賢者の孫feat仮面ライダーゴースト   作:無類のゴースト好き

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第4話 究極魔法研究会

 シシリー達の制服に付与を施してしばらくが経った。

 タケル達は、高等魔法学院に登校する準備を整えていた。

 

「それじゃあ、行って来ます」

「あぁ。頑張ってのう」

「良いかい?くれぐれも自重するんだよ?」

「分かってるよ、婆ちゃん」

「じゃあ行って来るよ」

 

 シンとタケルがそう言うと、マーリン、メリダはそう言う。

 メリダに関しては、シンに対して、自重するように呼びかけていたが。

 そして、4人は登校する。

 そんな中、シンとタケルは。

 

『今の所、索敵魔法には何も引っ掛かって来ないなぁ』

『あの様子だと、カートはシシリーの事は諦めて無さそうだから、警戒をするに越した事はない………かな』

 

 シンは、索敵魔法を使って周囲を探り、タケルも、索敵魔法と自分の目で周囲を見渡す。

 すると、シシリーがシンに話しかける。

 

「ごめんね、シン君…………。」

「え?」

「私の為に、わざわざ家まで迎えに来てくれて……………」

「わざわざって、ゲートを使えばすぐだし、またシシリーを危ない目に遭わせる訳には行かないからね」

 

 シシリーがそう謝ると、シンはそう答える。

 シシリー視点からすると、かなりの美形に見えていた。

 

「シン君………!」

「あぁ…………朝から胸焼けしそう…………」

「諦めよう。どうせこうなる事は目に見えてたから」

 

 シシリーがそう言って、2人は良い雰囲気になる。

 それを見ていたマリアとタケルは、そう言う。

 両者共に呆れていた。

 付き合ってもいないのに、かなりラブラブな雰囲気を漂わせているシンとシシリーを見て。

 


 

 しばらくすると、教室に到着する。

 すると、オーグが話しかける。

 

「おはようシン、タケル。入学早々女連れで登校とは、いやはや流石だな」

「おはよう、オーグ」

「うるさいぞオーグ。理由は知ってるだろ」

「あぁ、知ってはいるが揶揄わずにはいられなかった」

「ブレないね……………」

 

 オーグは、シンを見るとニヤニヤした顔でそう言って、シンとタケルはそう言う。

 シンの事を揶揄うオーグを見て、タケルはそう呟いていた。

 すると、トールとユリウスが話しかける。

 

「おはようございます、シン殿。タケル殿」

「おはようございまする!」

「お、おはよう」

「おはよう」

 

 トールとユリウスが挨拶をするので、シンとタケルも挨拶をする。

 すると、誰かが駆け込んでくる。

 

「だぁー!間に合ったー!」

 

 そう叫びながら、シン達の前の机に滑り込みで入る。

 彼女は、アリス=コーナー。

 Sクラスでの順位は第6位だ。

 

「うぉっ⁉︎」

「間に合ってるよね?大丈夫だよね⁉︎」

「え、ええ………」

「間に合ってるけど、授業初日でギリギリで登校ってどうなの……………?」

「いやぁ、今日の授業が楽しみで寝付けなくてさぁ……………寝坊しちゃった」

「子供か!」

 

 タケルが驚く中、アリスはそう叫ぶ。

 シシリーが苦笑、マリアは呆れながらそう言うと、アリスはそう言い、マリアは突っ込む。

 それを見ていたシンとタケルは。

 

『えっと…………この世界だと15歳ってもう大人だよね……………?』

『個性的だね………』

 

 シンとタケルはそう思っていた。

 すると。

 

「おはよ〜う!」

「おわっ⁉︎おはよう。確か……アヴニールだっけ?」

「うん!改めて、私、アヴニール=ローラン!よろしくね!」

「タケル=ハワード。よろしくね」

 

