賢者の孫feat仮面ライダーゴースト 作:無類のゴースト好き
3人のチンピラを撃退したタケルとシンの2人。
シンが青髪の女の子に見惚れている中、青髪の女の子が話しかける。
「どうかしましたか?」
「え⁉︎ああいや、何でもないよ!」
「ビックリしたぁ…………。急に黙るから何かあったかと思ったよ」
『ヤベェ………完全に見惚れてた………』
「じゃあここではあれだし、何処か移動する?」
「近くにカフェあるよ」
タケルとシンは、2人の少女と一緒に近くのカフェへ向かった。
そのカフェで、話をする事に。
「改めてお礼を言うね。助けてくれてありがとう!」
「あ、ありがとうございました」
「構わないよ、大した相手でもなかったし」
「そうだね」
「あ、そう言えば自己紹介もまだね。私はマリア。こっちはシシリー」
「あ、シシリーです」
2人の女性が礼を言うと、タケルとシンはそう言う。
そして、女の子達は自己紹介を行う。
赤髪の子がマリアで、青髪の子がシシリーというらしい。
それを聞いて、タケルとシンも自己紹介をする。
「俺はシンって言うんだ」
「俺はタケル。宜しくね」
タケルとシンも自己紹介をすると、マリアは口を尖らせる。
「もぉ魔法さえ使えたら、あんな連中簡単にやっつけられたのに!」
「ダメだよマリア。街中で攻撃魔法を使うのは禁止されてるんだよ?」
「ところで、マリアは魔法を使うみたいだけど、高等魔法学院の生徒なのか?」
「来月の入試に合格出来ればね。シシリーも一緒に」
「へぇ!2人も入試受けるんだ!」
「凄い偶然だよね」
マリアが口を尖らせる中、シシリーはマリアをそう宥める。
街中で攻撃魔法を使用するのは固く禁止されているのだ。
シンがそう聞くと、マリアはそう答えて、タケルとシンはそう反応する。
すると、マリアとシシリーも反応する。
「も?」
「うん。俺とタケルも受けるからね」
「嘘⁉︎あれだけ体術使えるのに魔法使い⁉︎」
「てっきり騎士養成学校の生徒さんかと思ってました…………」
「まあね」
「試験に受かったら同じ学院生だね。お互い頑張ろう」
「私、主席目指してるからね。負けないわよ?」
「はは、まあ俺はボチボチやるよ」
「何よ、張り合いないわね」
それを聞いたマリアとシシリーはそう反応する。
体術を使っていた為、騎士学院かと思っていたのだ。
シンとマリアはそんな風に話すと、握手をする。
そして、シシリーとも握手をしようとするが。
「あ、えっと…………あの…………」
『いけね、初対面でいきなり握手とか、馴れ馴れしかったかな?』
「どうしたのシシリー?具合でも悪いの?」
「え⁉︎ううん何でもないよ!が…………頑張りましょう‼︎」
シシリーはオロオロとしていた。
シンがそう思う中、マリアにそう聞かれたシシリーは恥ずかしがりながらも、シンと握手する。
「俺も頑張るからな」
「ええ」
「よ、宜しくお願いします。」
タケルも、2人と握手をする。
マリアは、タケルとシンに聞く。
「そう言えばシンとタケルって何処の中等学院?同い年の割に見た事ないけど。」
「ああ、実は俺、今日王都に来たばかりなんだ」
「俺も王都に来たばかりだよ」
「へー、そうなんだ。あ!王都に来たと言えば知ってる!?賢者様と導師様も王都にお戻りになられたらしいわよ!」
「あ、ああ…………。聞いた事、あるかな…………」
マリアがそう聞くと、タケルとシンは、そう答える。
すると、マリアはそう叫び、シンは気まずそうにそう言う。
「何よあなた!興味ないの⁉︎稀代の魔法使い、勇猛果敢なマーリン様!魔道具を操り、苛烈に魔物を狩る美しき導師メリダ様!この国……………いえ、この世界に生きている限り最高の憧れ生ける伝説よ⁉︎」
『うおお…………ヤバイ、悶死しそう…………』
『そのお孫さんが目の前にいるんだよな』
シンの煮え切らない態度を見て、マリアはそんな風に語っていく。
