多分なんだけど、俺が天才パイロットすぎる。   作:泥人形

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強すぎる光は、己がどれだけ明るいかを知らない。

 

 廿楽木(つづらぎ)特務士官専属オペレーター。

 アルア・リルリッド・リズハートが、その任を与えられたのは、4年前のことである。

 

 当時のアルアは、星間連盟情報管制部に配属されてから、まだ2年目の新米という時期にありながら、既にその頭角をメキメキと現していた。

 そもそも、選りすぐりのエリートしかなれないオペレーターの中でさえ、アルアは天才と持て囃されていたほどであり、一角の人間であったことは間違いない。

 状況に応じた情報の取捨選択、並行して見られる情報の量、真偽の判別、それらを如何にパイロットに簡潔に、誤解なく伝えるか──アルアはそれら全てが、丸く飛びぬけていたのだ。

 

 だから、異例の辞令が降りた時でも、アルアは「当然だ」としか感じなかった。

 専属オペレーターとは、星間連盟が特別に指名した、エース級パイロットの内、一人のみを担当することを意味する。

 当時、それに該当していたパイロットは10名。

 その内の誰を担当することになるかは、もちろんオペレーターの方では決められない──無論、パイロットにも。

 だから、アルアは気楽に、ガチャでも引くような気分で、辞令を確認し──

 

『担当:廿楽木閑』

 

 ──そこまで目を通したところで、アルアの口からは、「最悪だ」という一言が零れ落ちた。

 何故か。

 単純に、()()()()()()()

 

 十歳という幼さでコロニーを一つ救い、十二歳となった今、既に星間連盟の持つ、最大戦力とさえ謳われる少年。

 机上の空論を、現実にしてしまう異常者。

 そんな化け物を、一度や二度ならいざ知らず、専属としてサポートしなければいけない──それは、さしものアルアといえど、圧し潰されるようなプレッシャーだったと言えるだろう。

 

 腕の良いパイロットのオペレーターには、相応の実力が求められる──故にこそ、オペレーター間では廿楽木閑が、『オペレーター潰し』と呼ばれていたことも、アルアのプレッシャーを高める一助になっていた。

 無論、廿楽木本人が何かしたという訳ではない。

 ただ、本物の傑物を前にした時、凡人は自壊するように折れてしまう、というだけの話だ。

 

 同じ人間とは思えないほどの、知覚範囲や空間把握能力。

 スパコンでも載せているのかと、疑いたくなるほど早い、状況判断と思考速度。

 最新のAI操縦を嘲笑うような、正確かつ流麗な操縦。

 そして──何があっても多大なる成果を以て、必ず帰還すること。

 

 だから、彼を担当したオペレーターは、基本的に二つに分かれる。

 まるで魔剣や妖刀に魅了されたかのように──廿楽木閑という傑物の成果を、自身の力量だと勘違いしてしまうオペレーター。

 そしてもう一つが、自身が天才であるが故に、その異常性に目を焼かれ、己の不要さを痛感してしまうオペレーター。

 

 前者は少しずつ調子を崩していき、後者は暫くしてからぽっきりと、心が折れたようにやめていく。

 だから、『オペレーター潰し』。

 生半可な天才は、容易に砕いてしまう才人。

 

 緊張しない方が無理という話だろう──特に、アルアは自身が天才の類であることに自覚的であり、それなりにプライドだってあったのだから。

 年下の少年に潰される。

 しかし、それを恐ろしいと口にするのも憚られる──だから、断ることだってできないまま、初出撃の日がやってきて、

 

『えーっと、初めまして、ですよね? これからよろしくお願いします、オペさん』

 

 初めてその声を聞いた時、どうにも肩透かしのような気分を味わったことを、アルアは覚えている。

 年相応に柔らかく、少年らしい声。

 化け物の声じゃない。

 通信の向こう側にいるのは、確かに同じ人間だと、そう思い直して。

 

