色々とデカい魔王様に告白されて夜も眠れない 作:タラコパスタ
「はぁはぁはぁはぁはぁ――ハァァァ!!!!」
「うっせぇぞォ!!」
皆が寝静まった真夜中――俺は裸で公園にいた。
かれこれ一時間ほど、俺は体内の魔力を練り続けている。
思わず叫んでしまえば、公園の主が怒って酒瓶を投げて来た。
俺はそれを頭で受けて、頭からだらだらと血を流す……ダメだ。
俺は掌を見つめる。
そうして、己の無力さを呪い硬く握り閉めた。
俺が何故、全裸で公園にいるのか――これには特に意味はない。
何をやっているのかは……まぁ、修行だ。
ド〇ゴンボールのようなものであり、魔力を練って力を高めようとしていた。
もっと具体的に言えば、スー〇ーサ〇ヤ人になろうとしていた。
が、この世界は別の世界であり成れる筈はない。
……まぁ全てが無駄であるという訳でもない。
幼い頃から、魔力を練り続けた事によって。
俺の魔力は他の人間の魔力よりも質が良くなっているらしい。
“女神様”が教えてくれた事であり、間違いは無いだろう。
通常の魔法使いが五級魔法を使用する場合。
数値にして50の魔力を消費するとする。
が、俺は魔力の質が良いからこそ半分以下の量で済む、そういう話だ。
故にこそ、俺は魔法低燃費体質という訳だ。
滅茶苦茶にお得であはあるが……あまり意味はない。
何故ならば、俺の魔力量は平均よりも下だからだ。
一般的な魔法使いの魔力量が500ほどだとすれば、俺は精々が300ほどで。
如何に低燃費であろうとも、結局のところは一般魔法使いとレベルは大差ない。
だから、低燃費である事にあまり価値は無いんだが……まぁいい。
元々、俺は魔法主体の戦闘なんて想定していない。
使うとすれば、精々が一つや二つ。
それ以外は、己の肉体の強化に当てる為のものだ。
そう認識しているからこそ、今日も今日とて魔力を練りながら体へと纏わせる修行をしていた。
ラブコメ世界で、バトル要素は不要だと思うだろう――甘い。
この世界はラブコメの世界だが。
ばっちりと暗い面も持っている。
それは人類にとっての脅威である魔物に始まり。
主人公たちが戦う事になる“アマツ教団”なるものも存在する。
魔物はごく普通の動植物が変異した姿で。
人類に対して攻撃的な面を持っている。
それぞれに危険度を数値化した等級が存在し。
その頂点にはラスボスである魔王(笑)の存在がある。
魔王(笑)は公式が魔王として定めているが。
ぶっちゃけゲームの中ではそれほど強くは無かった。
倒す為には聖剣が必要であったり、特別な宝珠が必要だったりと面倒ではあるが。
それらがあれば、レベル50くらいでも余裕で倒せるのだ。
まぁハッキリ言えば聖剣などが無くても殺す事は出来てしまう。
だからこそ、奴は魔王(笑)なのだ。
因みに、レベルの上限は150であり、50で倒せるレベルは精々が中ボス程度だと思えばいい。
魔王(笑)よりも脅威なのが、アマツ教団の幹部たちであったり。
奴らが復活を目論んでいる“暗黒神”だったりする。
アマツ教団と本格的な戦いになるのは二週目からであり。
幹部たちの強さはレベルにすれば、90から100ほどだ。
中々にえげつない戦法を取って来る存在もあり。
そんな奴らが復活させようとしている暗黒神は、熟練のプレイヤーでさえも恐れる存在だ。
所謂、隠しボスだ。
復活させずにアマツ教団を壊滅させる事も出来る。
が、そうすれば“ある不都合”が起きてしまうからこそ復活させざるを得ない。
全てのプレイヤーが復活させたくないと思いながらも、復活させて――命を削って戦う。
暗黒神はトップクラスの強さだ。
レベルをカンストさせたパーティでも準備を万全にしなければ負ける。
そして、プレイングを研ぎ澄ませようとも運の要素も存在する。
ギリギリであり、隠しボスに勝てたというプレイヤーは全体の10パーセント以下らしい。
そんな危険な存在がいる世界だからこそ己を鍛えて――どうでもいいんだよォ!!