マリアがそれを高速で話す中、シンとタケルはそんな風に反応する。
その英雄の孫は、目の前にいるのだと。
それを見て、シシリーが話しかける。
「あの、大丈夫ですか?」
「何よ、変な反応して」
「あ、いや……………」
「大丈夫だよ。マリアは賢者様と導師様の熱烈なファンなんだな」
「当然でしょ!賢者様と導師様の御孫さんが今度、魔法学院の入試受けるらしいのよ!」
『ギクッ⁉︎』
『えっ⁉︎』
「ああ、どんな方なのかしら⁉︎その方と同い年であった幸運に感謝したいわ!」
シシリーとマリアがそう聞く中、シンは曖昧に答えて、タケルはマリアにそう聞く。
タケルの質問にマリアがそう答えると、シンは驚いた。
もうすでに受験するのだと伝わっているのが。
『マジか……………。そんな話まで広がってんのか……………』
『じ、じゃあ、俺たちはそろそろお暇するよ。シン行くよ』
「お、おう……………」
2人は、情報の伝達スピードが速い事に驚く。
バレるのを防ぐべく、伝票を持って会計へ向かう。
「あ!私達の分は払うわよ!」
「気にしないで。今日は格好付けさせて」
「2人共じゃあな」
マリアがそう言う中、2人はそう言う。
その後、2人と別れた。
『あのシシリーって子、可愛かったな…………』
『それにしても、情報伝達スピードが速いよな……………。流石は英雄って感じだな』
「あ、しまった!連絡先聞いてねえ!!今更戻るのも格好悪いし……………こうなりゃ魔法学院で再会出来る事を祈ろう!」
「また会えるんじゃない?」
シンがそう思う中、タケルはそう考えていた。
情報の伝達スピードが速いのだと。
シンがそう言う中、タケルはそんな風に答えていた。
同じ頃、シシリーとマリアは。
「何て言うか、格好良い奴らだったねえ」
「うん……………」
「顔も良いし、強いし、魔法も使えるみたいだし、おまけに押し付けがましくないし」
「うん……………」
「去り際も格好良かったね?」
「うん……………」
「ねえ、チュウして良い?」
「うん……………」
マリアがそう言いながらシシリーに聞くと、シシリーは上の空気味にそう言う。
すると、マリアはピーンと来たのか、ニヤリと笑った。
「ねえ、タケルは私が貰っても良い?」
「うん……………。」
「じゃあ、シンも私が貰っても良い?」「う…………え………あ…………ダメ!はっ……………!」
「くっくっく」
マリアがそう言うと、タケルの時には上の空だったのが、シンの事になると、分かりやすく動揺する。
それを見て、マリアがほくそ笑むと、シシリーが叫ぶ。
「も…………もう!マリアったら!」
「あっはっはっ!いやゴメン!シシリーのそんな様子初めて見たからさぁ!で?何?まさか助けられて一目惚れとか、ベタな展開じゃないわよね?」
「そ…………そんなんじゃ…………ない…………と思う…………けど……………」
「え?ちょ、ちょっと本当に?」
慌てるシシリーを見て、マリアが笑いながらそう言うと、シシリーは口淀みながらそう言う。
それを見て、マリアはそう聞くと。
「分かんないよ…………。でも………あの…………彼、シン君の顔見てると、凄く緊張しちゃうと言うか…………胸が…………ドキドキするって言うか…………か、体が…………熱くなるって言うか…………」
『ちょっとちょっと、マジですか…………』
シシリーはそんな風に語る。
マリアから見れば、一目惚れをしたのは確かだが、シシリー当人はそれが恋だと気づいていないのだ。
心の中で唖然としてしまったマリアだった。
その後、タケルとシンは、屋敷へと戻った。
「お帰りなさいませシン様、タケル様」
その2人を、執事長のスティーブが迎えてくれた。
「ただいまスティーブさん」
「ただいまです」
「高等魔法学院よりお二人にこれが」
タケルとシンがそう言うと、スティーブは、2枚の封筒を2人に渡す。
「何これ?」
「入学試験受験票ですね」