 ──任務が終わった頃には、アルアのプライドは原型がなくなるほどまでに、ズタボロにされていた。

 これまで積み上げてきた、短いながらも確かなキャリア。

 ここまで自分を、特に労なく導いてくれた多大な才能。

 才能に甘えることなく続けてきた、長期的な研鑽。

 

 それらが全て、無意味であったのかと疑いたくなるほどに、彼女は打ちのめされた。

 自分という存在は、このミッションにあたって、全くの不要であったことを痛感した。

 言うまでもなく、廿楽木閑という異常に──()()()

 アルア・リルリッド・リズハートは、そこで折れることはなかった──それを、彼女は自身の才能故にだと、判断している。

 

 己の才能に、最大限の努力を掛け合わせれば、私はこの人を辛うじて、サポートすることができる。

 

 一度の出撃で、アルアはそれを悟った。

 あるいは、そこが自身の限界だと理解した……と表現しても良い。

 だが、それで良かった。

 アルアは、それで充分だというところまで悟ったのだ──この人に、それ以上はそもそも必要ないのだと。

 そして、それさえあれば、この人は無敵になるのだと。

 

 ──見てみたい、と思ったのだ。

 この人が完璧になるところを。 

 完全無欠の英雄として、名実共に宇宙一のパイロットになることを、夢見たのだ。

 

 それ以降、アルア・リルリッド・リズハートの食らいつくような日々が始まった。

 その中で、廿楽木閑という人間のことを、少しずつ知っていった。

 

 出撃前には全く緊張しないこと。

 その癖、頻りに「死にたくないなあ」などと口にすること。

 将来の夢は、二十歳になるまで死なないことであること。

 戦闘が長引けば長引くほど、どうしてか余裕を持ち始めること。

 出撃を繰り返すほどに──慢心を重ねること。

 ヘルメットは着用しない、銃だって基本的に持ち歩かない。

 時には私服で出撃することまであるほどだった。 

 

 パイロットとしてどころか、白兵戦であっても隔絶した実力を持つが故に、何一つ問題になったことはないが──それでも、廿楽木閑という人間が、慢心を積み上げていたことを、アルアは理解していた。

 それがいつか、彼に初めての失敗を与えるだろうと()()()()()

 そう、思っていた。過去形だ。

 

『──オペさん、敵の数と名称は?』

 

 声音が違う。

 背筋に怖気が走るような、冷徹な声。

 電流が落ちたかのような衝撃が、アルアの芯を貫いた。

 

「……個体数1、イレギュラー個体。名称は──ネビュラペンドラ。巨大なムカデ型の星骸です」

『特徴は? 判明してるよね?』

「透明化と、不可視の攻撃を主に使用する模様。解析結果としては、音波や電波のようなものを出力してると考えられます。」

『了解。アルテマリア特務士官には、後五分耐えろって伝えて』

 

 油断や慢心を、削ぎ落したような声。

 何があったのかは分からない──けれど、見たことのない廿楽木閑がそこにいた。

 アルアの口角が、僅かに上がる。

 見たかったものが、見られるかもしれない。

 ここ数年の目標が、果たされる時が来たのかもしれない。

 期待に胸が躍り始めるのが分かる。

 

『搭乗完了、システムオールグリーン。いつでも出撃可能』

「了解──搭乗者のバイタル、オールグリーン。出撃を許可します」

 

 何百回と繰り返した定型文すら、興奮で少しだけ震える。

 モニターを通して、廿楽木特務士官がスーツとヘルメットを装着しているのを確認し、吐息が漏れた。

 

「……珍しいですね。フル装備じゃないですか」

『あー……まあ、ね。ちょっとだけ、初心に帰ろうと思って』

「おや、あれほど言っても聞かなかった貴方が、初心に? 心境の変化でも?」

『オペさんは俺のことを、超問題児の不良小僧だと思ってないか……? いや、まあ、何と言うか──真面目にやろうと思って』

 

 いや、この言い方だとマジで俺が本当に不良みたいだな……!? と小さく叫び、頭を抱える廿楽木特務士官。

 それを前に、やはりアルアは笑う。

 真面目に──真面目にだって?

