慶長五年九月十五日午前八時、美濃国不破郡関ヶ原にて銃声が鳴り響いた。
「誰じゃ仕掛けたのは!?」
東軍の先駆けを承っていた福島清須侍従正則は座っていた床几(しょうぎ)から立ち上がる。
「殿ォ!!」
そこへ正則の配下の者が前に出る。
「先駆けをしたのは井伊直政です!!」
「オォォォンノォォォォォレェェェェェ!!」
報告を受けた正則は怒髪天を衝く勢いであった。先陣を承ったのは確かに正則である。しかし、それを伊井直政は正則に代わって先駆けを行った。
そして正則のところにも銃声が鳴り響いてきた。
「宇喜多側が応戦してきています!!」
「直ちに攻撃じゃ!! おのれ井伊直政めぇ……」
正則はそう指示を出しつつ島津義弘と対峙している井伊直政の陣を見つめた。
「鉄砲隊構えェ!!」
一人の足軽大将が鉄砲足軽隊を指揮していた。
「三宅様、何時でも撃てます!!」
「分かっておる。放てェ!!」
配下の者の言葉に足軽大将の三宅正成はそう答えた。火縄銃が宇喜多秀家の陣営に弾丸は放つ。
宇喜多側もそれに答えるように火縄銃による射撃を敢行する。
「槍隊前へェ!!」
「鉄砲隊下がれ!!」
入れ替わるように槍隊が槍を構えて前に出る。
「掛かれェ!!」
『ウワアァァァァァーーーッ!!』
槍隊が一斉に宇喜多側に駆け出した。同じく宇喜多側も槍隊を出して突撃する。
此処に関ヶ原の戦いの火蓋が切られたのだ。そして三宅も鉄砲隊を指揮して槍隊を援護していた。
「弾込めは慌てずにやれ!!」
三宅はそう指示をしていたがそこに銃声が響いた。
「……え……?」
三宅は胸に弾丸が命中していた。三宅は膝から地面に俯せで倒れた。
「三宅様!?」
「早く三宅様を後方に下げろ!!」
「(あ……駄目だこれ。身体の感覚が無くなってきたわ。それに意識が……)」
数人の足軽に引き摺られていく三宅だったが意識を失い闇の中に飲まれたのであった。
「……何処だ此処は?」
三宅は気付くと山の中にいた。
(確か関ヶ原の戦の最中に死んだはずなんだが……)
三宅は鎧を装備し、刀と火縄銃と護身のために購入した馬上筒を持っていた。
「……取り敢えず沢を見つけて下に降るか」
用心のために火縄銃に弾丸を装填してから山の中を降る三宅だったがとある兵士達を目撃した。
「あそこに孫堅がいるぞ!!」
「討ち取ってやれ!! 名を上げるぞ!!」
(……孫堅? 女にしか見えんが……)
兵士達の先には一人の女性が孤軍奮闘をしていた。女性の周りには兵士達の屍が倒れている。女性は左腕が無く、地面に落ちていた。恐らく斬られた代償なのだろう。
「よく分からんが……味方してやるか!?」
「ぐぇ!?」
「誰!?」
三宅は兵士達の後ろから火縄銃の引き金を引いて女性に襲い掛かろうとしていた兵士の頭を撃ち抜いた。
「やぁ、綺麗な御嬢さん。取り敢えず状況が分からんから味方になってやるよ」
「……取り敢えずはありがとうね」
三宅はそう女性に言いつつ火縄銃に弾丸を装填する。
「何をしてやがる貴様ら!? さっさと孫堅を討ち取れ!!」
「黄祖!!」
その時、二人の前にゴツい男が現れた。
(黄祖……三国志か? はて、孫堅は女だったかな?)
「で、ですが黄祖様……」
「たった二人だぞお前ら!! アホな事はしてないで掛かれェ!!」
「阿呆はお前だ!!」
「ガ!?」
三宅が火縄銃を放ち弾丸が黄祖の首を貫通、黄祖は馬上から転げ落ちた。
「な、何だありゃぁ……」
「雷の音がしたぞ!?」
「まだ戦うかお前ら?」
『……ヒイィィィィィ!?』
三宅の言葉に兵士達は黄祖の死体を置いて逃げ出した。
「……やれやれ、御主も大丈夫か?」
「えぇ……でも貴方は?」
「俺は三宅正成、姓は三宅で名は正成だ(まさかこの孫堅って……)」
「堅殿ォ!!」
そこへ騎馬武者達を率いた女性が現れた。三宅が助けた女性同様に褐色の肌である。
「あら祭」
「御無事……とはいかんようじゃがなりよりであった堅殿。そちらの武人は?」
「私を助けてくれた人よ」
「そうであったか。儂は黄蓋じゃ……ってどうした御主?」
「……いや何でもない(恋姫の世界じゃねーか!? じゃあ俺が助けたのは孫堅かよ……戦国時代にタイムスリップしたと思ったら今度は恋姫の世界かよ……)」
三宅は内心そう思いつつも孫呉のところで世話になる。
「私は孫策よ」
「あ、どうも(やっぱり恋姫の世界か……まぁ黄蓋がいるから真の方だろうな)」
三宅は未来の小覇王と出会う。三宅は孫呉の人々と交流しつつ孫呉の忠臣となっていく。そして反董卓連合を迎えた。
「正成、鉄砲隊の威力を華雄に見せたいのだけど行けるかしら?」
「(曹操にまだ知られたくないが……仕方ない。それに華雄は好きなキャラだし助けるか)御意」
そして舌戦に負けて突撃した華雄隊に正成の火縄銃隊が火を吹いた。
「放てェ!!」
「な、何だこの音は!?」
孫策軍に突撃する華雄隊は次々と放たれる弾丸の前に壊滅した。
「……私を討て。それがお前の名誉だ」
