ラーイエローの神楽坂   作:ラララララクダ

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第13話 ゴヨウ・ガーディアン

エド・フェニックス。

遊戯王GXの2期から登場したイケメン、学生の年齢でプロデュエリストをやってる。

1期ではほぼ敵なしだった丸藤亮を相手にまさかの圧勝をかまして、ヘルカイザーへの闇堕ち原因を作ったり、同じヒーロー使い対決では、主人公遊城十代にまで勝利して、十代の視界を「カード白紙化バグ」にするという、とんでもないやつだ。

 

プロになった理由も、自分の父を殺して『究極のD』を奪った仇を探すためっていう、まあ重い……重すぎる理由。

十代のE・HEROが光のヒーローなら、エドのD-HEROはまさにダークヒーロー。

でも、親の仇であるDDを倒して『究極のD』ことブルーディーを取り戻し、破滅の光に乗っ取られた親友の斎王琢磨も、十代とのデュエルを通じて救い出すっていう、最善の結末を迎えた……はずが、彼の不遇扱いはここから始まる。

 

3期に入るとプロ生活が忙しいのか、出番が激減。たまに出てきたと思ったら、大体リアクション担当。

ライバルポジションはヨハンに奪われた感があるし、何より、たまに出てきてデュエルをすれば、驚くほど負ける。

「おい、あの2期のエドはどこへ行ったんだ?」と問い詰めたくなるレベルの扱いだ。

 

なんだろうな。俺の愛してやまない太陽神様を彷彿とさせるこの不遇っぷり。

ARC-Vまで含めればもっと言いたいことはあるが、あっちは並行世界の別人だし。

とにかく、なんだかんだ言っても昔アニメで見た時にはかっこいいと思った。

 

だからこそ、彼の悲劇的な過去を書き換えることには、自ずと力が入るってもんだ。

 

 

 

 

 

 

とあるインダストリアルイリュージョン社のカードデザイナー side

 

 

 

真夜中、私は言いようのない不安感に襲われ、跳ねるようにベッドから起き上がった。隣で寝ているエドを起こさないよう、静かに懐中電灯を手に取って、作業室へと向かう。

祈るような気持ちでドアを細く開けたが、そこには見知らぬ影、泥棒が。私は思わず叫んだ。

 

「誰だ! 何をしている!」

 

懐中電灯の光の中に浮かび上がったのは、まだ若い男。そしてその手には、私がデザインした「あのカード」が。

男は犯行を見つかっても動じる様子もなく、陶酔しきった目でカードを見つめている。

 

「これが、お前が作っている新しいカードか? これさえあれば……」

 

「よせ! それはただのカードじゃない!」

 

「分かっているさ。こいつはデュエルモンスターズの中でも最強のカード」

 

私の制止にも、男はまったく聞く耳を持たない。

 

「違う、そういう意味じゃない! それから離れろ!」

 

「嫌だね。俺はこのカードで世界を取る!」

 

何とか説得しようと言葉を重ねてみたが、カードの危険性は伝わらなかった。

そんな、言い争いの最中。

 

『ククク……そうだ。お前にその力を与えてやる……待っていた……お前のような、邪悪な心がやって来るのを……』

 

部屋中に響き渡る、悍ましいほどに邪悪な声。

忘れもしない。私が「ブルーディー」をデザインしていた時に聞こえた、あの声だ。

 

「っ!!」

 

カードの中から巨大な腕が這い出し、男の顔を鷲掴みにした。

 

「おい、大丈夫か!」

 

私は急いで男を助けようと駆け寄ったが、信じられないほどの力で弾き飛ばされた。

尻餅をついたまま見守るしかできない私の前で、その巨大な手は黒い液体へと姿を変え、男の体内へと染み込んでいく。

直後、男の周囲には目に刺さるほどに鮮明で、禍々しい白いオーラが立ち昇った。

 

男は充血した目で私を睨みつける。

製作者だからこそ一目で分かった。それはカードに宿った邪悪な意志そのもの。

奴は、これまで自分を閉じ込めていた私への復讐を果たすつもりなのか、ゆっくりと間合いを詰めてくる。

 

直感した。私はここで死ぬのだと。

 

(……エド、すまない)

 

心の中で最愛の息子に別れを告げた、その時。

 

 

ガシャァァァン!!

 

 

凄まじい音を立てて窓ガラスが割れ、何者かが部屋の中に飛び込んできた。

私だけでなく、男さえも呆気に取られ、その乱入者を凝視する。

 

月光に照らされたその姿は、エドと同じくらいの年齢の子供に見えた。

だが奇妙なことに、その少年は警察官が被るような白いヘルメットで顔を隠している。

少年は堂々たる足取りで私の前に立ち、男と対峙しながら、こう言い放った。

 

「そこまでだ! 宇宙のクズめ! 貴様は未来のセキュリティ隊員、この牛尾哲が拘束してやる!」

 

 

 

side out

 

 

 

 

 

 

「そこまでだ! 宇宙のクズめ! 貴様は未来のセキュリティ隊員、この牛尾哲が拘束してやる!」

 

危機一髪、どうやら間に合ったようだ。

どうも、未来のセキュリティ隊員、自称牛尾哲5歳です。

本当はもっと早く乱入する予定だったんだが、俺の変装(?)を見たソピアとラドリーが「自分もやりたい!」と言い出し、小道具の製作に手間取ってこんなギリギリのタイミングになってしまった。

