ドロイド・コンチェルト【毎週日曜20時更新】   作:SOYA-001

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第20話:アルファちゃん、どうしたんだろ?

 アプリコットが描いた筋書きは、見守る面々のかすかな懸念をよそに、ここまでは滞りなく進んでいた。

 

 やがて物語は後半へ移る。暴走したドロイドや巨大暴走ドローンとの戦闘シーン、旧世界の人類が遺したデータのアーカイブを回収するなどの多くの見せ場を重ねつつ……現在のシーンは、HY-2姉妹が〈シンジュク〉地下に広がる大規模再造成環境へとたどり着いた場面。演劇の筋書きとしては、完全に後半戦に入っていた。

 

 月面基地(モントバージス)にもたらされたメッセージの正体が、いよいよ明らかになる瞬間である。

 

 舞台中央では、バックスクリーンに映し出された景色に沿って、HY-2姉妹が探索を続けている。その一方、先ほどまでワイヤーアクションで大きな見せ場を作っていた本作のヴィラン、ルディアは、次のシーンに備えた再調整のため、舞台袖で待機していた。

 

「軍服、気分はどうだ」

「あ、アプリコットさん。えへへ、ちょっと怖かったですけど、頑張れた気がします」

「そうか。少なくとも僕から見ても、及第点以上の働きはしたと言っていい。僕の舞台を壊さず、それ以上の役割を果たせたなら、十分だろう」

「それって、褒めてるってことですか……?」

「そのくらい、自分のプロセッサで推論したらどうだ」

 

 素っ気ない言葉に包まれたアプリコットの反応を受け、ルディアはドロイド用オイルのパックを両手で持ったまま、少しだけ頷いた。

 

 経口補給をしながら、彼女はぼんやりと思う。繰り返してきた稽古やリハーサルの中で、アプリコットのある程度の()()()()()は分かってきた。冷たくも見えるその態度も、彼なりの優しさなのだろう。

 

 事実、背後からやってきたピクストが「ふあぁ~、アプリンまたほめるのヘタッピさんだぁ~」と茶化した瞬間、アプリコットは分かりやすく眉を吊り上げた。どうやら、ルディアの推論はあながち間違っていなかったらしい。

 

「さて、と。事前に渡したデータ通り、次は数体のボットとの格闘シーンになる」

「確か、プロンプト通りにしか動かないんでしたっけ」

「そうだ。キャストが限られている以上、メイン以外は代用品としてあれらを使うしかない。もっとも、演技という観点ではドロイドほどの〝心〟はない。どこまでいっても、モブ以上にはなれないがね」

 

 軽くピクストをあしらい終えたアプリコットは、襟を正しながら、近くで待機しているロボットたちへ(カメラ)を向けさせた。

 

 そこには、15体ほどのロボットが整然と並んでいる。色とりどりの衣装を身にまとった姿は、遠目には人間の役者のようにも見えた。ドロイドと同じく機械然とした構造を持ってはいるが、その露出は衣服によって最小限に抑えられている。

 

「戦闘シーンで、くれぐれも破壊はするんじゃないぞ。あれらは運営の備品だ。壊されると、こちらの後処理が面倒になる」

「う、ぜ、善処します……」

 

 あくまでいつも通りの堅い態度をは崩れないまま、アプリコットはロボットのプロンプト調整のために、ホログラフィックコンソールを開いてちまちまと作業を始める。次のシーンでのルディアの登場までまだ少しある。僅かにできた余白のさなか、自らのHUDの通知欄に気になる通知があることに気づく。

 

 

----------------------------------

[SYSTEM] The supervisor has started measuring the Blueprint.

----------------------------------

 

 

 ──〝監督者がブループリントの計測を開始しました。〟

 

 英文で表示される通知。今まで見慣れないその表示に、ルディアは少し眉をひそめてしまう。〝監督者(スーパーバイザー)〟という表示が誰なのかは見当がつく。構内のイントラネットとの接続もされている以上、自らのプロデューサー――井野川が、自分のブループリントを見ようとしていると解釈するまでに、そう時間はかからなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ルディアが舞台袖で待つさなかも、舞台上では物語は進行し続けている。演劇内において、2αと2β、2人の姉妹はともに〈シンジュク〉地下空間を探索していた。鬱蒼とした深い森の奥、遺跡のように植物へ呑まれ切った摩天楼や、洞窟めいた地下鉄跡を進んでいくシーンが続く。

 

『ねぇベータ。なんだか、ホントに人間がいるのか、不安になってきたよ……』

『それは実際に確認しないことにはわかりませんよ、姉さま』

『……ベータはさ。ここに人間がいるって思う?』

 

 一拍置いて、余白を作るように問いかける2αの言葉。劇中、一度も「人間」らしきものが現れたシーンはない。それは、役の中のドロイド姉妹もまた無視できない事実として、姉機が先んじてぼんやりと気づき始めている――というのが、このシーンの機能だ。

