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847年
澄んだ空の下に数百人の少年、少女が
各々の覚悟を持って規則正しく並ぶ。
その中にあの日の少年がいた。
茶色の髪が風に揺れ、2年前より少し体格が良くなり
整った容姿は、あどけなさを残しつつ、その瞳はより、精悍な光を宿す。
ここはウォール•ローゼ南方面 訓練兵団支部である。
キース「3列目後ろを向け!」
キース教官の声が響き、4列目の新米共を品定めするように歩く。鋭い眼光で睨まれた新兵は自信なさげに目を伏せていく。
ずんずん進んでいくと誰よりも覚悟の決まったような表情をする少年を見つける。キース教官の視線にその少年は瞬きもせず真っ向から受け止める。キース教官はその少年に興味を持ったようで、威圧するように少年の目の前に立つ。
キース教官「貴様は何者だ!!」
その言葉に少年────カイルは右拳を左胸に当てキース教官の目を見てはっきりと答える。
カイル「は!シガンシナ区出身!カイル•フューラーです!」
落ち着いた表情でキース教官の瞳を射抜く。
キース(ほう、新兵にしては肝が据わっているようだな)
キース「そうか!フューラー(導く者)か!お前のような腑抜けた面のようなやつにはもったいない名前だな!」
カイルはその言葉にも全く動じなかった。
キース「何しにここに来た!」
カイル「...大事なものを守るためです!」
カイルは瞳に炎を宿したように言い放つ。
キース教官はその言葉にカイルの覚悟を読み取った。
キース「...ふん!巨人の胃袋に直行しないよう、精々励むといい。4列目も後ろを向け!」
そう言ってキース教官は去っていった。
カイルは後ろの列の同期たちを目だけで見回す。
しばらく見ていると。綺麗な黒髪を見つける。
ミカサだ。
ミカサもカイルに気がついたようで視線を送ってくる。
カイルは幼なじみの落ち着いた姿に微笑みを返す。
その微笑みを見たミカサは、いつもの無表情は変わらないが、少し瞳を揺らし、口元が緩んだように見えた。
そんな視線だけのやり取りをしていると突然怒号が聞こえてくる。
キース「貴様だ!貴様に言っている!貴様...何者なんだ!?」
よく見ると焦げ茶色の髪をポニーテールにした少女が芋を片手にキース教官に怒鳴られていた。
カイルは思わず目を丸くした。この厳かな場であろうことか教官の前で芋を食しているのだ。カイルの反応は当然であろう。
カイルは少女と教官のやり取りを面白そうに見続ける。
???「ウォール•ローゼ南区ダウパー村出身!!サシャ・ブラウスです!」
キース教官は自分はサシャ・ブラウスだと答えた少女の右手に持たれた芋を凝視する。
キース「サシャ・ブラウス...貴様が右手に持っている物はなんだ?」
サシャ「蒸した芋です!調理場に丁度頃合の物があったので!つい!」
キース「貴様...盗んだのか...なぜだ...なぜ今...芋を食べだした?」
サシャ「...冷めてしまっては元も子もないので...今食べるべきだと判断しました。」
キース「イヤ、わからないな、なぜ貴様は芋を食べた?」
キース教官の言葉にサシャは困惑の表情を浮かべる。いや、誰よりも困惑しているのはキース教官だろうか。
サシャ「...?それは...何故人は芋を食べるのか?という話でしょうか?」
場が静まり返った。風の音しかしない。
周りも驚愕した顔でサシャの方を見ている。
やがて気まずくなったのかサシャは「あ!」と声を出すと芋を半分(とても半分とは言えない)に分けるとそれを見て「チッ」と舌打ちをこぼした。
サシャ「半分...どうぞ...」
分けた芋を差し出す。
キース「は...半...分...?」
差し出された芋を見つめるキース教官に彼女はヘラァと笑った。
──────────
夕食の時間になり食堂に喧騒がうまれる。
???「おい、あの芋女まだ走らされてるぞ」
坊主頭の少年が呟く。
カイルは夕暮れに染まった訓練所で走り続けるサシャを見つめる。
エレン「すごいな5時間ぶっ通しか」
???「しかし、死ぬ寸前まで走れと言われた時より、今日はメシ抜きと言われた瞬間の方が悲壮な顔をしたよな」