「お、遂に来たか」
高等魔法学院より、入試受験票が届いた。
それを見た2人は。
『マリアの話からすると、英雄の孫って事で既に注目されてそうだし、目立ちたくはないけど、爺ちゃんやディスおじさんの顔に泥を塗る訳にもいかない。よし、試験は全力でやるか』
『いよいよか。魔法の実技試験があるらしいから、水刃で良いか』
そんな風に思っていた。
シンは試験を全力でやることを、タケルは試験で使う魔法を考えていた。
そして、入学試験当日となった。
「準備OK!」
「忘れ物は無いかい?」
「筆記具あるし、受験票も…………そして市民証!ようやく手に入った!」
「これで準備万端だな」
「それは個人の魔力パターンを認識して、本人以外には起動出来ないものだからね。色々便利な機能も付いてるし、大事に扱うんだよ」
「分かった。それじゃあ、行ってくる!」
タケルとシンは準備を終えて、高等魔法学院へと向かう。
2人は、アールスハイドの高等魔法学院に到着した。
高等魔法学院には、たくさんの人が向かっていた。
「凄い人数だな…………。これ全部受験生か?」
「まぁそれだけこの学校が人気があって、歴史がある証拠だな。会場を探そう」
「そうだな。合格すれば、またあのシシリーって子に会えるよな」
「それは分かんないけどね」
2人はそう話して、進んでいく。
アールスハイドには、王国が運営する特別な学院、三大高等学院が存在する。
まず、魔法使いを育成し輩出する高等魔法学院。
次に、卒業後はそのまま軍隊に入隊する騎士養成士官学院。
そして、将来の官僚や商会の幹部を育成する高等経法学院の三つだ。
本来、この三大高等学院に入学出来るのは、中等学院で大きな成績を収めた学院生だけが入試を合格し、入学を許される。
その為、本来なら、シンとタケルは受験資格はないのだ。
だが、シンとタケルは、ディセウムの交渉により、入試を受ける事を許されたのだ。
その2人は、会場を確認する。
「よし、試験は全力でやろう!」
「まずは会場探しだな」
「うーんと…………会場は……………」
二人はそう話すと、会場が書かれている看板を見る。
2人が会場を確認する中、後ろから声がかけられる。
「おい貴様ら、そこを退け」
「お!あったぞ!タケル!」
「あったか。お。俺もあった」
一人の男性がそんな風に話しかける。
だが、その2人は気づいていない様に見えた。
その男は反応しないシンとタケルに苛立ったのか、声を荒げて言う。
「おい!聞こえないのか!この無礼者が!」
その男はそう言って、シンの肩を掴む。
すると、シンは自分の肩を掴んだ受験生の腕を捻る。
「ぐあっ!貴様何をする!放せ!』
「さっきから何なの?いきなり人の肩を掴んでさ」
「まあ、退かなかった俺たちも俺たちだけどね。とはいえ、口調が荒いんじゃ無いのか?」
2人は、その受験生の話を聞いていた。
だが、退かなかった理由は、まだ確認が済んでいなかったからだ。
その受験生は叫ぶ。
「貴様ら!俺はカート=フォン=リッツバーグだぞ!」
「はい。俺はシンです」
「どうも、タケルです」
「ぷっ」
カートという人物がそう叫ぶ中、2人は素っ気なくそう言う。
それを見て、他の受験生が笑う。
それを感じたのか、カートは青筋を浮かべて、口を開く。
「っ……………!俺はリッツバーグ伯爵家の嫡男だぞ!」
「へぇ〜、そうなんだ」
「俺に逆らって、只で済むと思ってるのか⁉︎」
『指摘するか』
カートがそう言う中、シンはそんな風に反応する。
シンの素っ気ない反応に対して、カートは苛立った様に叫んだ。
タケルはある事を思い出して、カートに話しかける。
「カートだったっけ?学院で貴族が権力を振り翳す事は厳禁じゃなかったか?それは国で定められていた事の筈だけど」
「たかが魔法学院の教師なんぞに、この俺を裁ける訳ないだろうが!」
タケルはそれを指摘する。
タケルが思い出したのは、ディセウムとのあるやり取りだった。
