色々とデカい魔王様に告白されて夜も眠れない   作:タラコパスタ

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第13話:本物の化け物(side:ケント→???)

「1! 2! 3! 4! 5! 6! 7! ――どうしたぁ!!? お前たちの力はその程度かぁ!?」

「「「――ッ!!」」」

「本気でやれッ!! 相手を殺す気で振るんだッ!! それとも、チンポを振る方が得意か豚共がァ!!」

「……最低」

 

 俺は迷彩柄の服を着こみ。

 隣で、ヒルダに絶対零度の視線を受けながら木刀を振るう。

 クラスの豚共へと命令し、丸太を必死こいて振らせていた。

 対抗戦まではまだ時間はあるが、今から仕込みはさせておく。

 そういう気持ちで、俺はハードな訓練を言い渡し――センが近寄って来る。

 

「軍曹殿!! 命令違反の豚野郎を捕獲しました!!」

「よし!! ご苦労!! ――豚共!! 訓練は中止だ!! 休め!!」

「「「……!!」」」

 

 俺の言葉で全員が糸の切れた人形のように倒れる。

 それを一瞥してから、視線を出入り口に向ければ……ようやくか。

 

「は、放せよ!! 俺たちはなぁ!? 世界の為にだなぁ!? あ、おい!! ケント!! お前からもこいつらに何とか言ってくれよ!?」

「「「……」」」

 

 死んだ魚の目をした豚共。

 俺の命令にのみ従う優秀なソルジャーたちだ。

 そいつらは俺の命令通りに命令違反のカス野郎――ナインを捕まえて来た。

 

 その後ろでは、きゃんきゃんと吠えている雌豚共もいるが。

 そいつらは無視して、俺は命令を言い渡しナインを地面に膝をつかせる。

 俺はゆっくりと奴の前に立つ。

 そうして、冷たい目を向けながら質問してやった。

 

「……お前はどうして……リーダーとしての役目を放棄した?」

「ほ、放棄って……俺たちはアマツ教団っていう奴らと戦っててな!? そいつらは暗黒神って超やべぇ存在の復活を――ぐぇ!?」

 

 べらべらと言い訳をするクズの頬を蹴る。

 奴は血反吐を吐きながら、何をするのかと俺を見て来る。

 俺は奴の髪を掴みながら、眼をかっぴらいて伝える。

 

「理由を聞いたんだ。ストーリーを話せとは言ってないんだよカスが……アマツ教団? 暗黒神? ――どうでもいいんだよ」

「は、はぁぁ!!? いや、世界が」

「――どうでもいいんだよォ!!! お前は学生だッ!!! 学生としての責務を果たせッ!!!」

「うぅ!?」

 

 俺は至近距離で唾を飛ばしながら奴に伝える。

 すると、流石の主人公も俺の熱に押されて黙ってしまう。

 俺は奴の髪から手を離し、ゆっくりと立ち上がる。

 

「……磔刑だ。見せしめにしろ」

「「「ハッ!」」」

「ま、待ってくれ!! このままじゃ本当に」

「――言った筈だ。どうでもいいと。俺にとってアマツ教団の問題など――道に転がる石を蹴る程度のものだ」

「「「……!!」」」

 

 ヒロインズは驚いていた。

 が、俺にとっては驚くほどの言葉でもない。

 

 確かに、アマツ教団は危険な組織だ。

 幹部に至っては100レべル以上が普通だ。

 要するに、元騎士団長の婆さんクラスがごろごろといる事になる。

 そんな組織を放置しておけば、暗黒神が復活してしまうんじゃないかと――あぁ、するよ?

 

 暗黒神は、何もしなければ復活する。

 それが通常のストーリーであり。

 世界はそのまま滅んでいくというバッドエンドだ。

 最悪の筋書きで――が、少し違う。

 

 世界は滅びない。

 何故なら、彼女がいるからだ。

 

 俺は磔にされていくナインを一瞥し。

 生徒たちへの指導をしている魔王様へと近づく。

 彼女も俺に気が付いて、首を傾げて――

 

 

 

「デートに行きましょう」

「……っ!?」

「「「……!」」」

 

 

 

 俺は唐突に魔王様をデートに誘う。

 魔王様は目を瞬かせながら、口をパクパクとさせていた。

 俺はそんな彼女を横目に、訓練をしていた全ての生徒たちに今日は終了して良いと伝える。

 

