静寂を破ったのは、五条さんの率直な質問だった。
「で?君はどうしたい?」
「どうしたいって、なんのことです?」
分かっている。分かっているけれど自分の口から言いたくない。
さっきの面白おかしい空気から一転して、重苦しい空気になってしまった。
「分かってるのに、そう言うところ、やっぱまだまだ子供だね。秘匿死刑の対象になったって、最初に話したでしょ?それだよ、それ」
「そりゃまあ私はまだ子供ですよ…秘匿死刑をどうするか、って聞かれてもどうにもならないもんじゃないですか?大人しく死ぬしかありませんよね」
「いっやぁ、それがなぁ、ちょっとした抜け道みたいなのがあるんだよなぁ」
まじで!?
「今すぐ教えてください」
「お、やっぱ知りたい?でも、死刑よりも苦しいことになるかもよ?」
「構いません、私はもっと生きていたいので。死ぬのが少しでも先になるのなら、私はどんな苦しい道でも、そちらを選びます」
「そんなに、少しでも長く生きていたいの?」
「おばあちゃんに言われてきたので。『生きることを躊躇するのは、年齢がギネス超えてからね』って」
ギネス超えることまで生きられるかは分かんないけどね。
あと、死後の世界のあの声もある。まだそのことは五条さんに話してないから言えないけど、それも理由の一つだ。
『まだ、君には生きる権利がある』と言われた。権利があるなら、生きる。それだけ。
「ふ〜ん…。なら、もし自分が生きるか、他人が死ぬか、二択を迫られたら君はどうする?」
そんなこと、考えたこともなかった。
「難しい質問ですね。もしその他人が私よりも生きる価値がありそうな人だったら、その人を助けて私は死にます。もしもよくわからない人だったり、生きる価値がなさそうな人だったら、私はその人を無視して、自分を助けます」
「つまり君は、命には軽重があると思ってるってこと?」
「えぇ。犯罪者と罪なき善人の命の価値が同じとか、許せませんから」
「そうかそうか、君の考えはわかった。じゃあ、死刑については僕が上を説得しておくよ」
「ありがとうございます。で、条件とかどうせあるんですよね?」
「鋭いねぇ、君。説得の材料として、二つの条件を提示しようと考えてる。一つは、秘匿死刑の対象を、呪術高専で預かること。もう一つが、もし、君が呪力の制御ができず領域展開を意図せず行った場合、即刻秘匿死刑を実行する、ってこと」
最初のは、まあ良い。呪術高専のことはさっき五条さんから聞いた。
問題は二つ目だ。もし私が呪力を上手く扱うことができなければ、すぐ殺されてしまう、ということだ。私は、何故かなんとなくで領域展開ができる。つまり、気をつけていなければ間違えて領域を展開してしまうかもしれない。
「私に、呪力の扱い方を教えてくれますか?」
「もちろん。君が死刑にならないよう、しごいてあげるよ。僕だって、将来有望な若者を無意味に殺されるのは嫌だしね」
「ありがとうございます。では、説得の方よろしくお願いします」
「任せてよ〜!じゃあ、ちょっと行ってくるね〜、待っててね」
「りょーかいです」
また会話多めです。