第二十八話【HERMES DRIVE】
カヲスがシャインを追って飛び去った頃、地上ではワンダたちの行く手をマイルとジーヴァスが塞いでいた。
ジーヴァス:「シャインは追わせないゼ!」
マイル:「これで神様も復活できるからなぁ」
白メダリアとコスモスのメダルは、すでにシャインの手にある。
一刻も早く追わなければならない。
しかも、ワンダたちはカヲスがすでに追跡を始めていることを知らなかった。
ディスト:「クソッ……どうする?」
ディストは車両形態のまま、ローラとワンダを乗せている。
だが、正面にはマイルとジーヴァス。
このままでは動けない。
その時、ワンダが左腕の『ソウス』を二機へ向けた。
ワンダ:「どいてなさい!!」
強烈なレーザーが放たれる。
ジーヴァス:「うおっ!?」
マイルとジーヴァスが左右へ飛び退いた。
ワンダ:「ディスト、出て!!」
ディスト:「了解~!!」
ディストが一気に加速する。
――ギュルルルルッ!!
二機の間を抜け、そのままメダロポリスの外へ向かって走り去った。
ジーヴァス:「クソッ!」
マイル:「ほら、行くぞぉ」
マイルが近くに停めてあった二台のバイクを指す。
二機はそれぞれバイクへ飛び乗った。
――ブルルンッ!!
エンジン音を響かせ、ディストたちの後を追う。
―
ディストたちはメダロポリスを抜け、一本のハイウェイへ入った。
ローラ:「恐らく、シャインの向かった先はアジトであるフユーン……。ここから南西の砂漠に位置しているはずだ」
まずは高速道路を通り、おみくじ町を目指す。
そこまで行けば、フユーンまでは遠くない。
その時。
ワンダ:「……ん? なんか……聞こえない?」
ディスト:「何か?」
――ブルルルルルルル…………!!
後方からエンジン音が近づいてくる。
ワンダが振り返った。
ワンダ:「ほら! やっぱ何か聞こえてるって!」
二台のバイク。
マイルとジーヴァスだった。
ディスト:「げッ!」
ジーヴァス:「行かせないゼェェッ!!!」
ジーヴァスが片手で銃を構え、ディストへ向けて乱射する。
ローラ:「いや、行かせてもらおう!」
ローラが右腕の『ダブレスト』を掲げた。
青い障壁が展開され、飛んでくる弾丸を弾き飛ばす。
ディストも後方へビームを撃ち返す。
そして、攻撃を受けた時にはワンダがすぐに修復する。
防御するローラ。
癒すワンダ。
攻撃するディスト。
ローラ:「久しぶりだな……。この三機で戦うのは」
ワンダ:「あ、それ私も思ってた!」
ディスト:「僕も僕も!」
二年ぶりに揃ったL班。
立場は変わっても、この三機での連携は変わっていなかった。
ローラが守り、ワンダが癒し、ディストが反撃しながら先へ進む。
ジーヴァス:「おいマイル! あいつら、強いゼ!」
マイル:「フゥ……。どうしたものかなぁ」
マイルがディストたちを見つめる。
そして、バイクを一気に加速させた。
マイル:「よっとぉ!」
前輪が浮き上がる。
そのままバイクごと跳び上がり、ディストの真上へ躍り出た。
ワンダ:「上ッ!!」
マイルは空中でバイクを蹴り、ディストへ飛び降りる。
だが。
ローラ:「甘い!」
ローラが拳を突き出した。
――ガギィィィィィンッ!!
マイルの拳とローラの拳がぶつかる。
弾き飛ばされたマイルは、再び自分のバイクへ戻った。
マイル:「っとぉ……!」
そのまま追走を続ける。
しかし、マイルへ注意が向いた一瞬の隙に、ジーヴァスがディストの左側へ並んでいた。
ジーヴァス:「捕まえたゼ!」
ジーヴァスがバイクを寄せる。
押されたディストが道路の端へ追いやられた。
――ガガガガガガッ!!
車体がガードレールへ擦れ、火花が飛び散る。
ディスト:「痛てててててて!!!……痛いな、もう!!」
その瞬間。
――ガシャンッ!!
ディストの車体左側から、『エアスト』が飛び出した。
ディスト:「え?」
エアストの腕が、そのままジーヴァスのバイクを突き飛ばす。
ジーヴァス:「うおっ!?」
――ギュルルルルッ!!
ジーヴァスのバイクが激しくスピンする。
ジーヴァス:「クッ……!」
ジーヴァスはガトリングを斉射した。
その反動を利用し、どうにかバイクの体勢を立て直す。
ローラ:「ほう……。そんなこともできたのだな」
ローラがディストの車体から伸びたエアストを見る。
ディスト:「僕も今知ったんだけどね」
ワンダ:「って今かよ!!」
ワンダのツッコミがハイウェイに響いた。
―
高速道路の出口。
その先には、おみくじ町がある。
付近の空き地には、一台の軍用ヘリが待機していた。
その傍らには、二機のメダロット。
セルヴォとビート。
ビート:「一戦目:ビッグブロック。女王のメダルを奪われ逃げられる……実質、俺たちの敗北」
セルヴォ:「…………」
ビート:「二戦目:メダロポリス。劣勢を強いられ、カヲスの乱入もあったが……実質、俺たちの敗北」
セルヴォ:「…………」
ビート:「以上……俺たちとマイル&ジーヴァスの戦績だ」
ビートが淡々と告げる。
セルヴォはしばらく黙っていたが、やがて口を開いた。
セルヴォ:「さて、途中経過なんて関係ねーよ」
セルヴォは、右手に持った奇妙な装置へ視線を落とした。
そして、ニヤリと笑う。
セルヴォ:「最後に勝ったヤツが勝者だ……」
第二十八話【HERMES DRIVE】終わり