第二十七話【A good believer would have known】
――ウィィィィン……ガタンッ。
修復装置の蓋が開き、マイルがゆっくりと目を覚ました。
ジーヴァス:「おぉ、目を覚ましたな! 待ってな、今開けてやるゼ!」
聞き慣れた声と共に、装置の蓋が完全に開く。
そこは、メダロット用の修復設備が整った医療施設だった。
自然にスラフシステムで回復するのを待っている時間はない。
そこでジーヴァスは、避難によって無人となっていた施設の設備を利用し、マイルの修復を早めていた。
マイル:「なるほどぉ。考えたなぁ」
マイルは修復された頭部を確かめる。
ジーヴァス:「まぁな。つか早くシャインのところに戻ろうゼ! ひょっとしたらデュオカイザーの始末に手こずってるかも知れないゼ!」
二機はそのまま医療施設を後にした。
―
ローラ:「……ん?」
ディスト:「どうしたのローラ?」
シャインを探していたローラが、不意に足を止めた。
ローラ:「アレを見てみろ」
ローラがワンダとディストを物陰へ誘導し、前方を指す。
医療施設から出てきたのは、マイルとジーヴァスだった。
ワンダ:「あ! アイツら……」
ローラ:「……気付かれぬように追うぞ」
三機は距離を取りながら、マイルとジーヴァスの後を追い始めた。
―
一方、シャインとデュオカイザー。
シャイン:「クククク……限界。その通りだね。君の生きる術はもう無いも同然だ」
シャインの背後に並ぶ八本の柱『オクトバーン』から、炎が噴き出した。
その攻撃がデュオカイザーへ向かう。
だが、その直前。
デュオカイザーは背部のハッチを開いた。
肩部から伸びる触手が内部へ入り込み、隠されていた何かを引き抜く。
シャイン:「……!?」
純白の珠。白メダリア。
ラヴドから託され、シャインたちが探し続けていたもの。
シャイン:「 神 ぃ ! ! 」
シャインの目が見開かれる。
デュオカイザーは白メダリアを掲げた。
デュオ:「遅いのよ……。信仰心が足りないわね」
そして。
白メダリアをビルの外へ放り投げた。
シャイン:「 か ぁ ー ー ー み ぃ ぃ ぃ ぃ ぃ ー ー ー ー ! ! ! ! ! ! ! ! ! 」
シャインは迷うことなく屋上から飛び出した。
落下していく白メダリアだけを追い、そのまま空中へ飛び込む。
デュオカイザーが手すりから下を覗き込む。
デュオ:「ぁ~ら。素敵なダィブねぃ♪……でもぁたしはここから……ね・ら・ぃ・ぅ・ちぃ~♪」
無防備なシャインの背中へ向け、デュオカイザーが攻撃を開始した。
ミサイルとレーザーが次々と放たれる。
シャインは回避しない。
シャイン:「……ク、クク……神……!!」
白メダリアだけを見つめ、落下しながら手を伸ばす。
そして。
その手が、ついに白メダリアを掴んだ。
デュオカイザーがさらに追撃しようとした、その時。
――パンッ!!
デュオ:「ッ!?」
右腕に弾丸が命中し、狙いが逸れた。
デュオカイザーが地上へ視線を向ける。
ビルの真下には、マイルとジーヴァスが立っていた。
ジーヴァス:「そうはさせないゼ」
デュオ:「ビルの真下から頂上のぁたしを撃つなんて、やるじゃなぃのさ……」
だが。
ワンダ:「あんた達には……」
ディスト:「白メダリアは……」
ローラ:「渡さぬ!!」
ジーヴァス:「!?」
マイル:「おっとぉ……!」
背後から現れたワンダたちが攻撃を仕掛ける。
マイルとジーヴァスは咄嗟に飛び退いた。
デュオ:「ょくゃったゎょん!! それでゎ……レーーーザァーーー!!!」
デュオカイザーの左腕からレーザーが放たれる。
白メダリアを手にしたシャインへ、一直線に伸びる光。
その瞬間。
シャインの背後で、オクトバーンの炎が一斉に噴き上がった。
急加速。
シャインはレーザーをかわす。
シャイン:「クククク……これで全ては揃った。後は神様が再臨なさるのに相応しい場を準備するのみ……」
シャインは白メダリアを握りしめる。
そして、オクトバーンの炎を背後へ集中させた。
――ゴォォォォォォォォォォッ!!
シャインの身体が一気に加速する。
そのまま空を駆け、メダロポリスから遠ざかっていった。
ローラ:「……しまった! ディスト、ワンダ、追うぞ!!」
ディスト:「分かった!」
ディストが3PMCシステムを起動し、車両形態へ変形する。
ローラとワンダを乗せ、シャインを追おうとした。
だが。
マイル:「おっとぉ!」
ジーヴァス:「行かせないゼ!」
マイルとジーヴァスが進路を塞ぐ。
ローラ:「……邪魔をするか」
シャインを追うためには、まず二機を突破しなければならなかった。
その様子を屋上から見下ろし、デュオカイザーが舌打ちする。
デュオ:「チッ……! ャバィゎねぃ……」
シャインは逃げた。
白メダリアも奪われた。
そして、この場にはすぐに追いつける者がいない。
デュオカイザーが次の手を考えようとした、その時だった。
『……私に…………任せろ……』
デュオ:「え?」
声は、さらに上から聞こえた。
デュオカイザーが空を見上げる。
そこには白い龍の姿があった。
カヲス。
その脚部の周囲に、ゴーストが集まっていく。
カヲス:「『ゴースト・ブースター』……」
ゴーストが巨大な推進装置のような形へ変わる。
次の瞬間。
カヲスが猛烈な勢いで加速した。
シャインが消えていった方向へ、そのまま一直線に飛んでいく。
デュオ:「カヲス!? なんでここに……!? っていぅか……こんな大都市に来てたんなら、 絶 対 誰かにみられてるゎょねぃ……」
デュオカイザーの表情が引きつる。
カヲスは、公式には二年前の決戦で死亡したことになっている。
その本人が、これだけ多くのメダロットがいるメダロポリスへ現れた。
この事実が広まれば、二年前の公式発表そのものが疑われる。
エデンとラヴドが行った戦後の情報操作まで明るみに出れば、世間に大きな混乱を招きかねない。
デュオ:「シャインはカヲスに任せて、下の二人はぁの子達に任せて……。……ぁたしは一仕事しなきゃいけなぃゎねぃ……」
デュオカイザーは端末を取り出した。
そして、戦場とは別の仕事を始めた。
第二十七話【A good believer would have known】終わり