『入学後の
『ちなみに、権威を利用した場合は?』
『厳罰に処する』
『恐っ!』
『優秀な魔法使いの芽を刈り取る行為だからな』
それは、高等魔法学院は貴族の権威を一切受け付けない完全実力主義であり、それは王族とて例外ではないのだ。
優秀な魔法使いの芽を刈り取らない様にする為に。
今のカートは、その国が定めた法律に逆らっていたのだ。
それに対して、カートはそう反論する。
すると。
「そこまでだ」
その声と共に、周囲がざわつく。
すると、カートの後ろから、1人の青年がやってくる。
「学院において権威を振り翳し、他人を害する事は、優秀な魔法使いの芽を刈り取る行為であり、これを破った者は厳罰に処する。学院の校則ではなく、王家の定めた法であったはずだ」
「あ…………あなたは…………!」
「それともまさか、先程の発言は王家に対する叛意か?」
「い……………いえ!決してそんな事は!」
『どちら様?』
『あの人って………………』
その青年は、カートを睨みながら言うと、カートはそう言う。
シンとタケルに対してとは違い、完全に萎縮していた。
それを見たシンは首を傾げるが、タケルは何かを察した。
カートの答えを聞いた青年は口を開く。
「ならば、これ以上騒ぐな。ここは入学試験会場だ。皆の心を乱す様な事をするな」
「は……………….はっ!」
その青年がそう言うと、カートはシンとタケルの2人を睨みながら去っていく。
すると、青年が口を開く。
「くっくっ……………さっきの自己紹介を返したのは傑作だったな。聞いた通りの世間知らずの様だ」
「え?」
「ところで……………あなたは?」
「そうだ、自己紹介がまだだったな。私の名は、アウグスト=フォン=アールスハイドだ。親しい者はオーグと呼んでいる。シン、君の事は父上から色々聞いているよ」
その青年がそう言う中、シンは首を傾げて、タケルは名前を聞く。
その青年は、自己紹介をした。
アウグスト=フォン=アールスハイドだと。
それを聞いたユウトとシンは。
「アールスハイドって事は…………」
「もしかして、
2人はそう言う。
それを聞いた周囲の受験生は、一斉にざわめき出す。
オーグはディセウムの息子である王太子なのだ。
ディセウムをおじさん呼ばわりした事に周囲はざわついていた。
それを聞いたオーグは、口を開く。
「くっくっく。ディスおじさんの息子…………か。そんな風に言われたのは初めてだな。そして、君がタケル=ハワードだな。君も父上から話を聞いている」
「どうも」
「しかし、私が王子だと知ると、途端に媚び諂ってくる奴らばかりなのだが」
「だって、おじさんの事ずっと親戚だと思ってたからさぁ、おじさんの息子って言われても従兄弟?って感じしか」
「ん?くっくっくっ…………!あははははははは!」
オーグはそう言うと、タケルはそう返す。
オーグの言葉に対して、シンはそう返す。
ディセウムとも素性を知らない頃からずっと会っており、オーグは従兄弟の様な感覚でしかないと。
それを聞いたオーグは大きく笑う。
「ん?」
「そうかそうか、従兄弟か。やはり、お前達は面白いな。もう少し話をしたいが、もうすぐ試験だな」
「ああ、そうだな」
「それじゃあ、お互い頑張ろうではないか」
3人はそう話して、試験会場へと向かう。
それを遠くから見ていたシシリーとマリアは。
「何でシンとタケルがアウグスト殿下と親しげに話してんの?」
「シン君とタケル君って、何者なのかな……………」
そんな風に呟いていた。
本来なら、身分が遥かに違う三人が親しげに話していた事に驚いていた。
すると、マリアが口を開く。
「それより、問題はアイツの方だね。まさかこの学院に来てるとは…………」
マリアはそう言って、カートを密かに睨んでた。
シシリーが黙る中、マリアは話しかける。
「……………」
「いい?もしアイツに何かされたらすぐに言うんだよ?」
