多分なんだけど、俺が天才パイロットすぎる。   作:泥人形

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彼女はきっと、誰よりも良く見ていた。

 

「あ、ダメ。無理、やめて。喋らないで、というか近づかないで。それ以上動いたら、手足を撃ち抜くわ」

「なになになになになになに?」

「口も開かないで、三歩下がって」

 

 翌日。

 朝一番、誰もいない食堂で、綺麗な女の子に銃を向けられて、狼狽している男がいた。

 というか俺だった。

 え? 本当に何? この状況は……。

 ひよりの分も含めて、ただ食事を取りに来ただけなんだけど……。

 そしたら偶然、あーちゃんと遭遇しただけである。

 

 全く以って状況を呑み込めないのだが、取り敢えず両手を上げて、三歩下がった。

 あーちゃんは、パイロット科に入ってから行われた射撃訓練、その全てにおいて堂々の一位を獲得している女傑である。

 やろうと思えば本当に、俺の手足を撃ち抜くことは可能だろう。

 

 俺? 俺はほら、正規の軍人だから。

 アルテマリアと俺は、こういう序列関係からは除外されている。

 いや、まあ、その俺から見ても、あーちゃんの射撃技術は上澄みなんだけど……。

 

「オーケー。そうしたら、そこのテーブルに座ってくれる? あぁ、アタシが良いって言うまで、喋っちゃダメよ?」

 

 にこやかに、けれども気の抜けない緊張感を全身から発しながら、あーちゃんは俺の真横のテーブルを指さした。

 至って静かに、慎重に席へと座る。

 そうすれば、あーちゃんが向かいの席に座った。

 その手はもう、銃から離れていたけれど、彼女の命令に背くのは憚られて、口は閉じざるを得なかった。

 

「ありがと、もう良いわよ。それじゃあ、改めて。ごめんなさい、お断りよ」

「何も言ってないのに何かしらを断られた!? 一体何を受信したんだよ、あーちゃんは」

「え? だって、アンタ今、私に告白しようとしてたでしょ?」

「なっなななななっ、何のことですかな!!?」

 

 図星だった。

 いや、図星だったんだけど、何で分かるんだよ。

 エスパーの方だったりするの?

 確かに、告白待ちするくらいなら男らしく、告白しよう! とか思っていたけれど……。

 なんで分かるんだよ。

 これ以上ないほどに内心を言い当てられて、有りえないくらい声が震えちゃったんだけど。

 

 しかも話と全然違うし。

 つ、付き合えるんじゃないんですか?

 告白されるんなら、さっさとこっちから告白しちゃおう! という考えは、浅はかに過ぎた……ってコト!?

 普通に冷静に考えたら、その通り過ぎるな。

 

「んふふ、当たりね。アンタってば、本当に昔から分かりやすいわねぇ。顔に出過ぎなのよ」

「そんな馬鹿な……上司には良く、『お前さんは本当に、何を考えてるのか分からんやつだな』とか言われてる俺だぞ?」

「それは……何ていうか、気味悪がられてるだけなんじゃないかしら……」

「あんまり真実を看破するなよ、悲しくなる……」

 

 何となくそうなのかな? と思っていたことが、あーちゃんの指摘によって確定してしまった瞬間だった。

 見て見ぬふりしてたんだけどなー……。

 これでも頑張ってはいるのだが、会う度に「化け物が……」みたいな目で見られるから、こっちも委縮しちゃうんだよ。

 星間連盟は、もっとアットホームな組織作りをして欲しいもんである。

 

「それで? どういう事情があるのか、聞いても良いのよね?」

「や、事情ってそんな……恋に落ちたとかじゃダメか?」

「はい赤点、センス0な言い訳ねー。アンタが恋だの愛だので動く訳ないじゃない、理性の怪物なんだから」

「それはどういう評価なの!? 身に覚えがなさすぎる!」

「私たちのことを、性的対象として見ようとしていなかったでしょ、ってことを言ってるのよ」

 