 それは、その発言は。

 やはり、これまでは手を抜いていたという証左でしかない。

 

 生身で敵機体に囲まれた時も。

 無数の星骸を単独で相手にした時も。

 宙央同盟の木星基地を破壊した時も。

 複数のイレギュラー個体を無傷で殲滅した時でさえ!

 

 彼は全く本気ではなかったということに他ならない!

 これまで我々が称賛し、畏怖してきた廿楽木閑はまだ、本領を見せてすらいなかった。

 その事実に、心が震える。

 

「全く、誰の入れ知恵ですか……」

『いや入れ知恵って……強いて言うなら、未来の自分?』

「揶揄ってるんですか? 良い度胸ですね、緊急脱出システムをロックします」

『え、ちょっ、いやっ、死ぬ! 死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ! それ本気で何かあった時死ぬやつなんで! ごめんってば!』

「ふっ、冗談です、お気を付けて」

『今の絶対、冗談の声音じゃなかったぞ……廿楽木閑、出ます』

「了解──機体ロック完了、電磁加速射出機(リニア・カタパルト)起動します」

 

 超高速でアイギスが、コロニーから射出されて宙を舞う。

 宇宙という真っ黒なキャンバスに溶け込むように。

 廿楽木専用機の真っ黒なアイギスが、爆発的な速度で目標へ向かった。

 

 

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ 

 

 

 

 ちゃんとやろう。

 そんなことを思ったのは、いつぶりだろうか。

 ちゃんと考えて動いて、しっかり狙って、真面目に戦う。

 感覚に身を委ね過ぎないで、自身の一挙手一投足を、論理的な思考に乗せる。

 未来の自分の為に、レールを敷いておくような、昔やっていた戦い方を思い出すように動く。

 まあ、普通に疲れるからやめたんだけど──きっと、今の俺にはそれくらいが良いのだろう。

 

 オペさんと軽く言葉を交わし、気分がリラックスしたのを感じながら、スラスターを吹かせて一直線に、戦場へと向かう。

 ネビュペン──ネビュラペンドラ。

 俺的嫌いなボス、TOP3にも食い込むそれは、軽く500mは誇る超巨大な星骸であったはずだ。

 アイギスがざっくり15m程度と考えれば、そのサイズ差はざっと33倍である。最早どんくらいデカいのかが良く分からん。

 

 普通に考えて、1節5m程度の計算になるのだが、これももう、デカいのか小さいのかが分からない。

 加えて、星骸は図体に対してコアのサイズが決まっている訳ではないから、デカければ良いという話でもない。

 あとネビュペンは結構速い──力は重さと速さ。

 衝突されれば割と即死なことを、今更ながら思い出す。

 く、クソゲーすぎるだろ……。

 

 一応ながら、ゲーム内では特殊アクション扱いだったのだが、こっちは現実だ。そうもいかない。

 ゲームでないことが、良くも悪くも作用している。

 どっちだから良い──という、単純な話にはならないのが、何ともままならないものだ。

 

「まあ、あんまり関係ないんだけど……」

 

 当たんなきゃ良いだけだしな。

 接近戦を仕掛けるなら話は別になってくるのだが、ネビュペンが厄介なところは要するに、()()()()()()という点に尽きる。

 姿も攻撃も、ただ見えないだけだ──だから、見ようとすれば見える。

 種さえ割れていれば、そこまで脅威的なものではない──逆を言えば、それが分からなければ、手の打ちようがないのだが。

 

 だから、正直ちょっと焦っていた──あ、アルテマリアが死んだらどうしよう!!?