「あ、あの……ど、どこ、に?」

「……実は、最近出来た――テーマパークがありましてねぇ」

 

 俺は静かに微笑む。

 嘘は言っていない。

 彼女にとってはテーマパークのようなもので。

 ナインや俺にとっては危険な場所だがな。

 

 ……出る杭は打たれる……俺は悪くない。

 

 〇

 

 古代文明の遺跡――その入口付近。

 

「……ふぅ……こんなもんかぁ?」

「おいおい。やりすぎじゃないか……ま、どうでもいいけど」

 

 俺は目の前で手足がねじ曲がった死体……1級の冒険者を見つめる。

 

 虚ろな目で、片眼は蒸発していた。

 全身焼け焦げていて、既に死んでいる。

 

 それなりの実力者だった。

 こんな奴があと十人はいたが。

 どいつもこいつも途中で消し飛びやがった。

 俺の魔法が強力過ぎるってのもあるが……脆すぎんだろ。

 

 俺はため息を零しながら。

 死体へと唾を吐き捨てる。

 こいつはまだ耐えてくれて。

 俺の趣味にも付き合ってくれたからいいけどよぉ。

 

「……で、アイツらの言ってた。末端の構成員たちを潰したって奴らは……どうすんだよ、兄者?」

 

 俺は眼鏡に黒いグローブを嵌めた赤髪の男――兄である“ベオウルフ”を見つめる。

 

「……ボスはまだ何も言っていない……今はまだ何もしなくていいだろうさ。どうせ雑魚だ。勝手に自滅する……それよりも、俺たちは早急に暗黒神様復活の為に必要な触媒を見つけなければならない……全部で五つ……情報通り、此処にも一つあった。本部の一つと合わせて、残りの触媒は三つだが……さて、どうするべきか」

「悩むねぇ。ちゃちゃっとさぁ。王都でも、ギルド本部でも襲撃してさぁ? 情報、盗って来てやろうかぁ?」

「……ランバルド。お前の悪い癖だ。どれだけ我々が優れていようとも、雑魚を殲滅するだけでも時間は使う……時間は有限だ。効率よく、仕事を片付けてこそ……!!」

「……ありゃ……ドラゴン? 何でこんなところに」

 

 空を見れば、遠くから赤いドラゴンが飛んできていた。

 此方へと向かって来ているが。

 流石に、この遺跡には降りて来ないだろう。

 俺はそう考えて、警戒する兄者にさっさと帰ろうと伝えて……ん?

 

「……聞いていないか。今、王都には……ドラゴンを使役する事に成功した人間が存在する」

「……まさか、アレが」

「……あぁ恐らくは……赤き龍。紅蓮龍ならば……撤退を……おい!」

 

 俺は闘志を燃やす。

 そうして、掌に魔力を集中させて――放つ。

 

「吹き飛べッ!!!!!」

 

 掌から放たれた砲弾が如き紅蓮の魔力。

 それは一瞬で遥か彼方の紅蓮龍へと迫り――瞬間、凄まじい閃光が発生する。

 

 凄まじい轟音が鳴り響き。

 空間が激しく振動した。

 紅蓮龍は黒煙に包まれて姿が見えない。

 死んではいないだろう、腐ってもドラゴンだ……が、乗ってる奴はそうでもない。

 

「……奇襲作戦は成功だぜぇ。これで、テイムした奴は死んだだろうさ。誰であろうとも、俺の“煉獄”には抗えねぇ。一瞬で、灰になっておしまいさ」

「……全く、お前は……もういい。気は済んだだろ? さっさと――――」

「……兄者?」

 

 

 兄者の声が急に消えて――背筋が凍る。

 

 兄者が立っていた場所に――知らない女が立っていた。

 

 

 身長は190を超え、凄まじい肉体で。

 圧倒的な強者のオーラを纏い。

 その冷たい視線がゆっくりと俺に向けられて――俺は攻撃した。

 

「煉獄・乱ッ!!!!」

 

 連続しての爆発。

 至近距離に街一つを崩壊させるほどの爆発が発生する。

 それでも俺は攻撃の手を緩めず――左腕でガード。

 

「ぐぅぁああ!?」

 

 衝撃を感じ――右へと吹き飛ぶ。

 

