第二十六話【Medarot Rise】
竜:「何か策があるのですか……?」
巨大なゴースト弾を見上げながら高笑いするメッシュに、竜が問いかけた。
メッシュは親指を立てる。
メッシュ:「その通り! これならばきっとヤツを破壊できる! だが……」
竜:「……だが……?」
メッシュ:「ヤツの所まで飛んでいくのに時間がかかりすぎるんだよなぁ……」
メッシュのメダチェンジ形態は「浮遊」。
空を飛ぶことはできるが、あの高度まで一気に上昇できるほどの速度はない。
竜は空を見上げ、少し考えた。
竜:「仕方が無いですね……ここはシンプルにいきますか……」
――数十秒後。
竜:「では皆さん……いきますよ……」
広場の中央。
そこには、メッシュを囲み、全員で担ぎ上げる元・十二使徒たちの姿があった。
メッシュが自力で間に合わないのなら――。
全員で投げればいい。
リーブ:「ほな、いきまっせ~」
レッド:「……………………」
ナギサ:「上昇……ライズだねぇ」
竜:「では……メッシュさん……」
タイン:「さり気に……飛べぇぇぇーーーーーーーー!!」
全員が一斉に力を込めた。
――ドヒュンッ!!
メッシュ:「うおおおおおおおっ!!?」
メッシュの身体が勢いよく空へ打ち上げられる。
地上が一気に遠ざかっていく。
メッシュ:「ファッファッファッファッファ!! 十二使徒の力を集結させた攻撃を喰らえ怪物!!」
高笑いを響かせながら、メッシュは三頭神像へ向かって上昇していった。
しかし。
三:「ガアアアァアァァァァァァーーーーー!!!」
三頭神像の両腕の間では、すでに巨大なゴースト弾が完成していた。
三:「ヴァアアアアアアアアァァァァァーーー!!!!!」
ゴースト弾が地上へ向かって放たれる。
急上昇するメッシュ。
急降下する巨大な紫色の球体。
二つは一直線に接近していく。
メッシュ:「うお!? ちょ……で、でかいのが来たぞ!?」
今さら進路を変える余裕はない。
メッシュ:「だぁーー!! これくらい、ぶった斬ってやらぁーーー!!!!」
メッシュはカリパーを構え、迫るゴースト弾へ全力で斬りつけた。
――ヂヂヂヂヂヂヂヂヂッ!!
剣とゴースト弾がぶつかり、耳障りな音が響き渡る。
だが。
メッシュ:「ぐっ……!」
押し切れない。
巨大なゴースト弾に押され、メッシュの上昇速度が徐々に落ちていく。
メッシュ:「や、やばい……」
ついにメッシュの身体が押し戻され始めた。
その時だった。
『キッシャッシャッシャ!! 「十二使徒の力を集結させた攻撃」って言ったよな?』
『フン……ならば我らを忘れてもらっては困る』
『『 行 っ て 来 い ! ! 』』
メッシュ:「!?」
懐かしい声。
その直後。
――バンッ!!
メッシュを押し戻していた巨大なゴースト弾が、突然弾け飛んだ。
紫色の光が空中へ散っていく。
何が起こったのか、メッシュにも分からない。
だが、押しつけられていた力は消えていた。
メッシュの身体が再び上昇する。
メッシュ:(ゴッドエンペラー……ベルゼルガ……。サンキューな……!)