「うん……………」
「そうだ!シンに相談してみたら良いじゃん!」
「え……………ええ!シン君に⁉︎」
シシリーにマリアがそう言う中、マリアはそう提案する。
それを聞いたシシリーは、動揺する。
「きっと力になってくれるよ!」
「でも………絶対迷惑だよ…………」
「大丈夫だって。シンは困った女の子を見捨てるような奴じゃない。寧ろ進んで守ってくれるんじゃない?」
「でも何か…………シン君の優しさに付け込むみたいで…………」
「付け込んだって良いのよ。聞いてシシリー。確かにシンは良い奴だけど…………私はアンタの方が大事なの」
「マリア……………」
「それに一緒に居れば、仲が進展するかも知れないし〜」
マリアの提案をそんな風に言うシシリー。
シシリーとしては、シンの良心に付け込む様な感じがして、気が引けるのだ。
マリアはそう言うと同時に、シシリーを揶揄う。
それを聞いたシシリーは、顔がかーっと赤くなった。
「も〜〜マリア!!」
シシリーはそう叫ぶ。
一方、タケルとシンは。
「へくしっ!」
「ん?」
シンがくしゃみをして、タケルは首を傾げる。
試験は筆記と実技に分けて行われる。
筆記試験会場では、受験生達が問題を解いてる。
そんな中、タケルとシンは余裕で解いている。
その後、実技試験になり、タケルとシンは、学院の室内練習場へと向かう。
「次の6人中へ!」
試験官にそう言われて、タケルとシンを含めた6人は、中へと入る。
すると、試験官は試験の内容を説明する。
「では1人ずつ自分の得意な魔法を見せて貰います。目標は設置してあるあの的!破壊出来れば良し!出来なくても練度が基準に達していれば良し!では1人目!」
「はい!」
試験官はそう言って、的をみせる。
破壊出来ずとも、練度がある程度確認できたらOKなのだ。
すると、受験生の1人が前に出る。
『おお…………初めて見る同世代の魔法だ!一体どんな…………!』
『確か、この世代は詠唱をして放つから…………』
2人はそんな風に考えていた。
シンは同世代の人が放つ魔法がどの様な物なのかが気になり、タケルはある可能性を考えていた。
すると、受験生が口を開く。
「全てを焼き尽くす炎よ!」
『はい⁉︎』
『………………』
「この手に集いて敵を撃て!ファイヤーボール!」
受験生はそう叫んで、魔法を放つ。
その香ばしい台詞には、シンは唖然となり、タケルは思う所がある表情を浮かべていた。
的に命中したものの、威力はかなり弱かった。
受験生はドヤ顔をして、周囲は感心する。
『うおおおおお!恥ずかしい‼︎何今の⁉︎何か昔想像した通りの展開じゃねーか!詠唱!いるかあれ⁉︎ファイヤーボールって!せめて名前捻れよ‼︎これはマズイ…………あの威力でドヤ顔してるし…………周りも「おお」とか言ってるし…………これは全力出したら絶対マズイ事になる…………‼︎』
『なんか、詠唱と魔法のギャップが激しすぎるし、台詞が香ばしいんだよな…………』
シンがそう反応する中、ユウトは魔法の威力の差と詠唱の香ばしさに関して、そう思っていた。
「はい、宜しい。では次!」
『あれで良いんだ』
試験官がそう言うと、タケルはそう思う。
そこから、シンの羞恥心を抉る様に試験が行われていた。
「荒れ狂う水流よ!集い踊りて押し流せ!ウォーターシュート!」
『何だよあれ…………詠唱って…………あんなんなのぉぉぉ⁉︎』
『詠唱はいるのかな…………』
受験生の1人が放った水の魔法を見て、2人はそう思う。
実際、荒れ狂う水流と言っておきながら、水の勢いはかなり小さかった。
「風よ踊れ!風よ舞え!全てを凪ぎ払う一陣の風を起こせ!ウインドストーム!」
『派手な割に効果がしょぼいよ!』
『ギャップがすごいな……………』
受験生の1人が放った風の魔法は、詠唱の派手さに反して、そよ風が吹く程度だった。
それを見て、2人はそう思う。