 未来からのメッセージ的に、そんなことはないはずなのだし、そもそも実力的に、落とされるようなことはないはずなのだが……。

 絶対大丈夫という確信は、どこにもない。

 人は結構丈夫だけれども、死ぬときはあっさりと死ぬ。

 だから、アルテマリアにコロッとうっかり死なれてしまったら、割と絶望だった──のだが。

 

『──こちら、アルテマリア。フィオラ・アルテマリア独立遊撃特務士官。友軍機に警告、対象はイレギュラー。巨大なムカデ型の星骸です。不可視の能力と、電波に干渉する能力を使用しますが、その全容は未だ掴めず。ここからコロニーまでの通信は遮断されていますので、即座に撤退し、本部から廿楽木閑特務士官に連絡をお願いします。繰り返します──』

「はいはい、何度も呼ばなくったって、聞こえてるよ。アルテマリア特務士官」

『──廿楽木特務士官様!』

 

 そんな声が届いて、ほっと息を吐く。

 流石に無事だったらしい。機体を視認するが、目立った損傷もなさそうだ。流石である。

 

「元気そうで何より。状況は?」

『最悪です。外的損傷はほとんどありませんが、センサー系がやられました。今は胴体に複数刺した、マーキングボルトで大まかな位置を割り出して戦況を保ってる状態です』

「マジか。てかマーキングボルトって、渋いな……」

『あはは……透明化の情報だけは聞いていたので、有用かと思いまして』

 

 マーキングボルト。位置情報送ってくれる、めっちゃ光るボルト、そのままだな。

 元々、数年前に宙央同盟が開発したステルス機用に、急造された装備だ。

 視覚的にも、レーダー的にも、かなりのステルス機能を保持していたのだが、二週間くらいでそれすら捉えるレーダーが作られたので、爆速でゴミとなったアイテムである。

 ゲームでもこっちでも使ったことがあるが、燃費が悪すぎて、使い物にならなかった記憶が強い。

 ……え、それだけで無傷で立ち回ってたってマジ? すげーな。

 

「純粋に、お見事な戦術だな……俺からは、出てこない発想だ」

『そ、それほどでも……ただ、あと数分でボルトの電力が切れます。残りもありませんので、長期戦用のプランニングが必要かと──』

「いや、必要ない。短期決戦で行こう」

 

 言いながら、この戦闘におけるイベントを思い出す。

 ゲイボルグ覚醒のような、特別なものはなかったはずだけど──うん、特にないな。

 そもそも、こいつのスペックから分かる通り、言ってしまえばこいつのコンセプトは、「プレイヤーの練度上げ」だ。

 オート機能に頼らない、マニュアル部分を鍛え上げるというか……。

 だから、デカいしやわい──覚えたばかりの特殊技に、頼る必要が薄い。

 だから、戦闘において、あんまり特別なイベントがない。

 強いて言うなら、戦闘が終わった後に、すげ~量のコミュが開放されるくらいか?

 

「……何か冷静に考えて、お前何言ってんの? みたいな内容だなこれ」

 

 ゲームでオート機能に頼らないって何? って感じだった。いや、実際俺は今、AI補助とかは切ってるんだけど……。

 勝手に動かされると困るんだよな。何か大袈裟な回避とか多いし。

 頼らない方がマシなんだけど、オペさんにそう言うと、ドン引きですみたいな声が返ってくるんだよな……。

 

「──と、こういう思考の脱線が良くないのか。集中しよう」

 

 ネビュラペンドラの全体を目で捉える。一応ながらレーダーは見たけれど、やはり反応はない。

 てか、やっぱでっけーな、おい。

 数値から受け取れるイメージを遥かに凌駕している。

 

「後方からの支援をよろしく頼む。撃ち漏らしがあるかもしれないから」

『──な、何をする気ですか、廿楽木特務士官様』

「あー……説明がムズイな。見てれば分かる!」

 

 言って、スラスターペダルを踏みこんだ。

 ゆるりと飛行していたアイギスが急加速して──余裕そうに蠢いている、ネビュラペンドラの後端。

 その節と節の間に、ビームサーベルを深々と刺し込んだ。

 

「痛覚がある訳でもないのに、良く暴れるな」

 

 全身を波打たせるように大暴れするネビュラペンドラの動きに、機体を沿わせて加速する。

 その巨大な身体を、右に振ればこちらも右に、左に振るならこちらも左に。

 縦横無尽に暴れるならば、一ミリも触れることのないよう、全くの同距離、同速度で張り付いて──絡みつくように、()()()()()()()()()()

