「んなラノベみたいな…」〜マネやるつもりが演者になりました(By the way バ美肉)〜 作:リッスンブラック
チラシの裏の有志の方々より、特殊タグをお借りしております。
【初配信】津代 栞。初めまして【どりーむめいつ】
4032人が視聴中・0分前に配信開始
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チャンネル登録者数 876人
「どりーむめいつ所属。1期生の津代 栞。よろしく」
:よろしく!
:キター!
:すんげぇイメージ通りのボイスだ
:ヨロ!
:落ち着いた声がいい
「ありがとう。声を褒められるのはなかなか嬉しい」
職場である我がどりーむめいつ事務所、その中にある一室にて。
カメラ等が増設された、専用のパソコンの前に腰を下ろすのは、謎のスーツ姿の人物。
Q:その正体は、いったい…?
A:俺
律花さんから栞を受け継いだと言っても、それで雇用体制が変わるとかは全くない。
今も前と変わらずどりーむめいつの一員として汗を流しているし、なんならついさっきまで書類カキカキしてた。
家の中は着々と変わってってるけどね*1
「あとで燃える方が嫌だから予め伝えておく。私はバ美肉お兄さんだ」
:バ美肉おじさんだと!?
:バ美肉!?
:ぇぇ大丈夫なんか?
:始まりから濃いのが出てきたゾォ!!
「自分が周りからどう見られるかは理解している。だから安心して欲しい。私、基本的に本しか読まないタイプだから」
一応弁明もしておく。
視聴者の言いたいこととはズレてんだろうけど。
:違うそうじゃない
:そ こ じ ゃ な い
:そ れ も あ っ て る
:ホラゲ実況しろ
:てか、バ美肉ってことはボイチェン???クソッ!!せっかく好きな声なのにィィ!!
むむ?
バ美肉=ボイチェンってイメージの人か?なんか露骨にガッカリしてるやつがおる。
どれ、ちっと安心させてやろう。
「真のバ美肉お兄さんたる私にボイチェンなど不要…ほらこのとおり」
:真 の バ 美 肉 お 兄 さ ん
:真のバ美肉お兄さん草
:ウホすげぇナチュラル
:助かったぁ…俺の心は守られた!!
:ボイチェンじゃなかったらいいのかよw
どうやら無事納得して頂けたらしい。よかったよかった。
ほへぇと油断したところで、新たなるコメントが襲来する。
:でもよく応募しようと思ったよな
:たし蟹、公開されてる集合イラストとかだと全員女子だもの
:それで受かるのもビックリマーチ
まぁ、襲来といっても、この通り元から想定済みのものしか飛んでこないんだがね。
当然、その質問に対する答えも用意してあるとも。
「…?逆になにがダメなのか教えて欲しい。ルールは破ってない」
喰らえ奥義!す っ と ぼ け
…いやちゃうんすよ。ちゃんと理由があるんすよ。
:ゑ
:(ヾノ・∀・`)イヤイヤ
:本トゥにござるかぁ?
「募集要項には『女性限定』の四文字はどこにもなかった。ということは男性が募集しても違反にはならない=私は何も間違ってない。QED証明完了」
当時は全く気付かなかったんだけど、後になって見返してみたら…ってやつである。
ぶっちゃけめっちゃ焦ったし、2期生の時には絶対修正しようと誓った部分だ。
まぁ、そういうわけだから。納得してもろて。
:いや草
:そういう問題か???
:なら、仕方ないか…
:くっ!何も反論出来ないっ!!
「ちなみに、こんなにイロモノのくせにトップバッターだから時間が押してたりする」
ハッキリ言って悪手でしかないと思うし、同期二名はもちろん、社員一同にも何回も聞き返したくらいなんだけど、頑として順番変更は認められなかったんよな。
「多分大丈夫だろ!イケルイケル!」とは言われたものの、あのニヤニヤは信用できねぇ…
そういうことだから決めるもんとっとと決めて、後に繋がなきゃならんのよね。
:最初が こ ん な の だとは思っていませんでした
:これあとの2人にも影響出るだろwww
:いや待て、残りの二人もイロモノの可能性がある
:初手バ美肉お兄さん(迫真)かぁ……
「イロモノは私だけだと自負してる。だから心配しなくていい」
マジで二人は正統派だから。
:兄貴に言われてもな…
:それ正統派という名の姉御だったりしない?
:困った。ちょっと信頼できない
大丈夫だよーとフォローこそ入れたものの、変わらずコメント欄では不信感が爆発している。
…これやっちゃった説ある?
「と、とりあえずここからタグとか決める時間」
:焦ってて草
:同期に謝れよしおりん
:謝りやしょうぜ兄貴
:【謝罪】┌○┐【土下座】
:その流れは、無理があろうかと思われます(天皇陛下)
「うるせぇだまれピーすッぞ!!」
:セルフPー草
:失望しました。那珂ちゃんのファンやめます
:【悲報】しおりんネタ枠
:自己申告イロモノだから…
:急にドス効いた声になるじゃんw
:地味に那珂ちゃん被害受けてて草
「やっべ、プロレス芸はまだ早かったか!?」って一瞬焦ったんだけど…終わってみるとまずまずな感じっぽい?