「母なる大地よ力を貸して!敵を撃ち払う礫となれ!アースブラスト!」
『何処の厨二病発表会だよ…………。聞いてられない…………』
『なんであんなに恍惚としてるんだろ?』
女性の受験生はそう言って、石の魔法を放つが、放たれたのは小石程度で、恍惚とした笑みを浮かべていた。
それを見ていたタケルとシンがそう思う中、試験官がタケルに話しかける。
「君の番ですよ」
「分かりました」
タケルの番になり、タケルは前に出る。
『イメージは水を高圧にして、それを刃状にして、撃ち出す感じかな』
タケルはそう思いながら、右手から水の球を出す。
「え、詠唱無しで⁉︎」
それを見て、受験生は驚いていた。
タケルはそれを無視して、魔法を発動する。
「ハアッ!」
タケルの放った水刃は、的に命中すると、的を切断する。
それを見て、周囲はシンを除いて驚く。
「こんなもんかな」
「なるほど……………では、次は君の番ですよ」
「あ、はい」
タケルがそう言う中、試験官はシンを呼ぶ。
シンが前に出る中、手元の資料を見ると、試験官はシンに話しかける。
「む?そうですか、君が陛下の言っていた……………。君は力をセーブして放つ様に。くれぐれも練習場まで破壊しない様」
『ディスおじさん…………一体どんな説明を…………的の強度はまあそこそこって所か…………。だったら、あれで良いか』
試験官の言葉に、シンがそう思う。
ディセウムは一体、どんな説明をしたのだと。
シンはそう思いながら、手の上に炎の球を出す。
「彼も詠唱無しで⁉︎」
『やり過ぎないでよ』
それを見て、受験生が再び驚く中、タケルはそう思う。
シンは魔法を撃ちだす。
的に命中すると、練習場が揺れて、的は消し炭になった。
「きゃあああ!ち…………力をセーブしろと言ったはずですが!」
「え?先生が練習場を破壊するなって言うから、相当抑えて撃ちましたけど」
「『それであの威力…………!』そ、そうですか……………。試験はこれで終了です。皆さん、お疲れ様でした」
試験官はメガネにヒビが入りながらもそう言うと、シンはそう返す。
それを聞いた試験官はそう言う。
ちなみに、他の受験生は呆然としていた。
『良かったぁ、怒られずに済んだ…………。あれでもやり過ぎ……………?』
『もうちょい加減しろよ…………』
シンがそう思う中、タケルは呆れていた。
その夜、高等魔法学院の会議室では。
「そんなに凄かったのか?賢者の孫は」
「賢者の孫ご本人が軽く撃ったつもりの魔法で練習場が壊れるかと思いました。的は残らずチリになってましたが」
「そ、そんなに…………?」
「しかも、無詠唱で撃ち出すまでも一瞬です」
教員の一人がそう聞くと、シンを担当した試験官はそんな風に言う。
教員は試験官からの報告を受けて、驚いていた。
すると、校長が口を開く。
「なあ…………それワシらが教える事あるのか?寧ろワシらが教わりたいんだが…………」
「同意です。元々人付き合いを覚える為に入学させると陛下がおっしゃってましたから。研究室を作ってそこに人を集め、人付き合いを教えれば良いのでは?」
「そりゃ良いな。研究室なら教師も自然に出入り出来るし」
「ところで、入試順位はどうなったんですか?」
「採点中ですが、彼はほぼ満点だった様です」
「となるとこれは……………」
「ええ、今年の入試主席は決まりですね」
校長は、逆に教わりたいと口にしていた。
教員達は受験生達の成績を鑑みながら、そんな風に話していた。
それから数日後、合格発表の日が来た。
「お」
「久し振りだな、シン君。タケル君。」
シン達が住んでいる屋敷に、ディセウムとオーグの2人がやってきた。
「陛下にオーグ」
「よく来たの。2人共」
「お初にお目にかかります、賢者マーリン様。今日はこの日に英雄様達にお会い出来た事を心より感謝致します」
「ほっほっ」
『おお、感動してる…………』