 アヴニールはタケルに話しかけていた。

 タケルとアヴニールはそんな風に話をしていた。

 すると、担任であるアルフレッド先生が入ってくる。

 

「皆揃ってるな?」

「あ、先生」

「おはようございまーす!」

「あぁ、おはよう。皆席に着け。ホームルームを始めるぞ。それが済んだら、校内を案内するからな」

 

 アルフレッド先生が入ってくると、マリアとアリスはそう言い、アルフレッド先生はホームルームを始める。

 


 

 しばらくすると、校内散策の時間となり、アルフレッド先生は案内しながら説明していく。

 

「ざっと一回りしたが、学院の校舎は大きく分けて二つ。一つは授業で使う校舎。もう一つは職員室・生徒会室・実験室・研究室等に使われる校舎だ。研究室は、研究会を作った連中が放課後に使用してる」

『研究会?部活みてーなもんか』

「研究会って、どういうのがあるんですか?」

「例えば、放出系魔法を研鑽する『攻撃魔法研究会』。付与魔法での魔道具制作を目的とする『生活向上研究会』。身体強化魔法を極める『肉体言語研究会』等がある」

『って何だよ最後の……………。魔法使いとしての生き方を間違えてるよ………』

『肉体言語研究会って……入る人はいるのかな………』

 

 アルフレッド先生がそう説明する中、シンがそう思い、タケルはアルフレッド先生に質問する。

 それに対して、アルフレッド先生は有名どころの研究会を説明していく。

 アルフレッド先生の説明を聞いたシンとタケルはそう思う。

 すると、ユリウスが口を開く。

 

「肉体言語研究会……………!殿下の護衛任務がなければ、是非とも参加させて頂きたいで御座るが!」

『あっ、居た』

「なんだユリウス、私の事は気にせず入って良いぞ。寧ろ入れ」

「はっ!いえ、そう言う訳にはいかぬで御座る」

 

 ユリウスはそう言いながらポーズを取る。

 ユリウスは、肉体言語研究会に惹かれていたのだ。

 それを見たタケルがそう反応する中、オーグは呆れた様にそう言うと、ユリウスは直立不動の態勢になる。

 それを聞いたオーグは、口を開く。

 

「ここは高等魔法学院。王族としての権威はここでは通用しない。お前を私に縛り付けるものなど無いのだぞ!」

「殿下……!辱のうございます……!」

 

 オーグはそう言うと、ユリウスは感激して、嬉し泣きをする。

 それを見ていたオーグは、ニヤリと笑う。

 そんなオーグを見ていたシンは。

 

『此奴……護衛が鬱陶しいから自分から遠ざけるつもりだな……?』

 

 オーグの思惑を見抜き、ジト目で見ていた。

 すると、アリスがシンに話しかける。

 

「ねぇ、シン君は入りたい研究会とかある?」

「いや、特には……」

「まぁそうだな、お前にとってはどれも物足りないか」

「いや、そう言う訳じゃ……」

「いっその事、自分で研究会を立ち上げてみるか?」

「おう?」

「シンの研究会?」

「そうだ」

 

 アリスの質問にシンはそう答える。

 どれもピンと来ていなかったなだ。

 それを聞いたオーグはそう提案する。

 それを聞いた周囲の人たちも口を開く。

 

「ほう?ウォルフォードの作る研究会か。それは興味深いな」

「そうですよね先生。シンがどのような研究会を作り、活動するのか興味があります」

「確かに興味深い!」

「作るなら私も入りたい!」

「私も入りたいかもぉ」

「良いね。僕もそこに入ればずっとSクラスに居られそうだ」

 

 アルフレッド先生がそう言うと、オーグはそう言って、周囲の人たちも反応する。

 すると、アヴニールも口を開く。

 

「私も入りたい!マーリン様とメリダ様にお近づきになれるかもしれないし!」

「アヴニールも、マーリンさんとメリダさんに興味があるの?」

「うん!だって………英雄って呼ばれてる人だよ!どんな人か、気になるし!」

「そっか」

 

