船の中で銃声が放たれた。それは魔法でも魔術でもなくただの流れる人間の叡智の結晶の鉄の玉である。
大きな鉄の弾く音がした。それは鉄と鉄が大きな音をしてぶつかる音。その音は鉄で出来ていた。
ドイルは目を開けると、そこの眼前に広がる光景は
「!?」
銃声は鉄の弾く音なって消えていた。そして今目の前にいるのは、手の間間に鉄の棒?を入れた血塗れの男がそこに一人立っていた。
「っち生きてやがったか」
トランクを見ると、破壊されたような跡があった。まさか、トランクから抜け出したのか?。
ドイル「どういうことだ?」
「っち、ここで出されても」
男は即座に銃をもう一発放つ。しかし、もう一人の血濡れの男は手のまるで爪のようなものを使い、またも弾く。カキンと音が鳴ると、弾は床に粉切れになっていた。
男はひるむ事なく銃玉を撃つ。しかし、血濡れの男は易々とその銃路を抜く。そのスピードは人間のそれとは違っていた。
「くそが!」
男は血濡れの男を殺す事を諦めた。もう一人の男を殺す事にした。ドイルである。
男は銃をドイルに向けて放出した。
またも鉄の音が鳴った。
ドイルはその大きな音に一瞬たじろくが、目を開けると、そこには。
爪らしき物が男の首を貫通し、その爪が首を貫通して天井に届いている。銃弾は爪と同じく天井に披った。銃を持つ手はギリギリのところで照準がドイルには合わなかった。
そしてこれは鉄の響く音ではない。鉄が骨をねじきる音だ。
くぎりと、爪が首から引っこ抜くと、男は床にばたんと倒れた。男はもう息が無かった。数分前まで、読書をしていた男は簡単に息の根が絶えた。
ドイル「何者だ。お前」
今、眼前に広がるのは爪らしき物を纏った血濡れの男が人を殺したという奇怪な光景である。
「くっそ、貴様、何故こいつに近づいた」
血濡れの男の手から爪らしき物が消えた。それは一瞬で何が起きたかもわからない。
血濡れの男は怒りながらドイルに近づいた。
ドイル「なんだ、貴様、その鉄の棒は?まさか魔術師か?」
「魔術師?その真逆だよ。っち、その様子だと何も知らないようだな」
血濡れの男をじっくり見る機会が無かったがその男をよく見ると中国人、アジア系の顔をしていた。ドイルや男と会話できる英語の能力の時点でアジア人や中国人でそう多くはない能力の持ち主である事は明白だった。
ドイル「清国人?何故、ここ清国人がいる。やはり清国人が魔術を使えるという噂はほんとうだったのか」
「清国人?違うな。俺は日本ていうお前らが行く国の人間だ。もっともお前ら紅毛人に違いなんてわからないだろうが」
血濡れの男は付着した血を取ると、死体をどけて逃げようとした。
ドイル「おい待て!そこの日本人、俺は医者だ。その傷では動けまい」
「お前のせいでもう一人の男は逃がした」
ドイル「もう一人いたのか?」
「ああ、本来、俺の死体を運ぶ役割の男はそいつだった。それに偽装していたが、まんまとお前のせいでその計画は台無しだ。恐らく目当ての男は俺に気づいて、もうこの船からはきえた」
ドイル「もう一人いたのか?そいつは何者だ」
「そいつと一緒じゃなかっだけ運が良い。そいつはお前の言ってた本物の魔術師だ。さっきの男じゃなくて本物のな」
ドイル「本物の魔術師?どういうことだお前らは何者なんだ」
「知らなくてもいい事は世の中あるぞ」
男は動こうとするも、ドイルは袖を掴む。
ドイル「待てお前らは何者だ。俺はアーサーコナンドイル。小説家なんだ。知りたいんだ君たちのことを」
「小説家?まあ、面白いから言ってやるよ。そんなに知りたいのなら冬木ノ土地に行け、そこで50年に一度の祭りが行われてる」
ドイル「祭り?」
男はそう言うとドイルの視界から消えた。まるで一瞬だった。廊下には死体とドイルが取り残された。
その血濡れの男は驚異的なスピードで船を駆け抜けた。そしてそれを見た目撃人がある種、都市伝説のような形で広めたという。
不可解な船の中の事件。血濡れのジャックザリッパーと。
いよいよ、次からお目当ての聖杯戦争