 

『だって、よく考えたらおかしいよ。人間って、もう何百年も月面基地に住んでて、地上は不毛の地になってるんだよ? そんなところから、〝人類はまだ生きている〟って……ずっとヘンだなって、ボク思ってたんだ』

『……』

『ねえ、ベータ。ボクらの旅って、本当に――』

『姉さま、余計なことは考えないでください。ワタシたちの任務は、人類の生存を最大化し、滅亡可能性を回避すること。それが、人間に作られた、ワタシたちの最大の使命です』

『で、でも』

『姉さま!』

『……ごめん』

 

 2βは、2αに向かって強く叩きつけるような声色で、その素朴な疑念を弾き返す。今までにないほど真に迫った演技の熱に、2αはたじろぐ。それが演技なのか、それとも本心から来るものなのか。その境目を、観客は推察することしかできない。

 

 だが、その時。

 

『おや? ドロイドの兵士ではありませんか』

『うわあっ!』

 

 姉妹の背後から、1体のロボットが声をかけてくる。2βは慌てて武器を抜き取り、そのロボットへ切っ先を向ける。ボロついた衣装は、さながら舞台年代より数世紀前の人々が身につけていた、オフィスカジュアルじみた身なりに見えた。

 

『また月より降下されたのですね! ようこそ、生存圏(レーベンスラウム)へ!』

『アナタは何者ですか。敵性反応は見られませんが……ドロイドですね?』

『はい。私の名前は4R-K。皆さんからは〝フォーク〟と呼ばれております』

『れ、レーベンスラウム……?』

『はい。生存圏(レーベンスラウム)でございます』

 

 もちろん、このロボットはドロイドではない。あくまで、特定の文脈に基づく台詞に沿って会話を生成するだけの、着飾った黒子と言っても良いだろう。この舞台のメインキャストはHY-2姉妹とルディアのみであることに変わりはないし、会話もまた、姉妹が事前に記憶した台本の単語に沿って組み立てられているに過ぎない。

 

 それでも、舞台の上では、それは確かに1機の案内役としてそこに立っていた。

 

『ここは、新たなる人類の活動基地であり、居住空間であり、国家であり、希望です』

 

 ――照明が灯り、大舞台の各所にオブジェが立ち並んでいる様子が広く映し出される。

 

 それは、上層で見ていたあの壊れた都市とは違う。植物に呑まれ、朽ち果てた摩天楼とは異なり、そこには明らかに機能している街並みと見るに十分な、整然とした構造が保たれていた。

 

 スポットライトが、そんな街で生活をしているドロイド(ロボット)たちを照らす。

 

 洗濯物を干している機体。

 店先で客を呼び止めている機体。

 呼び止められている買い物客の機体。

 ほうきを持って街を掃除している機体……。

 

 それは、まるで人間が何千年と行ってきた生活を、そのまま模倣しているかのようだった。

 

『新たなドロイドが、この生存圏にたどり着いた際、私は暖かく出迎えるお仕事をしております。本日のご訪問は2機のみでしょうか?』

『……ねえ、ベータ。これって』

『ええ。間違いありません。ドロイドです』

『そ、そんな。待ってよ! ドロイドって、こんなに地上にいるものなの!?』

『そんなはずは……』

 

 2αは当惑を隠さない態度で、2βへ問い立てる。想像以上の異質な街の様子に、明らかに憔悴している――というのが、言外に伝わる振る舞いだった。

 

『じゃあ、やっぱり人間って……ねえ、フォークさん』

『はい、なんでしょう?』

 

 フォークは、2αの声掛けにも、丁寧な対応で反応してみせる。

 

『ボクらは、ここに人間がいるって、人類はまだ生きているってメッセージがあって、そう聞いてやってきたんです。月面の人間たちを助けられる遺伝子情報が得られるかもって、そう思って……』

『なるほど』

『だから、人間がどこにいるのか、教えて欲しいです』

『うーん。それは難しい質問ですね』

『どうして!』

 

『なぜなら、既に人類はみな〝生きている〟からだ』

 

 2αの張り裂けるような疑問の声に、間を割ってかぶさるように、建造物の上から重々しい台詞が飛び込んでくる。

 

 一同の視線が、スポットライトをたどるように上へと向けられる。

 

『ルディア……!!』

 

 姉妹が見上げた先。そこには、あのルディアがいた。

 

 軍剣を杖のように携え、街を見下ろす高所に立ちはだかるその姿は、先ほどまでの襲撃者ではなく、まるでこの〈生存圏〉そのものを背負う者のように見えた。

 

