小さくて可愛い冒険者   作:狂胡椒

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プロローグなのに後付け! 


プロローグ 願い星

朝露がまだ葉の先に残る頃、ちいかわはいつものように目を覚ました。

小さな巣穴の中、ふかふかの苔のベッドから顔を出すと、外はやさしい春の光に包まれていた。

 

「おはよう……」

ちいかわは、もぞもぞと起き上がり、顔を洗いに小川へ向かう。

水面に映る自分の顔を見て、ぺこりとお辞儀をした。

 

「今日も、がんばるぞ……!」

 

朝の仕事は、草むしり。

商人ギルドの掲示板に貼られた依頼を見て、ハチワレと一緒に出かけるのが日課だった。

 

「ちいかわ〜! おはよう!」

ハチワレが元気に駆け寄ってくる。

「今日の草むしり、ちょっと遠いけど、景色がきれいな場所なんだって!」

「うん……たのしみ……!」

 

二人は並んで歩きながら、道端の花を見つけては立ち止まり、

「この花、顔みたいだね〜」

「ほんとだ……にこにこしてる……」

と、笑い合った。

 

草むしりの仕事は大変だったけど、二人でやればあっという間だった。

お昼にはオフィスグリコで買ったお菓子を分け合い、

「このチョコ、あま〜い!」

「うん……しあわせ……」

と、ちいさな幸せをかみしめた。

 

夕方、仕事を終えて帰る途中、空が茜色に染まりはじめた。

「今日もがんばったね〜」

「うん……」

「明日も、また一緒にがんばろうね!」

「うん……!」

 

その夜。

ちいかわは、ひとりで丘の上に登った。

ハチワレは「眠い〜」と言って先に寝てしまったけれど、

ちいかわは、なんとなく空を見たくなったのだ。

 

星が、きらきらと瞬いていた。

風がやさしく吹き、草がさわさわと揺れる。

 

そのときだった。

 

空に、黒い光が走った。

まるで夜空を裂くように、鋭く、静かに。

 

「……ながれぼし……?」

 

ちいかわは、胸の前で手を組んだ。

そして、そっと目を閉じて、願った。

 

「こんなしあわせな日が……ぼうけんしゃをつづけていても……ずっと……つづきますように……」

 

その願いは、夜の静寂に溶けていった。

けれど、黒い流れ星は、どこか不吉な余韻を残して消えていった。

 

ちいかわは、ふと胸がざわつくのを感じた。

けれど、それが何なのかは、まだ分からなかった。

 

「明日……ハチワレと……冒険者になるんだ」

 

ちいかわは、そっと丘を降りた。

明日からは、一緒に冒険をして、笑い合えると信じて。

 

——けれど、その願いが、どれほど重いものだったのかを、

この時のちいかわは、まだ知らなかった。

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ここではないどこか。ずっと遠くて、ずっと近い場所で、

からころからころと、ある神様がサイコロを転がしていました。

繰り返し繰り返し。割といい目が続いて神様もにっこにこです。

愛らしい女の子に見えるその神様は<幻想>と呼ばれていました

そこに別のどこか熊に似た神様がやってきました。

<幻想>の行うサイコロ遊びをやってみたくなったのです。

チンチロリン、チンチロリン。クマに似た神様は躊躇なく繰り返します。

そして一人、うむうむと深く頷くのでした。




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