我思う、故に我在り ~最強の守護者として転生した俺の楽園防衛記~ 作:ミュウツー
七島(ナナシマ)の最果て、ともしび山。
噴煙が立ち込める火口の縁で、ファイヤーは燃え盛る翼を休めていた。その全身から放たれる熱気は、周囲の岩石を赤く焼くほどに凄まじい。
俺は熱波をサイコバリアで遮断しながら、その気高き火の鳥の前に降り立った。
『ファイヤー、単刀直入に言う。俺の島へ来い。サンダーとフリーザーは既に、そこで新たな空を得ている』
テレパシーで放った言葉に、ファイヤーは鋭い眼光を向け、嘴から小さな火炎を漏らした。
《……最強の模造品(ミュウツー)か。他の二羽が屈したからとて、我まで従うと思うな》
俺が造られた存在だと知っている?気になるが、それは今は関係ない。
『従えとは言っていない。共闘の提案だ。だが……』
その時、俺の意識が麓(ふもと)からの不穏な振動を捉えた。
『……チッ、邪魔が入った。ファイヤー、ここは一旦引くぞ。奴らの追跡装置に俺たちの姿を映させるわけにはいかない』
だが、ファイヤーは動かなかった。それどころか、一層激しく羽を震わせ、周囲の温度を急上昇させる。
《逃げるのは弱者のすることだ。我は逃げん。向かってくる羽虫どもをすべて灰にし、悠々と飛び立つ。それだけだ》
『意地を張っている場合か。今、姿を見られるのは――』
押し問答を続けているうちに、山肌を削りながら登ってくる重機と、空を覆うヘリの爆音がすぐそこまで迫っていた。
『……一足遅かったか』
岩陰から現れたのは、これまでの雑兵とは明らかに格が違う男だった。
黒い制服に身を包み、冷徹な瞳でこちらを凝視している。ロケット団の最高幹部の一人。彼はファイヤーではなく、その隣に立つ俺(ミュウツー)を見て、口角を吊り上げた。
「……信じられんな。サカキ様が血眼になって探していた最高傑作が、こんな場所で野生の鳥と遊んでいるとは。これは重畳だ」
『ファイヤー、あいつらはこれまでの連中とは違う。一気に終わらせるぞ』
俺は覚悟を決めた。見つかった以上、ここで生半可な情けをかけては、島の位置まで割り出されかねない。
『徹底的に叩き潰す。二度と立ち上がれぬよう、その身に恐怖を刻み込め!』
《ふん、指図するな……だが、あの男の目は癪に障る。焼き尽くしてくれよう!》
ファイヤーが咆哮と共に天へ舞い上がる。
「全機、攻撃開始! ミュウツーを捕獲せよ! 抵抗するなら四肢を砕いても構わん!」
幹部の号令と共に、ハガネールやヘルガーといった強力なポケモンたちが一斉に放たれた。兵器を向けてくる奴もいる。
だが、彼らが技を放つよりも速く、俺とファイヤーの合体攻撃が戦場を支配した。
俺が「サイコブレイク」で重力そのものを増幅させ、敵の動きを地面に縫い付ける。
そこへ、ファイヤーが空から「オーバーヒート」を叩き込む。
「ぐ、あああああッ!?」
単なる炎ではない。俺のエスパーエネルギーで収束され、レーザーのように純度を高めた蒼白の焔が、ロケット団の重機を、兵器を、そして幹部の自信を、音を立てて溶かしていく。
「馬鹿な……伝説の二匹が、これほどまでの連携を……!?」
逃げ惑う隊員たち。俺は逃走を許さない。
テレポートで彼らの退路に先回りし、精神に直接「恐怖」のイメージを叩き込む。それは「死」よりも深い、逃れられない闇の記憶。
煙が燻る火口。
そこには、もはや戦う意志すら失い、膝をついて震えるロケット団の残党がいるだけだった。
ファイヤーは静かに着陸し、変わり果てた戦場を見渡してから、俺をじろりと見た。
《……一匹では、あのような小賢しい罠に搦め取られていたかもしれん。認めよう、お前の提案には一理ある》
『賢明な判断だ。……さあ、行こう。俺たちの楽園へ』
俺たちは、もはや不要となった「ともしび山」を後にした。
島へ戻ると、そこにはサンダーの雷鳴とフリーザーの吹雪が渦巻いていた。
そこへ、ファイヤーの太陽のごとき熱が加わる。
三鳥が揃ったことで、島の生態系は劇的な変化を遂げ始めた。
三つの属性エネルギーが混ざり合い、島を覆う「認識阻害の霧」は、もはや神話の域に達するほどの強度を得た。
『これで、三守護神が揃ったか……』
ロケット団とか、他地方の悪の組織とか描きたかったけど物書きって大変ですね
週一でも疲れるわー
次話エピローグで一旦締めようと思います