「……断る。お前の天命は此処ではないはずだ。董卓を救いたくないのか?」
「しかし……」
「……惚れた女は討ちたくない」
「……え……?」
「だから来い華雄」
そして華雄は生き残った。華雄はそのまま正成の隊の副長を務める事になる。
「勝負だ孫策!!」
「暇潰しには持ってこいよねぇ」
孫呉は新たな武官を獲得し反董卓連合後、孫呉は袁術を降し次いで劉表の荊州も降して手に入れた。同じ頃、曹操も魏を建国し劉備と天の御遣い北郷一刀達は孫呉が攻略する前に荊州を通過して成都を攻略して蜀を建国した。
「御主人様、やはり火縄銃とやらは作れませんか?」
「うん、やっぱり現物をバラして作らないと無理みたいだ」
北郷と関羽達はそう話していた。
「じゃあさ御主人様。孫策さんに魏対策で火縄銃を譲れないか聞いてみましょう?」
「……無理かもしれないけど、一応話してみようか。それと呉と同盟を結ぼう」
呉と蜀は魏に対抗して同盟を締結した。魏の曹操は力に物を言わして百万の軍勢を赤壁に布陣させた。
「風が変わった……」
「突っ込むわよ祭、華雄!!」
「勿論!!」
「おう!!」
「……この三人の面倒見るのはしんどいぞ周瑜……」
火計は大成功して魏は壊滅的打撃を与えた。しかし、事態は急変する。
「五胡が侵攻してきた?」
「そのわけで三国同盟ね……」
三国は同盟を締結して五胡を撃退した。しかし被害は酷く軍の再建は三国ともままらなかった。だが天の御遣いは一つの事を思い付いた。
「孫呉の火縄銃を三国で生産して五胡に備えよう」
「良い考えね(火縄銃とやらも手に入り、二国を牽制出来る。中々の策略ね)」
「あら、それは良い考えね」
孫策は即答を避けたが前向きに答えた。孫策は直ぐに軍儀を開いた。
「……難題だな雪蓮。お前の勘はどうだ?」
「全然ね」
「ですが姉様、五胡の脅威はあります。やはり火縄銃を渡した方が……」
「それは分かるけどねぇ……正成は?」
「反対です。二国に渡せば大量生産、やがては再び戦です」
「二国が呉に戦をすると言うのか三宅!!」
「理由はあるでしょう。魏は赤壁、蜀は荊州の件ヶあります」
「……正成の意見も分かるわ。でも今は三国が踏ん張らないといけない時よ」
「しかし……」
「……火縄銃を二国に提供するわ」
(……馬鹿野郎、火縄銃を渡せばまた戦が始まるの必須。魏は可能性は低いかもしれんが蜀の北郷はどう動くか分からんぞ!! やはり此処は……)
「………」
「………」
孫策の決定の中、正成はそう考えた。その正成の表情を華雄と孫堅が見ていた。
その夜、正成は火縄銃の倉庫にいた。そして正成は倉庫の中に入り持っていた火薬を辺りにばらまける。十分にばらまいたと判断した正成が外に出ると孫策達が待ち構えていた。
「何をするつもりかしら正成?」
「知れた事、火縄銃を破壊する」
「三宅、貴様!!」
「外交という戦争を知らぬ馬鹿者が吠えるな!! 孫策殿、素直に引いてはくれまいか?」
「それは無理ね」
「なら……無理にでもやろうか」
「貴方、一度でも私に勝てたかしら?」
孫策との戦闘で正成は負傷し、正成は牢に入れられた。その牢に誰かが来た。
「……何だ華雄?」
「逃げるぞ三宅」
「……どういう事だ?」
「孫呉から出ていく」
「……本気か華雄?」
「本気だ」
「理由を……聞かせてくれ」
「火縄銃の威力を受けた事がない孫策が王ではいずれ崩れる。それに私はお前の副長だぞ?」
「……どうなっても知らんぞ華雄」
「私の命はあの日からお前に預けている」
「それは嬉しいかぎりだ」
そして城門のところには孫堅がいた。
「ごめんなさい正成」
「いえ、気にしていません」
「これからどうするの?」
「もう火縄銃も破壊も出来ませんし、東の海の向こうには我が故郷の日ノ本がありますからそこに参ります」
「……そう、なら私も行こうかしら?」
「……確実に孫策殿達が怒るのでやめて下さい」
「なら今は止めときましょ」
そう笑う孫堅だった。その後正成と華雄は船を購入して大陸を伝って日本へ向かった。
「なぁ三宅」
「何だ華雄?」
「……私の真名を受け取ってほしい」
「……え? それは……」
「良いから受け取れ!! ……私の真名は藍だ」
「藍か……良い真名だ」
「ふ、ふん」
正成の言葉に華雄は顔を赤くして正成から背けるが表情は嬉しそうだった。
その後、二人の消息は掴めていない。しかし、火縄銃が二国に渡った後、二国が共同で孫呉に攻めたのは歴史通りだった。
孫呉が滅亡する前、東の海から孫呉の人間達を助けて東の海に消えていったという伝承があるが定かではない。
だがほぼ同時期に日本の九州にて大陸から戦乱を避けてきた人間も多数おり火縄銃もこの時に伝わったとされている。
歴史学者達は三宅正成は何故火縄銃が作れたのか調べたが結果として分からずじまいで定かではない。
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