 

 ネビュラペンドラの再生機能は、繋がった複数コアがあって、初めて成せるもの。

 だから、節と節をそれぞれ切り離すように。

 ビームサーベルを刺し込んで、一切の減速はせず、高まる加速度をそのままに、ただ速度を上げる。

 

「そうすれば、ほら」

 

 一体の星骸が、百個のコアに分解された。

 こうなれば、後はただの射撃演習と変わらない。

 透明化を維持した部分もあれば、そうでない部分もある。

 繋げ直すには、相応の時間がかかるだろう──当然ながら、そんな時間は与えないが。

 

「アルテマリア特務士官、見えてる部分はよろしく」

『──……っ、はい。お任せ、ください』

 

 歯切れの悪い返答だった。

 そんなに難しいことじゃないはずだが──流石に緊張したか?

 ……一応、保険はかけとくか。

 そう思いながら、両手に装備したビームライフルを乱射して──ちょうど百発。

 

 最後に、一際硬い顎の部分を二発で撃ち抜くと、ネビュラペンドラは全身を連鎖させるように爆散させた。

 それを、視界に収めて数秒。

 小さく息を吐く。

 

「目標の討伐を確認──任務完了。お疲れ様、アルテマリア特務士官」

『……はい、お疲れ様です。廿楽木特務士官様』

「えーっと、元気なさそうだけど、大丈夫か? 何かあった?」

『いえ、こちらの問題ですので、お気になさらず──それより、早く帰投しましょう』

「……だな」

 

 これ以上聞くのは許さない。そんな意図を感じさせる声に、思わず従ってしまう。

 ……や、やべー、何か怒らせちゃったかな!?

 本気で思い当たるところがないんですけど……。

 じわりと滲んできた手汗を拭いながら、降りたらなんて声をかけようか……と、俺は頭を抱えるのであった。

 

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆  

 

 

 

 誰かが怪物の枷を取り外したのだ。

 

 フィオラ・アルテマリアは、一目でそう直感した。

 誰のことか?

 無論、廿楽木閑という一個人に対して。

 

 全貌すら掴めていない星骸に対し、瞬時に行われた神業を前に、フィオラは茫然自失となっていた。

 

 ──知っていたはずだ。

 廿楽木閑が常識では測れない男であることを。

 前代未聞の技術を当たり前のように、こなしてしまうことを。

 機体の制御一つとっても、並々ならぬものであることを。

 

 でも、だけど。

 フィオラは届くと思っていたのだ──並べると思っていたのだ。超えられると思っていたのだ。

 何度もログを見直して、その度に自身なら出来るかというシミュレートを繰り返し。

 以前の戦闘で、直接確かめて、確信を深めていた。

 

 この目の力──人外の力さえあれば。

 同じく常識では測れない、星骸の力があれば。

 それに、自身の最大限の努力を掛け合わせれば。

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 それが途方もない間違いであり、大いなる慢心であることを、フィオラ・アルテマリアは痛みのように実感する。

 己がどれほど死力を尽くしても、届かないのではないかという警鐘が脳裏で打ち鳴らされる。

 

 ──オペレーター潰し、廿楽木閑。

 その本質は──才ある者であるが故に、彼がどれほど規格外であるかを、理解してしまうこと。

 その目で見た時に、己は不要であることを悟ってしまうこと。

 同じ操縦手であれば、自分では決して届かないのだと、分からされてしまうこと。

 

 それ故に、()()()()()()()()

 

 いとも容易く行われた絶技を前に──フィオラ・アルテマリアは。

 自身の内側で、何かが折れる音を聞いた。

 

 

 




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・特に描写されることはなくなった、どうでも良い設定①
『アルア・リルリッド・リズハート』
・ダウナー地雷系ファッションガールお姉さん。
・原作ではとっくに死んでる。閑の活躍によって生存してる。
・システム開発面にも才能がある。ステルス機を捉えるレーダーを開発したのはこの人。
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