 そのまま空中を舞いながら体勢を戻し。

 奴の気配を探り、その方向へとホーミング性の爆裂弾を撃ち込む。

 が、奴の移動速度は尋常ではない。

 捉えたと思えばそれは影で、次の瞬間には――両腕でガード。

 

「……!?」

「……」

 

 ミシミシと両腕から悲鳴が鳴る。

 俺はそのまま痛みを感じながら後方へと吹き飛ぶ。

 

 強い。圧倒的に――強い。

 

 俺は吹き飛びながら――笑みを深める。

 

「デッドリベンジッ!!!!」

 

 魔法を発動。

 瞬間、全身の力が漲る。

 全ての能力が五倍に膨れ上がり――俺は空を蹴る。

 

 瞬間、奴の姿がハッキリと見えた。

 俺はそのまま奴へと迫り――攻撃。

 

「きは!!」

「……」

 

 煉獄を纏わせた拳を振り――奴を殴る。

 

 連続して殴れば、肉を焦がす臭いが僅かに感じた。

 本来であれば触れた瞬間に消し飛ぶが。

 焦がす程度であり、だからこそ、周りへの被害を気にする――存分に振るえる。

 

 俺は音速を超えて攻撃する。

 互いに音速を超えて飛行し。

 一進一退の攻防を繰り広げる。

 

 打ち、放ち、払い、蹴り、避け――まだまだァ!!

 

 奴は俺の全てを拳で弾き――奴の腹に俺の一撃が入る。

 

 そのまま全力で振り抜き――奴を遥か上空に飛ばす。

 

「消し飛べェェェェ!!!!!」

 

 俺は両手を構えて、握り潰すように動かす。

 すると、奴の体が不自然なほどに圧縮されて――視界が白い閃光に染まる。

 

 瞬間、周囲一帯を吹き飛ばすほどの大爆発が発生。

 奴を中心に、遥か下にいる俺たちの地形が大きく歪んでいく。

 木々は吹き飛び、川は蒸発し。

 山は抉られて、全てが更地へと変えられて――収まる。

 

 奴は――無傷。

 

 空にて浮遊していて――背後から影が迫る。

 

「――無限牢獄――」

「兄者!!」

「……!」

 

 兄者の魔法が発動した。

 奴は危機を察知して逃げようとするが。

 無数の腕が奴の体を掴んで、強引に出現した黒い箱の中へと奴を引き込む。

 そうして、完全に奴が入れば箱は閉じられて――兄者が、それを異空間内に仕舞う。

 

「終わり、だ……はぁ!」

「兄者!!」

 

 兄者が地面に降り立つ。

 俺が駆け寄れば、兄者は苦し気に片膝をつく。

 見れば、腹に穴が空いていた。

 俺以上に優れた魔力操作の力を持つ兄者の守りを突破した……何者だったんだ、アイツは。

 

「……アイツは恐らく、王国の切り札だろう……まさか、此処で切って来るとはな……だが、これで、問題は――――は?」

 

 兄者がそう言おうとした瞬間――兄者の頭を何かの手が掴む。

 

 見れば、何も無い空間に裂け目が生じ。

 そこから丸太のような腕が生えていて――徐々に、それが姿を現す。

 

 兄者は叫ぶ。

 俺も奴へと攻撃を行った。

 が、奴はまるで動じない。

 そのまま姿を現した奴は兄者の頭を潰すほどに握る。

 すると、兄者は穴と言う穴から血を噴き出して気絶した。

 

 俺は一瞬で状況の不利を悟り。

 そのまま逃げようとして――何かが胸に当たる。

 

「は、ぁ?」

 

 見ればそれは針のようなもので――毒?

 

 何処から、誰が、何で――空の上には、紅蓮龍が。

 

 まさか、あそこから狙撃を――あり得ない。

 

「……あの方を傷つける存在は、誰であれ許さない……悪人であるのなら、尚の事……貴方を捕縛します」

「は、はは、何だよ。それ……勝てる訳、ねぇじゃんか」

 

 全力での攻撃でもビクともしない。

 異空間に閉じ込めても這い出て来る。

 魔力が減っている形跡はなく。

 肉の焦げる臭いがした筈なのに、傷一つない……化け物がぁ。

 

 俺は地面に倒れる。

 そうして、薄れゆく意識の中で。

 天より降り立つドラゴンの上で、ケラケラと高笑いする悪魔の声を聞いていた――

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