イロモノ枠として売り込んだから、そういう芸風だって思われてんのかね。
一応登録者数も見てみたけど、さっきから増加の一途を辿ってるっぽいしウケてはいるみたいだな。
「…ゴホン。失礼。じゃあまず配信タグから」
:だから誤魔化せてないよしおりん
:いい加減諦めるのだしおりん
:仕方ねぇ。ここら辺で勘弁してやるか
:そういえば自己紹介まダー?
ひとつ気になるコメントが見えた。自己紹介はまだかというものだ。
俺の主観だともう自己紹介終わってる筈なんだけどな。後から来た人なのか?
どうにもほっとけない気がして、そのコメントを拾った。
「自己紹介なら終わってる筈。さっきバ美肉お兄さんだって話したし」
:そ、そっちじゃない
:Vとしての自己紹介は……まだでしたね
:そういえばインパクトで疑問消し飛んでたわ
おっとぉ?そっちでしたかぁ…すっかり忘れてたわ。
仕方ない、一旦タグ決めは後に回すか。
「ごめん。それは素で忘れてた。今持ってくるから待ってて」
:も っ て く る
:ナニを持ってくるんですかねぇ…
:そりゃオメー、ナニだろ
:冗談抜きに兄貴ならカンペとか持ち出しそう
:マジでありそーなのやめーや
縮小してあったメモの拡大ボタンを押して、一気に画面の中央付近に持っていく。
これで見やすいな。ヨシ!
「設定だと16歳。実際は20前半。趣味の読書はリアルの趣味で、隙間時間とかでネット小説読み漁ってる。もちろん文庫本とか単行本も好き」
:し っ て た
:思いっきりカンペで草
:へ、へぇ……趣味はリアルなんですねぇ……(震え声)
「ちなみに初めて読んだな〇う系は転〇ラ」
今でも懐かしいわ。
せいぜいが読んでもマンガだったクソガキが、兄の本棚からパクった一冊のラノベのおかげで読書好きになるんだもの。
人生なにがあるかわかったもんじゃないね。
:てんすら?
:ミ〇リー本当に好き
:たまーにアニメ流れてくるよな
:結構有名よね
:リ〇ル無双が読んでて気持ちいいから好きだわ
:みんな知ってんじゃん…
今いる視聴者達の中にも結構転〇ラ好きな人が紛れ込んでそう。
話が合って楽しそうだけど、知らない人からしたらアレだし、軽く済ませておくか。
「知らない人もいるみたいだから、今は好きなキャラだけね。カ〇ラ好き」
マウスを操作し、カーソルを「VTuberになった理由」に持っていく。
「VTuberになろうとしたきっかけだけど、正直そんな複雑な理由でもないんだよね」
リアルのあれこれは話すと絶対燃えると確信してるので、ここら辺は適当に考えたカバーストーリーで誤魔化す所存である。
:やっぱ信用出来ねぇ
:奇遇だな。俺もだ
:複雑な理由なんやろなぁ…
「君達が私のことどう思ってるのかがよくわかった」
:草
いくら自分からイロモノ枠にしたとしても、これじゃあまりにも信用が無さすぎる。
ウエーン…
「最初は「募集要項に穴空いてんじゃ〜ん」ってことで突きに行っただけだった。で、結果見たらなんでか受かってた」
:草
:草
:いや、草
:思ってた数倍はしょーもない理由だった(笑)
:いや理由しょうもなすぎだろwww
:なんで通したんだよスタッフw
まぁ、その採用担当俺なんですけどね。一応。
「我ながら結構真面目な面接ではあった」
これも嘘は言ってないからね。嘘は。
マネージャー三人で面接し合ってた時は間違いなくマジでやってたから。
:あ、面接は真面目だったんだ
:まず面接まで行けたのが驚きだよ
今更だけど俺もそう思うぜ!*2
「これでも社会人経験者。面接教育くらい受けてる」
:そういえば20前半だったっけ(白目)
:設定の16歳がマジで設定だけの存在だなこれじゃw
:面接教育草
:ちなみに、前のご職業は?
「VTuberの設定は投げ捨てられる為にある。少なくとも私のは」
:ヒ〇ロみたいに言うなやwww
:無駄に(`・ω・´)キリッってしてて腹立つなぁw
「わかる?結構表情反映されてるんだよね。すごい」
俺もマネージャーだからって言い張って、早辞さんの後ろから野次馬こいてた時から思ってたんだけどさ。
この
表情のパターンなんかもはや大手並だし、切り替えも自動と手動の選択式でめっちゃ楽々なのよ。
自動だとリアルタイムの表情を即座に反映してくれるもんだから、
まぁその分めっちゃ容量持ってかれるんですけどね。
この辺は要改善だって坂口さんも言ってた。
:ほえー
:誰かは知らんけど、パパさんめっちゃ優秀なんやなぁ
:pono先生のイラストがさらなる輝きを!
