第二十一話【天来】
セルヴォ:「だらぁーーー!!」
ビート:「ぬん!!」
メダロポリスの中央広場。
セルヴォとビートが同時に地を蹴り、マイルとジーヴァスへ攻撃を仕掛けた。
セルヴォは攻撃を繰り出し、ビートは銃撃を放つ。
だが、マイルとジーヴァスはそれぞれ左右へ大きく散り、二機の攻撃をかわした。
そのまま戦場が分かれる。
セルヴォ対マイル。
ビート対ジーヴァス。
二機一組での連携を得意とするトゥルースにとって、分断された状態は決して有利ではなかった。
セルヴォ:「さて、お前ら一体何がしてーんだよ!?」
セルヴォが右腕のソードと左腕のハンマーを交互に振るう。
だが、マイルはそれらを次々とかわし、逆にセルヴォの脇腹へ蹴りを叩き込んだ。
セルヴォ:「だぁーーーー!!」
セルヴォの身体が石畳を滑り、そのまま大きく吹き飛ばされる。
マイル:「分かってるんだろぉ? 神様を復活させるんだぁ。全く……大人しく神様を渡せばこんな事にはならないのに……お前らは愉快なヤツらだなぁ」
セルヴォはすぐに起き上がった。
セルヴォ:「さて、誰が愉快だっつう……のぉ!!!!」
再びマイルへ向かって突っ込み、左腕のハンマーを振り下ろす。
だが、マイルは身体を反らしてかわした。
マイル:「クスクス……」
その笑い声に、セルヴォの苛立ちがさらに増していく。
セルヴォ:「さて、神様だの……何だの……正気かよ!」
セルヴォは怒りに任せて、ハンマーとソードを次々と振るった。
だが、攻撃は徐々に単調になっていく。
マイルはその隙を逃さなかった。
マイル:「正気だろうと、狂気だろうと、俺たちは神様に会うんだぁ!!!」
セルヴォ:「おぅ!!?」
マイルの強烈な格闘攻撃がセルヴォへ叩き込まれた。
セルヴォは地面とほぼ水平に吹き飛ばされ、そのまま広場の反対側へ飛んでいった。
―
一方、広場の離れた場所では、ビートとジーヴァスが戦っていた。
ジーヴァス:「なんだ! テメーの実力その程度か!」
ビートが放つガトリング弾をかわしながら、ジーヴァスが叫ぶ。
ジーヴァス:「へへーん。こんな弾、かわすなんて簡単だゼ!!」
ビート:「………」
ビートは何も言わず、ジーヴァスの動きを追い続けた。
マイルもジーヴァスも、単純な戦闘力ではかなりの強敵だ。
だからこそ、むやみに撃ち続けるのではなく、確実に当てられる瞬間を待つ。
そして。
ビート:「今」
頭部からミサイルが射出された。
一直線に飛んだミサイルが、ジーヴァスの正面で炸裂する。
――ドドォォォォォンッ!!
爆煙が広がり、一瞬だけ視界が遮られた。
ビート:(やったか?)
