Z-ONE side
『馬鹿な…!?【ケッツァーコアトル】だと!?』
私の絶叫に、彼は怪訝そうに答えました。
「はあ? ソリッドビジョンなのに、そんなに驚くことか?」
(彼は何を言っているのだ? あのモンスターから放たれる力の波動は、私がかつて観測した反応と完全に一致している)
すなわち、あの【赤き竜】は疑いようもなく、この世界の【ケッツァーコアトル】の現身。
私は少年の背後の虚空を見つめました。
(彼を庇護する神は、創造の権能を持つ【赤き竜】すら手下として従えるほどの神格を持っているというのか)
私が動揺し、茫然自失となっていたその瞬間にも、彼は止まりませんでした。
「【赤き竜】の効果でフィールド魔法【シンクロ・ワールド】をデッキから加え、そのまま発動。俺はシンクロ召喚するたびに、このカードにシグナルカウンターを二つ置く」
『 シグナルカウンター』 カウンター 0
「レベル6の【バトル・イーグル・トークン】に、レベル1の【光竜星-リフン】をチューニング! シンクロ召喚、現れろ【カラクリ将軍 無零】!
【カラクリ将軍 無零】の効果発動、さらにその発動にチェーンして【カラクリ将軍 無零】を対象に【赤き竜】の効果を使う。
逆順処理により、【エンシェント・フェアリー・ドラゴン】をエクストラモンスターゾーンに特殊召喚し、デッキから【カラクリ参謀 弐四八】を呼び出す!」
【カラクリ将軍 無零】 レベル 7 ATK 2600
【エンシェント・フェアリー・ドラゴン】 レベル 7 DEF 3000
【カラクリ参謀 弐四八】 レベル 3 DEF 1600
『 シグナルカウンター』 カウンター 4
目まぐるしく入れ替わるモンスターたち。
「あ! すでにバトルフェイズを終えてるから、【エンシェント・フェアリー】の特殊召喚効果は使えないのか!しょうがないな」
彼は、そう一人言を呟く後に再び動き始めました。
「さっきボウテンコウの効果で、 手札に加えた【光竜星-リフン】を通常召喚! レベル3の【幻獣機トークン】にレベル1の【光竜星-リフン】をチューニング、シンクロ召喚【虹光の宣告者】!
そして、レベル3の【幻獣機トークン】にレベル3の【カラクリ参謀 弐四八】をチューニング、シンクロチューナー【マナドゥム・トリロスークタ】を召喚! こいつの効果で墓地の【幻獣機オライオン】を蘇生する。
さらに、レベル4の【虹光の宣告者】にレベル6の【マナドゥム・トリロスークタ】をチューニング! 【マスターフレア・ヒュペリオン】をシンクロ召喚!
素材として墓地へ送られた【虹光の宣告者】の効果で、【ミラクル・レイヴン-供物の儀式-】をデッキから手札に加える」
【幻獣機オライオン】レベル 2 DEF 1000
【マスターフレア・ヒュペリオン】レベル 10 ATK 3200
『 シグナルカウンター』 カウンター 10
「【シンクロ・ワールド】のシグナルカウンターを7個取り除き、効果発動! 墓地から【マナドゥム・トリロスークタ】を蘇生。
そして【エンシェント・フェアリー・ドラゴン】の効果で【シンクロ・ワールド】を破壊し、デッキからフィールド魔法【天空の聖域】を手札に加え、そのまま発動!」
【マナドゥム・トリロスークタ】レベル 6 ATK 2300
いつの間にか空間は、雲海の上に聳え立つ神殿のごとき光景へと。
レベル7のモンスター二体から始まったとは思えない、4体の高レベルシンクロモンスターによる布陣。
しかし、まだ彼の神はフィールドに降臨していません……つまり、これはまだ序章に過ぎないということなのでしょう。
「俺はレベル7の【エンシェント・フェアリー・ドラゴン】と【カラクリ将軍 無零】で、オーバーレイネットワークを構築!
エクシーズ召喚!