 アヴニールはそんな風に言う。
 タケルはそんな風に呟いた。

 すると、オーグが口を開く。

 

「先生、どうすれば研究会は作れるんですか?」

「5名以上の会員と顧問の教師、後は申請書が受理されれば立ち上げられるぞ。本当にやるなら、俺が顧問をしてやろう!」

『おおー!』

「ねぇ、ちょっと待って皆!」

 

 オーグがそう聞くと、アルフレッド先生はノリノリでそう答える。

 シンが狼狽える中、シシリーが口を開く。

 

「シン君が研究会を作るなら、私も入らないといけないですね!」

「へっ⁉︎」

「だってほら、帰りも送ってくれるなら一緒に行動した方が良い訳だし」

「いや……まぁそれは………」

「じゃあ、俺も入ろっかな。他に気になる研究会もないし」

「えっ?」

「シン殿が会長だとすると、何をするのが良いですかねぇ……」

「やるって言ってねえよ!」

 

 シシリーとマリアがそう言うのに、シンが口を詰まらせると、タケルとトールはそう言う。

 トールの発言に突っ込む中、アリスが口を開く。

 

「英雄研究会ってのはどう?」

「はぁ⁉︎何だそりゃ⁉︎」

「シン君とタケル君に、マーリン様とメリダ様の事教えて貰うの!」

「えぇ……………⁉︎」

「それ、俺とシンが入る意味あるのかな……」

「残念だが、賢者様と導師様の功績を辿る研究会はもうあるな」

「あんのかよ!」

「あるんだ」

 

 アリスがそう提案する中、シンとタケルがそう言うと、アルフレッド先生はそう言う。

 実際、マーリンとメリダの功績を巡る研究会はもうあるのだ。

 それを聞いたシンとタケルはそう言う。

 

「活動内容は放課後にでも決めるか。参加者もその時決めよう」

「な……何か勝手に話が……」

「諦めた方がいいと思うよ」

 

 アルフレッド先生がそう言うと、案内を再開する。

 シンがそう言う中、タケルは諭すようにそう言う。

 その後、練習場や食堂に案内される。

 食堂にて昼食を取ることになった。

 そこで、ユリウスが大量に食べる中、アリスはお腹いっぱいにしていた。

 


 

 そして、授業に入る。

 

「さて、今日の授業だが…………とりあえず、それぞれの魔法を見せて貰おうか。実際にクラスメイトの魔法を見て、各自、学べる部分もあるはずだ。では、まずユリウス。お前からだ」

「御意!」

『前と違って、今日は全員Sクラス………!一体、どんな魔法を…………⁉︎』

『どんな感じなのかな』

 

 アルフレッド先生がそう言うと、ユリウスに声をかける。

 ユリウスが前に出る中、シンとタケルはそう思う。

 

「それでは、行くでござる!」

 

 ユリウスはそう叫ぶと、制服の上半身を脱ぐ。

 そして、体に魔力を纏わせる。

 

『身体強化か』

『何で服を………』

 

 それを見たシンとタケルはそう思う。

 

「どぉりゃあああああ!ふんっ!」

 

 ユリウスはダッシュをして、拳で的を粉砕する。

 

「押忍!こんなもんでござる‼︎」

「はぁ………」

「あっはっはっはっ!」

 

 ユリウスはそう叫ぶ。

 それを見ていた他の人たちは、呆然とする。

 そんな中、トールは呆れ、オーグは笑う。

 

「さあ、どんどん行け!」

 

 アルフレッド先生がそう言うと、他の人たちも魔法を発動する。

 皆、Sクラスというのもあり、中々の物であった。

 そんな中、タケルとシンもやる事に。

 

「ふっ!」

 

 シンは炎の魔法で的を爆発四散させる。

 そして、タケルはというと。

 