タケルとマーリンがそう言うと、オーグは感動気味にそう言う。
それを見て、シンはそう思う。
「では行くかシン、タケル」
「あれ?護衛とかは居ないの?オーグ」
「お前以上の護衛がこの世に居るなら紹介してくれ」
「それもそうだね」
3人はそう話して、高等魔法学院へと向かおうとする。
マーリンとディセウムが付いていこうとして、シンとタケルが叫ぶ。
「……………いやいや!何で2人が付いて来てんの⁉︎」
「そりゃ、シンとタケル君の結果が気になるし……………」
「いや、マーリンさんが学院に来たら、パニックになるから、屋敷で留守番しててくれ!」
「そうか、ならば私だけでも…………」
「父上、同じ事になります」
シンがそう叫ぶと、マーリンはさも当たり前かの様にそう言う。
シンとタケルの結果が気になるのだと。
タケルはマーリンに対してそう言って、ディセウムが来ようとすると、オーグに止められる。
2人は、留守番をする事に。
それを聞いて、マーリンとディセウムの二人は落ち込んでいた。
タケル、シン、オーグは、串焼きを食べながら学院に向かう。
「父上はマーリン殿の御自宅へ何度かお邪魔していた様だな」
「そりゃもうちょくちょく来てたよ」
「公務で忙しい身だぞ」
「まぁ国王だしな」
「グチ聞いて欲しかったんだって」
「はぁ……………父上……………」
オーグ達は、そんなふうに話す。
愚痴を聞いて欲しくてちょくちょく向かっていた事に、オーグはため息を吐く。
「お互い苦労してるみたいだね」
「陛下も面白い人だよな」
「でも、オーグとタケルに会えて良かったよ。同世代の知り合い誰も居なくてさ。」
「まあね」
「実は私もだ」
「…………」
「…………似た者同士だな」
シン達がそう話すと、似た者同士と気づき、親交を深めていく。
高等魔法学院に到着して、合格発表を確認する。
「あ、あった!」
「私もあったぞ」
「俺もあるぞ」
3人は合格している事が分かり、ハイタッチを交わした。
「合格した人はこちらに並んで下さーい!」
3人は受付に並び、制服と教科書を貰う。
「お願いします」
「はい、受験票を確認します。…………あら?あなたがシン=ウォルフォード君ね。教科書と制服。制服は市民証のデータを参考にしてるからサイズは合ってるはずだけど、色々防御魔法が付与されてるから、合わないからと言って自分では直さないで下さいね」
「ウチの婆ちゃんに頼むのは?」
「メリダ様ですか?なら全く問題無いですね」
『じゃあ俺でも大丈夫だな。よし、魔改造してやろう》
『何する気だろ…………』
シンは、受付の人から制服と教科書を受け取ると、そう言われる。
メリダに頼むならOKと聞いて、シンはニヤリと笑い、タケルは呆れる。
すると、受付の人は言う。
「ウォルフォード君とハワード君とアウグスト殿下は共に『Sクラス』となります。それと、ウォルフォード君は入試主席ですので、入学式で新入生代表の挨拶をお願いしますね」
「…………は⁉︎新入生代表挨拶⁉︎」
「はい!」
受付の人がそう言う。
シンは主席なので、新入生代表の挨拶をして欲しいと。
それを聞いて、オーグとタケルはニヤリと笑い、シンは驚いていた。
シンはオーグを指差しながら言う。
「いやいやいやあの……………新入生にはオーグ……………アウグスト殿下が居るんですよ?どう考えても挨拶は殿下でしょう…………⁉︎」
「おいおい、何を言ってるんだ入試主席君!このアールスハイド高等魔法学院において、主席の代表挨拶は最早伝統!謂わば完全実力主義の象徴だぞ!この学園では、身分の貴賤はない!私のワガママ1つで、それが覆るはずがなかろう!」
『此奴…………絶対性格悪いし、面白がってやがる…………!』
シンがそう言うと、オーグはそんな風にニヤニヤしながら仰々しく言う。
代表挨拶は主席が対応するのが既定路線であり、王族であっても覆すのは不可能だと。