 アンタはいつも、私たちと接する時は一枚壁を作っていたもの。なんてことを、あーちゃんが続けて言った。

 思わず口を噤んでしまう。

 ここまで全部図星だと、一周回って最早、動揺するとかいうレベルじゃない。

 良く分かってるなーと、思わず感心してしまいそうだ。

 

「ま、そうでなくても、ごめんなさいしてたけど」

「ほう、その心は?」

「打算ありきの顔をしてる。私、それ嫌い」

「嫌いて……」

「あと、アンタからひよりの匂いがする。昨晩、一緒にいたわね? 何してたのよ」

「……はぁ、あーちゃんに隠し事は無理だな」

 

 小さく両手をあげて、降参のポーズを取る。

 そうしたら、「最初からそうしなさいよね」と、あーちゃんが嘆息をした。

 

「じゃあ、まあ、意味不明な話をしちゃうんだけど──」

 

 そうして俺は口を開いた。

 情報の取捨選択を誤らないよう、昨晩──今朝のことを思い出しながら。

 

 

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ 

 

 

 

 

「あーちゃんには事情、全部話しちゃおう」

 

 朝五時、ベッドにて。

 改まって俺がそう言うと、ひよりが目をパチクリとさせた。

 

「ひよりは別に良いんだけど、一応、何でか聞いても大丈夫?」

「話さないのは無理だから──つーか、ひよりの記憶がないことなんて、一目でバレるに決まってるからな」

 

 例えば、俺であれば。

 ひよりが大部分の記憶を失っていることに気付くまで、三日程度は要するだろう。

 幼馴染と言っても、6年以上離れ離れだった訳だしな。

 違和感から確信まで至るのに、それくらいはかかる自負がある。

 

 例えば、クラスメイトや教員であれば。

 俺のフォローもあれば、まず間違いなく気付かれることはない──彼女が失った大部分は、エピソード記憶と考えられるから。

 いわゆる、誰と・どこで・何をしたか……という、個人的な体験を喪失している、のだと思う。

 まだ年度は始まったばかりだ、学校内に限れば、幾らでも誤魔化しようはあるだろう。

 

 そして、あーちゃんであれば。

 一撃でバレる。つーか、バレない訳がない。

 当たり前だ。誰よりも一緒にいた二人だぞ。

 どうやったって誤魔化せないし、隠し通せない──となれば、事情の説明は必須というか、前提になってくるだろう。

 

「……あーちゃんさんは、ひよりにとって、とっても大切な人だったんだね」

「そうだな、世界で一番くらいだったと思うよ、お互いに」

「そっかぁ……だとしたら、それは本当に──」

「それ以上は言うな、ひより」

 

 ひよりの言葉を聞かず、被せるように口を開く。

 ひよりが悪い訳がないのだから。彼女に責任を感じさせてはならない。

 切り替えるように、話の路線を戻す。

 

「あーちゃんにとって、色々とショッキングな話にはなるから、話すことは慎重に選ばないとな」

 

 これから死ぬだとか。

 ひよりの記憶がないだとか。

 世界が終わるだとか。

 そんな話をいきなりされて、「なるほど、そうなんですね!!」となれる人間は、普通じゃなさすぎる。

 

 俺の場合は、俺自身が転生者であることや、ここがゲーム世界であると認知しているのがデカい。

 俺自身があまりにもイレギュラーなのだから、そういうこともあるか……と、受け入れられる土台がある。

 というか、それがなければ今頃、まだ情報の洪水で頭を抱えていることだろう。

 それくらい、話は急だ──ひよりにとっては、全くそんなことはないのだろうが。

 

「だからまず、残されたメッセージを全部聞かせてほしいんだが……」

「ん~、へへ。ごめん、見れないや」

「だよなー……なんとなく、そんな気はしてた」

「時間をおけば、見れるとは思うんだけど……」

 

 役立たずでごめんね、と自虐するひよりの頭にチョップを入れる。

 あいてっ、という声を聞き流しながら、「アホか」と思った。

 星骸の力は時空すら超越する、世界を壊す力だ。当然、人の身には余る。

 

