色々とデカい魔王様に告白されて夜も眠れない   作:タラコパスタ

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第8話:君の事をずっと考えている(恐怖)

 なんやかんやで授業をぶっちし――がらがらの喫茶店内。

 

「……」

「……へ、へへ」

 

 優雅に紅茶を飲む我らが魔王様。

 対して、オレンジジュースをロックで嗜む俺。

 互いに無言であり、俺はどうすればいいのかと考えて――

 

「きょ、今日も……その……綺麗ですね! はは!」

「……!」

 

 魔王様のカップが――粉砕する。

 

 瞬間、ホットの紅茶が俺の顔面に掛る。

 俺は熱さに悶えるのを堪えて。

 笑みを浮かべながら、今のは悪手であったかと焦る。

 が、魔王様は真顔であり、駆け寄って来た店員さんに謝り、壊したカップの代金と注文代金を多めに手渡していた。

 流石は貴族様であり、可愛らしいピンクの財布はパンパンだった……すげぇ。

 

「……そろそろ」

「あ、はい」

 

 俺はオレンジジュースを一気に飲み立ちあがる。

 彼女はスタスタと歩き去ってしまった。

 俺は三歩後ろをついて行きながら、彼女と共に店外へと出て。

 王都をぶらぶらと歩いていった。

 

「……」

 

 彼女は無言だ。

 最初は怒っているように感じたが……焦っているのか?

 

 何に焦っているのかは分からない。

 が、怒りよりも今は焦りを多分に感じる。

 俺は自分自身の生命に関係ないのなら放置しようと思っていたが……うーん。

 

 このままデートを続行するのは危険な気がする。

 この先の未来で大いなる選択を迫られるような気がしていた。

 二択かは分からないが、どちらを選んでもお終いの類の何かで……よし。

 

 彼女が何かを発言する前に――幻滅ポイントを稼いでおこう。

 

 恐らく、何かの決断を迷っている。

 そして、その決断に関わっているのは俺で。

 今、幻滅ポイントを稼いでおけば、恐らくはそう簡単に切り出しては来ないだろう。

 要するに、こんな事を考えていたなんて馬鹿らしいと思わせればいい。

 

 俺はそう確信し――足を止めた。

 

「まお……アーティカルトさん。アレ、やりませんか?」

「……アレは……ナックル・ストーム6ですか」

「お! 詳しいですね。お好きなんですか?」

「……えぇ、まぁ、嗜む程度には……ふふ」

 

 知っている――彼女は大のゲーマーだ。

 

 フレーバーテキストで。

 暇さえあれば、ゲームをしていたと書かれていた。

 その理由は同年代の友達がいない寂しさを紛らわすという悲しき設定だったが……まぁいい。

 

 彼女は嗜む程度何て言っているが。

 確実にやり込んでいる筈だ。

 自信がありありと表情に出ているから諸分かりだ。

 俺はあの対戦格闘ゲームで――彼女を完膚なきまでに叩きのめす。

 

 殺される心配があるって?

 そんなのは百も承知であるが――今は減点ポイントを稼ぐッ!!!

 

 男が女に対して忖度せず。

 完膚なきまでに叩きのめすなんてのはポイントが高いであろう。

 それも、彼女はゲーマーであり。

 その自信を傷つけられれば、嫌でも相手に対して怒りや憎しみを抱く。

 つまり、俺への好意的な感情がマイナスへと変わって……え、やばくねぇか?

 

「……? どうかしましたか?」

「……あ、いえ……へ、へへ」

 

 マジで殺されるのではないかと考える。

 が、彼女は席について待っていた。

 俺はもうどうにでもなれと空いている席につき。

 白い筐体へと硬貨を入れて、日本でも聞き馴染みのあるBGMを聞く。

 

 何度聞いても、日本の筐体にしか見えない。

 が、これは電気ではなく魔力によって稼働している。

 人間や魔物が発する魔力は“自然系”であり。

 魔石や自然に存在する物質を使って人工的に生み出す魔力は“生産系”となる。

 まぁ名称だけであり、違いなんてほとんど無いが。

 これは“魔成所(ませいしょ)”で生み出された魔力を使って稼働している……何で説明した?