魔王(笑)も、アマツ教団も、暗黒神も――俺にとってはカスだ。
そんな存在がチワワに思えるほどの化け物が――魔王様なんだよ。
プレイヤーの中には、チートを使っている奴もいた。
そんな奴らは面白半分で、主人公を含めたパーティメンバーを全員暗黒神に変えた奴がいたらしい。
動画も一瞬だけだが存在し、俺は運よくそれを見た。
結果がどうなったか――虐殺だ。
彼女へと決闘を申し込み。
暗黒神の力によって強引に先制を奪った。
そこからは、暗黒神の1ターン5回行動が合計で20回が始まった。
デバフにバフに、あらゆる攻撃を行っていた。
チーターであったが、迷いはなく完璧な行動で――が、意味なんて無かった。
『……』
彼女は一切のダメージを受けず。
仁王立ちであった。
チーターは行動を進めて行く内に危険を感じていた。
が、あっと言う間に行動は終わり――パーティメンバーは肉片と化した。
彼女はただ右手を振るっただけだった。
たったそれだけで、暗黒神たちは一瞬で全滅した。
が、絶望はそれだけじゃない。
次の瞬間には映像は途切れて、テロップにてソフト諸ともゲーム機とテレビが死んだと告げられた。
プレイヤーはこの現象をゲーム会社に報告していたが。
調査の結果は不明で、チートを使っていたからこそプレイヤーも責める事は出来なかった。
これこそが、魔王様による現実世界への干渉の始まりだった。
そう、勝てないんだ。誰も彼女には――抗えない。
「あ、あぁ、あぁ――ほぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
「うるせぇッ!!!!」
酒瓶が飛んできて頭に当たる。
頭が裂けて血が血が噴水のように噴き出していた。
が、俺はそれを無視して憎しみを募らせる――に、憎い!!
何故、モブであるこの俺なんだ!!
何故、イケメンハーレム主人公へと行かずに俺なんだ!!
おかしいだろう!!
神はどうして、勇者となる男ではなくこの俺に試練を与えたんだ!!
憎い、憎い憎い憎い――ぶっ殺してやりてぇよォ!!!
主人公は当然のことながら、入学している。
最初にひと悶着あったようで。
ヒロインの一人であるパツ金巨乳ツインテの王道ツンデレ貴族令嬢と決闘をしていたらしい。
その際に、勝てたもののラッキースケベを発動し。
そこからヒロインに目をつけられて、幼馴染の少女と共にきゃっきゃうふふと――ふざけるなよ。
魔力が溢れ出す。
そうして、歯が砕けそうなほどに噛み締める。
怒りで傷口から血が噴き出し、顔中に血管が浮き出ているのが自分で分かる。
「ぐ、うぅ、うぐぅ、う、ぎぃ!!!」
「お、おい? だ、大丈夫か? な、なぁ……ひぃ」
俺は血の涙を流す。
唇を強く噛めば、裂けて唇から血が出て来た。
口内は鉄錆の味であり、憎しみが広がっていた。
何故、ハーレムを作ろうとしているクズが幸せになり。
人並みの欲望しかないこの俺が絶世の美女でも超ド級の核爆弾である魔王様を――
「あああぁぁぁぁぁ!!!!」
「いたぞ!! 噂の露出魔――おい!! 待て!!!」
俺は奇声を上げながら全力で走る。
後方からは衛兵たちがライトと拳銃を持って追いかけてきていた。
が、俺は無視。ただただ叫びながら、俺は主人公を呪う。
そうして、何時の日か報いを受けさせてやると心に誓った。