そうそう!坂口さんもすごいけど、やっぱpono先生のイラストが――あっ、ちょっ…スゥー
「私達1期生のイラストはpono先生に描きあげていただきました。素晴らしいボディをどうもありがとう」
:今更ぁ!
:おっそ
:かわいい息子よpono
:ママおった(笑)
ひょぉぉぉッ!?
「ご、ごごごご紹介が遅れてしまい誠に申し訳ございませんでした…ママの素晴らしいイラストに、我々一同感謝感激雨あられの嵐ですので……えと、スパナ付けさせていただきます」
:態度180°変わるじゃんw
:やだ、嬉しい…ponoす
:凄まじい対応の速さ。俺でなきゃ見逃しちゃうね
:ここにいる全員見逃さなねぇだろw
:てか何気に息子扱いされてるしおりん草
…そういえばそうじゃん。そうだったわ。
「ママの紹介は絶対やらにゃいかんな」って配信前にも言ってたの自分なのに…ほんまなにやってんだ俺は。
深い溜め息を吐き俯くと、トントンと肩を叩かれる。
「えっ?もうそんな時間?」
:ん?
:そういえばもうそろそろ30分経つな
:えっ?もうそんな時間なのか
「ン、ンン!よし、爆速でタグ決めよう」
:(切り替え)はえーよホセ
:どこまで笑かしに来るんだよお前はァ!
「まずは配信タグから。何もないなら『栞離脱中』で」
:いきなりパワーワードぶっ込んで来ましたねぇ!
:なるほど。一旦読み終わる時に挟むのがしおりだから、それが離脱中=読み進めていることを表すのか
:中々いいと思うponoす
:読解力つよつよアニキおって草
:ママからも高評価!
:言おうと思った案消し飛んだわ
あ、あれ…?以外に高評価?
結構適当に考えた筈なんだが。
「みんなはなにか案とかないの?」
:最適解見せられた気がしてponoす
:ママに同じく
:上に同じく
:正直、(しおりんなら)いいかなって
:草
「…なんか釈然としないけど、まぁいいか。じゃあ次、イラストタグ。全年齢と18禁ね」
:はっきり言うなやwww
:しっかり口にしやがった!
:漢 気 が 過 ぎ る
:女の子が軽々しく口にしちゃいけま――いや、男の子だからいいかぁ……ponoす
:草
:完全に息子扱いで芝生える
「だって時間押してるし…」
:そういう問題じゃねぇですぜ兄貴
そういう問題なんだよなぁ俺にとってはさぁ…!
さっきから、視界の端で「あと何分」ってカンペがペラペラ捲られ続けてる人の気持ちなんて君達にはわかんないでしょうけどねぇ!!
:津代絵でよくね?
:採用
:やっべぇ勝てる気がしねぇ
:ならR-18は『津代絵18巻』か
:なにこいつら天才か?
「いいねそれ。他に意見がないならそれで行く」
対抗馬は……出ないか。じゃあ決定で。
「タグはこれで決まり。じゃあ最後になったけど、あなた達リスナーのファンネームを決める」
:栞スナー
:栞挟民
:しおリメンバーponoす
:舎 弟
:しお友
:津代家
おい誰だよ舎弟あげたやつ。
「ママ達には申し訳ないけど、個人的には『栞挟民』を推したい」
:栞挟民か
:選ばれたのは、栞挟民でした
:名前にも合ってるしよさそう
:選ばれなかったか…
:負けちゃった……ponoす
:クリックという栞を挟んでしおりんとお喋りやね
誰が上手いこと言えと。
なんかリスナー頭いい人多い…多くない?
そしてママよ、安心しておくれ。
結果的には、俺が推したのは栞挟民ということになったけど、だからといってponoママのしおリメンバーが微妙だったなんてことはありえませんからね。
てか何気に他の候補も選ばれてもおかしくないのばっかりなんよ。
強く惹かれたのが栞挟民だっただけで。
「栞挟民のみんなも納得してくれたところで、この配信も終わりが近付いてきた」
:めっちゃ時間気にしてたもんな(笑)
:おつ〜
:間に合ってよかったじゃねぇか
:初配信お疲れ様!ponoす
:おつ
:おもろかったぞ!
「次は
:あっさり終わるのね
:草
VTuberものでよくある、初配信の切り忘れというやらかしを防ぐべく、一つ一つ丁寧に確認を済ませて行く。
配信ソフト、よーし。
live2D、よーし。
パソコン本体、よーし。
腹抱えて笑ってる社長、よーし。
…よしっ!無事終わったな!*3
「ふう」
「お疲れ様です。栞ちゃん」
「あぁ、律花さんもお疲れ様です」
すっと差し出されたお茶を受け取り、喉を潤す。
「…やっぱり、ただ見てるのと、話すのとだと全然違いますね」
津代 栞チャンネル登録者数:876→3771
感想:習得まではまだまだ長そうです。