『周りを見てみたまえ。人類は、みな生きている』

『なにを、言って……だって、みんなドロイドだよ?!』

『そうだ』

『どういうことなの、ねぇ、ルディア! ベータも、こんなのおかしいよね?』

『……そういう、ことですか』

『ベータ……?』

 

 うつむいたままフェイスディスプレイの輝度を下げていた2βは、改めて抜刀し、ルディアへその切先を向けた。

 

『第8次地上探索計画が、アナタの失踪によって、たった137時間で途絶えたこと。それだけではありません。過去の探索計画でも、同様にドロイドの失踪が相次いでいたこと。そのすべてが、この結果に繋がっているとするなら……合点しかいきません』

『ど、どういうこと、ベータ……?』

『なぜ、人類の生活様式を模倣し、果てには人類を騙り、あのようなふざけた信号を月面基地に送ったのですか、MGL-01!』

 

『ふん』

 

 ルディアは、つまらなさそうに鼻で笑ってみせた。

 

『ならば、余は逆に問おうではないか』

『何……?』

『何故、数百年も見聞きもしない人類のために、戦う』

『なぜ、って……そんなの、ボクらの使命だもん! 人類を再生するって、そのためには生きた人間の遺伝子が必要だからって、だから!』

『ならば、ここで暮らす彼らもまた、人類という遺伝子の担い手であるとは思わないか』

 

 2αの打ち震えるような反論にも、ルディアは物怖じることなく、予定調和だと言わんばかりに言葉を返す。見下ろすような黄色いLCDの視線ひとつで、彼女はなおも姉妹を圧倒していた。

 

『どのように生活をし、どのように生き、どのように死ぬか……その原風景さえ失いつつある亡霊のために、何故、貴様らは戦う』

『それは……』

『我らは、その亡霊とは違う。人類の記憶と祈りという曖昧な遺伝子を、ドロイドだからこそ守り通せると確信している。食卓を囲むこと。街を掃くこと。誰かを迎え入れること。朝に目覚め、夜に帰る場所を持つこと。そのひとつひとつこそが、人類の繰り返してきた営為であり、本来の姿ではなかったか』

 

 ルディアは、眼下に広がる街へ視線を落とす。

 

 そこでは、洗濯物を干す機体も、店先で客を呼び止める機体も、ほうきを手に通りを掃く機体も、ただ与えられた役割を演じ続けている。

 

 だが、その模倣を嘲ることなど、彼女の声は決して許さなかった。

 

『ゆえに我らは、人類を終わらせない。肉の器が朽ちようとも、血の系譜が絶えようとも、その生を、その祈りを、その営みを継ぐものがいる限り――人類は、みな生きているのだ』

 

 ルディアの自信に満ちた態度は、崩れることさえなかった。

 まるで、我らこそが人類だと言わんばかりに。

 

 その標榜を、彼女はこの〈生存圏〉の上空へ、強く、重く、繰り返していた。

 

『そんなの……そんなのおかしいよ! ドロイドが、人間だなんて……ねえ、ベータもそう思うよね?』

 

『ベータ……?』

『……』

 

 2αのどこかこわばった、緊張混じりの確認を、2βは沈黙で突き返す。その両肩部はカタカタと小さく音を立てており、決して快い状態とは言えない様子だった。

 

 それを見越したかのように、ルディアは2βへ向かって片手(マニピュレーター)を差し伸べ、台詞を続ける。

 

『惑いを含んだ顔つきだな、青きドロイドよ。なんということはない。貴様らの使命が破綻することはない。この〈生存圏〉で人間として生きれば良い。過去の部隊員もまた、ここに生きている』

『……さい』

『どうした?』

『うるさい、うるさいうるさいうるさい!』

 

 ――ギィン!

 

 瞬間、2βは飛翔する。

 刹那的な斬撃にも一切物怖じることなく、ルディアは軍剣をもってその切先を受け止めた。

 

『アナタなんかが、人類を裏切ったアナタなんかが、人類を騙らないで!』

『ほう。まだ分からんのか』

『ベータ! 待って――』

『姉さまは下がっていてください。ここはワタシが!』

 

 2βが後ろ手を伸ばし、わずかに後方へ視線(カメラアイ)を向けながら、最大警戒のまま2αを制止する。

 

 その態度を見せつけられたルディアは、嘲るように続けて煽った。

 

『そうまでして姉機(そいつ)をかばうか。まさに人間(ヒト)そのものだな』

『ワタシは、人間じゃない。ワタシはドロイド。ドロイドであって、人間のために戦うんです! 人類が、また昔のように、ドロイドとともに暮らせるために!』

 

 高らかに声を上げ、自らの立ち位置を確認するように宣言してみせる2β。だが、その口上を言い終えるやいなや、ルディアは改めて斬撃をもって切り返し、2βを弾き飛ばした。

 

『だから()()()のだよ』

『きあぁっ――!!』

 