だが。
ジーヴァス:「まだまだ甘いゼ!!」
ビート:「!?」
声は後ろから聞こえた。
煙で姿を見失った一瞬の間に、ジーヴァスは横へ抜けてビートの背後へ回り込んでいた。
至近距離からガトリングが放たれる。
ビート:「ちッ」
ビートは咄嗟に腕を上げて防御したが、全てを防ぎ切ることはできなかった。
ジーヴァス:「さっさと観念しちまった方がいいゼ! 俺たちは神様を復活させる事が出来れば、あとは何でも良いんだ」
ビート:「断る」
ビートは短く答えた。
互いに次の攻撃へ移ろうとした、その時だった。
セルヴォ:「だあぁぁぁーーーー!!!」
ビート:「な!?」
頭上から何かが降ってくる。
いや。
セルヴォだった。
――ゴッチーーーン☆
セルヴォの頭が、ビートの頭部へ思いきりぶつかった。
二機はそのまま絡まりながら石畳を転がる。
ジーヴァス:「な……?」
マイル:「おやおやぁ? 凄い事になったなぁ」
少し遅れてマイルも歩いてきた。
セルヴォとビートは、地面からゆっくりと起き上がる。
セルヴォ:「さて……」
セルヴォは身体についた汚れを払いながら、マイルたちを見る。
セルヴォ:「お前ら〝神様!〟〝神様!〟って……ただの白い玉っころじゃねえか」
ジーヴァス:「んだと!?」
マイル:「神様を侮辱するなぁ!」
ジーヴァス:「取り消せ!! 懺悔しろ!!」
それまで余裕を見せていた二機が、一気に怒り出した。
ビート:「そうか……それはすまなかった」
セルヴォ:「さて、俺も悪かったぜ……なんて誰が謝るかよ!!!」
セルヴォとビートが同時に構える。
ビート:「一斉射撃!!」
セルヴォ:「たて、一閃!!」
ビートの全身の射撃武装が一斉に火を噴き、ジーヴァスへ殺到する。
同時に、セルヴォが放った青白い光刃がマイルを真っ向から斬りつけた。
――ドオォォォォォンッ!!
マイル:「ぐぁっ……!」
ジーヴァス:「うおぉっ!?」
二機が大きく吹き飛ばされる。
セルヴォ:「へへッ」
セルヴォは満足そうに笑い、隣のビートへ手を上げた。
ビートも無言で手を上げる。
パンッ。
二機はハイタッチを交わした。
その直後。
マイル:「もう許さないぞぉ」
ジーヴァス:「殺すっきゃないゼ!」
セルヴォ:「あ?」
吹き飛ばされたはずの二機が、すでに立ち上がっていた。
マイルとジーヴァスが一気に距離を詰める。
セルヴォ:「グァッ……!?」
ビート:「ぬ……!?」
今度はセルヴォとビートが攻撃をまともに受け、大きく吹き飛ばされた。
二機は石畳を滑り、ようやく止まる。
マイル:「もう逃がさないぞぉ」
ジーヴァス:「今度こそ終わりだゼ!」
セルヴォとビートはゆっくりと立ち上がった。
セルヴォ:「さて……ちょ~っとばかし……ヤバイかもな」
ビート:「あぁ……」
マイルとジーヴァスが迫ってくる。
その時。
ビートがふと空を見上げた。
ビート:「……?」
上空から、何かが急速に近づいてくる。
白い機体。
三本の黒い角を持つ龍型メダロット。
マイルとジーヴァスも異変に気づき、空を見上げた。
ジーヴァス:「なんだぁ!?」
次の瞬間。
――ドガァァァァァァァンッ!!
白い龍が二機の間へ降りてきた。
そして、そのまま右腕でマイルを、左腕でジーヴァスを掴み上げる。
マイル:「なっ……!?」
ジーヴァス:「離せェ!!」
二機が抵抗する間もなく、白い龍はそのまま再び空へ飛び上がった。
地上に残されたセルヴォとビートは、突然の出来事を呆然と見送る。
セルヴォ:「さて……何でアイツがここにいるんだ?」
ビート:「分からん。だが、助かったな」
セルヴォ:「まぁな……」
何故『彼』がここまで出てこられたのか。
セルヴォには理由が分からなかった。
―
遥か上空。
その男……『カヲス』はマイルとジーヴァスを両腕で掴んだまま、空中で停止した。
マイル:「クッ……貴様、何者だぁ?」
ジーヴァス:「こいつヤバイゼ!! 目がイッちゃってるゼ!!」
カヲスは答えなかった。
ただ二機を強く掴んだまま、睨みつけている。
マイル:「ぐっ……!」
ジーヴァス:「痛ぇってんだゼ!!」
カヲスは二機の声を無視した。
そして、低い声で一言だけ問いかけた。
カヲス:「コスモスは……どこだ……?」
第二十一話【天来】終わり