 ひよりが意識のみのタイムリープを、ほぼ無制限に連続使用できたこと自体が、有り得ない話なのだ。

 それこそ──相応の覚悟が為した奇跡と言って良い。

 代償が、記憶のみに留まっているとは限らない。

 

「実際のところ、悲劇の回避自体は、最初のメッセージだけで十分ではあるしな」

「わぉ、凄い自信だ~! のどからしくな~い」

「うっせ、たまには良いだろ。かっこくらいつけさせれ……」

 

 というか多分、全面的に俺の責任ではある──のだと思う。

 未来の俺からのメッセージは、随分嘗めた内容ではあったのだけれども、しかしその本質は、

 

「お前、これが死にゲーだってこと、忘れてるよな?」

 

 といったものなのだと、俺には受け取れたから。

 そしてそれは、やはり図星だったのだ。俺なだけあって、俺の慢心を良く分かっている。

 

 ──俺は、本当に調子の良いやつなのだ。

 原作が開始して、ゲームだとアレだけ苦労したボスを、特に労せず二つも攻略できてしまった。

 

 その事実は、俺に確かな安堵と油断を齎していたのである。

 

 お恥ずかしいことに、俺は結構、大したやつなんじゃないかと、思い始めていたのだ。

 だから、意外と何とかなるんじゃん──という、して良い訳がない油断をし始めていた。

 

 きっと、そんなんだから足を掬われたんだろう。

 上手に事も運べず、碌に敵も倒せず、大切な人を殺されたのだ。

 そう思えば、己の楽観さに怖気が走る。

 

 連盟に拾われてから、数え切れないほど人が死ぬところを見てきたのに。

 まだ俺は、()()()()なら結局、死にはしないのかもしれないなんて、考えていた。

 現実は、そんなに甘くないと知っていたはずなのに。

 

 ただでさえ──俺は、今のひよりを殺してしまったも同然なのだから。

 未来のひよりの意識によって、今のひよりの意識は上書かれている──あるいは、未来から意識を跳躍させてきたその代償として、未来のひよりの記憶と、今のひよりの記憶、どちらもが大きく失われたのか。

 

 正確なところは分からない。

 分からないけれど、ひよりをそうしてしまったのは、俺のせいであることに変わりはない。

 

「……ごめん、ごめんな。ひより」

「自問自答してから勝手に答えを出すの、のどかの良くないところだよ」

「……悪い」

「も~、謝るの禁止! ひよりのことに関しては、ひよりが一番分かってるんだから。後悔なんてある訳ないよ」

「それでもだ。これは、ケジメでもあるから」

 

 ひよりが何を言おうと、忘れてはいけないことだと思うから。

 俺が責任を取るべきことだと思うから。

 だから──ひよりがひよりである以上、俺はそれを疑うことはないし、比べることはない。

 彼女はこれまでも、これからも、俺の幼馴染である姫埜(ひめの)ひよりだ。

 

「二度と、ひよりに辛い思いはさせないから。記憶だって、これから一片たりとも失わせないから」

「……そ、そうやって改まられると、ちょ~っと、は、恥ずかしいかも……」

 

 でも、とひよりが言う。

 俺の頬を撫でながら、少しだけ微笑んだ。

 

「ありがと、のどか。大好きだよ」

「いやすまん、真っ直ぐそう言われるのはやっぱまだ慣れないわ! 本当にごめんなんだけど、もうちょい距離感大事にしてくれるか!? 心臓爆発しちゃいそう!」

「すっごい台無しだ!!? 急にヘタレないでよ! 幻滅しちゃうでしょー!?」

 

 

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ 

 

 

 

 

「ふぅん、つまり私の知らないところで、ひよりの記憶喪失にかこつけて、すっごいイチャイチャしてたんだ?」

「まとめ方に悪意がありすぎるだろ」

 

 悪徳記者だってもうちょい優しい見出しにするよ。

 それだと俺が脳内真っピンクな猿野郎みたいになっちゃうでしょう?