 

 大きな懸けを前にして頭が混乱していたようだった。

 隣の彼女は既にキャラ選択を終えていた。

 選択したのはパワー系キャラである“剛師ドウザン”である。

 ゴリラのような体つきであり、鬼のような顔に着流しのようなものを来た髭のおっさんだ。

 俺はすぐに自身が得意とするキャラである“奇術師ムサヤ”を選択した。

 ムサヤはトリッキーな攻撃をするキャラであり、枯れ木のように細く。

 主にトランプで攻撃するピエロのようなメイクをする不気味なキャラだ。

 

「……ムサヤですか……面白いですね」

「ふっ、面白いですか……楽しんでくれたら嬉しいですよ」

《ラウンド1――ファイッ!!》

 

 互いに向き合いゴングが鳴る。

 フィールドはスラム街の中心で。

 観客に応援されながらバトルが始まった。

 彼女は慣れた手つきでスティックとボタンを動かし見事な連続攻撃を仕掛けて来る。

 パワー系である筈なのに、スピード系と見劣りしない連続攻撃だ。

 見事な技の出し方であり、一部の隙も無い。

 が、俺はそんな攻撃を見切り全てガードしていった。

 すると、彼女は俺の体を掴もうとしてきた。

 俺はすかさず距離を取り、トランプによる遠距離攻撃を行う。

 彼女はそれを全て避けて、再び接近して来た。

 

「……やりますね」

「はは、これからですよ」

 

 彼女は笑う。俺も笑って――互いにゲージが溜まる。

 

 瞬間、魔王様は素早くコマンドを入力し――ドウザンが激しく回転する。

 

 凄まじい回転であり。

 ガードをしても全てが防ぎきれず――貫通。

 

 ゴリゴリとHPが削られて行く。

 俺はそのまま上に吹き飛ばされる。

 すると、ドウザンが飛び上がりムサヤの体を掴んだ。

 そうして、そのまま落下する俺を地面に突き刺そうとし――俺はコマンドを入力した。

 

 瞬間、ドウザンは地面に激突し――魔王様は驚く。

 

「いない? そんな、何処――!」

 

 驚く魔王様。

 そんな彼女の背中にトランプが刺さる。

 HPは僅かにしか減らないが確かなダメージで。

 すると、ぼろぼろの状態のムサヤが立っていた。

 

「ムサヤの特殊技――テレポートですよ」

「……見た事はあります。でも、技が掛かった状態でも使えるなんて……流石です」

 

 魔王様は俺を褒める。

 が、俺はにやりと笑うだけで――魔王様が迫る。

 

 俺はすかさずコマンドを入力し――上空に出る。

 

「上!?」

「そらァ!!」

 

 背後を剥いたドウザン。

 が、見当違いで――ムサヤのトランプ攻撃を真面に受けた。

 

 HPをまた僅かに削ってやった。

 彼女は少しムッとし、頭上の俺へと拳の衝撃波を飛ばしてきた。

 が、すぐにテレポートで移動し――彼女の真横に出る。

 

「そこ!!」

 

 彼女はムサヤへと瞬時に攻撃を放ち――空を切る。

 

 その拳は――“ムサヤの背後で振られていた”。

 

「え!?」

 

 彼女は驚く。

 そんな彼女の操るドウザンのがら空きの背中に向かって――必殺技を放つ。

 

「喰らえェェェ!!!」

 

 ムサヤの必殺技――“死の舞踏”。

 

 トランプが無数に散らばり、ドウザンへと降り注ぐ。

 それらを受けたドウザンは体を切り刻まれて。

 まるで、踊りを踊るように舞う。

 そうして、最後にムサヤはにやりと笑い。

 一枚のジョーカーをドウザンの額に当てて――盛大な爆発が発生した。

 