「………」

「何やってんの?あいつ」

「さぁ………?」

 

 タケルは精神統一をしていた。

 マリアとトールがそう話す中。

 

『っ⁉︎タケル君から、何か感じる………?』

 

 アヴニールは、タケルから何かのオーラが出ていたのを感じ取っていた。

 すると。

 

「ふっ!」

 

 タケルは目を開くと、手を突き出す。

 すると、的はあっという間に崩れた。

 

『…………』

「ん?どうしたの?」

 

 それを見て、皆が唖然となる中、タケルはそう聞く。

 

「今の………何ですか?」

「あぁ〜………いや、少し気合を溜めて、風刃を放ったんだ」

「……!流石に凄いな……‼︎」

「これほどとは…………!」

 

 シシリーがそう聞くと、タケルはそんな風に言う。

 それを見ていた人たちは、そんな風に反応する。

 すると、リンが口を開く。

 

「………………良いの思いついた」

「ん?」

「研究会の名前。究極魔法研究会」

「え?」

「ん?」

 

 リンがそう言うと、全員の視線がリンに集まる。

 シンとタケルがそう言う中、リンは口を開く。

 

「ウォルフォード君とハワード君なら、全てを消滅させる攻撃魔法とか、絶対破れない防御とか、転移魔法とかその内使えそうだし」

『既に使えるんだよ、その男達は……………。攻撃は知らないけど』

『痛々しい……痛々しいよ、リンさん……』

 

 リンがそう言う中、オーグ、マリア、トール、シンはそう心の中で言う。

 すると、オーグが口を開く。

 

「とはいえ、究極魔法研究会か。シンにはピッタリかもな」

「へ?」

「良いね!究極魔法研究会!めっちゃ凄そうじゃん!」

「いやいや、待って⁉︎待って⁉︎」

 

 オーグがそう言うと、シンは唖然となり、アリスとかも同意する。

 周囲の人たちも話をする。

 

「参加者はSクラス全員?ユリウス君は?」

「あっ、拙者もやはり、そっちに………」

「ちっ」

『舌打ちを隠しなって』

 

 ユーリがユリウスにそう聞くと、ユリウスはそう答え、オーグは舌打ちをして、タケルはそう思う。

 そして、アルフレッド先生が口を開く。

 

「それじゃあ、決まりだな!」

『結局俺、一言も発せずに決まったよ!』

 

 アルフレッド先生がそう言うと、シンはそう思う。

 タケルは、苦笑気味にそれを見ていた。

 すると。

 

「ねぇ、タケル君」

「うん?」

「……今の、魔法じゃないよね……?」

 

 アヴニールは息を呑み、思わずタケルの腕を掴んだ。

 至近距離でその瞳に見つめられ、タケルは少し気まずそうに頭を掻く。

 

「あー……うん、まあ、ちょっと特殊な技術でね。魔法っていうよりは、気合いみたいなものかな」

「気合いなんてレベルじゃないでしょ! ……ねえ、タケル君、教えてよ。君はいったい、普段どこでどんな修業をしてるの?」

 

 アヴニールがあまりにも真剣な目で迫ってくるため、タケルは少しタジタジになってしまう。

 すると。

 

「おっ、タケル。モテモテだな」

「うるさいよ」

 

 シンがニヤニヤしながらそう言うと、タケルはそう突っ込む。

 すると、アヴニールは口を開く。

 

「ねえ、タケル君……お願いがあるんだ」

「ん?どうしたの?」

「私……一度でいいから、あの『賢者様』と『導師様』に直接お会いして、お話を聞いてみたいんだ!」

「えっ?」

 

 アヴニールはそんな風に頼み込む。

 タケルがそう反応する中、皆の視線がアヴニールに集まる。

 

「マーリンさんとメリダさんに?」

「うん!私………あのお二人に興味があるんだ〜!魔法とか、色々と教わりたくて!だから、お願い!会わせて欲しいの!」

 

