色々とデカい魔王様に告白されて夜も眠れない   作:タラコパスタ

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第12話:他校との交流戦

「うぅぅん。そうだなぁ……これがこうでぇ……こうだなぁ!」

「えぇぇ? それは少々センスがぁ……あ、ならばこれはぁ!?」

「おぉ!! 良いじゃねぇかぁ!! 超良いよぉ。流石は知将センだなぁ、おい!」

「嫌ぁぁ!それほどでも……ありますかなぁ!? ははは!」

「「ハハハハハ!!」」

「「「……」」」

 

 今、俺とセンは教室内で“お宝”を広げて盛り上がっていた。

 

 グラビアの写真集の切り抜きで。

 乳比べなるものをおっぱじめていた。

 大きい順であり、これが中々難しい。

 俺の目でもってしても僅かな誤差は判断がつかないが。

 データキャラで通っているセンであれば完璧なバストサイズの計測が――頭に強い衝撃を感じた。

 

「「いでぇぇ!!?」」

「……ご主人様。神聖な学び舎でそのような御下劣なものを広げないでください」

 

 声がして振り返れば……新たに俺が雇ったメイドが立っていた。

 

 赤毛であり、顔の半分が髪で隠れていたお団子ヘアーの少女。

 青い瞳をしていて、氷のように冷たい目を俺に向けている。

 身長は167cmと“魔族の時より”も少し小さくなったが。

 バストサイズはアップして、推定でEは――平手打ちが俺の頬を打つ。

 

「うべぇ!?」

「……最低ですね」

 

 メイドのヒルダが、俺をゴミのように見つめる。

 折角、俺がコイケに頼んで新品のヴィクトリア朝風のメイド服を拵えさせて。

 コイケにメイドとしての教えを叩き込ませたやったってのによぉ……可愛げがねぇなぁ。

 

「……その目は何ですか? セクハラですか?」

「あぁそうさ。ご主人様は何時だってお前に邪な感情を持ってるんだ。分かったら、せっせとゴミ箱に俺たちのお宝を入れるのはぁぁぁぁああああ!?」

「何とぉぉぉぉぉぉ!!!?」

 

 ヒルダは俺たちのお宝本を金属製の箱に入れて――魔法で着火する。

 

 箱の中で轟々と音を立てて燃えている。

 奴はそうして軽く箱をシェイクし。

 窓を開けてから、そのまま灰となったお宝たちを風で飛ばす……な、何て奴だ!

 

「さて、授業のご準備を」

「お、お前なぁぁ」

「……何か勘違いしているようですが。私はご主人様を助けたんですよ?」

「あぁ? 何言って……後ろ? なに、が……ぁ、ぁぁ」

「……っ」

 

 後ろを振り返れば――魔王様だった。

 

 何故か、涙目であり拳を硬く握っている。

 まるで、嫉妬しているかのようで。

 可愛いと思う気持ちが1割と恐怖が9割であった。

 

「……露出の多い女性が……好き、なんですか?」

「ふぇ? い、いやぁ……え、エッチな女性がいえぇ何でもございません!!!!」

「……っ。私だって、アレくらい……ぅ!」

 

 魔王様は一気に顔を赤くし――手を振りかぶる。

 

 恥ずかしい女性の平手打ち。

 ラノベの主人公の定番――が、これは違う。

 

 スローモーションの中で、目の前に迫るそれはまるで隕石で。

 迫りくるそれを防ぐ事も回避する事も不可。

 当たれば最期であり――死ッ!!!!

 

「ほぁぁぁぁ!?」

 

 俺は叫びながら、反射的に椅子を倒し床に寝そべるように回避。

 センを見れば奴も腹ばいになっていた。

 周りの生徒たちは壁などに張り付いて――突風が吹き荒れる。

 

「…………へ、は?」

「……!!! やっぱり恥ずかしいです!!」

 

 彼女はそれだけ言って自分の席に戻っていく。

 俺は妙に風通しが良くなったと窓際を見て――あぁ、すげぇ。

 

 教室の半分が――吹き飛んでらぁ。

 

 窓は全部消えている。

 見事なまでに窓と壁が消失していた。

 クラスメイトは目を瞬かせて。

 俺とセンは遠い目をしながら笑っていた。

 すると、そのタイミングで鐘が鳴り、ダズ先が入って来て……ため息を零す。

 