 見れば、ドウザンのHPは――0になっていた。

 

《ケェェェオォォォォ!!》

「……くぅ!」

「ふぅぅぅん。当然、かな?」

「……!!」

 

 俺はこれみよがしに彼女を煽り――睨まれる。

 

 一瞬、煽ったのを死ぬほど後悔したが。

 彼女はすぐにゲームへと意識を戻す。

 俺はホッとしながら、第二ラウンドを開始し――

 

 

 

「ふ、ふふ、ぷふふ」

「……」

 

 対戦結果は――俺の圧勝だった。

 

 ムサヤを知り尽くした俺のトリッキーな戦法。

 彼女は得体の知れない俺の攻撃についてこれなかった。

 テレポートの連続で。

 慣れて来たかと思えれば、コマンドを打ったふりをしたフェイクも混ぜた。

 彼女は完全に俺の術中に嵌まり――抜け出せなかった。

 

 正に俺の独壇場だ。

 今、俺は必死にうぜぇぇ顔をしながら笑いを堪える。

 すると、彼女はゆっくりと俺を見てきて――さぁぁっと血の気が失せた。

 

「……かい」

「え?」

「……もう一回……しますよね」

「え、い、いや、でも」

「――しますよね」

「ア、ハイ」

 

 俺が返事をする前に、彼女が秒で自分と俺の筐体にお金を入れた。

 彼女はまたしてもドウザンを選択。

 無言の圧で、俺へとムサヤの選択を迫って来た……いいだろう。

 

 こうなったらとことん付き合おうじゃねぇか。

 そうして、悉くを凌駕して俺が圧勝する。

 そうすれば、彼女のプライドはボロボロで自然と俺から離れて行くだろう。

 俺はそう考えて、このゲームに全神経を集中し――

 

 

 ◇

 

 

「……」

「……ぁ、あのぉぉ……えっと、く、くらく、なって……へ、へへへ」

 

 時刻は午後8時を回り――公園のベンチ。

 

 ベンチに座りながら、互いに完全に冷えたホットだった缶コーヒーを握る。

 互いに無言であり、俺からも禄に喋る事が出来ない。

 

 思い出せば、正に命がけの――煽りであった。

 

《へいぃぃぃぃ!!!》

《……っ》

《ジャストミィィィト!!!》

《……もう、一回!》

《無駄無駄無駄無駄――無駄ァ!!!》

《ぅ、ぅぅ!!》

 

 煽りに煽り煽りまくって……空気が死んだ。

 

 彼女は怒りのあまり、魔力を放つだけでゲーセンにあった全ての筐体を破壊尽くしていた。

 彼女は無言でスマホのような形をした“連絡版”に何かを打ちこんでいた。

 すると、黒尽くめの集団がやってきて。

 彼女が破壊した筐体の修理費を払っていた。

 そうして、彼女は無言で歩き出し、俺もこのまま帰ったら後が怖いからとついていき……この始末!

 

 怒っている。

 が、コーヒーを買ってくれた。

 彼女はベンチに座り、かれこれ1時間ほどこの調子だ。

 俺はどうしたものかと考える。

 

 考えて、考えて、考えて――

 

「話って……何ですか」

「…………え、何が?」

「……え?」

 

 彼女が驚いたように俺を見て来る。

 急に話と言われても何の事だか…………いや、待てよ。

 

 そういえば、彼女に対して何かを言った気がする。

 それも命が危うい状況で咄嗟に、言った、言葉、で…………あぁぁああ!?

 

『――エレインッ!!!!! この戦いが終わったら君に伝えたい事がァァァァァ!!!!!!』

「思い、出したァ!!」

「……それで、私に……その、伝えたい、事って……っ」

 

 彼女は缶コーヒーを転がしながらもじもじとする。

 その顔は少し赤く緊張しているように見えた。

 乙女の顔であり、その仕草だけは恋する少女で……だ、ダメだ!!

