 

俺の言葉に、彼女は大きく息を呑んだ。

 

見つめ合う紫の瞳から、ポロリと、透き通った涙の粒が零れ落ちて、俺の手の甲を濡らした。

 

それは、彼女が何百回という絶望の中でも決して見せなかった、ただの「暁美ほむら」としての涙だったかもしれない。

 

 

 

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