カイルは無言で彼女を見つつ、食堂へ足を向けた。
カイル(後でパンと水でも持ってくか)
エレン「カイル、一緒に食おうぜ!」
その言葉にカイルは優しく返す
カイル「エレン、俺もお前も交友を広めるチャンスだ。今日だけは周りのヤツと食べてきな、俺も適当に食べてるからさ」
エレンは少し驚いた表情をするも、一理あるなと納得したようだった。
エレン「...わかった、でも、明日は一緒に食べような!」
無邪気な笑みを見せ、少し手を振ってこれから苦楽を共にする仲間たちの元へ去っていく。
カイル「あぁ、もちろんだよ」
そう小さくつぶやき、自らも食堂に足を踏み入れた。
中を見渡すと既に席は半分以上埋まり始めていた。カイルは自分の分の夕飯を受け取ると席を探した。
探していると、エレンには人だかりができており、無事新しい友人ができそう(質問攻めされているのに気づいていない)でカイルは安心した。
カイル「どこか空いてるとこはないかな〜」
左右を注意深く見ていると、壁際で一人で黙々と夕飯を食べている金髪で、白いフードを着た少女が目に入った。
カイルは少女の表情と壁際で食べていることから見て馴染めていないのだろうと判断する。そこで彼のお人好しが発動した。
カイルはその少女の場所へ歩みを進めると、声をかける。
カイル「隣、失礼してもいいかな?」
少女はゆっくりと顔を上げ、カイルの顔を冷めたような目でじっと見たあと、少女は目を食事に戻した。
???「...好きにすれば...?」
ぶっきらぼうに少女は答えるがカイルはそれを意にも介さず「ありがとう」と言うと隣に腰掛けた。
カイル「君、名前は?」
???「こういう時はそっちから名乗るもんじゃないのかい?まあ、あんたの名前に興味なんてないけど」
カイル「手厳しいな...まあいい、俺はカイル•フューラーだ、これからよろしく」
カイルは右手を差し出した。が少女は無視する。
???「...あたしは、アニ...アニ•レオンハートだよ...
別によろしくする気なんてない...」
名乗られたので仕方なくといった様子でカイルに返す。
行き場を失った右手をゆっくりと膝元へ戻す。
カイル「アニ、ね。いい名前じゃないか。なんか、アニって響きも可愛くてさ」
アニは食事を再開していた手を止めた。
少年の言葉の意味が分からなかった。
アニ「...今...なんて...?」
思わず聞き返してしまった。
カイル「ん?だから、いい名前だなって」
アニ「そこじゃないよ、その後さ!」
先程までの冷めたような無表情が少し崩れていた。
カイル「あぁ〜、響きが可愛いってやつ?別にホントのことだけど?」
なんの気兼ねもなく、カイルは言う。
そんな様子のカイルにアニは薄く頬を染める。
アニ「...ん、あ、あんた、誰にでもそんなこと言ってるのかい?」
カイル「いや?今日初めて言ったけど?」
カイルの裏の無い言葉にアニの頬は赤みが増す。瞳は明らかに左右に泳いでいた。
カイルはそんなアニに気づくこともなく食事を始め、「このスープ味うっすいなぁ」なんてほざいている。
自分の発言を気にもしないカイルにアニは少しイラッとしたが、この男には何を言っても仕方がないのだろうということを理解して諦めたように硬いパンにかじりついた。
そのあとはカイルが適当に話を振り、それにアニが無愛想に答えるといった様子で。2人は食事を終えた。
アニ「あんた、スープしか飲んでないじゃないか」
カイルはアニに指摘された通りスープしか飲んでおらずパンと水は残していた。
カイル「...あんまりお腹すいてなくてね。」
誤魔化すように言うカイルにアニは、少し眉をひそめるが、どうせ適当に流されるだろうと追求をやめた。
カイルが席を立つ。
カイル「また一緒に食べような、アニ。じゃ!」
そう言ってカイルはトレイをもって去っていった
アニ「...あんたとは、もうごめんだよ...」
アニは壁に視線を移しそうこぼした。
耳と頬だけが
赤く染まっていた。
現在公開可能な情報
カイルは開拓地で過ごしていた2年間で身長155cm(10歳)から170cmまで成長した。本人曰く「成長痛がやばかった」らしく。農地の開拓などで体格も同年代に比べて少しがっしりした細マッチョになっている。