 

 惑わされてはいけない。

 如何に、彼女が俺の好みドストライクでも。

 彼女の告白を安易に受け入れてしまえば、その後に確実に俺と世界の危機が訪れる。

 

 俺は知っている。

 どんなラブラブカップルであろうとも倦怠期は必ず来ると。

 少しの喧嘩であろうとも、彼女が手を出すような事になれば――死。

 

 身代わりの指輪があろうとも。

 永遠に彼女の攻撃を回避できる訳ではない。

 そもそも、彼女の全力の攻撃を俺に見切る術は無いのだ。

 故にこそ、絶世の美女と恋人関係になれるとしても、死と隣り合わせの状況何て――耐えられねぇッ!!

 

「え、えっと、あぁ、あれ、あれだねぇ、その、ふ、ふへ」

「……?」

 

 彼女は首を傾げる。

 俺は必死になって脳をフル回転させる。

 

 

 幻滅ポイント稼ぐ――いや、この状況でそれは死ぬだけだ。

 

 告白する――駄目だ。リスクが高い。

 

 逃げる――翌日、ミンチになるのがオチだろう。

 

 だったら、俺が取るべき行動は――褒めて、話をうやむやにする事だ!!!

 

 

 俺は必死になって目を動かし。

 彼女が最も喜ぶであろうポイントを探す。

 問題ない、こう見えてもこの世界の事は遊びつくしている。

 ラブコメの選択肢であり、この俺に掛れば――見えたッ!!!

 

 俺はイケメンスメイルをし、彼女に想いを伝える。

 

 

 

「最近、益々――大きくなったよね! 筋肉が凄いよね! まさに、武人って感じだよ! はは!」

「……………………は?」

 

 

 

 俺は彼女の強さを褒めて――彼女から膨大な殺気と魔力が溢れ出す。

 

 

 

「うぎぁぁぁぁぁぁ!!!!?

 

 瞬間、あらゆるものが狂いだす。

 街灯の光は不自然に点滅し、空を飛んでいた鳥たちは落下していく。

 ベンチを中心に、地面には大きな亀裂が走っていった。

 先ほどまで聞こえていた人々の声もぱたりと止んで。

 世界が制止した様に全ての音が消えて――否、彼女の怒りが世界を覆っていく。

 

 まるで闇――暗黒の魔力が空を覆い尽くす。

 

 あり得ない。尋常じゃない程の――魔力量。

 

 垂れ流している状態で、まだ底が見えない。

 無尽蔵の魔力であり、彼女の姿が見えなくなるほどで。

 俺はごろごろと地面を転がり、離れていた木にぶつかり何とか止まる。

 視線を向ければ、暗黒の魔力の中で二つの殺意に塗れた白き眼光が揺らめいていた。

 手に持っていたであろう缶はぼっと音を立てて蒸発していた。

 

「それって――太ったって、事ですよね?」

「え、あ、い、ぁ、ち、ちぁ、ぅ、ぁ、て!! ぃ、ぁ!! ひ、ぁあ!?」

「太ってるって、態々、私に伝える為に――最低、です」

 

 彼女はゆっくりと歩いて来る。

 俺は必死になって立ち上がる。

 そうして、何とか逃げようとしたが……あ、足が!! 動かない!?

 

 まるで、何かの力で縛りつけられているようだった。

 恐怖そのものが俺の足を地面に縫い付けている。

 そう理解した瞬間に――魔王が俺を見下ろす。

 

「あ、ぅぁ、ふ、ぁぁ、ぃ、ぁ」

「……言い残す事……ありますか」

 

 彼女は静かに俺に問いかけて――瞬間、彼女の拳に膨大な魔力が集中する。

 

 あまりにも強く、あまりにも禍々しく。

 今まで生きてきて、見た事がないほどに――死を感じさせる光。

 

 俺は涙と鼻水を垂れ流しながら。

 その光を目に焼き付ける。

 

 どうする、どうする、何が、どうして、何を、何、これ、いや、それ、あれが、でもなく、アレで――――思考が止まりかけていた。

 