 タケルがそう聞くと、アヴニールはそんな風に言う。

 マーリンとメリダに色々と教わりたいのだと。

 それを聞いたタケルは。

 

「………分かった。2人に聞いてみるよ。あの人たちなら、熱心な若者は嫌いじゃないと思うし」

「本当⁉︎やった……! ありがとう、タケル君!」

 

 タケルはそんな風に言う。

 マーリンとメリダに相談してみると。

 それを聞いたアヴニールが嬉しそうにそう言う中。

 

「おいオーグ、これって……」

「ああ、間違いないな。タケルにもいよいよ春が到来したってやつだ」

「「「くすくす……」」」

「皆………」

 

 シンとオーグの2人はそんな風に話す。

 周囲の生温かい視線に気づき、タケルは盛大なため息を吐くのだった。

 こうして、平穏で少し騒がしい高等魔法学院での日常が、また一歩先へと進んでいくのだった。

 


 

 その日の夕方のアールスハイドの王城の中にある会議室では。

 

「さて次は、軍務局の月例報告だが……………どうしたドミニク?何か問題でもあったのか?」

 

 ディセウムがそう言う中、軍務局・騎士団総長のドミニク=ガストールが黙り込んでいる。

 すると、ドミニクは口を開く。

 

「単刀直入に申し上げます………陛下。魔物の出現件数がここ1年で大幅に増えている事が判明しました……………!」

「何⁉︎」

 

 ドミニクがそう言うと、ディセウムも驚く。

 すると、他の高官達も騒ぎ出す。

 

「どう言う事です⁉︎そんな情報全く聞いていないが……魔物が増えれば国中騒ぎになるはず………しかしそんな話は何処にも………⁉︎」

「間抜けな話だが…………我々も気付かなかったのだ…………。気付かない程度に少しずつ…………だが確実に増えていたのだ…………。今はまだ対応出来る範囲だが…………しかし何れは…………個人的な意見を述べますが…………私はこれが人為的に行われている印象を受けます」

 

 高官達が驚く中、ドミニクはそう言う。

 魔物の増加が、人為的に行われた結果、起こっているのだと。

 それを聞いた周囲の人たちも更に驚く。

 

「バカな!人為的に魔物を増やせると言うのか⁉︎」

「陛下…………これは異常事態です!早急な大規模調査の許可を頂けませぬか?」

「ウム…………分かった。各団、魔物ハンター協会も使って徹底的に調べろ!ただし、この事は極秘事項だ」

「御意!」

 

 ドミニクはディセウムにそう進言すると、ディセウムはそう言う。

 ディセウムは、この異常事態に動揺を隠せずにいた。

 


 

 場面は変わり、夜のリッツバーグ邸では、事務次官のラッセル=フォン=リッツバーグ伯爵が叫んでいた。

 

「カート!カートは居るか!」

「何でしょうか?父上」

 

 ラッセルがそう叫ぶなか、カートがそう言いながら部屋から出てくる。

 すると、ラッセルは口を開く。

 

「何でしょうかでは無いわ!今日陛下に呼び出しを受けたぞ。理由は分かるな?」

「チッ…………」

 

 ラッセルがそう言うと、カートは舌打ちをする。

 すると、ラッセルはカートの胸ぐらを掴む。

 

「貴様何を考えている⁉︎高等魔法学院において、身分を持ち出す事が厳禁である事は分かっているだろう‼︎」

 

 ラッセルは、カートに向かってそう叫ぶ。

 だが、カートが自分の父に反論する。

 

「お言葉ですが父上、それは法が可笑しいのです。我々は選ばれた民です。平民などと同列に扱われる事の方が可笑しいのです!」

「……………⁉︎カート…………お前…………何を言っているのだ…………⁉︎一体どうしたと言うのだ…………⁉︎お前はこんな異常な事を言う息子ではなかったはずだ…………!」