それを見て、シンがそう思っていると、タケルがシンの肩に手を置く。
「シン、もう諦めたら?」
「タケルの言うとおりだ。精精頑張って、挨拶を考えてくれたまえ」
「お前らなぁ!『マジかぁ…………。そう言やシシリー達も見当たらないし…………急に凹んできた…………』」
タケルとオーグはそう言う。
それを聞いて、シンはシシリーと会えない事に落ち込みながら、屋敷へと帰っていった。
一方、マリアとシシリーは。
「あーあ、主席はダメだったかぁ。チッ、シンの奴」
「凄いよねシン君。体術も魔法も凄いなんて」
マリアは主席を逃した事にそう言って、シシリーはそう言う。
マリアは、シシリーに話しかける。
「シンに声掛けなくて良いの?」
「あ、うん…………何話して良いのか分かんないし……………」
「いや、試験合格って絶好の話題があるじゃない」
「……………そうだった!何してたんだろう私……………」
「何やってんのかねえ」
「はぁ…………」
マリアはそう言うと、シシリーはそう言って、マリアはそう突っ込む。
それに気づいたシシリーは落ち込み、マリアは慰める。
シシリーとマリアがそんなやり取りをしているとはつゆ知らず、三人は屋敷に戻っていた。
すると、シンはため息をした。
「はぁ………………」
「何じゃその溜め息…………ま、まさか落ちたのか⁉︎」
「いや、シンは主席で、俺は次席。で、シンは新入生代表挨拶をしろってさ」
「ほう主席か!よく頑張ったのうシン!」
「私らが教えたんだから当然さね。でも、よくやったよ」
シンがため息をするのを見て、マーリンは落ちたのかと聞く。
すると、タケルがそう言った事で、マーリンとメリダはそう言う。
すると、ディセウムは、未だに落ち込んでいるシンに話しかける。
「にしても、挨拶一つでそこまで落ち込まんでも……………」
「いや…………知り合いも試験受けてたはずなんだけど…………見当たらなくてさ…………」
「女か」
「女だな」
「女だね」
『こいつら……………!』
ディセウムがそう話しかけたのに対して、シンがそう答える。
すると、そんなシンの態度を見て何かを察したのか、オーグ、ディセウム、タケルはニヤニヤしながらそう言う。
シンがニヤニヤしているタケル達にそう思う中、マーリンとメリダが口を開く。
「ほっほ、王都に来て色々経験しとるのう。結構結構」
「シン、その娘はちゃんとウチに連れて来るんだよ。私が見定めてあげるから」
「はぁ…………。『シシリー……………受かってると良いけど…………』」
マーリンとメリダがそう言う中、シンはシシリーが受かっている事を祈る。
シンが知らないだけで、シシリーもちゃんと受かっているのだが。
一方、リッツバーグ邸のカートの部屋では。
「俺がAクラス…………⁉︎Sではなく…………Aだと…………⁉︎そんなバカな…………!!その上俺に恥を掻かせた彼奴らが…………主席と第2位だと…………⁉︎巫山戯るな…………!何かの不正を働いたに違いないんだ…………‼︎学院の教師もグルなんだ…………!でなければ俺が……………こんな…………許せない…………!許せない…………許せない…………ユルセナイ…………‼︎」
カートは入試結果に納得がいっていないのか、かなり荒れており、部屋が荒らされていた。
そして、シンとタケルへの悪意を見せていた。
入学試験に合格した物の、カートの怒りを買ってしまう結果になったのだった…………。
本人達の気づかないうちに。
今回はここまでです。
今回は、試験の話です。
シンの運命の相手であるシシリーと出会い、話をしました。
そして、高等魔法学院の試験の最中、カートという貴族に絡まれました。
オーグの介入により事なきを得ましたが。
試験は合格して、カートは苛立った反応をしていました。
果たして、どうなるのか。
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