 魔王が拳を腰で構える。

 その一撃は身代わりの指輪でも防げない。

 本能が、魂が理解していた。

 

 

 終わった――これで、人生に幕を。

 

 俺は彼女の目を見つめて――笑った。

 

 

「――ありが、とう――」

「……!!」

 

 

 彼女が俺の下顎を狙ったパンチを繰り出し――止まる。

 

 その衝撃は遥か天上へと飛んでいき、急に空が明るくなった。

 ゆっくりと上空を確認すれば――空に浮かぶ星々の光が鮮明に見えていた。

 

「ふぇ?」

「…………ありがとうって…………どういう意味ですか」

 

 彼女は質問して来た。

 咄嗟に出た言葉で意味なんてほとんど無かったが……。

 

「……君の手で、死ねるのなら……光栄な事だって、思った、から」

「……それって……私に何をされても、良いって事……ですか」

 

 魔王様は俺を見つめる。

 若干、瞳の奥に怪しい光が見えた気がした。

 発言を間違えれば確実に終わる状況で、俺は――

 

「良い訳ねぇだろうがァァァァ!!!! ……ぁ」

「……!!」

 

 俺は死から逃れた安心感から――うっかり言ってしまう。

 

 すると、流石の魔王様も面食らったようで一歩下がる。

 俺は両手で口を押さえてだらだらと汗を流し――

 

「俺は、まだ――何も答えを出していないんだから!!!」

「……そう、ですよね……何だ。忘れていなかったんですね」

「忘れるなんて出来る訳ねぇでしょうがァァァァ!!!!!」

「ひぅ!?」

 

 俺はハッキリと言ってやる。

 自らの命と世界に関わる事だからこそ、嫌でも忘れられる訳が無い。

 毎日毎日考えていて、常に寝不足だとも言えるだろう。

 血走った目でずいっと近寄って言えば、魔王様は目を泳がせながらもじもじと指を動かしていた。

 

「そ、そんなに真剣に……ご、ごめんなさい。私はてっきり、遊ばれてるんじゃないかって」

「遊びでやってんじゃないよォォォ!!!! 常に本気で、アンタの事ばっかり考えてんだよォォォォ!!!!」

「いぅ!? そそそそそれって、わ、わあ、ぅぁ――ご、ごめんなさい!!!!」

「え、ちょま――えぇぇ」

 

 俺が日常のストレスを吐けば。

 全てを聞く前に彼女は地面を蹴って空へと飛んでいった。

 俺は一瞬で豆粒ほどになってしまった彼女を見つめながら、ただただ何なんだと思った……まぁけど。

 

「ふぁぁぁぁぁぁ生きてるぅぅぅぅぅぅ疲れたぁぁぁぁもぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

 俺はその場に大の字で寝転がる。

 そうして、今日は嫌でも気絶するんだろうと思った。

 毎日が刺激的であり、毎日が必死で……そう考えれば楽しい、のか?

 

 前世では考えられなかったほどに慌ただしい毎日だ。

 死にかけることばかりでも、こんなにマジになって叫ぶ事なんてそうは無かった。

 気を遣い、頭を下げて、嫌な事から逃げて……はは。

 

「楽しいってか。ふふふ……んなわきゃねぇだろうがぁぁぁぁボケがぁぁぁ!!!!」

 

 どんなに刺激的でも死が隣で添い寝してんだぞ!!

 そんな状況を楽しめるのはよほどの狂人だけだろうがぁ!!

 俺は少し個性的なだけで真面であり、常識的な青春を送りたいだけなんだよぉぉ!!!!

 

「ほぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」

「うるせぇぇぇぞ!!!!」

 

 公園の主が遠くから叫んで、放物線を描いて飛んできた酒瓶が精確に俺の頭を捉えた。

 パリンと酒瓶が割れて、破片が額に刺さりぴゅーっと血が噴き出す。

 俺は血と涙を流しながら、今もハーレムを作っているであろう主人公を恨んだ……殺してやる。

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