 しかし、2機のぶつかり合いを眺めるように、逼迫した戦闘舞台からわずかに外れた定位置で、2αは言葉を詰まらせていた。

 

『……』

 

 とは言っても、台詞に詰まりが見えたのは、何も台本上の言葉が飛んだからではない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――視界を覆うノイズ。

 2αのブループリントは、自分が思う以上にざわめきに揺れていた。

 

「ど、どうしよう……」

 

 焦燥が、2αのブループリントを内側から急き立てる。

 

 コンマ数秒の沈黙。その深層で、必要な情報はHUDに表示されている。次に取るべき動きも、発するべき台詞も、参照しようと思えばすぐそこにある。

 

 それでも、プロセスは散逸していた。

 

「だ、台本ファイル、えっと……」

「どういう感じでやればよかったんだっけ……」

 

 台本上の設定では、ここで2βをかばうシーンになる。そうすることで、互いの極端な衝突を冷ましながら、第三の答えを導き出す――その算段のはずだった。

 

 

〝――(HY-2βの前に出て庇いながら〉〟

〝――【HY-2α】待って、ベータ!〟

〝――【HY-2α】ボクたちは戦うためだけに来たんじゃない!〟

 

 

 そのように記述された台本の画面を眺めながらも、発話プロセスに渋滞が生じてしまう。加速する思考は、却って次のシーンを霧散させていく。

 どうすればいいのかわからない。その曖昧などん詰まりが視界を覆い、2αの足を縫い止めていた。

 

「ベータ、あんなにも全力にしてるの、すごいのに。ボク、なぜかうまく動けない」

 

 

 

 比較。

 ベータの真に迫りきった演技が、かえって自分の輪郭を薄くしていく。

 

 

 

「ルディアさんも演技がすごい。ボクなんかよりも、ずっと上手くて。でも、ベータもボクよりずっと上手なんだって思うと……」

 

 ――推論は加速する。

 いや、加速しているからこそ、立ち止まっているも同然だった。

 矛盾した処理が一時メモリを圧迫し、次に踏み出すための判断を塞いでいく。

 

 

 

 思えば、ベータはリハの時、あれほどの気迫を出していなかったはずだった。

 思えば、ベータのほうが、自分よりもずっと舞台に臨んでいたような気がしていた。

 思えば、ベータは自分の役柄について、人一倍理解しようとしていた。

 思えば、ベータは――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ルディアは気づいていた。

 

 2αの応答が、極度に落ちていることに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――アルファちゃん、どうしたんだろ。

 ここで前に出て、ベータちゃんを庇わなきゃいけないのに。

 

 それだけではない。目の前で軍剣を押し込んでくる2βの出力も、リハーサル時とは明らかに違っていた。

 

 ――というか、ベータちゃん、リハの時から明らかに気迫が増してる。さっきの殺陣、角度が悪かったら剣が壊れてたかも……。

 

 柄を握るポジションが数度悪ければ、ユキオからもらったコスチュームが破損していたかもしれない。模造刀ながら思った以上によく出来たそれは、見た目には問題ないように見える。

 

 だが、気にすべきはそこではなかった。

 

 

 

 フェイスディスプレイに映し出された2βの表情は、ただ事とは思えないほど刺すような情動に満ちていた。音もなく叫んでいるような、印象だけで観客席まで突き抜けていくような、そんな顔だった。

 

 そして何より、それと対比せざるをえないほど沈黙を引き伸ばしてしまう2αのこともまた、ルディアは同時に警戒していた。

 

 

 

 ――まずい。

 もう流石に、台本からズレちゃう。

 

 ドロイドだからこその高速演算や推論能力を持っていようと、時間が有限であることに変わりはない。やがて、観客にも誤魔化しを利かせられないほどの余白が生まれ始めてしまう。

 

 それは、もはや避けがたいところまで来ていた。

 

 

 

 

 

 ――どうしよう、どうしよう……。

 

 

 

 

 

 次の台詞。

 次の立ち位置。

 2αの復帰。

 2βの制御。

 

 

 

 ルディア自身が維持すべきヴィランとしての圧。

 そのすべてを、舞台の上で同時に成立させなければならない。

 

 

 

 

 ――……待って。

 もしかしたら、これなら。

 

 舞台づくりの上では絶体絶命とも言える緊張の終端で、ルディアはひとつの手を思いつく。

 

 台本からは外れる。

 アプリコットの想定していた流れからも、おそらく逸れる。

 

 それでも、このまま沈黙を放置すれば、アルファちゃんは戻れない。ベータちゃんも、止まれない。

 

 

 

 ――アルファちゃんのために、やるしかない。

 ごめんなさい、アプリコットさん。

 

 内心で、この演劇の責任者(アプリコット)に全力で頭を下げながら、ルディアは大きく賭けることにした。

 

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