 いや、あながち間違ってはいないんだけど。ちょっとその節がないかと言われれば、へへっと笑って誤魔化すしかないんだけど。

 ……で、でも、それだけじゃないからさ!

 

 むしろそこはオマケだから! てか言うほど何かしらがあった訳じゃねーよ。

 朝五時までリテイク食らってたんだぞ? 普通に考えて、ただの拷問時間だろ。

 最後の方には互いにもう、言葉とかどうでも良いかもって雰囲気流れてたからね。

 

「正直ツッコミたいところは無数にあるんだけど……まず、初めに一つ、訂正させて欲しいわ」

「訂正? 疑問じゃなくて?」

「ええ、訂正──私が閑に告白するって言うのは、デマよ」

「嘘だろ……」

「残念ながら、真実よ。だって、私はもっとクールで知的で、でも情熱的なところもある、可愛げのある男性が好みだもの」

「……それって俺のことじゃないか?」

「自己肯定感の化け物?」

 

 どこで育て方を間違えちゃったのかしら……と真剣に考え始めるあーちゃんだった。

 あーちゃんは俺の母親なん?

 いや、ひよりに関しては、かなりママではあるんだけれども。

 俺は育てられた覚えはねーよ。

 

「くっ、粘れば事実が変わるとかもないか……!?」

「ある訳ないでしょ──ま、アンタのことだって、嫌いなわけじゃないけどね。むしろ、好きよ、幼馴染としては。だから、ごめんなさい」

「完膚なきまでフラれてる!! クソッ、前情報に踊らされた……!」

「あ、でも、大丈夫よ。私のことはそのまま、好いてくれていても。気分が良いわ」

「しかも自己肯定力の上昇に使われている!」

 

 まあ、でもそれで、あーちゃんの機嫌が上向くなら良いかもな、と思う。

 というか、そうとでも思わないと、今すぐにでも穴に入って消え去りたくて仕方がない。

 本当にどうなってんだよ。

 未来の俺からのメッセージが嘘すぎるだろ。マジでこの後、あーちゃん死ぬんですか?

 いや、まあ、未来からひよりが来た以上、最悪の結末を辿るというのは、疑いようがないんだけど……。

 

「……ええ。でもこうして、アンタの気持ちを聞けたのは本当に、気分が良いわね……」

「何か噛み締めすぎじゃない!? まるで、これまで嘘ばっか口にしてたカス野郎から、初めて本当の言葉を聞いた時みたいな顔してるんだけど……」

「んー……そこまでは言わないけど、あながち間違ってはいないんじゃない?」

 

 話を始めるにあたって、改めて用意した自動配給の朝ご飯を一口含み、嚥下してから、あーちゃんが言う。

 一方俺は、何だか緊張してしまい、ごくりと息を呑んだ。

 

「だって、アンタが私たちを……特に、私を見る目って昔から変なんだもの」

「そ、そんなにいかがわしい眼をしてたのか俺!? 普通にショックだ……」

「んん、そうじゃなくって……そうね。抽象的な表現になるんだけど、私を見てるようで、私を見てないような──私の知らない、私を見てるような目って言うのかしら」

「────」

 

 それは、その言葉は。

 やはり内心を不意打つようなものだった。

 心臓が、嫌な跳ね方をする。

 本当に、あーちゃんには隠し事ができないな。

 俺はこれまでも──彼女とは、幼馴染と話すようでありながら、推しと話せているという感覚が抜けていないのだから。

 

「いつだって、一歩踏み込まないし、踏み込ませない線引きをしてたでしょ? やたらと素直に話すのに、本心はひた隠しにして、ちっとも見せてくれない。だから、変な奴って思っていたし──それが、少し寂しかった」

「……急に可愛いこと言うなよ、惚れそうになる」

「もう惚れてるんでしょうが……だから、ね。お断りではあるんだけど、私は正直、結構嬉しいのよ、今」

「人をフッてウキウキになるのやめない? 何かじわじわダメージ来るんだけど……」

「んふふ、人を馬鹿にしたようなことした代償ね、反省なさーい」

「……ぐう」

 