 

 カートはそう反論する。

 その言葉には、ラッセルも動揺する。

 あまりにも、記憶にあるカートと異なる雰囲気に。

 すると、カートはラッセルの手を振り払って叫ぶ。

 

「私は選ばれた特別な人間なのです!なのに皆が私をこけにし逆らう!そんな事が許されて良いはずがない!」

「なっ……⁉︎」

「そうだ………!あいつらだ………!あいつらが出て来てから可笑しくなった……………!」

 

 カートはそう叫ぶと、ラッセルは動揺をさらにする。

 すると、カートは全てタケルとシンのせいだと言った。

 

「女も思い通りにならないし…………それに殿下も何時も邪魔を……!あいつらの味方をする様なら殿下も一層…………!」

「カートォッ!!!!」

 

 カートがそう言う。

 遂には、自分よりも立場が上のオーグすらも害しようと考えていたのだ。

 それを聞いたラッセルは堪忍袋の尾が切れたと言わんがばかりに激昂する。

 そして、自分の息子を殴り飛ばした。

 

「その発言を看過する事は出来ん!お前への処分を検討する!誰か!カートを部屋に閉じ込めておけ!」

 

 ラッセルはそう言って、使用人を呼ぶ。

 2人の使用人がカートを部屋へ連れて行く。

 それを見ていたラッセルは。

 

「どうしてしまったんだ……カート……?」

 

 そんな風につぶやく。

 


 

 その翌朝。

 Sクラスでは、オーグの口からカートが自宅謹慎になった事を明かされた。

 

「カートが自宅謹慎?」

「あぁ。今朝、学院に『暫く自宅謹慎とし反省を促す』とリッツバーグ家から連絡があったそうだ」

「…………」

「なあ、ちょっと聞きたいんだけど、カートは何であんな態度を取るんだ?貴族の専横が許されていない事は分かってるだろうし……」

「第一、王族のオーグの注意を聞いても一向に改めないって、何か矛盾してる様に感じるな」

「……」

 

 シンがそう聞くと、オーグはそう答える。

 これまでのカートの行動を振り返りながら、2人はそう言う。

 カートの行動は、アールスハイド王国の貴族にあるまじき姿だったのだ。

 それに対して、オーグは黙り、代わりにユリウスとトールが答える。

 

「正直、戸惑っているで御座るよ」

「自分達は、貴族や富裕層の通う中等学院に通っていたのですが………」

「実はそこに、カートも居たので御座る」

「えっ?」

「それにあいつは確かに自信家であったが、今程身分を笠に着た態度は取っていなかった。だから我々も戸惑っているんだ。カートに何があったのか………とな」

 

 トールとユリウス、オーグはそう語る。

 オーグ達としても、カートの変貌には戸惑っていたのだ。

 すると、トールが思い当たる節があるのか、口を開く。

 

「変わった所と言えば、シュトローム先生の研究室に入ってた事ぐらいで」

「そう言えば、そうだな」

「シュトローム?」

「どんな先生なんだ?」

「中等学院3年の時に、帝国から亡命した来たと言う触れ込みで魔法の先生として赴任して来たんです」

「私やトール、それなりに魔法を使える者に片っ端から声を掛けられていた様だ」

 

 トールがそう言うと、オーグはそう頷いた。

 シンとタケルがそう聞くと、トールとオーグはそう答える。

 その際、シュトロームという人物が言っていた言葉は。

 

『君達には、素晴らしい才能がある。私達の研究室に来なさい』

 

 そう言って、勧誘していたそうだ。

 ユリウスが呟いた。

 

「拙者は声掛けられてない……」

「カートはその研究室に参加したのか?」

「あぁ。胡散臭かったから私達は断った。研究室に通いだしてから、カートの魔法の実力が上がったのは確かだ」

「って事は、それなりに実力のある先生だったのね……」

 