現れろ、【幻想の黒魔導師】!!」
【幻想の黒魔導師】ランク 7 ATK 2500
「【幻想の黒魔導師】の効果発動! オーバーレイユニットを1つ使い、デッキから【スペース・オマジナイ・ウサギ】を特殊召喚。
フィールドの【マナドゥム・トリロスークタ】と【スペース・オマジナイ・ウサギ】を墓地へ送り、エクストラデッキから融合モンスター【精霊コロゾ】を特殊召喚!」
【精霊コロゾ】レベル 4 DEF 2800
エクシーズからリンク、リンクからシンクロ、シンクロから再びエクシーズと融合へ。
それはまるで星の生態系が回転し、命の輪廻を目の当たりにしているかのようでした。
「さあ、これが最後の召喚法だ。俺は手札のペンデュラム儀式モンスター【ミラクル・レイヴン-供物の儀式-】をペンデュラムゾーンにセッティング」
『…ペンデュラム?』
「ペンデュラム効果発動! フィールドの【幻獣機オライオン】をリリースし、このカードを儀式召喚する!」
【ミラクル・レイヴン-供物の儀式-】レベル 1 DEF 300
これにより、彼のフィールドには儀式・融合・シンクロ・エクシーズ、それぞれ異なる理を持つ4体のモンスターが揃うことに。
「最後の仕上げだ。俺は【マスターフレア・ヒュペリオン】の効果を発動。エクストラデッキから【天空神騎士ロードパーシアス】を墓地へ送り、その効果を得る!」
【天空神騎士ロードパーシアス】の効果!フィールドに【天空の聖域】が存在する場合、手札を1枚捨ててデッキから天使族モンスター1体を手札に加えることができる!
俺は手札の【光征竜-スペクトル】を墓地へ送り、デッキから──
【創星神 Sophia】を手札に加える!」
今、手にしたそのカードから放たれる圧倒的なプレッシャー、私は確信しました。
あのカードこそが、彼が使役する神の正体なのだと。
「フィールドの、
儀式モンスター【ミラクル・レイヴン-供物の儀式-】、
融合モンスター【精霊コロゾ】、
シンクロモンスター【マスターフレア・ヒュペリオン】、
エクシーズモンスター【幻想の黒魔導師】
この4体を除外し、 降臨せよ!」
「【創星神 sophia】!!」
彼がその名を叫んだ瞬間、世界が悲鳴を上げる。
澄み渡っていた聖域の空は暗転し、黒い雷鳴が轟き、空間そのものに亀裂が走り始めたのです。
しかし、どこを見渡しても神の姿はありません。
『……!! 下ですか!?』
莫大な力の奔流が、私たちの足元、雲の下から湧き上がっていることに気づいた時には、既に巨大な赤い角が雲海を突き破っていました。
白きバフォメットのような、しかし私が知るどのモンスターよりも巨大な存在。
一瞬で理解しました。この神の前では、私に力を貸してくれている『時械神』すら、一粒の砂塵に等しいということを。
【創星神 sophia】レベル 11 ATK 3600
「【創星神 sophia】の効果発動! このカード以外の、お互いの手札・フィールド・墓地のカードを全てゲームから除外する!」
咆哮とともに、周囲の全てが塵と化していきます。
雲も、神殿も、空も、そして私の手にあったカードさえも。気がつけば、背景はもとのアーク・クレイドルの内部へと。
「俺は除外された【瀑征竜-タイダル】と【巌征竜-レドックス】の効果を発動。
デッキから【瀑征竜-タイダル】と【地征竜-リアクタン】を手札に加えてターンエンド」
私は現状を確認しました。
しかし、私には戦略の起点となる手札も、積み上げたフィールドも、逆転の足がかりとなる墓地さえも、痕跡すら残っていません。
無力感に目を閉じれば、あの日の光景がフラッシュバックします。
救えると信じたが結局、積み上げてきた全てが一瞬で無に帰した、あの日の絶望が。
運命という強大な壁の前では、私はただの矮小な人間に過ぎず全ては無意味な足掻き、出口のない迷路。
ですが
私は再び目を見開き、目の前の強大なる神を見据えました。
だとしても、
たとえ理不尽な壁であろうとも、それが歩みを止める理由にはなりません。
何より、不動遊星であったなら、この程度の困難で諦めることなど──あるわけがない!
『「俺」のターン!!!』
魂を込めてドローし、引いたカードを確認しました。
『!?』
【愚者の裁定】
自分の中の何かが、バラバラに砕け散ったような感覚。
疑問、混乱、怒り……様々な感情が駆け巡りましたが、最後に残ったのは自嘲だけ。
(運命は、 私がどれだけ目を背け自分自身を偽ろうとも所詮は「愚者」、ただの「偽物」に過ぎぬと…)
それが、この短くも熾烈なデュエルの幕切れでした。
【愚者の裁定】(アニメ)
『このカードは自分のターンの場合、手札から発動する事ができる。
自分への戦闘ダメージを0にする。 』
ソピア、赤き竜、時械神の上下関係はすべてオリジナル設定です。
単純に、こいつらソピアが効果を使ったら普通に全員除外されるよな?と思ってこんな感じになりました 。
ちなみにZ-ONEの想像とは違い、赤き竜はわりと軽いノリで来ています。
ソピア 「ねえ、人類滅んじゃって冥界の王ともドンパチできなくて暇じゃん? 一緒に遊ぼ!」
赤き竜 「え、マジ!? 行く行く!!」
だいたいこんな感じです
展開中の【カラクリ参謀 弐四八】の強制効果は、特に意味がなかったので省略しました。
実際には攻撃表示で召喚して、守備表示に変更します。