「今度は……アーティカルトか……修理は……頼んだぞ」

「は、はい……ぅぅ」

「……まぁそれはいい……お前たち! 実は、さきほど学園長より通達があってだな。何でも、他校の生徒との交流を計る為に、交流戦なるものを開催する事が急遽決まった。今までも交流戦はあって、三年から五年までは全員が参加していたが。今回は一年と二年でも参加が認められた。そこで、それぞれのクラスでリーダーと副リーダーを決めるぞ。先生方とも話してな。お前たちには悪いが、我々教師が独断でリーダーと副リーダーを選ばせてもらった……因みに、リーダーは誰か分かる?」

「「「――アーティカルトさん?」」」

「……うん、まぁ、当然だったな。逆に、彼女以外に考えられんだろう? はは」

 

 ダズ先は遠い目をする……その気持ち、分かるよ。

 

「……で、だ。副リーダーは……ケント、お前だ」

「……え? 何で俺……俺のメイドっすけど、ヒルダとかの方がむいてるんじゃ?」

「まぁメイドであろうとも、我が学園の規定にのっとれば此処の所属にはなるが……仮にも、お前は平民で我が学園に入学を許された特待生だからな。それを考量すれば、妥当というのが我々の判断だ……今だに、お前の実力は見た事が無いがな」

「いや、まぁ、そうかもしんないっすけど……いや、いいっすよ。やりますよ」

「あぁそうしてくれ。まぁ、お前の補佐として、ヒルダを参加させる事は許可する。くれぐれも、副リーダーとしての仕事をさぼるなよ?」

「へぃぃ」

 

 俺はもめても仕方ないと諦める。

 それに、魔王様が嬉しそうにしているからこそ水を差せない。

 ヒルダをチラリと見れば……うわぁ嫌そう。

 

「……何で、私が……チッ」

「……ナインも出ると思うよ」

「――分かりました」

「はや!? はぁ、俺のメイドなのに……おのれナインッ!」

 

 ハーレム主人公を今日も呪う。

 そうして、ダズ先は報告は終わりだと授業を始めようとし――

 

「あ、それとだな。リーダーと副リーダーに選ばれた生徒はこれから一月は放課後に訓練場に集まるように。他の者たちは、リーダーたちの招集があり次第、彼らの指示に従って」

「ええぇぇぇぇぇ? 何でっすかぁぁぁぁ?」

「当たり前だろ! 何の準備もしないで勝てるほど……いや、いい。アーティカルトを見るな。その目はやめろ!」

「……ちぇ。はぁ、こういうとこは前と変わらねぇな」

「何か言ったか?」

「いいえ!」

 

 ダズ先は俺を睨む。

 俺は口笛を吹いて誤魔化した……他校との交流戦かぁ。

 

 そういう時期であり、ゲームでもそういうイベントはあった。

 対戦相手の中には、主人公殿のハーレム要員もいたからな。

 そう考えれば重要なイベントではあるが……にしても、俺が一クラスの副リーダーに選ばれるとはなぁ。

 

 ただのモブであるこの俺が副リーダー。

 恐らくは、五郎丸の影響が出ているんだろう。

 俺自身はそんなに強くはねぇってのにだ。

 中々に面倒なイベントではあるが……まぁ旨味もある。

 

 ハーレム要員をくどくことなんてのは出来ねぇが。

 それ以外であれば、俺も旨味を味わう事が出来る。

 中でも、俺にとっての目玉は交流戦において優秀な生徒が貰える――賞品かなぁ!

 

 最優秀賞であり、それは中々にレアなマジックアイテムだ。

 効果は簡単に言えば、“ダメージの蓄積”だ。

 どういうものかは、相手から受けた攻撃のダメージを蓄えて。

 それを自らの攻撃に上乗せして相手に返せるようになるというものだ。

 此処まで聞けば、チートなアイテムと思うだろう……が、実際はそこまで万能じゃない。

 

 蓄積できるダメージには限度がある。

 一定以上のダメージは、そのまま持ち主に伝わる。

 そもそも、連続して攻撃されればあっという間に限界が来るだろうさ。

 故にこそ、優秀な効果ではあるが。

 上位の敵に対しては、ダメージ軽減程度の効果しかない……まぁ、それでも使いようによったら……ぐふふ。

 

 欲しい。喉から手が出る程……欲しい!!

 

 何としてでも手に入れる。

 目標さえ出来ればやる気も出て来る。

 俺はメラメラと闘志を燃やす。

 

「やるぜぇぇやったるぜぇぇぇ俺が最優秀賞を取ってやらぁぁ!!! フハハハハ!!!」

「……やる気は良いんだが……もうその話は終わってるぞ」

「……はず。ぷっ」

「……可愛い。ふふ」

「そ、その熱意。最優秀賞は、どんなHなるものがぁ!?」

 

 それぞれの声を聞きながら。

 俺は授業も聞き流し、代表選での立ち回りを頭の中で練っていった。

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