 ユリウスがそう呟く中、シンはそう聞くと、オーグは答え、マリアも呟く。

 すると、オーグは再び口を開く。

 

「人気はあったが、胡散臭い見た目だったが」

「見た目?」

「どんな風貌していたんだ?」

 

 オーグがそう言うと、シンとタケルはそう聞く。

 その問いには、トールが答える。

 

「目が見えないらしくて、両目を覆う様に眼帯していたんです。それでも普通に行動していて、魔力を持たない無機物を感知出来る特殊な魔法を使っていたのかも」

「帝国から亡命して来た、両目に眼帯の魔法使いかぁ……何者だろうなその先生……」

「帝国って……………ブルースフィアか?」

「ええ。生活の苦しい平民が帝国から王国へ亡命して来る場合は多いですが……実力者だけにそうと思えず……」

「だから胡散臭いんだ」

「そればっかだな、オーグ」

『帝国から来た魔法使いか………』

 

 トールがそう言うと、シンは呟き、タケルはそう聞く。

 トールがそう答える中、オーグはそう言って、シンは突っ込む。

 タケルは、考え事をしていた。

 シュトロームという教師が何者なのかと。

 


 

 同日同時刻、リッツバーグ邸に件のオリバー=シュトロームが訪れていた。

 

「ああ……………!シュトローム先生!来て下さったのですね!」

「お久し振りですリッツバーグ夫人。人伝にカート君の話を聞きましてね。元教師(・・・)として、彼の身を案じ参じさせていただきました」

「先生…………先生だけが頼りなんです!主人は…………カートを処罰しようとしています!息子を…………何とか正気に戻してあげて下さい!」

「分かりました。微力を尽くしましょう。」

 

 リッツバーグ夫人がそう言うと、シュトロームはそう言う。

 シュトロームは、カートが居る部屋に案内され、カートに話しかける。

 

「どうしたカート。随分と情けない格好をしているじゃないか。」

「シュトローム先生…………!」

 

 シュトロームはそう言うと、カートは反応する。

 シュトロームは部屋に入ると同時に、防音結界を発動する。

 まるで、会話を外の人たちに聞かれないようにする為に。

 

「私は言ったな?君は特別な人間だと。ついこの間も言ったじゃないか。君は身分も実力も全て特別だ。手に入らないモノなど無いんだよ?」

「しかし……………女は手に入りませんでした!彼奴らが………あいつらが邪魔をしたから……!」

「フム、そうか。そいつらは君にとって邪魔な存在だな?良いかい?邪魔なそいつらに思い知らせてやろう。君は特別なんだからね」

「があああ……………!」

 

 シュトロームがそう言う中、カートはそう答える。

 すると、シュトロームはカートに近寄り、何かをする。

 その後、部屋から出て、夫人に話しかける。

 

「先生!どうでしたか⁉︎」

「宜しくはないですね。時間を掛けて快復を待つしか………。リッツバーグ伯爵には私達からも進言しましょう。心神喪失状態の彼を処罰する事は有益な事ではない」

「ああ……ありがとうございます……!」

 

 リッツバーグ夫人にそう聞かれると、シュトロームはそう答える。

 その後、シュトロームはリッツバーグ邸を後にして、振り返る。

 

「フフフ。カート君、精々頑張って踊ってくれよ?」

 

 不気味に微笑みながら、リッツバーグ邸を後にした。

 静かに、だが確実に、魔の手がタケルやシン達に迫ろうとしていた。




今回はここまでです。
今回は、カートが暴走する直前までです。
アヴニールも、タケルに興味を持っているようで。
そんな中、シュトロームの手によって、カートに異変が生じる。
果たして、どうなるのか。
次回も楽しみにしていて下さい。
10月に、ムゲン魂のアーツが来ますね。
どんな感じになるのか、楽しみです。
CSMゴーストドライバーも来ますしね。
感想、リクエストは絶賛受け付けています。
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