かつて世界に武勇優れた男がいた。その男は国を力だけで国を倒し連戦。無敗の男であって、彼に挑み死ぬ者はあまたおれど、彼に砂を掛ける者は一人もおらず、まさしく無敗の将であった。
しかし、彼は天下を統一したがあまりにも部下に無関心であった。多くの将が去っていき、挙句の果てには死んだ後は一番強きし者を長者にせよという万民皆恐る王であった。
ある時に反乱が起きた。しかし、王はその強さ向かうところ無しにその反乱を鎮圧せようと自ら出撃し、無敗であって、もはや反乱が勝つ余地はなかった。
しかし、想定外な事が起きた。その反乱を起こした、もう一人の王は決して武勇も知略に優れている訳でもない。
それは王自身が囮になる事であった。決して武勇に優れた王には出来なかった事である。そして王自身が囮になる事で知略ある者たちが考え付いた計画は成功になる。そしてその計画を成功させた将はかつての自分の軍の将であった。
また一人、また一人と彼の元から去っていく。しかし、彼はあまりにも強かった。どんなに人が減っても、なお未だ死なず。
ある時に歌が聞こえた。それは武勇に優れた王の故郷の歌である。煮やした王が考え付いた奇策。
もはや、故郷にさえもお前の味方がいない。
武勇に優れた王はこれに絶望した。なおも戦い続けた。
そして幾戦の戦いの後、たった14の騎兵だけが残った。やがてそれさえも一つずつ消え、最後に武勇に優れた”者”だけであった。
彼は最後にこう言った。
「我を殺せるのは天のみ」
そして彼は自分の首を自ら切断したのだ。なんとも豪快な死に方だろうか、そうやって飛んで行った首はどこに行ったのかもわからない。
ただ彼は誰が見ても史上最強の男とも言えるほどの男であった事には違いない。
冬木の土地に来たドイルは潮風に当たりながら、町を見る。
まだ朝方だが、大きな川が見える。そして街並みはもちろん和風。西洋のせの字もない。東京とは全く違う東洋の文化圏がそこには広がっていた。
ドイルは船から出た。港はあくまで江戸時代から使われた物を改修工事している。そこかしこにガワを剥いだ東洋の雰囲気を覗かせる。
街並みもそうだ港を出ればそこは昔ながらの気風を残した町その物と言っていい。
大きな山が見え、そこらへんのどこにでもありそうな田舎の地域一つだった。
ドイル「やはり、この国の文化は面白い」
ドイルは日本の文化に興味を惹かれた。この時期に小泉八雲という欧米人でありながら日本に帰化し日本の怪談などを集めるなどをした奇特な人物もいたのである。
ドイルは街を一軒一軒見ようとした。これは歴史的見物価値から日本という歴史や文化に興味を注がれていた。
ドイル(この国の歴史で歴史小説を書く事はできないだろうか?)
もっともドイルの注がれた興味は売れぬ歴史小説などに行くのだが。
「いやだ。外人よ」
ドイルは日本語という言語をわからぬが、ヒソヒソと言われているのはわかる。まあ英国人が田舎の町を訪れて舐めまわす用に家一つ一つ見て回るのだからそれは不審な訳がないというのである。
ドイルは流石にそれを自認し、逃げる用にこの街から消える。
「やだねえ。ああいう不審な異人が多く」
「きゃっ、間桐様!」
「どうしたのだ。異人がなんだって」
「いえ、貴方様ではなく。えっと」
間桐臓硯の孫、間桐駆山は笑った。祖の間桐臓硯はロシア人であるからだ。
間桐駆山「なるほど、不審な異人を見たと」
間桐駆山(何故この重要な時期に?)
ドイルは山のふもと付近に付いた。しかし、その山は霊山と呼ばれ決して人、まして異人が入っては行けぬ場所なのである。
しかし、ドイルは日本語がわからぬのでそんな事もつゆ知れず、山の中に入ってくる。山は霊山なだけあって整備されていなく、獣などにも合う可能性が高く非常に危険である。
しかし、ドイルの歴史的直観がかの山に何かしらがいるというのを感じていた。
ドイル(この山は決して何かしらの歴史的意図がありそうだ。例えば古戦場とか)
ドイルは散々歩き回った奇行をした挙句、ようやくこの山に歴史的意義が無いということに気づいた。ふと山を下って降りようといばらの道を進むと。
そこは現戦場であった。
いよいよ次から戦い