 

目の前には、目がイッちゃってる若き日のDD。完全に『破滅の光』に操られているようだ。

俺の予想外の乱入に面食らったのか、棒立ちでこちらを伺っている。まあ、動かないならこちらのターンだ。

 

「来い! 【ゴヨウ・ガーディアン】!」

 

「もぉぉおお!!」

 

俺の背後の虚空から、岡っ引きの衣装とカツラを身にまとったソピアが現れた。

ちなみにラドリーは『手錠龍』のコスプレをさせたが、危ないから自宅待機させている。

ようやく我に返ったDDがこちらに飛びかかろうとするが、もう遅い。

 

「奴を拘束しろ!」

 

ソピア、いや【ゴヨウ・ガーディアン】の左手から生成された鎖がDDを縛り上げる。

鎖に繋がれたDDは床に転がってバタバタと暴れているが、神の力で作られた鎖がそう簡単に解けるはずもない。

このまま回収すれば一件落着か……と少し気を緩めた、その時、奴が握っていたカードが光を放ち、中からモンスターが実体化した。

 

『グオォォォオオッ!』

 

 

【D-HERO Bloo-D】

 

 

現れたのは、白いオーラを全身に纏ったブルーディー。室内ということもあってサイズは小ぶりだが、禍々しさは本物だ。まあ、こっちの神もサイズダウンしてるからお互い様だが。

 

『ガアァァァァァァァァッ!!』

 

奴が翼を広げた。強力な引力を発生させ、周囲のものを吸い込み始める。

【ゴヨウ・ガーディアン】の加護を受けている俺やエドの親父さんは平気だが、部屋の家具が悲鳴を上げ始めた。

 

『!?』

 

奴も吸引が効かないことに気づいたのか、再び翼を畳もうとするが、そんな隙は与えない。

 

「行け、【ゴヨウ・ガーディアン】! ゴヨウ・ラリアット!」

 

今度は生成された鎖がブルーディーの体を貫き、その動きを封じる。

このまま破壊してもいいが、こいつは未来の戦いのためのサンプルだ。この状態で待てば、Z-ONEが転送してくれる手はずになっている。

そうやってのんびり待機していた、その時だった。

 

「父さん……?」

 

「エド!? こっちに来ちゃいけない、早く逃げなさい!」

 

子供の声と怒鳴り声に、思わず横を向いた。そこには、パジャマ姿の幼いエドが立っていた。

 

(さっきのブルーディーの吸引で家具が壊れた音に目を覚ましたのか!?)

 

縛られていたDDはそれを見るや否や、急に意識を失った。

代わりにその体から邪悪な白いオーラが噴き出し、ブルーディーを覆っていたオーラと合流してエドの方へと向かっていく。

 

「させるかよ! ソピア、エドを守れ!」

 

慌ててソピアをエドの元へ移動させたが、それはフェイクだった。奴はDDが侵入した窓を通り、外へと逃げ出したのだ。

 

「逃がすかよ!」

 

俺は急いで通信機を取り出し、ホセに連絡を入れた。

 

「ホセ! 破滅の光を逃がした! そっちで追跡可能か!?」

 

『こちらでも確認したが、脱出と同時に反応が消えた。おそらく地中を透過して移動しているだろう』

 

(結局奴に対抗できるのがソピアしかいなかったのが裏目に出たか。三皇帝も破滅の光への耐性が判明していない以上、呼ぶわけにもいかなかったし。

カード状態の時に確保するのが一番安全だったんだろうが、結局DDを現行犯で捕まえないと同じことが繰り返される可能性があったからな)

 

脳内で一人反省会を繰り広げていたが、これ以上ここに居座ると逆に俺が捕まる危険がある。

緊急事態とはいえ、窓ガラスを割って不法侵入したわけだしな。移動のためのゲートを待っていると、ソピアに保護されていたエドがトコトコと歩み寄ってきて、俺に声をかけてきた。

 

「あの……貴方は?」

 

「俺の名前は牛尾哲。そして、こいつは俺のパートナーの【ゴヨウ・ガーディアン】だ」

 

実体化しているソピアを指差して言うと、エドは不思議そうな顔をした。

 

「さっき、確かソピアって呼んでたような……?」

 

「ゴホン」

 

俺は誤魔化すために咳払いをし、ポケットからカードを一枚取り出した。

 

「ラッキーカードだ。こいつが君のところに行きたがっている」

 

どこぞの、キング・オブ・デュエリストの真似をしてカードを差し出した。Z-ONEからも譲渡OK判定をもらった、世界に影響が少ないカードだ。

これでこいつの不遇な行跡が少しでも解決されればいいんだが。

エドはカードを見て「これは……?」と聞き返してきたが、俺はその問いには答えず、

 

「未来で待ってるぜ、少年!」

 

それだけ言い残し、素早く開いたゲートの中へと飛び込んだ。

 

こうして、初めて試みた歴史改変は、エドの父親を救うことには成功したが、破滅の光を逃がすという、なんとも中途半端な結果に終わったのである。

 




これで5歳編は終了です。
DM編は7歳から始まるため、6歳編は短めになると思いますが、それでも少しストックを貯めてからまた戻ってきたいと思います。
ありがとうございました。
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