あの声が本当に二機のものだったのか。
それとも、極限状態の中で聞いた幻だったのか。
答えは分からない。
ただ一つ確かなことは、道が開いたということだけだった。
目の前には三頭神像。
メッシュはカリパーを右手に握ったまま、左手を背後へ伸ばす。
掴んだのは『斬鉄剣』。
右手にカリパー。
左手に斬鉄剣。
二刀を構える。
メッシュ:「行くぞ……今思いついたばかりの最新・次元剣技」
三頭神像が目前へ迫る。
メッシュ:「かつては2つの大組織ラヴドとエデンが戦争を行っていた……そんな我が故郷の世界にて身につけし次元剣技。名付けたるは……」
右手のカリパーは、神秘的、そして力強い、それでいて何か威厳を感じるような、白き光を放つ…その姿はまさしく〝神〟の如し。
そして左手の斬鉄剣は、とても不幸な、哀しき終末を思わせる、黒き波動で満たされる…その姿はまさしく〝死神〟の如し。
メッシュは二本の剣を振り上げた。そして、その光と波動が重なる。
『
白と黒。
二つの力が、三頭神像へ同時に叩き込まれる。
三:「ヴァァアァアアァガァァーーーーーー!!!!!!」
メッシュ:「うりゃあぁぁぁあぁぁぁーーーーーーーーー!!!!!!」
――ッ!!
地上からその光景を見上げていた仲間たちの視界が、一瞬だけ変わった。
世界から、色が消える。
空も。
建物も。
広場も。
すべてが白と黒だけに染まった。
激しい光が明滅する。
そして。
一瞬後には、元の色が戻っていた。
タイン:「……?」
リーブ:「ど、どうなったんや……?」
全員が再び空を見上げる。
やがて、上空から何かが次々と落ちてきた。
石の欠片。
金属片。
三頭神像だったものの残骸。
巨像の姿は、もうどこにもない。
メッシュが勝ったのだ。
―
メッシュが地上へ戻ってくる。
着地の直前、盾となったゲンジで衝撃を受け止めながら地面へ降り立った。
その直後。
街中に響いていた『Dancing Mad』が止まった。
周囲にいた『心ない天使』たちも次々と動きを止めていく。
静かになった広場で、仲間たちがメッシュのもとへ向かおうとした。
その時。
――シュゴゴゴゴ……!!
メッシュの背後で、空間が歪み始める。
タイン:「お、おい! メッシュ! そこに変なのがさり気にあるぞ!!」
メッシュは背後を振り返った。
しばらくその歪みを見つめる。
そして、小さく笑った。
メッシュ:「……別れの時だ」
リーブ&タイン:「え?」
次元の狭間への入り口。
いつ、どこに現れるか分からないその入口が、再びメッシュの前へ姿を現した。
メッシュは仲間たちへ振り返る。
だが。
――ボオオオォォォォォッ!!
メッシュ:「!?」
時空の歪みから、突然猛烈な炎が噴き出した。
メッシュは反射的にゲンジを構え、炎を防ぐ。
???:「ヒャホーゥ!!! 見つけたぜメッシュ! 俺ッ様と勝負しな!」
炎の向こうから、一機のメダロットが飛び出してきた。
六本の腕を持つ異形の機体。
その姿は、人類最後のメダリンピックで優勝した女性が使用していたメダロットに酷似している。
何故ここへ現れたのかは不明である。
メッシュといつ知り合ったのかも不明である。
不 明 な の で あ る !
メッシュ:「な!? お前、こんなところまで追ってきたか!? まぁいい、勝負の続きだ!! ……ただし、ここでは駄目だ!」
メッシュはゲンジを大きく振りかぶった。
――ドゴッ!!
???:「グヘッ!!?」
六本腕の男はゲンジをまともに喰らい、そのまま時空の歪みの中へ吹き飛ばされた。
メッシュは歪みの前まで歩いていく。
そして、最後にもう一度だけ仲間たちへ振り返った。
メッシュ:「ファッファッファッファッファ!!! 短い間だったが、またお前たちと一緒に戦えて嬉しかったぜ。いつになるかは分からないけど、また……会おうな!!」
メッシュ。
カリパー。
キドゥ。
ゲンジ。
四機は、そのまま次元の狭間へ入っていった。
やがて歪みは消え、メダロポリスには穏やかな風だけが残った。
第二十六話【Medarot Rise】終わり