 思わずぐうの音が出て、降参する俺だった。

 全くもってその通りである。

 何でもかんでも、思ったように上手くいくなんて、ある訳ないのだから。

 

「それに、嬉しいって言うのは何も、馬鹿にしてる訳じゃないわよ──アンタがね、そうした線を自分で消そうとしてくれたみたいで、嬉しかったの。もう、言わせないで、こんな恥ずかしいこと」

「恥ずかしいのは、ほら、お互い様だし。良いんじゃないか?」

「アンタのは『恥!』って感じだから、私としては一緒にしてほしくないんだけど?」

「ちょ~っと言葉が強すぎるかもだなあ! それは!!」

 

 とはいえ。

 本当にあーちゃんは、良く見ているな──と思う。

 あるいは、俺が露骨すぎただけなのかもしれないが。

 

「でも──だから、アンタの言ったことはちゃんと信じてあげる。正直、飲み込みづらいことばっかりだけど、全面的にね」

「そりゃ有難いが……」

「未来のアンタに感謝するべきね。ちゃんと、自己分析ができてるじゃない。今の閑もそのくらい、自分を分かっておくべきよ」

「え、えぇ? と言うと? どういうロジックでそうなったんだ……?」

「打算ありきだとしても、アンタほどの人間が口にしようとした()()って気持ちは、奥底からの本心でしょ。それを認めるくらいはしないと、アンタは私を見る目を変えられないし、私としても、微妙に信じられないわよねって話」

「──ああ、そういう。未来の俺スゲー……」

 

 あーちゃんに言語化されて、ようやく理解が追いついた。

 あのメッセージは、確かに俺を心底嘗め腐ったものであったけれど、しかし、そうである必要があったのだ。

 他人を、登場人物として見る癖をやめるために──あるいは、気付くために。

 目の前の人間は、キャラクターではなく、生きている人間だと理解するためには、人を好きという感情が必要だった。

 まあ、その方法がちゃんと告白して、ちゃんとフラれるというのが、実にガッカリというか、斜め下であるのだが……。

 それはそれで、俺らしいのかもしれない。

 

「そういう訳だから、この後はとにかくすぐに、ひよりに会わせてくれる?」

「そりゃもちろん──もちろん、良いんだけど」

「分かってる。私のことを覚えてないってことは、理解してるつもりよ──覚悟は、これからするけど」

「ん……じゃあ、朝飯くらいは優雅にゆっくり、食べるとするか」

「そうね、そうしてくれると、助か──」

 

 るわ。と、続けようとしたのだと思う。

 けれど、あーちゃんは口を開いたまま茫然と、俺の斜め上を見つめていた。

 つまり、俺にとって後方斜め上の天井──

 

「──ッ!」

「閑!」

 

 嫌な予感に後押しされるように、銃を抜いていた。

 ひよりから話を聞いて、反省していなければ、持ち歩くことも無かった拳銃を、反射で撃つ。

 ガァン! という音と衝撃が、食堂に響いた。

 次いで、ドサリと何かが落ちる音。

 それを聞きながら、あーちゃんの方へと周り、テーブルを盾にするよう横倒した。

 

「な、何。なんなの、アレ……」

「おいおい……何だそりゃ。マジで知らない話になってきてんぞ……」

 

 そこにいたのは、見覚えのない人間だった。

 ──いや、あるいは、人であった何かと、評すべきだろうか。

 

「t──ツ、ヅラギ、ダナ」

「そうだと言ったら?」

 

 黒い襤褸切れのような外套から見える、()()()()()()()()

 瞳孔もなく、光もない、()()()()()

 不自然にも膨れ上がった頭──間違いない。

 

 星骸の力を埋め込む人体実験において、多数発生した()()()

 フィオラ・アルテマリアにはなれなかった、成れの果て。

 その生き残り──改造人間(レムナント)

 

「ト──トラEル」

「やってみろ」

 

 

 




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また、最初から大筋は決まっているので、余程破綻がない限りはそれに沿って進める予定です。
のんびり更新にはなりますが、お付き合いください~!
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